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【スマホアプリ今日の1本】「ナントカテレビショッピング~自由気ままに放送を楽しもう~」
既視感爆発! 「テレビショッピング」の演出が面白い、自分任せの番組制作
2017年5月18日 07:00
「ナントカテレビショッピング~自由気ままに放送を楽しもう~」の3大ポイント
・商品もゲストもセットまで自分で決める、超お任せスタイル
・本番中のその場で考える行き当たりばったり感がスゴイ
・既視感に襲われる不思議なリアル感
流れているとついつい見ちゃう、あの独特の口調とオーバーリアクション。そしてなぜか欲しくなる不思議な番組。それは「テレビショッピング」。そんなテレビショッピングを自分で作って放送しちゃう、そんなゲームが配信されました。
タイトルは、Android/iOS「ナントカテレビショッピング~自由気ままに放送を楽しもう~」。配信元はGLOBAL GEARで、無料でプレイできます。本作の主人公は、「ネタはスベリ倒すけど、トークには誰にも負けない自信がある」売れない5年目の芸人オカタ。そんな彼が売れてモテモテになるために立ち上がる。
そんな彼が選んだ場所は「テレビショッピング」。そそくさとテレビ局に向かった彼は、プロデューサーに会うなり即採用されてしまう。ここでよぎる一抹の不安。このプロデューサー、ノリが軽すぎる。そんな不安をよそに簡単な流れだけ伝えられて、ぶっつけ本番でスタートしてしまう番組。もうどうにでもなれ。プレーヤーは芸人オカタとなり、番組を作っていくことになる。
プレーヤーは、番組を始めるにあたり、その準備の段階で「商品」、「ゲスト」、「スタジオセット」の3つを選ぶ。
「商品」は売る物。最初の一品はプロデューサーから渡される。「ゲスト」は一緒に番組を盛り上げてくれる相方。「ゲスト」には得意な商品と苦手な商品があるので、組み合わせをよく考えなくてはいけない。うまく組み合わせれば売り上げが跳ね上がる。
「スタジオセット」はその名の通り番組のスタジオセット。このスタジオセットにも「商品」との相性がある。商品との相性がいいと視聴率が少し高いところから始まるのだ。
これらを選んで、初めて番組が始められる。ちなみに、「商品」も「ゲスト」も「セット」もプレイを進めると徐々に増やしていくことができる。増やす方法については後述したい。
番組が始まっても、まだ気は緩ることはできない。プレーヤーは、視聴者が商品を買いたくなるようにプレゼンしなくてはいけない。プレゼンの順番は「商品のキャッチフレーズ」、「商品のパフォーマンス」、「商品利用者の声VTR」、「おまけ」の4つだ。
「商品のキャッチフレーズ」は3択から選べるようになっており、2つのワードを組み合わせてキャッチフレーズを作る。そのワードもかなり秀逸で、「赤字覚悟!」や「セレブ御用達」などどこかで見たようなワードが並ぶ。
「商品のパフォーマンス」では芸人オカタが自ら体をはって、お客さんの前で商品の良さをアピールする。どんなパフォーマンスをするかはスロットで決まる。簡単なスロットだが、商品の包丁を「着る」など突拍子もないパフォーマンスもあるので、注意して止めたいところだ。
「商品利用者の声VTR」は利用者の実際の声をVTRで流すもの。3人の中から1人を選ぶのだが、確実に1人、地雷と呼ぶべき悪評を喋ってしまう人がいる。初見ではわからないことが多いので、ここは用心したいところだ。
そして最後に購入者の特典となる「おまけ」を6つの候補の中から選ぶ。最後のダメ押しでお得感を与えるのだ。
これで、晴れて番組はエンディングを迎える。芸人オカタの役割も終わりである。……と思ったら大間違い。むしろここからが大事な結果発表。視聴率は? 売り上げは? そう、これはテレビショッピング。視聴率も売り上げも稼がなくてはいけないのだ。
では、どうすればいいのか。まずは視聴率を上げること。視聴率は最初の商品とスタジオセットを選んだ段階で、番組開始時の視聴率が決まる。そして、そこからはプレーヤーの番組進行にかかってくる。要はプレゼンにすべてがかかっているのだ。
プレゼンではカテゴリーごとに評価が出る。評価の段階は「EXCELLENT」、「GOOD」、「BAD」の3種類。評価によって視聴率が左右される。「EXCELLENT」であれば視聴率はぐんと上がる。「GOOD」だと緩やかに上がり、「BAD」だとぐっと下がる。ここで視聴率を保つことが大事だ。
しかし、視聴率が良くても売り上げが上がるとは限らない。そこでカギを握るのは「ゲスト」である。前述したとおり「ゲスト」と「商品」の相性がいい場合、売り上げは跳ね上がる。逆に、「ゲスト」と「商品」の相性が悪かった場合、売り上げはガクッと下がる。
番組進行は上手くいき、視聴率もよかった。なのに売り上げが最後にガクッと下がる。筆者はこれで割とショックを受けた。「今までの努力は……?」とならないよう最後まで気を抜かないようにしていただきたい。
そして、視聴率と売り上げが発表されたところで、初めて気が付く。なんと、この番組「売り上げノルマ」が課されている。プロデューサーそんなこと言ってた? いいや言ってない。聞いてないよー!! しかし、この「売り上げノルマ」が今後の番組に大きく影響してくる。ノルマを達成することで、新しい「商品」や「ゲスト」、「スタジオセット」が購入できるようになる。
ノルマは1回の放送のノルマではなく、すべての放送の累計になるので、地道な番組放送が攻略のカギだ。ノルマを達成すると、新しい「商品」などが取り扱えるようになるのだが、新しい「商品」の取引交渉をしているのは芸人オカタ。えっと……これはプロデューサーの仕事じゃないの?
このプロデューサー、最初に芸人オカタを採用して初回放送の手はずを整えて以降何もしない。番組のサポートもしない。それどころかノルマを課すだけ課して、初回放送以降の商品の調達やゲストの出演交渉、新しいスタジオセットの打ち合わせまで、すべて芸人オカタ任せである。
ノルマを達成するたびに激励にやってくるが、いちいち自分の手柄のように言われて正直迷惑である。「誰だよ、こいつプロデューサーにしたの?」と思うくらいなので、プロデューサーの話は基本受け流していい。
「ゲスト」陣には家電大好き芸人、動画職人、凄腕カリスマシェフなどどこかで聞いたことのあるような個性の強いメンバーが集まっている。どのキャラクターもこれでもかというくらいのリアクションをくれる。
何よりこのゲームの中で強く感じるのは、その既視感だ。私たちは確実に見たことがある、こんな番組。どこか影の薄い司会者とキャラの強すぎるゲスト、そしてオーバーリアクションのお客さん。
ぶっちゃけ商品なんてどうでもいい。でも、じっと見入ってしまう番組。そんな番組を自らの手で作り上げられる。これこそが、本作の醍醐味である。王道のテレビショッピングの展開も中で「あー確かにこんな感じだ」と思いながら、たまに出てくるとんでもない設定すら受け入れてしまえる不思議な中毒性がある。
また、演出もおもしろい。視聴率が上がれば、どんどん観客は増えていき、スタジオセットも放送中にどんどん豪華になっていく。高視聴率になればまるでスタジオはライブ会場のようになる。逆に、視聴率が下がればどんどん観客は減っていってしまう……。目に見えて現場のテンションが変わっていくのもわかりやすく、そして励みになる。せっかくなら、やっぱりみんなにキャーキャー言われながら放送したいじゃないか。ねぇ?
商品をおもしろおかしく、なおかつ魅力的に伝えるテレビショッピング。「あるある」を上手くゲームに落とし込んでいて、もしかしたらテレビショッピングを見る目が変わるかもしれないので、ぜひ1度プレイしていただきたい。