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【Xbox E3 2017 Briefing】“真の4K”を実現した史上初のゲームコンソール「Xbox One X」
Xbox Oneとの完全な後方互換性を備えながら、コンソールゲーミングを次の世代へ
2017年6月12日 12:23
Microsoftは、事前の予告通り、「Xbox E3 2017 Briefing」で、“Project Scorpio”のコードネームで呼んできた新型ゲームコンソール「Xbox One X」を正式発表した。米国をはじめとしたティア1エリアで11月7日より発売が開始される。価格は499ドル、449£、599CAD、649AUD(約55,000円)。本稿ではXbox E3 2017 Briefingで判明した範囲内で、Xbox One Xに関する情報をお伝えしたい。なお、日本は既報の通り、ティア1には含まれず、11月7日以降の発売となる。
Xbox One Xは、Project Scorpioと呼ばれていた昨年の段階から、6TFLOPSの処理能力を備えた1.172GHz駆動のGPU、12GBのGDDR5メモリ、326GBのメモリ帯域など、そのパワフルな基本スペックはすでに公開され、デベロッパーにも開発機が配布され、様々な情報が漏れ聞こえる状態となっていたため、発売日や価格含めて驚きの発表というのはほとんどなかった。
強いて言えばそのネーミングで、事前にゲーム関係者やファンの間でどのような名前になるか様々な予想がされていたが、筆者含め“One”を継承すると予想していた人は誰もいなかった。これにより、Xbox One Xが、Xbox One世代のゲームコンソールであることを明確に位置づけた。周りに自慢できる凄いゲームハードという“次世代感”より、手持ちの資産がそのまま活かせるという“安心感”を取った形となる。
Xboxファンに対する各種安心感の提供こそがXbox One Xの特徴で、「Xbox E3 2017 Briefing」を通して繰り返しアピールされた要素だ。
たとえば、「Forza Motorsport 7」は、4K/60fps固定という、従来の1080p/60fpsの4倍という遙かな高みにチャレンジするXbox One Xのデモンストレーション的タイトルだが、Xbox One Xのローンチタイトルではなく、その1カ月前の10月3日に発売し、アップデートでXbox One X対応を行なう。あの「Forza」の最新作は、手持ちのXbox Oneでもしっかり遊べるというわけだ。
それから、同梱するゲームコントローラーはXbox One Sに同梱されている第3世代のXbox Oneワイヤレスコントローラーだ。Xbox Eliteワイヤレスコントローラーや、各種カラバリバージョンを持っているXboxユーザーはそのまま資産を新しいゲームコンソールに活かすことができる。
また、「Minecraft」のXbox One X発売に合わせた4K対応が発表されたが、実は4K化されるのは、「Minecraft」だけではない。ファーストパーティーでは「Gears of War 4」、「Forza Horizon 3」、「Halo Wars 2」など、サードパーティーでは「ファイナルファンタジーXV」、「バイオハザード7」など、2016年にリリースされたタイトルを中心に30タイトル以上が無料アップデートでXbox One Xに対応する。
そして、Xbox Oneの強みであるXbox 360タイトルの後方互換機能は、6月時点で385タイトルに達することが発表された。この資産が、Xbox One Xにもそのまま活かされるだけでなく、次なる一手として初代Xboxの後方互換の対応も行なうことが発表された。「クリムゾンスカイ」の映像が流れると大歓声が巻き起こったが、Xbox One Xは、初代Xboxから、3世代目となるXbox Oneまですべてサポートし、過去を一切切り捨てないXboxという立ち位置を明確にしたわけだ。余談だが、Xboxタイトルは、Xbox 360同様、“ディスクレベル”でサポートするため、中古市場が活況を呈しそうだ。
Xbox One Xは、Xbox Oneファミリーの一員という位置づけになるため、Xbox One Xローンチ後も、Xbox One Sは引き続き併売される。Xbox One SはXbox One Xの発売に先駆けて、Xbox One Xの499ドルに対して、一気に249ドルまで値下げし、半額という価格攻勢をスタートさせた。Xbox Oneは今後も引き続き続きますよというアピールだ。
ブリーフィングでは、そうした事実を踏まえた上で、Xbox One Xが実現する“真の4K”が存分にアピールされた。Microsoftが定義する“真の4K”とは以下のとおり。
・800万以上のピクセル
・HDRサポート
・WCG(Wide Color Gamut)
・Premium Dolby Atmos Sound
・4K UHD Blu-ray再生機能
この項目をすべて満たす、唯一のゲームコンソールがXbox One Xというわけだ。「Forza Motorsport 7」以外は4K/60fpsとまでは言っていないため、4K/30fpsが標準となりそうだが、ライバルのPS4 Proは、4Kまで解像度が出ていなかったり、映像表現の強化のみで解像度はフルHDのままだったり、フレームレートの向上のみだったりするのに比較すると、Xbox One Xは“真の4K”を実現する初のゲームプラットフォームと言える。また、従来のXbox Oneタイトルについても、4Kのレンダリング映像をフルHDに戻して出力するというスーパーサンプリングと呼ばれるアプローチで、より美しいグラフィックスを実現するとしている。
ハード的にユニークな点としては、Scorpio Engineと呼ばれるプロセッサーの冷却に水冷が採用されているところで、初の水冷採用ゲームコンソールとなる。また、意外な要素としては、Xbox史上採用のサイズであるところ。Xbox Oneをコンパクト化したXbox One Sよりもコンパクトということで、まだ実機を触っていない段階だが、ワイヤレスコントローラーとの比較では、わずかに小さい程度で、初代Xbox OneからXbox One Sほどの変化はなさそうだ。
今回発表されたXboxタイトルは42タイトルで、そのうち22タイトルがXbox独占タイトルとなる。今回発表された42タイトルから、新たに次の3つの項目が加わる。4K対応を示す「4K Ultra HD」、HDR対応を示す「HDR」、そしてXbox One X対応を示す「Xbox One Enhanced」。「4K Ultra HD」と「Xbox One Enhanced」は同じ意味に取られがちだが、PS4フランチャイズと同様、Microsoftはサードパーティーに対して4K対応を強制しないため、すべての「Xbox One Enhanced」タイトルが4K対応するわけではない点に注意が必要だ。このため1080p/60fpsにこだわって制作されるタイトルは今後もあり続けるとみられる。
逆に言えば、こちらもPS4 Proと同様となるが、Xbox One X専用タイトルというものも存在しない。常にXbox Oneですべての機能がプレイでき、Xbox One Xなら4Kをはじめとしたよりリッチな環境でプレイできますという形になる。
Xbox One Xは、PS4におけるPS4 Pro的な立ち位置の新型ゲームコンソールとなるが、スペック的には、もはやハイスペックPCと同等と呼んでも差し支えないスペックを備えているため、Microsoftが推進しているWindows 10/Xbox One両対応の展開がより加速することが予想される。そしてまたXbox OneとPS4では、純粋にPS4のほうがスペックが高いため、PS4版よりXbox One版のほうが解像度やビジュアル表現が劣るというケースがあったが、PS4 ProとXbox One Xでは、性能が逆転するため、PS4 Pro版より、Xbox One X版のほうが綺麗になるという現象が増えてきそうだ。
最後に、Project Scorpioのアナウンスで告知されておきながら、「Xbox E3 2017 Briefing」では意図的に伏せられていた要素が、VR/MR対応だ。性能的にはOculus RiftレベルのVRヘッドセットは十分動作させられると見られるが、Xbox One XではあえてVR/MR対応は行なわないのか、それともVR/MR関連の情報は別の機会に改めて行なうのかはブリーフィングの時点ではわからなかった。このあたりはE3で追加取材したい。
日本では残念ながらティア1から漏れてしまったXbox One Xだが、まずはコンソールゲーミングを正統進化させるパワフルなゲームコンソールの登場を祝福したいし、ヘビー級の登場でコンソールゲームがより盛り上がることを期待したい。明日以降、Galen CenterやE3会場でXbox One Xに直接触れる機会があるため、改めてより詳しい情報をお届けしたい。