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アミューズメント施設用VR筐体「VR センス」をコーエーテクモが発表!

シートが動く! 風が吹く! 匂いがする! 五感を刺激するVR筐体

今夏 発売予定

 コーエーテクモウェーブは、アミューズメント施設用VR筐体「VR センス」をこの夏発売する。リリースに先駆け、2月10日から幕張メッセで開催される「ジャパンアミューズメントエキスポ2017(JAEPO)」の同社ブースに出展する。

かなりコンパクトな「VR センス」の筐体
襟川陽一代表取締役社長。筐体のお披露目を担当。「VRを一昨年前から用意していた」と言い、「ゲームのみならず様々なエンターテイメントに期待できる」と、市場の開拓に意欲を示した
「VR センス」はPlayStation VRを利用したアミューズメント施設用機器
現状は中はシンプル。ゴーグルに出力される映像がディスプレイで完了できるようになっていた
利用時の風景。シートベルトをすることで、安全性に配慮している

 「VR センス」は、PlayStation VRを使用したVRマシンを、アミューズメント施設などで利用できるようにしたアーケード筐体。VRを使用した場合、安全性の配慮などの面から一定の設置面積や、説明などを行なう人員の配置が必要とされる。「VR センス」ではイスに座って周りを覆う形で安全性などに一定の配慮がされており、VRの装着さえすれば1人での稼働も可能だという。

 もっとも重要なのは、「VR センス」がただPlayStation VRを利用しただけのアーケード筐体ではないと言うことだ。筐体には数々のギミックが搭載されている。複雑なロボットの動きを実現するために使用される技術を応用し、XYZの3軸をベースに多彩な動きを可能にした「多機能3Dシート」を搭載。ゲームに合わせて動かすことが可能。

 また匂いのエッセンスを凝縮した小さなカプセルを搭載し匂いを出す「香り機能」、空間を感じられる機能として風が吹いてくる「風機能」、その場の気温を再現する「温冷機能」、雨や湿気などを感じることができる「ミスト機能」など、VRの臨場感をサポートする機能が用意されている。

 さらには「タッチ機能」と呼ばれるものも搭載されている。これは“触覚”を実現する機能で、虫などが這い寄る感覚や、頭の上に蜘蛛などが落ちてきた感覚……などを再現する機能だという。具体的にどうすることでこれを実現するのかは明らかにされなかったが、五感に訴えかける機能となりそうだ。

 筐体には3つのゲームが同梱され、ネットワーク機能を利用することでゲームタイトルを配信。最大5ゲームまで選択してプレイできるようになる。

 PlayStation VRを利用している点でわかるが、プラットフォームはプレイステーション 4プラットフォーム(PS4、PS4 PRO)をベースにしている。コントローラーはPlayStation Moveで、基本は誰もが利用できるよう、1つでプレイできるゲームを作成していきたいという。もちろん、PS Moveを2つ利用することは技術的に可能で、ゲームによって選択できるようにできるという。

 なお、現在対応するゲームタイトルはコーエーテクモゲームスで制作しているが、他社タイトルの取扱について聞いてみたところ、「制作したいメーカーさんがいれば、もちろんオープンにしていきたい」としている。

ゲームに連動して各種ギミックを利用することができる。五感を刺激する仕掛けが多く、かなりの没入感となりそうだ
襟川恵子コーエーテクモホールディングス代表取締役会長。プレゼンテーションで、どういった機能が搭載されるか、開発中タイトルなどを説明した

 会場ではいち早く体験することができた。ただ、発表会を前にテストを繰り返している状態で、現状調整中と言うことで、五感を刺激する機能についてはほとんど動作していなかったのが残念なところ。体験できたのはホラーゲームの「ホラー SENSE ~だるまさんがころんだ~(仮)」と、ジョッキー体感ゲーム「『GI JOCKEY』 SENSE(仮)」の2タイトル。

 「ホラー SENSE ~だるまさんがころんだ~(仮)」はVRと相性の良いホラーゲーム。廃校のようなところで急に現われた少女の幽霊。唐突に「だるまさんがころんだ」が始まるが、動いた友人はいきなり悪霊に連れて行かれてしまう。少女の霊の「だるまさんがころんだ」のかけ声や、動作を読みながら彼女に近づいていくゲーム。自身の移動はPS Moveの背面にあるとリーガーを使用する。トリガーを引いているあいだだけ歩くことができる仕組みで、操作は簡略されているが、誰もがプレイできる簡単な仕組みになっている。

 すでに廊下の端に倒れている友人の手が動いたり、廊下の端の扉が開いたり、廃校の一部が崩れたり……臨場感を感じさせる仕組みが満載。これに前述の風機能やミスト機能、シートの連動機能など様々なギミックが加わると相当怖そうだ。

 もう1つはジョッキーを体感できる「『GI JOCKEY』 SENSE(仮)」。スタートするといきなりゲートインした場面から始まる。横を見ると他の馬たちも見える。競走馬に乗ったことがある人はそんなにいるわけではないだろうから、この風景を見るだけでかなり気分的に盛り上がる。ゲートがオープンとなりレースがスタート! その視点からかなり高いことがわかる。前をいく馬が蹴り跳ねる土がかなり高く舞い上がり、その躍動感のすさまじさを感じさせる。

 「『GI JOCKEY』 SENSE(仮)」ではシートの連動機能がきちんと動作すれば、その体感度合いは一気に向上するだろう。ちなみにこちらは、PS Moveを振ることで馬に鞭を入れることができる。こちらも操作性を絞り込んだ内容となっている。

 今回の体験ではコンパニオンさんが1人付き、PS VRの装着サポートなどを執り行ってくれた。筐体内外にディスプレイが複数配置されており、こういった所でガイダンスを流すことで1人でPS VRを装着することはできるだろう。ただ、コーエーテクモウェーブでは「VRを装着すると外界と遮断されるので、犯罪なども発生する可能性があり、筐体内に荷物置き場を用意するなどの工夫をしている」としており、完全に無人で利用できるようにするかについては検討中だという。

 VRシステムはPlayStation VRのみならずHTC Viveなども人気が高いが、現状は未だ品薄状態が続いていたり高価な点もあり、入手困難となっている。こういったアミューズメント施設で利用できる環境が増えれば、より幅広い層に浸透していくことだろう。また、同社では、まずはアミューズメント施設用として販売を開始するが、ゲームだけではなく、観光地のムービーなどゲーム以外のエンターテイメントコンテンツの利用なども見込んでいる。さらには病院や高齢者を対象とした養護施設などでの利用も視野に入れているとしている。

「VR センス」に同梱される予定の3タイトルの開発が進行中。個人的には「『GI JOCKEY』 SENSE(仮)」が臨場感を感じられて良い仕上がりだった
「VR センス」の藤井久徳プロデューサー
阪口一芳コーエーテクモウェーブ代表取締役社長。「アミューズメントゲーム業界は新しいマシンを待望している」と語り、「VR センス」をアピールした