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物語のテキストを入れ替えて事象を曲げるアドベンチャー「WILL: A Wonderful World」
答えを探すパズルでもあり、マルチエンディングの読み物でもある作品
2016年9月18日 21:19
中国のインディーゲームデベロッパー4D Door Gamesによるテキストアドベンチャーゲーム「WILL: A Wonderful World」の日本語体験版が、東京ゲームショウ2016にて出展された。現在も日本語ローカライズが進められており、Steamで2016年内に配信予定。ほかにプレイステーション 4、PlayStation Vitaでも配信予定となっている。
本作は、神と呼ばれる少女が、困っている人々からの手紙を受け取り、その運命を変えていくというアドベンチャーゲーム。NetEaseに勤めていた王妙一氏が独立して開発した最初のタイトルとなる。
主人公の少女は、とある部屋で目覚める。しかし記憶がはっきりせず、自分が何をしていたのかが思い出せない。そこに人の言葉を話す犬が現われ、「あなたは神様で、人の運命を変える力がある」と知らされる。
ポストに届いた手紙を開封すると、とある少女がテニスの練習の後に帰宅すると、マンションの鍵を忘れ、家に入れなくて困っていると書かれた物語が現われる。その中で、テキストの一部が白背景で表示されている。この部分のテキストは、ドラッグ&ドロップで他の場所に移動できるようになっている。
この少女の場合、テニスの練習をしに来たところ「突然照明が落ちてしまった」ので、「ボールを全部拾ったか確認」してから帰宅した。その後、家の鍵がないことに気づいたが、管理人室には誰もいないようで、待つほかなかった……という展開になっている。
そこで物語を入れ替え、「ボールを全部拾ったか確認」してから「突然照明が落ちてしまった」ことにする。これによって帰宅時間が変わり、管理人に無事鍵を借りることができる。事象を入れ替えたことで、その後の展開が変化するわけだ。
これで彼女の悩みは無事解決、といきたいところだが、受難はまだまだ続く。その中で他の人物と出会い、またその人物も悩みを抱えている。2人の物語が交錯する中、別人の行動すらも入れ替えて、別の物語を生み出していく。こうして物語が複雑になると、入れ替えて生み出せる展開は1パターンとは限らず、複数に分岐することもある。これにより、エンディングも複数に分かれていくという。
ゲームを進めると悩みを抱える登場人物も増えていき、運命を入れ替えることによる影響も、入れ替えられる運命もどんどん広がっていく。最終的には、神とされる自分は何者なのか、という展開も待ち受けているそうだ。展開をどう入れ替えられるのかを発見するパズル的な要素もあり、より幸せなエンディングを目指すという読み物としての楽しさもある。
王氏が日本のテキストアドベンチャーゲームのファンだそうで、日本語も堪能。本作の着想を得たのも、手紙がタイムスリップするという東野圭吾氏の小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」だという。またゲームとしては「ゴーストトリック」のようなものを作りたいと思っていたが、ビジュアルを作り込むだけの余裕がなく、しかしストーリー性の強いものを作りたいという思いから、本作が生まれたのだそうだ。