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VRアクティビティ「ガンダムVR ダイバ強襲」体験レポート
お台場ガンダムが動き、ザクと戦う! こだわりたっぷりのコンテンツ
2016年8月25日 21:06
バンダイナムコエンターテインメントは、ダイバーシティ東京に設置されているVRエンターテインメント研究施設「VR ZONE Project i Can」において、「機動戦士ガンダム」をモチーフとしたVRアクティビティ「ガンダムVR ダイバ強襲」を8月26日より稼働する。今回オープンに先がけメディア向け体験会が開催された。筆者も体験してきたので、レポートしていきたい。
「ガンダムVR ダイバ強襲」は、“ガンダムの手のひらにしがみつく”というユニークなコンセプトのVRコンテンツだ。本コンテンツはガンダムの手のひらを摸した椅子型筐体だけでなく、その前の空間もマシンの1部になっている。プレーヤーはVRヘッドセット、ヘッドフォンをつけた状態で椅子型筐体の前に立つ。
ヘッドセットに映し出されているのは、ダイバーシティ東京の前に設置されている1/1ガンダム、通称「お台場ガンダム」だ。その圧倒的な質感、巨大さは本物そのまま。思わず見上げて細部を確認したくなってしまう。しかしそのとき、背後から大きな爆発音のようなものが上がり、ガンダムが火花を発する。ヘッドセットをつけて振り返ったプレーヤーの前にはザクマシンガンを構えたザクが!
ザクはザクマシンガンを連射する。その弾丸はガンダムに命中するが、ガンダムのルナチタニウムでできた装甲はマシンガンを受け付けない。……というか、ひしゃげた弾頭がこっちに降ってきてとても危ない。ザクはマシンガンが効かないとわかると、ヒートホークを取り出した。真っ赤に赤熱するヒートホークの刃。
そのとき、ガンダムが各部から煙を吹き出し起動した。その煙を吹き出す様子もお台場ガンダムそのままだ。「助けます、ガンダムの手に乗って下さい」、ガンダムから聞こえるアムロの声! その声と共にお台場ガンダムが片足を上げた。お台場ガンダムが歩いた! ……しかしその巨大な足はプレーヤーの目の前に迫ってきて、踏みつぶされそうだ。ザクよりガンダムの方が怖くないか? と思っていたら、ガンダムは足を大きく開き、手のひらが目の前に。「さあ乗って下さい!」というアムロの声に促されて筆者も手のひらに座った。
ガンダムの親指が立てられているのでこれにしがみつくのだが、映像に触れるとちゃんと筐体に触れるのがスゴイと感じた。映像のガンダムの手のひらと、椅子型筐体の位置が寸分違わず連動しているのだ。そしてガンダムは筆者を手に乗せたまま立ち上がる。ぐんぐんと視界が上昇し、手のひらが揺れる。筆者は手から落ちないように必死に親指にしがみつく。
そのときザクがヒートホークを振りかぶりこちらに切りつけてきた。巨大な刃が目の前に迫ったとき、ピンク色のレーザービームがヒートホークを受け止めた。ガンダムが守ってくれる! 目の前で巨大な質量を持つヒートホークがガンダムのサーベルに受け止められ火花を散らす。熱い! 実際に筆者の顔にも熱が感じられる。ザクは攻撃を受けられたものの、諦めずさらにヒートホークの攻撃を行なってくるのだった……と、今回公開できる展開はここまで。ここから先はぜひ実機で体験して欲しい。
ザクの強襲に、立像だったはずのガンダムが目覚め、動きだし、プレーヤーを守って戦ってくれる。突然のザクの攻撃、起動するガンダム、というのはアニメ「機動戦士ガンダム」の第一話「ガンダム大地に立つ」を思い起こさせる展開だ。
聞こえてくるアムロを演じる古谷徹さんがきちんと若い頃のアムロの声を出してくれるのもうれしい。立像ガンダムでは見ることができない“足の裏”が見れたり、膝立ちになるときの股関節や装甲の動きなどもプラモデル的なリアルな可動で、マニアックに楽しい。
そしてもちろんVR的な楽しさもスゴイ。ガンダムを見上げていて、振り返るとザクがいる怖さ。マシンガンの弾頭が降ってきたり、ガンダムが地響きを立てるなど手のひらにのる前でもマシンの“床”が振動するのでかなりの臨場感だ。そして手のひらに乗ると、思わず落ちそうなほどに動く。実は椅子型筐体はそれほど大きく傾いていないのだが、映像と音声、振動と傾きによって、実際より大きく感じられる。
プレイしている人を外から見ると、しっかりと親指に抱きついてるのが面白い。またヒートホークとビームサーベルが切り結んでいるシーンでは、実際に筐体横の電気ヒーターが熱を送っているのだ。プレーヤーが転倒しないようにきちんと支えている人がいるのもプレイ中は気にならなかった。コンセプトの面白さ、コンテンツの楽しさ、「ガンダムVR ダイバ強襲」はかなり魅力的なコンテンツだ。
「VR ZONE Project i Can」は、遊ぶには予約が必要で、1カ月先まで予約が可能だが、現在でもかなりふさがっているという。「ガンダムVR ダイバ強襲」はアクティビティ料金は1,000円(税込)。体験時間は約8分。特に人気のコンテンツとなりそうで、場合によっては抽選になる可能性もあるとのこと。興味を持った人はぜひ予約し、体験して欲しい。
今回は本コンテンツを開発したバンダイナムコエンターテインメントAM事業部の田宮幸春氏、井本一史氏に話を聞くことができた。「ガンダムVR ダイバ強襲」は開発期間3カ月という、超異例の短期間での開発となったという。「VR ZONE Project i Can」の立地がお台場になるということが決まって、コンテンツの企画を決めていったとのこと。
本コンテンツの企画は「VR ZONE Project i Can」の所長を務める小山順一朗氏と、室長の田宮氏で決めていったのだが、小山氏がいきなり「ガンダムの手のひらにプレーヤーを乗せる」というアイディアを出したとき田宮氏は驚いたという。バンダイナムコのアーケード開発チームは「戦場の絆」でコクピットに乗りこむガンダムは描いている。だからこそ、今回はユニークなコンセプトを提示したかったとのことだ。
そして「ガンダムVR ダイバ強襲」はアーケードゲームのノウハウがたっぷり詰まっていると井本氏は語った。筐体の製造、動く仕掛けの導入と設計、施設運用の経験値、スタッフの教育……アーケードゲーム開発と運営を活かしたコンテンツであることも見て欲しいと語った。音と映像、筐体の位置といった細かい調整は本当に最後の最後まで調整を行なった。映像のガンダムの親指がVRゴーグルの映像と全く変わらない位置にあるというのは、かなり大変だったという。田宮氏は音と振動が加わることで臨場感が何倍にも跳ね上がる楽しさを体験して欲しいと語った。田宮氏自身今回の体験で驚かされた部分だという。
細かいこだわりとしては、「お台場ガンダム」は実はアニメの後半、「マグネットコーティング」を施し、アムロの早すぎる反応速度に何とかついて行かせるために改造されたガンダムということで、この設定を活かし、今回ガンダムに乗っているのもアニメ後半の戦いに慣れたアムロとのこと。このため声は若々しいが、ガンダムを手足のように扱い、プレーヤーを的確に守ってくれる。ガンダムの足の裏の描写、関節、動き方、ルナチタニウムの防御力など、こだわるところはとことんまでこだわり、音や振動もできるだけリアル感を意識しているとのことで、ファンは細かくチェックして欲しい。
(C)創通・サンライズ