ニュース

VRRTS「V!勇者のくせになまいきだR」がいよいよ台湾に上陸

VRにおける魔王の意外な役割とは? 山本P「春ぐらいに完成すればいいな」

【Taipei Game Show 2017】

1月19日~1月24日開催

会場:台北世貿一館

 PlayStation VRの次なる大型タイトルとして期待されているリアルタイムストラテジー「V!勇者のくせになまいきだR(以下、Vなま)」。SIEWWSジャパンスタジオの最新作として昨年の東京ゲームショウで電撃的に発表され、2017年発売に向けて開発が進められているタイトルとなる。現在台湾で行なわれているTaipei Game Showでは、繁体中文版がプレイアブル出展され、クリエイターによるメディア向けのプレゼンテーションも行なわれた。

 繁体中文版では、「敵が攻めてきてて今集中したいから少し黙ってくれ」と言いたくなるぐらい、プレーヤーの向かいで、ずっと絶えず休みなく喋り続ける魔王のボイスも含めて完全ローカライズされており、日本語版同様、極めて没入感の高い世界が生み出されている。発売時期は日本と同じ2017年が予定されており、価格は未定となっている。

【『V!勇者のくせになまいきだR』 遊!魔王軍侵攻プレイ紹介トレーラー】

SIETブースでの出展の模様
左より「V!勇者のくせになまいきだR」シニアプロデューサーの山本正美氏、ディレクターの大橋晴行氏、プロデューサーの鳥山晃之氏

 東京ゲームショウでは遊びそびれていたため、一般の列に並んで繁体中文版で初プレイしてみたが、VRゲームとして「サマーレッスン」に勝るとも劣らない衝撃を覚えた。「勇なま」ファンは、「クッソ、こう来やがったか!」とバカウケするだろうし、VRファンは、VR世界の中で、神の視点からリアルタイムストラテジーを楽しむという今までのVRタイトルにはまったくなかった感覚に夢中になってしまうはずだ。

 欧米では、リアルタイムストラテジーを“ゴッドゲーム”と呼んだりするが、まさにそんな感じで、神の視点から魔王の軍団を差配し、勇者が守る王国を覆滅していく。軍事ユニットを配置するのではなく、独自の生態系を持つ魔物の巣を置き、食物連鎖によって軍勢を増やしていくことと、魔物自体を直接操作できないという点が従来のRTSとの違いとなる。

 逆に「勇なま」シリーズとの違いは、従来のアリの巣の断面図のような2Dの地下世界から、地上の箱庭的ジオラマ世界に舞台を移していることと、地上に移行したことで勇者が守る王国が丸見えになっていること、そしてその王国を我が魔物軍団で攻め込む「侵攻」コマンドが使えるようになったことなどが挙げられる。

 そして忘れてはならないのはVR専用タイトルになっていることだ。魔王をはじめ、すべての魔物、勇者、オブジェクトは3D化され、まずその変化がおもしろいだけでなく、神の視点から、様々な角度から見下ろし、グッと視点を近づけたりしてその動きや繁殖ぶりを楽しむことができる。箱庭上の世界は、L1、R1ボタンでぐるぐる回すことができ、90度ずつ回転させる度に、盤上のオブジェクトがドンと浮き上がる演出が楽しい。「Vなま」ディレクター大橋晴行氏によれば、フィールド内に宝箱を隠したりする計画もあるようで、このジオラマ世界を角度や高さを変えながらじっくり眺めることも戦略的に重要になるようだ。

【「V!勇者のくせになまいきだR」】
ついに地上が舞台に
破壊新コントローラー(ハカコン)を使って操作する
紫色の邪悪な領土を広げていく
魔物の強さに応じてCPを消費してその巣を配置していく
お馴染みの食物連鎖のルール
様々な魔物が登場する
倒された勇者はCPとなり、生態系の一翼を担う

 ゲームの流れは、「いくぞー!」と純粋無垢で世間知らずな勇者一行の進撃を、タワーディフェンスの要領で無慈悲に殲滅し、彼らの魂からCP(カリスマポイント)を獲得する。そのCPを使って魔王城から奥へ奥へと魔物の巣を配置させることで領地を広げ、勢力を拡大していく。夜になれば「侵攻」が可能になるので、十分に魔物軍団を揃えてから侵攻することで王国の拠点を制圧し、そこで得られたCPでさらに強力な魔物の巣を設置し、最終的には王城を占領すれば勝ちとなる。

 デモでは上記の内容を正味5分ぐらいでクリアできそうな簡単な作りだったが、プロデューサーの山本正美氏によれば、楽しく遊んで貰えるようにかなり簡単に調整したものだということで、実際は従来のシリーズ同様、かなり歯ごたえのあるゲームバランスになるようだ。それでもクリア時間は10分から20分程度を想定し、マップサイズもデモで公開されている“目が届く範囲”のサイズ固定ということで、眼精疲労が起きやすいVRの特性を考慮し、短い時間で繰り返し遊べるようなゲームデザインを目指すという。

 プレゼンテーションで印象的だったのは、魔王の役割の変化だ。ゲームのガイド役、賑やかし役という役割は変わっていないが、今回魔王は、若干リアル目の3Dキャラクターとなり、盤面の向かい側にこちらを向いて立っている。彼は先述したように、ゲームの案内から、ゲーム実況を彷彿とさせる状況説明、そしてどうでもいいネタまでずっと何かを喋り続けているだけでなく、プレーヤーが見るべき視点を誘導する役割も果たしてくれるという。これにより魔王と二人三脚でプレイしている感覚が強くなっている。

 また、侵攻しているのに、魔王城のニジリゴケの育成に夢中になっていて、拠点の占領を見ていないようなケースもあるが、その場合も、派手な音とエフェクトによる演出で大きな変化が起きたことを知らせてくれる。このあたりもVRならではの工夫と言える。

 ちなみに今回プレーヤーが手にしているのは、DUALSHOCK似の破壊神コントローラー(ハカコン)で、現実世界で手にしているDUALSHOCKの動きと完全にリンクしている。このコントローラーで、魔物の巣の配置から、魔物の配置変更、魔物合成まで様々なことができるようになっている。

 「Vなま」は、VR世界で、一定のルールに基づいたボードゲームを、奥にいる魔王と一緒に遊ぶというのがもっともユニークな点で、「勇なま」シリーズがVRを武器に、新しいフィールドに到達したなという印象を受けた。山本氏によれば、「勇なま」の魅力の源泉であるパロディネタは今回はたっぷり仕込んでいるようで、「皆さんがよく知っているようなRPGのシチュエーションはほとんど押さえました」ということで、あのRPGやこのRPGのネタが魔王と一緒に楽しめることになりそうだ。

 発売時期については、山本氏に「発表はまだ先です」と濁されたが、「春ぐらいに完成すればいいなと思いながら作っている」とも語っており、プレイできる日はそんなに遠くなさそうだ。完成が非常に楽しみな大型VRタイトルだ。

【鳥山氏実演、大橋氏解説による実機デモ】
見ての通り、頭の操作とハカコン操作で、かなり自由にゲーム視点を変えられる