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「LJL 2017 Summer Split Final」遂に決着!

日本一の栄光はチーム「Rampage」の手に

8月26日 開催

 ライアットゲームズは8月26日、「League of Legends(以下、LoL)」において公式大会の決勝戦「『League of Legends』 Japan League(LJL)2017 Summer Split Final」を幕張メッセのイベントホールにて開催した。

 決勝戦では約3カ月半にわたるリーグ戦を勝ち抜いてきた2チーム、1位のJapan DetonatioN FocusMe (以下DFM)と、2位のJapan Rampage(以下RPG)が激突。両チームの組み合わせは6大会連続となるいわば「因縁の1戦」だ。試合はBest of 5形式(3試合先取制)で行なわれ、両者一歩も譲らずGame5までもつれ込む大接戦となった。

 会場には4,000人を超えるファンが詰めかけ、選手たちに大きな歓声を送った。また、観戦ステージ手前ではコスプレ撮影エリアの設置やファンアートの展示、Summer Splitに参戦した全6チームのブースが設置された。

チームブースには長蛇の列が
ファンアートには力作が並ぶ
来場客がコスプレを楽しめる撮影スペースも

一歩も譲らない激しい攻防が繰り広げられた

 両チームとも各選手の個人技では互いに引けを取らないが、チーム全体で見れば得意とする戦略は全く異なる。DFMは序中盤までに作った有利を終盤まで活かし、押し切る戦法を得意としているが。一方のRPGは中盤までは耐え、得意とする終盤の集団戦で巻き返すチームだ。このように戦略的には対照的な両チーム、ほぼ全ての試合でそれぞれの特徴が色濃く出た。

試合前に握手を交わすRPGのRamune選手(左)とDFMのCeros選手(右)
注目選手に選ばれたのはDFMのCeros選手(左)とRPGのTussle選手(右)。特にCeros選手のピックは注目された

 1試合目はDFMの強みが顕著に現われた。DFMのジャングラーであるSteal選手は、序盤から影響力の強い「エリス」をピック。TOP・MIDへのGankにより各レーンに有利をもたらすと、「ジャーヴァンIV」をピックしたTopのDFM Paz選手がそれを活かしてRPG Evi選手の「チョ=ガス」をソロキル。そのままの勢いでUltの「決戦場」を武器に暴れまわり、一気にDFMが押し切り勝利した。

2試合連続でピックされたDFM Ceros選手のハイマーに大歓声が

 このままリーグ戦1位のDFMが優勝するかもしれない……。そんな空気の中突入した2試合目だったが、試合序盤の有利を作ったのはRPG。 ジャングラーであるRPG Tussle選手は機動力と索敵能力に優れた「レク=サイ」をピックし、ジャングルの支配権を握った。また、Botレーンでは「ラカン」をピックしたサポートのRPG Dara選手の冷静な判断でキルが生まれ、RPGは有利な状況で序盤を終えることに成功する。

 しかし、DFMも負けてはいない。中盤、キルこそ負けているものの、オブジェクティブを絡めた戦略で劣勢を覆し、徐々に試合のペースを握っていった。その起点となったのはDFM Ceros選手だ。RPG Dara選手がマップの有利を活かしMidで仕掛けるも、DMF Ceros選手の使うハイマーの火力を把握し切れず両者1キル交換となった。その後、キルを取ったDFM Ceros選手がMidを押し込むことでマップコントロールを取り戻し、DFM Steal選手が敵側の両バフをスティール、ジャングラー同士のレベル差を埋めていく。

 RPGはBotレーナーをTopに送ることでTopタワーを獲得、サイドレーンから有利を広げようとするが、DFMはその間にBotタワーを2本連続で破壊。その後、DFM Ceros選手が集団戦で火力を出し勝利し、Midタワーも獲得した。

 これによりRPGはキルで上回っているものの、DFM側がオブジェクト面で有利を取り資金差はほぼ無くなった。

 それでもRPGは相手の攻めを粘り強くしのぎ、最後にはDFMの僅かな隙をつきドラゴンとバロンを獲得。バロンバフの圧力を背景に、そのまま押し切りRPGが勝利した。最期までどちらが勝つかわからない息をのむ展開に、客席からは何度も歓声が上がった。

 3試合目はRPG側の個人技が光った。まず、RPG Tussle選手がフラッシュを絡めて一方的にキルを獲得するファインプレー。さらに序盤に両チームのジャングラー間に大きな資金差を作り、リードを取ったRPGはそのままDFMの動きを封じ込め、全てのレーンで有利を作る。特にTopのRPG Evi選手は対面であるDFM Paz選手を圧倒し続け、1人でタワーを折りきった。これによりRPGは完全にマップを支配し、流れのまま勝利、優勝へ王手をかけた。なにより、RPGにとってはDFMの得意とする序盤を個人技で抑え込めたのは大きい。一方、DFMにとっては得意な時間を逆に支配されてしまうという手痛い敗北となった。

緊張した面持ちのRPG Dara選手

 4試合目、スコアは1:2と後がなくなったDFM。チームを救ったのはサポートのDFM viviD選手だった。Botで有利を作った直後から、ピックした「ラカン」の機動力を生かしてマップを縦横無尽に動き回り、支配権を確立していった。しかしDFMはドラゴン・バロン・インヒビターと立て続けに獲得はするも、RPGの集団戦での粘り強さを前にして、思うように勝ちきれない展開が続く。

 試合終盤、DFMがバロンを始めるものの、RPGのTussle選手がファインプレーを見せ、なんとバロンのスティールに成功。このバロンスティールによりRPGが逆転したかに思われたが、DFMは冷静な判断でエルダードラゴンを獲得。このバフのトレードによりRPGがバロン、DFMはエルダードラゴンをそれぞれ持ち、次の集団戦で試合が決まる、という最終局面を迎える。ここで集団戦をしたいDFMはRPGに食らいつき開戦、エルダードラゴンのバフを存分に生かして勝利した。エルダードラゴンは事前に討伐したドラゴンの数に応じて強化されていくため、DFMが序中盤に3体ものドラゴンを獲得していたことがここで生きたという形になる。

 泣いても笑っても最後となる5試合目は、両チームの強みが激突する激しい試合となった。序盤を支配したのはDFM。ミスの目立ったRPG Tussule選手を徹底的に攻めたて、早々に3キルを獲得する。しかし、RPGも負けてはいない。不利な状況を耐え続け、得意とする集団戦でADCのRPG YutoriMoyashi選手が「トリスターナ」で見事なプレイを見せ、3キルを獲得し逆転に成功した。一転守勢に回ったDFMだが、堅実に守備を固め、RPGの攻めをしっかりと返していく。一進一退の攻防が続くも、集団戦での有利を活かし、徐々にRPGがDFMを追い詰めていく。そして試合時間が41分を超えたとき、RPGが集団戦で勝利。そのままネクサスを破壊し3連覇を決めた。会場は拍手と大歓声でRPGを讃えた。

トロフィーを掲げるRPGの選手達。GGWP!
試合後の記者会見にて

 最終戦までもつれ込み、最後までどちらが勝つかわからなかった本大会は、日本の「LoL」競技シーンの成長を顕著に示すものとなった。

 見事優勝したRampageは2017年9月23日~11月4日に中国で開催される世界大会、「2017 World Championship」に日本代表として出場する。厳しい戦いを勝ち抜いてきたRampageだからこそ、国際大会での活躍に期待がかかる。

ファン・コミュニティと共に成長していくLOL

メッセージボードには多くの応援コメントが寄せられた

 厳しい戦いを勝ち抜き優勝したRPG、惜しくも敗れたDFMだけでなく、本大会に参加した全てのチームに賞賛を送りたい。そして、忘れてはならないのが選手たちを陰で支えていたファンや大会運営の存在だ。

 「LJL」の成長に、ファンが貢献していることは間違いないだろう。試合中、多くのファンが歓声を上げ、ため息をつき、時にはスクリーンに向けて祈るような視線を送っていた。チームを応援する「コール」の声も前大会より大きかった。球場で行なわれるスポーツの観戦と同じ光景がそこにはあった。ファンの声援が、少なからず選手たちの力となったことだろう。

 「LoL」のファンは確実に増えている。前回の開催地である東京ビックサイトからさらに会場の規模を拡大した今回だが、客席はほぼ満席。会場には約4,000人ものファンが詰めかけ、ストリーミング配信の視聴者数は2万人を超えた。「LJL」が国内最大のe-Sportsイベントなのは明らかだ。

 来場者に目を向けてみると、ゲームプレーヤーは男性が多いと言われているのにも関わらず、会場には女性の姿も多く見られた。実際に彼らに話を聞いてみると、学校の友人やネットで知り合った仲間、カップルと実に様々な関係のグループが来場していた。また、他にも試合ではなくコスプレイヤーを目当てに来場する人や、有名配信者と会うために足を運んだという人もおり、「LoL」を中心に多様なコミュニティが形成されていることが分かる。

 コミュニティの成長は、e-Sportsだけでなく、「LoL」全体の今後に関わる重要な要素だ。「LJL」の決勝を中心としながらも、それ以外を目的としている層も楽しむことができた本イベントは、「LoL」というコンテンツの持つ可能性を示してくれた。

 最期に、この成功は、イベントを陰で支えている大会関係者の努力の結晶だろう。彼らにも拍手を送りたい。今後とも多くのファンを沸かせるコンテンツを提供してくれることを期待している。

 とにかく、今後とも「LJL」、そして「LoL」からは目が離せない。