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【スマホアプリ今日の1本】「ゾンビ・アナーキー」“クラクラ系RTS”の進化系
スマホ向けRTS最新作、シンプルさと奥深さを両立
2016年11月24日 10:58
「ゾンビ・アナーキー」の3大ポイント
・スマホ向けにシンプルに落とし込んだリアルタイムストラテジー
・キャラクターに毎の特徴をうまく活かすのがポイント
・広告が頻繁に表示されるのはマイナス
いきなり個人的な話で恐縮なのだが、スマホアプリのRTS(リアルタイムストラテジー)というと、筆者の場合パッと浮かぶのがSupercellが開発した「クラッシュ・オブ・クラン(通称クラクラ)」だ。
自分の基地を作り、攻撃用のユニットを作成し、他のプレーヤーの基地を偵察、ユニットごとの特性や相手の防衛施設の配置などを考えながらユニットを召喚し、資源をガッポリと奪って自分の基地を発展させ……と繰り返すゲームだ。
「クラクラ」の大成功のあと、それを後追いするかのように“クラクラクローン”とでも言うべきRTSタイトルが多く配信されてきた、という点でも印象深いタイトルと言える。
今回紹介するゲームロフト開発による「ゾンビ・アナーキー」も「クラクラ」の影響を強く受けたタイトルだが、MOBA(マルチプレーヤーオンラインバトルアリーナ。「League of Legends」や、「Vainglory」が有名)的な要素や、オリジナルのシステムを盛り込むことで、新たな進化を遂げた作品である。
「ゾンビ・アナーキー」は、ゾンビが溢れ、廃墟と化した街に自分のベースキャンプを作り、発展させ、この世界に隠された秘密を明かすRTS。
こう書くと一見ほのぼの(?)した基地発展シミュレーションゲームにも見えるが、この世界はそんなに甘くない。ゾンビが巣くっているキャンプや、他のプレーヤーのベースキャンプを襲撃し、資源を集め、自分のベースキャンプを発展させていくという、世紀末感溢れる殺伐としたゲームだ。
さて、ここまでは「クラクラ」(とそのクローンタイトル)と変わらないのだが、本作がユニークなのはこの後にある。
この手のゲームではユニットが数々登場し、プレイには何体も使用して戦略を組み立ていくのがセオリーなのだが、まず本作でプレイに使用するのは基本的に3種類のキャラクターのみだ(正確に言うとキャラクターに付随して自動で動くNPC的な存在もいる)。
キャラクター毎に特性があり、斧や、千切れた道路看板を振り回して敵を薙ぎ倒すという近接攻撃メインのキャラクターもいれば、サブマシンガンやショットガンででゾンビを蜂の巣にする遠距離攻撃が得意なキャラクターなどがいる。
さらにキャラクター達は固有のスキルを持っている。例えば斧で敵に肉薄して戦う「ケイン」は、離れたところに火炎瓶を投げて一定の範囲内に持続的にダメージを与えるという攻撃的なスキルを、ハンドガンで戦う「イゴール」は周囲の味方に一定時間防御効果を与えるという守備的なスキルを持っている。
スキルはいつでも使えるわけではなく、建築物を壊すなど特定の条件を満たすことで入手できるポイントが必要だ。ポイントが溜まってしまえば好きなタイミングでスキルを発動できるのだが、さらに同じキャラクターのスキルを複数回発動させようとすると、必要なポイントが上昇していくので、同じスキルを使い続けるというのは現実的ではない。
攻撃手段やスキルが異なる複数のキャラクターから3キャラクターを選ぶのが悩ましく面白い要素となっている。「キャラクターを倒されないように守備的なスキルを持ったキャラクターを入れたい、でも攻撃的なスキルでガンガン敵を倒したいし……」などなど。
またベースキャンプの襲撃時、キャラクターの移動先や攻撃対象を指示することができるので、遠隔攻撃してくるゾンビを優先的に倒したり、障害物を避けて後ろに回ることができる。ただ普段のAIがあまり“賢くない”ので変な動きをすることがあり、堂々と置いてある地雷に突っ込んでいったりすることもあるが、そこはご愛嬌ということで……。
このようにRTSというジャンルをスマホというデバイス向けにシンプルにしつつ、スキルの発動やキャラクターの移動先の指定など、プレーヤーが介入する余地を残しているという、このバランス感がよくできていて面白い。
ゾンビの巣くうキャンプや、他のプレーヤーのベースキャンプを襲撃し資源を集めて自分のベースキャンプを成長させていく。ベースキャンプを成長させると、新たなキャラクターや防御施設などもアンロックされていく。襲うだけでなく、自分のベースキャンプを襲われることもあるので、こちらも重要な要素である。
ただ1点どうしても気になるのが広告の多さだ。基本プレイ無料のタイトルなので、広告のバナーが表示されるのは理解できるが、唐突に全画面に広告が表示されたり、一定時間スキップできない動画広告まで流れることがあるので、ここは煩わしさを感じてしまった。
広告の件だけは残念だが、ゲームとしては非常に遊べる作品に仕上がっている。ガワだけを変えた“「クラクラ」風”ゲームが多くリリースされている中で、流行のMOBAっぽい要素を上手く入れ込み、シンプルだけど遊びごたえがあるという作品になっている。RTSが好きな方にはぜひ触れてもらいたい作品だ。