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「完結する物語をユーザーに届けたい」、台湾・神嵐遊戯の新たな挑戦

死にまくりアドベンチャー「落桜幻夢譚」、サバイバルホラー「STAR DIFFUSION」

9月21日~24日 開催

会場:幕張メッセ

 今回のTGSでモバイルゲームコーナーに出展していた神嵐遊戯(CELAD)は台湾のメーカーである。神嵐遊戯は、弊誌でも何度か取り上げている「台湾でコンシューマーゲームに負けないタイトルを作ろう」という理念に燃えるクリエイター劉哲魁氏をリーダーとするゲームメーカーだ。今回は“買い切り型”のゲーム2つを出展していた。

神嵐遊戯のリーダー、劉哲魁氏

 神嵐遊戯はこれまで、美少女を前面に出しながら伝奇ロマンのストーリーを展開するという恋愛シミュレーションRPG「落桜散華抄(らくおうさんげしょう)」、ゾンビアポカリプスの世界の中で生き残りを賭けて戦う未来世界を描いたRPG「末日之子」といったタイトルをリリースしている。この2つのタイトルは台湾・香港地域で人気を博し、日本でもサービスされた。

 劉氏は幼少期から日本のゲームを好み、日本語を勉強、台湾のゲームメーカーChinese Gamerのローカライズチームとしてキャリアをスタートする。そうしてゲームに関わっていく劉氏の中では常に「日本のコンシューマゲームのような、ストーリーや世界観を重視したゲームを作りたい。そして台湾だけでなく、日本のユーザーにも自分のゲームをプレイしてもらいたい」という理念があった。

 そしてその熱い想いのまま社内で自分の想いに共感してくれる“同志”を募り、会社に掛け合って「落桜散華抄」をプロデュースしたのである。そして成功を納めた劉氏は自分の目指すタイトルを作るゲームメーカー・神嵐遊戯をChinese Gamerの子会社として設立、精力的に独自のゲームを作り続けている。

 劉氏の次の挑戦は“買い切り型のゲーム”。基本プレイ無料のアイテム課金制ではなく、日本のコンシューマゲームのようなユーザーがソフトにお金を払い、そこで完結するゲームをリリースすることだ。そこには「完結する物語」への想いがあるからだ。

 きちんとストーリーが終わる。プレーヤーはそのエンディングに様々な想いを持つ。そういうゲームを作りたいのだと劉氏は語った。これまでのタイトルのように「サービス」として新しい要素を継ぎ足していくのではなく、ゲームで1つの完結する物語を描きたい、その想いが今回発表した2本のタイトルには込められているという。

明るくかわいらしい学園ドラマのすぐそばに“死”。「落桜幻夢譚」

 出展タイトルの1本目は「落桜幻夢譚」。名前の通り「落桜散華抄」のスピンオフで世界観や舞台となる学園は同じ。キャラクターも多数共通する人物が、メインヒロインは3人の新キャラクターとなる。台湾で10月ごろにリリース予定だ。

メインヒロインの3人

 本作の基本操作は話しかけてくるキャラクターに対し、いくつかの選択肢で応えていくアドベンチャーゲームとなる。主人公にはパラメーターがあり、選択によってステータスが変化していく。このステータスでも物語の展開は変わっていく。

 そして本作ならではの特徴的な要素が“死”である。絵柄もかわいらしく、明るい雰囲気のある本作だが、主人公はちょっとした選択の結果で死ぬ。不良に絡まれたり、交通事故などであっさり死ぬのである。死ぬ度に主人公は謎の力でその記憶を持ったまま生き返る。プレーヤーは主人公の死をくり返し経験しながら、物語の核心に迫っていく。

 「落桜散華抄」では源頼朝の伝説によるオカルト要素の強い“伝奇もの”のストーリーが展開していたが、「落桜幻夢譚」はテイストは異なってくるとのこと。明るい雰囲気の中にびっくりするようなダークなものを盛り込むのも劉氏の“味”といえるだろう。

【落桜幻夢譚】
ふとしたことが死のきっかけに

惑星を襲った異常事態に生き残れ! 「STAR DIFFUSION」

 「STAR DIFFUSION」はこれまでの神嵐遊戯のゲームとは雰囲気が大きく異なるアクションアドベンチャーだ。台湾では2018年4月リリース予定。本作はバーチャルパッドを使用、左のバーチャルパッドでキャラクター操作を、右で射撃を行なう。画面は2Dグラフィックス風の見下ろし型。ちょっとレトロな雰囲気もある。

画面は2Dグラフィックス風の見下ろし型だ

 主人公は植民惑星で働く1人の男。宇宙から戻り基地に帰ると基地の様子が一変していた。職員達は皆ゾンビのような存在に変貌していた。男は娘・ミラの姿を求め、彼女が活きていることを信じて探索を開始する。サバイバルホラーは劉氏の大好きなテーマであり、思い入れの強さがうかがえる。

 本作はアクション主体の本格的なゲームであり神嵐遊戯の新しいチャレンジになるという。ホラー要素が強く、真っ暗な場所では男が照らすライトが唯一の頼りとなる。基地の扉はそこかしこで閉ざされていて、電力の復旧や、IDカードの入手などで行動範囲を広げていく。

 敵に対しては逃げながら戦うのが基本だ。キャラクターを逃げさせながら、右のバーチャルパッドで敵の方を向き射撃を当てる。弾は限られており亡くなればナイフで戦うしかない。生き残るためには探索も重要だ。起動させることで敵を迎撃する自動砲台もあり、ゲームギミックにも期待できそうだ。

【STAR DIFFUSION】
多彩な要素が盛り込まれており、開発者の気合いを感じさせる