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毎年1,000万本超えの怪物シリーズがNintendo Switchに登場
本物の「FIFA 18」が携帯機に。Switchならではの多彩な遊び方も完全サポート
2017年6月11日 17:43
全世界でサッカーゲームファンのアツい支持を集める「FIFA」シリーズ。スポーツゲームの常として毎年のシーズン開幕に合わせて各機種版が発売されるわけだが、いつまでも飽きられることなく毎年1,000万本以上が売れる(2016年は全機種合計で1,600万本以上)という、ゲーム業界を代表する怪物シリーズとしても馴染み深い。
そのシリーズの最新作は、9月29日の発売を予定している「FIFA 18」。今回、プレイステーション 4/Xbox One/PCといったハイエンド版に並んで、Nintendo Switch版も登場することが注目ポイントとなる。
ハイエンド版は期待通り(保守的な意味で)の進化
E3開幕に先立って6月10日に開催されたElectronic Artsのゲームファン向けイベント「EA Play 2017」では、他の新作ゲームに混ざって本作もプレイアブルで披露されていた。筆者もさっそく触ってみた次第である。
まず、PS4/Xbox One/PCといったハイエンド版では、前作に比べてすぐわかるような大きな変化は無いようだ。
このシリーズは前作でゲームエンジンをFrostbiteに一新したばかりだが、今作ではアニメーションエンジンを一新。クリスティアーノ・ロナウド選手によるモーションキャプチャーも導入して、さらにリアルな動きを実現したというのが公式の売り文句である。
その点を見てみると、たしかに動作の節々で微妙な違いは感じられる。特に、ドリブル時の反応性がやや高まった感はあるし、グランウンダーのパスもより速く走るようになった感じだ。ゲームとして遊びやすい方向に調整が進んでいることは間違いない。だが、全体的に言うと1プレイしただけでハッキリとわかるような違いはなかったと思う。前作「FIFA 17」の時点で非常にバランス良くまとまっていたため、大幅に変えるようなところはなかったのだろう。
グラフィックスの違いのほうがわかりやすいかもしれない。全体的に前作よりも陰影が濃くなっており、特に強い日差しのあるデイゲームでは、各選手の姿が非常にくっきりとした陰影で描かれるようになっている。結果として、前作よりも実写に近い雰囲気が醸し出されていた。
あとはおおむね、前作から変わるところはないようだ。10ゲームくらいプレイしたらもう少し違いが見えてくるかもしれないが、今回プレイできたのは2ゲームのみ。基本的には、もともと評価の高かった「FIFA 17」のゲームプレイをそのままに、アニメーションエンジンの向上でレスポンスとリアリティを向上させた、という印象だ。
筆者は「FIFA 17」をかれこれ1,000時間近くはプレイしているが、基本的なゲームシステムの出来には満足していて、気になるといえばほんとうに細かい所ばかり。今後は基本的なシステムを刷新するのでなければ、「今年のワインは昨年のものよりもフルーティ。香りの豊かさも劣らない」みたいな感じになるだろうと思っていたが、まあ今年のFIFAはそういう感じである。
むしろ「FIFA Ultimate Team」や「Pro Clubs」など、各種の人気モードについての変更や進化のほうが気になる次第だが、そのあたりも毎年恒例で、E3終了後に発売直前までじわじわと情報が漏れてくる感じになりそうだ。
これも本物の「FIFA」。遊び方を広げるSwitch版
ハイエンド版の進化がある意味地味ということで、やはり気になるのがNintendo Switch版の存在である。据え置き・モバイルのコンバーチブルという独特の仕様を持ったSwitchでは、従来の据え置き版(PS4/Xbox One/PC)とモバイル版(PS Vita版など)のいいとこ取りが期待できる。
実際に触ってみたところ、本作ではそのいいとこ取りに、大きな犠牲を払うことなく成功しているようだ。会場でプレイできたのは、本体にJoy-Conを2つ取り付けた携帯モード。ボタン配置と機能はハイエンド版と全く同じで、すべての操作を同じようにできる。ゲームオプションのカスタマイズ等、試合周辺の機能も確認したが、それも全く同じだ。
ゲーム内容についてはハイエンド版のベタ移植という形となったSwitch版「FIFA 18」。従来のポータブル機向けバージョンのように、内容が大幅に削られたりプレイ内容がシンプル化された「かんたんFIFA」的なものではなく、完全な「FIFA」を遊べるのが嬉しいところだ。
もちろん、SwitchならではのテーブルモードでJoy-Conをわけあってのローカル対戦や、TVモードでのプレイにもきちんと対応しており、これまでで最も幅広い遊び方ができる「FIFA」となった。
ただし違いもある。まず、ハイエンド版とはゲームエンジンが違う。
このシリーズは前作「FIFA 17」からハイエンド版はFrostbiteエンジンを採用した一方、PS3/Xbox 360といった前世代機版ではエンジンが据え置かれた。このためハイエンド版で導入されたストーリーモード「The Journey」を筆頭に、数々の新要素が前世代機版には搭載されないということが起きている。Switch版もストーリーモードの搭載がなく、PS3/Xbox 360相当の実装になっているようだ。
また、ゲーム内のアニメーションエンジンも前世代機相当になると見られ、このため選手の挙動も前世代機版相当ということになるだろう。実際に両方でやりこんでみないと、具体的な違いはわからない程度の差ではあるが。
ストーリーモードの搭載はないとはいえ、シリーズで人気の「Ultimate Team」や各種オンラインモードは変わらず搭載されているとのことで、そのあたりもいろいろと削減されていたかつてのPS Vita版や、特殊な入力方式に合わせて別物化していたかつてのWii/Wii Uとも版とも全く違う、本物の「FIFA」。シリーズのファンにとっては、据え置き機では遊べない様々なシチュエーションを埋めてくれるという、ありがたい存在になるだろう。
ああ、やはり今年も「FIFA」を複数バージョン買うことになるのか……(FIFAシリーズファン特有の悩み)。