ニュース
【夏休み特別コラム】おじさんのための乙女ゲーム「リゾ恋」解説講座
王道パターンが詰め込まれた「リゾ恋」を知れば、乙女心が理解できる！
2016年8月15日 00:00
- 6月30日 配信
- ダウンロード：無料
- 利用料金：無料
- ビジネスモデル：アイテム課金制
Donutsが配信中のiOS用恋愛シミュレーションゲーム「リゾートへようこそ ～総支配人は恋をする～」（リゾ恋）。Donutsが初参戦した女性向けゲームであり、恋愛要素と箱庭構築を組み合わせたシミュレーションゲームとなっている。
ゲームの概要についてはプレイレポートに詳細を掲載しているが、今回は少女マンガから乙女心理を読み解く少女マンガ研究者の和久井香菜子氏に、“おじさんでもわかる「リゾ恋」の魅力”というテーマで乙女ゲームとしての「リゾ恋」を解説していただいた。これを読めば、あなたも乙女心がわかるはず？！
少女マンガ研究者の和久井香菜子氏が「リゾ恋」を解説！
こんにちは、少女マンガ攻略・解析室室長の和久井香菜子です。
最近はゲームにも女性向けがありますね。光栄（現コーエーテクモゲームス）の「アンジェリーク」から始まった「乙女ゲーム」と呼ばれるものです。少女マンガは女性の深層心理を読み解くのに大変便利なツールですが、女性向けゲームもまた、女の思考・妄想をこれでもかと詰め込んだ媒体です。
今回は、筆者がガッツリはまった「リゾ恋」を参考に、女性の萌えポイントをご紹介しましょう。
「リゾートへようこそ ～総支配人は恋をする～」ってどんなゲーム？
主人公は、とあるリゾート島に総支配人として就任した女の子。ホテル業の素人です。「えっ私が？」みたいな。社運をかけた一大プロジェクトみたいなのに「素人が総支配人？」とかツッコんではいけません。
これは、RPGにおける「主人公がある日突然勇者に」展開と同じです。人間は平凡な日々が続けば続くほど「夢の大抜擢」に憧れてしまうものなんです。つまり「リゾ恋」は、なんとなく現実を装ったファンタジーなんです。ファンタジー。真剣にビジネスの話だと思ってはいけません。
そして就任したリゾート島には、部下となる4人のイケメンがいました……。ほらね、ファンタジーでしょ。
それと、プレーヤーが「総支配人」ってところもポイントです。乙女ゲームって、基本的にはせっせとイケメンに奉仕をするのがプレイ内容であることが多いのです。これでもしプレーヤーがアルバイトだったら、イケメンたちにこき使われるだけの話になってしまう。地位が高いからこそ、彼らと対等に話ができるんです。しかも素人だからいろいろ教えてもらえるし。ファンタジー設定にもきちんと理由があるんです。
乙女ゲームは、単に恋愛ストーリーを楽しむのではなく、街や店を発展させつつ、恋も進展させるという設定をよく見かけます。男性は権威や陣地取り、支配欲などが強いのですが、女にはそういう欲求はあまりありません。多くのゲームがアイテムの収集、キャラの育成、バトルから成り立っているとすると、バトルの代わりにイケメンとの恋のバトルをするのが乙女ゲームです。
「リゾ恋」でやることは、
1.部下に素材の発注をさせる
2.商品を生産する
3.客や部下から要求された素材や商品を提供する
4.施設を建てる
です。
ゲーム内で獲得していくポイントは、経験値、コインと、各イケメンとの親密度。それから各種メダル。メダルはお客様をもてなしたり、商品を生産するとたまにもらえます。これで施設を拡張したり、土地を広げたりします。
「フラワー」は、足りないアイテムの補填をしたり、建築にかかる時間を省略できるお助けアイテムです。プレイ開始時に一定数もらえますが、基本的には課金して増やします。
大まかな流れとしては、素材を仕入れて商品を生産し、それを客にサービスしたり、イケメンたちの要望に応えたりして提供します。余って倉庫に入りきらなくなったものは船で出荷して、資金に替えられます。お金が貯まったら新しい施設を建てて新たな商品を作れるようにしたり、お客様をもてなせるようにします。
施設を建設してお客様をもてなしていくところは、シミュレーションゲームそのままです。そして乙女ゲーム特有と言えるのが、イケメンとの親密度。親密度が上がると、新しいストーリーが解放されていきます。
シミュレーションや収集の要素と、イケメンとの恋のストーリーのミックスは、乙女ゲームの王道パターンです。主人公が「価値ある人」という設定もど真ん中。「リゾ恋」はその作りからして、女子萌え必須の構成となっています。
乙女ゲームならではの「リゾ恋」の魅力とは？
さて、大抜擢を経てやって来たリゾート島。そこには4人の部下がいました。
大山真咲（CV:竹内良太）
仕事ができるオレ様です。偉そうなことを言うだけあって納得の仕事っぷり。
ヒューゴ（CV：櫻井孝宏）
なぜか一人だけフルネームがわからない、超絶細かく気が利く女ったらし。
ライ・河崎（CV:古川慎）
マナーや常識なんかなんのその、フィリピンと日本のミックス。
丘野水鳥（CV:斎藤壮馬）
男性陣で唯一ホテル業界素人で学習熱心な控えめくん。
乙女ゲームで大事なのは、キャラの顔が好みかどうか。端整な顔立ちはもちろん、柔らかそうな髪の質感、シャツのシワなんかもポイントです。「リゾ恋」はキャラもかっこいいですね。見た目の好みで言うと「大山真咲かヒューゴかな?」とかプレイ前に当たりを付けます。
プレイの醍醐味は、イケメンたちからのあまぁいセリフです。部下たちに素材を発注しにいくだけでも「最高の品を仕入れておくよ」、「可愛い子が無理しちゃダメだよ」などといちいち甘ったるいことを言ってきます。
えっ、プレーヤーは何をしにリゾート島に来たのかって？ やだなあ、仕事ですよ、仕事！
そして島には、部下だけではなく、さまざまなお客様がいらっしゃいます。イケメンのお客様だけしか出迎えに行かない総支配人。そしてそのお客様たちがこれまた女子萌え設定の男子ばかり！
たとえば、アラブの“シーク（首長）”は乙女のバイブル「ハーレクイン・ロマンス」常連の王子様です。こちらのサイードさまは、お医者さまでもあるそうです。ひとり何役するつもりだ。
スペイン貴族のレオンさま。スペイン貴族も「ハーレクイン・ロマンス」常連。なぜか貴族と言えばスペインです。
小説家の峰沢先生。この暑そうな島でジャケット着ている涼しげなところがよい。
人気ミュージシャンのジェイルさま。たいへんなひねくれ者でつれないんです。でもこういう人が心を開くと、オンリーワンになれるのが少女マンガや乙女ゲーム的展開です。まだ話しかける隙すら与えてくれないけど。
現実では、男性はあんまり女子が喜ぶことを言ってくれません。だけど「リゾ恋」のキャラたちは、惜しみなくその好意をあらわにしてくれるんです。ゲームを進めると解放されるストーリーでは、こうしたイケメンとの心のふれあいが描かれていくわけです。
またゲーム内で「総支配人へのお願い」を見ると、お客様（ただしイケメンに限る）や部下たちからのお願いの一覧が見られます。「スクランブルエッグ2つとポテトサラダ1つにフランスパン3つくれ」などと言われると、「どんだけ食うつもりだ？」と思いますが、せっせとかき集めてご奉仕します。
みんなからの要求はどんどんエスカレートしていきます。新しい設備が立てられるようになると、さっそく生産されるアイテムを欲しがる人が出てくるのです。そのためにまたコツコツと建設費用を貯めて、ご奉仕するんです。
そうやって頼まれたものを持っていくだけで、「すごいな、ホントに最高の仕事だった」なんて褒めようをしてくれます。
こんなセリフ、どんな大きなプロジェクトを達成したって言われたことないですよ。言われたものを持っていくだけでこんなに褒められるなんて、これはもうご褒美ファンタジーと言ってもいいでしょう。
だいたい夫婦げんかの元になるのは、
妻「ご飯を作ってもお礼も言われない（のにまずいときだけ文句を言う）」
夫「感謝してることくらい、言わなくてもわかるだろ？」
的なやつです。
お礼を言われるためにやっているんじゃないですが、好意を当たり前と思われると悲しいんです。その点、「リゾ恋」を初めとする乙女ゲームでは、鬱陶しいくらいにあれこれ褒めちぎってくれます。褒められたら、誰だって嬉しくないですか？ 褒めて欲しいあまりに課金をしたなら特に！
「リゾ恋」には、ネガティブな要素は極力排除してあります。倉庫に何日間ポテトサラダやスクランブルエッグを置いておいても腐らないし、部下たちに嫌われることもありません。彼らのお願いを聞いてあげなくても、じっと待つだけで、「お前は俺に気がないんだな？」とか言われて親密度が下がることもありません。もちろん、イケメン同士がバトルしてどちらかが死んじゃう、みたいな展開もありません。
今回オススメしたいのは、世のおじさまの皆さんに「リゾ恋」をぜひプレイしてみてほしいということ。支配人目線で「リゾ恋」をプレイすることで、女子がどんなことを望んでいるのか、どんな男性が好みなのかがわかります。そして自分がどのキャラに1番近いかを想定してみてください。そのキャラが発しているセリフを心に留めると、モテおやじとしてのブランディングができる……のかもしれません。
それと、「『リゾ恋』やってる？」なんて言うだけで、女子との会話が生まれるかもしれません。共通の話題って大事ですよね。
そして最後に大切なことを。乙女ゲームは、ただひたすら、イケメンからチヤホヤされて、褒めてもらえる、女性にとっての癒やしなんです。男性の皆さん、乙女ゲームをプレイしている女子は、癒やしを求めているんです。そこを理解してやってくださいましね。