ニュース
「ファイナルファンタジーXV」Gamescom Ver.試遊レポート
細かな要素も実装され“オープンワールドRPGとしての魅力”を実感 バトルは歯ごたえのある調整へ
2016年8月17日 16:30
- 11月29日 発売予定
- 価格:8,800円(税別)
- 【FINAL FANTASY XV デジタルプレミアムエディション】
- 価格:11,300円(税別)
- 【FINAL FANTASY XV シーズンパス】
- 価格:2,500円(税別)
- プレイ人数:1人
※このプレイレポートは発売延期発表の前に書かれたものです。発売延期について詳しくはこちら
スクウェア・エニックスより9月30日に発売予定のプレイステーション 4/Xbox One用RPG「ファイナルファンタジーXV」(以下、『FF15』)。
いよいよ発売が近づいてきた感のある「FF15」だが、ドイツはケルンで開催されている国際ゲーム産業見本市「Gamescom 2016」に最新バージョンを出展しているということで、今回は特別にそちらをプレイさせて頂いた。
プレイした範囲は、ゲーム本編の冒頭からチャプター3まで。E3が開催された6月にもほぼ同じ範囲になる本編冒頭からプレイしてのレポートをお伝えしたが、そのバージョンよりも当然ながらクオリティが上がり、製品に近いものとなっている。
ゲームの出来を大きく左右する“最終調整の真っ最中”と言えるこの時期の、ブラッシュアップによる変化や、製品発売に向けて調整されたバランスなどをお伝えしていこう。
完成度が高まって“オープンワールドのRPG”として楽しみやすく。フレームレート高め維持の調整も好印象
この日プレイしたのはPS4版(当然、実機で動作している)だったのだが、グラフィックスとフレームレート周りにだいぶ大きな変化を感じた。最後の最後まで調整され続けるであろう項目なので、現時点のバランスが製品になるかは分からない。
フレームレートは非常に滑らかで、体感的な表現をすると“動作が軽い”。ご存じのように「FF15」はオープンワールドの広いエリアを継ぎ目なく広がる方式なので、同ジャンルのゲームは基本的に処理の負荷が高く、高フレームレートを維持するのは難しい。
だが、この日プレイした「FF15」は軽く滑らかだった。もちろんシーンによって若干の落ち込みを感じる瞬間はあったのだが、広大な原野と遠景が見えているようなフィールド、そこでの戦闘、またオブジェクトの多い街中においても、フレームレートが高めで維持されていた印象だ。
おそらくは膨大なカリング処理(画面には見えていない部分の表示をカットする処理)はもちろんとして、シャドウ(影)の量や付け方など、徹底した軽量化のチューニングを施しているのだと思える。それはおそらく、今みなさまがこの記事をお読み頂いているこの瞬間にも続いているはずだ。
一方で、グラフィックスのクオリティについては少し控えめになった印象を受けた。以前に見られた精細なディテールまで見えるような緻密さは薄まり、少々のっぺりとしたものになっていた。遠景の草花のポップイン(何もなかったところに出現するのが見えてしまうこと)も、わずかながらだが気になるときがあった。
ただ、ゲームファンの皆様ならご存じのとおり、グラフィックスのクオリティとフレームレートの関係は相対的なもので、グラフィックスを良くすればフレームレートは維持できず下がり、フレームレートを高めるなら、グラフィックスを控えめにすることになる。ようするに限られたスペック内でどうバランスをとるかが鍵で、最終的にどちらの面でも満足度を得られるような“細い1点のようなバランスポイント”に着地できるかが重要だ。
少なくとも今回プレイした時点ではフレームレートを重視したバランスに感じられたが、それはアクション要素の多い今作において、少なくとも筆者にとっては嬉しいところだ。プレイ中の手触りの良さ、高いフレームレートの中に自分の操作がスピーディーに反映される気持ち良さが欲しい。それが、延々と遊び続けてしまうような良い意味での中毒性にも繋がると思えるのだが、「FF15」にはそれがある。
とはいえ、これはあくまで今回プレイした「Gamescom Ver.」の話。グラフィックスについてはおそらく、一度徹底した負荷軽減の軽量化を施してから、「さすがにここはもう少し見栄えの良さを取ろう」というような、リッチ化を再度調整するという順序で煮詰めていくのではないだろうか。フレームレートにまつわるチューニング同様に、今現在でもそうした調整が続いていることだろう。
プレイし始めて早い段階で感じたのは、「E3」時点でのビルドにはなかった「細かなもの」がたくさん入って完成度が高まった、ということ。そして、それによって“オープンワールドのRPGらしさ”も一気に高まった。
わかりやすいのは、武器を販売するショップ、食事ができるショップ、ノクトたちの愛車レガリアの位置、キャンプなどの宿泊できる箇所、アイテムの採取ポイント、クエストの目的地、チョコボをレンタルできる券売機などなど……、単純に増えた施設もあれば、マップ上にアイコンが表示されるようになって把握しやすくなったものもある。
前回の「E3」時点でプレイしたものだと、自由に旅の雰囲気を満喫するような手探りな楽しみ方になったので、そちらの魅力をお伝えしたのだが、今回はそうしたアイコン類などが加わったことで把握しやすくなり、好きに探索するにしても巡る順序などを組み立てやすくなった。そのあたりから、一気にゲームらしさが高まって“オープンワールドのRPGらしさ”も高まって感じられたというわけだ。
各種の施設や、装備など、システム面の各要素については、こちらやこちらのリリース記事をご参照頂きたいのだが、そちらに紹介されている以外にも、「ファイナルファンタジーX」のスフィア盤を思い出すような形式でアビリティをポイントと引き替えに取得していく「アビリティコール」や、アイテムや素材を組み合わせて魔法を作る「魔法精製」など、序盤からできることやカスタマイズしていけるところは非常に多い。
ちなみに本作の世界はプレイした範囲だけでも十分な広さがあり、歩き回って探索するのはなかなか時間がかかるのだが、そこに対しては「ダッシュ移動でスタミナゲージが減り、ゲージ尽きる直前ぐらいにダッシュを解除するとゲージが一気に満タンになる」というちょっとしたテクニックが用意されていたりする。遊びこんで上達するほどに快適になる“ゲームらしさのある要素”も確認できた。
旅の途中のイベント的な出来事そのものも増えていて、メインストーリーと次のメインストーリーまでの間にできることかなり多いという印象も受けた。
サブクエスト的な「モブハント(指定のモンスター討伐)」や、マップの探索などを丹念に行なっていたら、最初のチャプター1から2の間だけでも数時間……下手すると10時間ぐらいプレイできてしまうのかもしれない。
もちろん、細かなクエストや探索はスルーしてメインストーリーの目的地を次々目指すというスタイルも取れるので、本作のファーストプレイは本当に人によって変わってくることだろう。(どのみち、レベル不足で阻まれるとは思うが)
本稿をお読み頂いているゲームファンの皆様ならオープンワールドRPGのプレイ感覚にも慣れているとは思うが、例えば普段はそれほどゲームをやっていないけど「FF」シリーズは好きでプレイしている……ぐらいのライトな人だと今作のスケール感や距離感、できることの多さと自由さには、衝撃を受けるかもしれない。
こういう話をお伝えできるぐらいに「FF15」はいよいよ、それらしいゲームに仕上がってきたということでもある。
グラディオ、イグニス、プロンプトの3人からの会話や、作戦などの提案が以前よりもさらに増えて、いよいよ“旧来のゲームであったならイベントシーンだったようなやり取りがずっと続いているような感覚”も増してきた。
オープンワールドのRPGジャンルだと仲間キャラクターをコンパニオンという言い方をするが、それにならうと、「FF15」は、“とんでもなく活き活きとしていて行動も自発的なコンパニオン3人と旅するゲーム”と言える。
例えば、夜間に車を運転しようとするとイグニスから「夜の運転は危険だから代わろうか?」とか「今日はもう止めておいたほうがいいんじゃないか?」というような提案までもされる。それは別にストーリー的なイベントなわけでもないので、こちらの返答の選択肢で突っぱねることもできる。そこには、イグニスは常識的な判断でただ提案をしたのだと思えるし、自立した考えを持つ人格めいたものを感じさせる側面もある。ゲーム的な都合のセリフではなく“普通のことを普通に話してくる”わけだ。そういうアプローチの会話がたくさんある。
そうしたところからも今回のプレイでは、“オープンワールドRPGの世界で、本当に仲間と旅をしているようなゲーム体験”というのが今までよりもクッキリと感じ取れた。
このほかに今回のプレイで印象的だったのは“バトルの難易度が上がったこと”だ。フレームレートが高く滑らかになってスピード感が増したことも理由かもしれないが、はっきりとガードや、そこからのパリィ(反撃)のタイミングがシビアになったのを感じた。敵の強さなどの数値的な面でも変わっているのかもしれない。
筆者の場合、例えば以前のE3でのプレイではほとんどモンスターからのダメージを受けることもなく、すいすいとプレイしたのだが、今回はバトル関連のチュートリアル的な範囲の最後に待つ存在と言える“デュアルホーン”に戦闘不能に追い込まれ、いろいろと変化を探っているうちにゲームオーバーにもなってしまった。他の普通のモンスターとのバトルでも、明らかに以前より苦戦した。
推測だが、モンスターの攻撃をギリギリで回避できるまでの時間的な猶予が短くなったように思えるし、こちらが攻撃中にとっさに防御に変えてもモンスターの攻撃を喰らってしまうときも増えたように思える。また、高い場所へとシフト移動して一度避難するにしても、高所へシフト中のスタミナ消費がかなり増えていた。
ほかにもいろいろと調整されたところはあると思うのだが、ようするに“バトルは歯ごたえのあるものになった”。「FF15」には難易度選択がノーマルとイージーがあるのだが、この難易度ならば、アクションゲームが苦手な人はイージーを選ぶのがオススメと思える。もちろんレベルを上げまくればなんとかなるとは思うが。
ただ、これは悪いことではなくて、むしろ筆者からすると嬉しいことだ。実はバトルのバランスにはずっと懸念を持っていて、特に高所へのシフト移動は「逃げて回復して戦っての繰り返しになるのでは?」とも思っていたのだが、高所シフト中のスタミナ消費が大きくなったことで、その心配がなくなった。
また、バトルの難易度そのものも防御やパリィのタイミングがシビアになったぶん、バトルに緊張感が出たし、もちろん上達すればテクニカルな気持ちいいプレイもできるだろう。それでもどうにも厳しければレベル上げをして乗り越えることになるわけで、そのレベル上げついでにモブハントなどのサブクエストを消化したり、世界の探索をしていくことにもなっていく。
つまり、バトルにある程度の高めな難易度やシビアさがないと、本作の要素がうまく回らないと思えていたのだが、今回のプレイでそれが、しっかりと歯ごたえのあるバランスになっていてくれたので、喜んだ次第だ。
……もちろん、序盤はレベルが低くアビリティも武器も少ないからこその敵の強さだったかも知れず、RPG要素のあるゲームにありがちな“苦労するのは序盤だけでいろいろ能力や装備が揃ってからは楽々”になってしまう可能性もあるのだが……。そのあたりはうまいバランスになってほしいところだ。
ちなみに、バトル中に時間が止まる“ウェイトモード”も試してみたのだが、こちらは思ったよりも扱いに慣れが必要だ。というのも、時間が止まるのは「アナログスティック操作をしていないとき」、という条件なので、バトルに夢中でなんだかんだとスティック操作をしてしまうと、まったく時間が止まらないままになる。意識して未操作の時間を作るようにするのが必要だ。
だが、慣れてくると意識してバトルを止められるようになるし、止めてからは考える時間を持てるので、ウェイトなしで夢中に楽しんでいるときよりもいろいろ試しやすい。面白い機能だ。
というわけで、発売まで残り1カ月半。かなり完成度が高まってきたし、広く歯ごたえのある世界をアビリティ取得やレベル上げなどのRPG的な育成をしつつ、仲間とともに旅していくという魅力もくっきりとしてきた印象だ。今回のプレイでは、「もっと時間を気にせずにあれこれ遊びこみたい……」という気持ちも湧いてきたほど。
ただし、現時点でもまだ調整が必要と思える部分(プレイした範囲では、ゲストNPCと一緒に戦う場面でのNPCキャラの動きや、シーンによってはキャラクターの表情に違和感がある、などが目立つ)もちょこちょこと見られ、発売日までの残り時間がわずかなところを心配しているのだが……。とにかく、ここまで来たからには妥協のない作品へと仕上がって欲しいばかり。そうした気持ちもありつつ、発売を期待して待ちたいところだ。
2016 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.
MAIN CHARACTER DESIGN:TETSUYA NOMURA