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European Game Showcaseで一際印象に残ったアドベンチャー「Old Man's Journey」

“だまし絵”のテクニックで老人に長い旅をさせる技ありの謎解きゲーム

【European Game Showcase】

2月28日開催

会場:CBS Interactive

 GDC前半の2日間は、GDC会場周囲で多数のメディア向けのゲームイベントが開かれている。ヨーロッパ諸国のインディデベロッパーが集められたEuropean Game Showcaseもそのひとつで、米国の大手ゲームメディアGAMESPOTを傘下に持つCBS Interactiveのオフィスを会場に、20近くの欧州インディデベロッパーが新作を出展していた。本稿ではその中でも一際印象に残った「Old Man's Journey」を紹介したい。

【Old Man's Journey Announcement Teaser】
European Game Showcaseの様子
Broken Rules 共同創設者のFelix Bohatsch氏
稜線をうまく老人の位置に合わせていく

 「Old Man's Journey」は、オーストリア ウィーンのデベロッパーBroken Rulesが開発しているアドベンチャーゲーム。その名の通り、ひとりの老人を主人公に、その旅を描いたアドベンチャーゲームで、奥行きのある1枚絵を舞台に、老人を操作して旅をさせていく。

 アクション性は一切なく、老人を移動させるだけのシンプルなゲームデザインとなっているが、ゲーム内に巧妙に組み込まれたパズル要素が素晴らしい。アニメタッチで描かれた世界は、いくつもの稜線によって奥行きが表現されているのだが、この稜線を上下させることができるのだ。稜線の高さを合わせることによって、“だまし絵”的な要領で、その地点が繋がり、老人が飛び移ることができる。稜線は山の尾根だけではなく、建物の屋根や坂道などもあり、幾重にも重なった稜線を上手く繋げながら奥へ奥へと進んでいく。

 ステージ上には、観光客やクルマ、ドア、窓、看板、動物のたぐいなど様々なオブジェクトが存在し、タップ/クリックすることでリアクションが返ってくる。ちょっとしたことだが、旅をしている感覚が味わえて楽しい。

 また、老人は、ことある度にベンチで体を休めるのだが、その都度、昔の自分自身が、水彩画のようなタッチのアニメーションで描かれる。これが無声映画のような味わいをもたらしており、この老人がなぜ何のためにどのような理由で旅をしているのかが、このカットシーンを通じて少しずつわかるようになっている。

 トレーラーに登場するホテルに泊まるシーンでは、真っ暗な夜のホテルで、老人の部屋だけ明かりが点っており、そこをタップ/クリックすると消灯し、次のシーンに進むなど、演出にもセンスが感じられ、子供のみならず、大人も楽しめるアドベンチャーゲームとなっている。

 筆者は試遊後、後ろから見守っていたクリエイターのFelix Bohatsch氏に、定例質問のひとつとしてうっかりローカライズの予定を尋ねてしまったが、「ないよ、なぜならこのゲームには音声もテキストもないからね(笑)」と笑顔でかえされてしまった。「Old Man's Journey」は、Windows PCおよびiOS、Android向けに2017年春リリース予定。「TENGAMI」のような不思議な遊びごたえを持つ本作のリリースが非常に楽しみだ。

【Old Man's Journey Gameplay Teaser】