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【スマホアプリ今日の1本】「THE KING OF FIGHTERS '98UM OL」格闘家たちの祭典をスマホで再現
「KOF」ファン感涙の再現度! RPGスタイルでオリジナルの物語が展開
2016年9月14日 13:29
「THE KING OF FIGHTERS '98UM OL」の3大ポイント
・対戦格闘ゲーム「KOF」がRPGになった!
・タップとフリックだけの簡単操作で新たなオロチ編の物語を楽しめる
・懐かしさ爆発の演出は「KOF」プレーヤーなら感動せずにはいられない
SNKのキャラクターたちが一堂に会する「ザ・キング・オブ・ファイターズ」(KOF)。「餓狼伝説」シリーズや「龍虎の拳」シリーズのキャラクターたちの直接対決や、3対3のチーム戦が大いに話題を呼んだタイトルだ。SNKの看板作品とも言えるタイトルで、10作目までは年号で、11作目以降はナンバリングになってリリースを続け、今年の夏に発売された「ザ・キング・オブ・ファイターズXIV」でじつに14作目を数える(そのほか、リメイク作や携帯用ゲーム機で発売されたものも含めれば20作以上)。
そんな「KOF」シリーズのなかでも最高峰との呼び声が高く、2008年に「THE KING OF FIGHTERS '98 ULTIMATE MATCH」としてリメイクもされた「KOF'98」が、スマートフォン用のゲームアプリ「THE KING OF FIGHTERS '98 ULTIMATE MATCH Online」(開発は中国Ourpalm)として復活! 今回は、初代「KOF'94」のためにネオジオ本体を購入し、最盛期は「KOF'95」を1日中プレイするほどシリーズをやりこんでいた筆者を含め、かつて「KOF」シリーズをプレイしていた人注目の1作をご紹介したい。
本作は、封印されたオロチを復活させようとするオロチの一族と、それを防ごうとするヒーロー・ヒロインたちの対立を描いた物語。もともとの「KOF'98」は前作でオロチ編が完結したため、物語性の強い「KOF」シリーズでありながらストーリーが存在しなかった。しかし、本作では新たなストーリーが設けられ、従来の「KOFオロチ編」とは一味ちがうオリジナルの物語を楽しめる。本作だけで物語が完結するように作られているので、「KOF」を知らない人でも安心だ。
つぎにゲームシステム。本作は対戦格闘ではなく、バトルが主体のRPGとなっている。ゲームは複数のステージからなる章によって構成されており、各ステージでは敵とのバトルが発生。戦う相手はオロチ一族だけでなく、街のゴロツキやルガール軍の兵士、ときにはテリーやリョウといったヒーローたちと拳を交えることもある。
バトルは敵と味方が交互に行動するターン制で、味方のターンでは敵をタップして攻撃を行ない、全員が攻撃を終えると相手のターンへ移行。これをくり返して敵のメンバーをすべて倒せば勝利となり、逆に味方キャラクターが全滅してしまうと敗北だ。勝利するとストーリーが進行し、つぎのステージへ挑戦できるようになるほか、1つの章や特定のステージをクリアしたときにはアイテムが手に入る。
味方が攻撃を行なった際には、敵を囲むように金色のリングが出現。リングは少しずつ小さくなっていくので、その大きさがリングの中央に表示されているボタンと同じになった瞬間に再タップすると“コンボ”が成立して敵に与えるダメージが大きくなっていく。RPGながらもアクション要素を取り入れており、対戦格闘だった「KOF」シリーズの連続技の醍醐味が表現されている。
そして肝心要となる本作の魅力は、かつての「KOF」シリーズ、ことに「KOF'94」~「KOF'98」をプレイしていた人たちへ向けた数々の配慮である。ゲームの冒頭で「KOFと共に熱い青春を過ごしたプレーヤーに捧げる」というメッセージが表示されるが、その世代のプレーヤーならばノスタルジアを感じられること間違いなし。今やSNKの顔となった草薙京や八神庵は言うにおよばず、三種の神器の1人・神楽ちづる、ルガールの秘書であるマチュアとバイス、オロチの触媒となったクリスを擁する七枷社チームなどなど、オロチ編のオリジナルキャラクターが総登場。なかでも、最近ではセーラー服で戦うようになったアテナ、「龍虎1~2」の衣装に回帰していたロバートは、久しぶりに「KOF'98」当時のコスチュームが見られるので 、とくにノスタルジアを感じられるのではないだろうか。
また、キャラクターたちがバトル中にくり出すスキルや必殺技も「KOF'98」に登場したものばかり。もちろん、ボイスやサウンド、演出なども忠実に再現されている。映像と音声で当時の懐かしい思い出を蘇らせてくれるというわけだ。
ただし、色々なキャラクターが仲間として加入するようになるのは、ゲームをかなり進めたあと。それまでは、京+ユリ+アテナ(+やや遅れてキム)という、固定メンバーで戦っていかなければならない。そのぶん、新たなキャラクターが仲間に加わったときの喜びはひとしおだが、最初からバラエティ豊かなパーティで戦いたいと思うプレーヤーも少なくないと思われるので、このあたりは賛否のわかれるところかもしれない。
懐かしいのはキャラクターばかりではない。バトルステージもまたしかりで、「KOF'98」だけでなく「KOF'94」~「KOF'97」を思わせるステージまで数多く用意されている。さらに試合中のアナウンス。「READY GO」や「K.O.」といった音声は、初期の「KOF」ではこれといった特徴のない男性のボイスだったが、「KOF'96」からは女性のボイスに変化した。当時は女性ボイスを採用する斬新さと、お祭り色の強い「KOF」という作品にピタリと合ったボイスに、「ほう! こんな手法もあったのか!」と感じ入ったものだったが、本作でもアナウンスは「KOF'98」の音声に統一されている。これまた古参の「KOF」プレーヤーとしてはうれしくなるところではないか。
さて、懐かしさのあまり良い部分ばかりを紹介してきたが、むろん悪い部分がゼロというわけではない。個人的に気になったのは2点で、1つ目は京の声。これはあくまで筆者の感想となるが、上で述べた「当時のボイスが再現されている」というのはスキルや必殺技をくり出すときに発するバトル中の掛け声のことで、ストーリーを進めるさいにほかのキャラクターと会話をする声は、いやに落ち着いて聞こえる。「KOF'98」の時点で京の年齢は20才なのだから、もう少し若くて軽い声にすべきではないだろうか。スキルや必殺技のボイスが良かっただけに、試合中の声と通常時の声の温度差がよけい気になってしまった。
もう1つが、メッセージに誤字脱字が多いこと。そして、表示されるメッセージとキャラクターがしゃべるセリフが微妙にちがう。これはゲームバランスなどとは異なり、ていねいにチェックしていけば素人でもわかるものなのだから、もう少し気を配ってほしかった。
……と気になった部分もあるにはあったが、キャラクターにしろ、ステージにしろ、さまざまな演出にしろ、そこかしこに“KOFらしさ”を感じることができた。面白い対戦格闘があふれていた古き良き時代――当時を懐かしみたい人や思い出にひたりたい人には文句なくオススメの1本である。「KOF」を遊んだことのある人ならば、1度はプレイしていただきたい。