ニュース

あの「リネージュII」が丸ごとモバイルアプリに

ヘビーなPCゲームがスマホで遊べる時代に。中国展開後、日本展開の可能性も

7月28日~7月31日開催



会場:Shanghai New International Expo Center

 ChinaJoyでもっともシェアの高いゲームプラットフォームは間違いなくスマートフォン向けだ。ここ中国でも、モバイルアプリは、フィーチャーフォン向けのプリミティブなパズルゲームからスマートフォンに移り、デバイスの高スペック化に伴い、年々内容が進化してきている。そうした中で、トレンドのひとつとなっているのが、既存のPC向けオンラインゲームのモバイルアプリ化だ。

あの「リネージュII」がモバイルアプリに
取材に応じていただいた担当者
遊んでいるゲームファンは比較的年配が多かった
モバイルゲームには珍しいグラフィックスオプション

 トレンドの発信地は韓国だ。NEXONやNCSOFT、NHNなど韓国大手が自社タイトルのモバイルアプリ化に熱心で、「リネージュII」、「ドラゴンネスト」や「マビノギ英雄伝」といった、オンラインゲームの歴史を作ってきたメジャータイトルが丸ごとモバイルアプリ化し、肥沃なモバイルゲーム市場を誇る中国で展開されている。この流れは韓国のみならず、日本でもそうでスクウェア・エニックスの「ファイナルファンタジー 零式」がモバイルアプリとして展開されている。今回はモバイルアプリを代表して「リネージュII」を取り上げてみたい。

 モバイルアプリ版「リネージュII」を手がけているのは、日本にも法人のある中国のメーカーSnail Games。モバイル版の開発にあたり、独自のゲームエンジンを開発し、その上でNCSOFTの全面協力を得て「リネージュII」のコンテンツをスマートフォンに実装している。

 使用できるクラスは5つ、プレイできるエリアもまだ限定されているということだが、MMORPGとしてクエストを解いたり、パーティープレイを楽しんだり、攻城戦に挑んだりなど、「リネージュII」を構成する主要な要素はすべて盛り込んでおり、マウス/キーボードから、スマホRPGならではのバーチャルパッドを使ったコンソールゲームライクな操作系統に変わった以外は、まさに「リネージュII」そのままだ。

 担当者にモバイルアプリ版「リネージュII」の魅力を聞いたところ、PC版「リネージュII」がそのまま遊べること、PC版同等の3Dグラフィックスでゲームが楽しめること、自由度の高い視点変更システムで自由な視点でゲームが楽しめることの3点を挙げてくれた。

 グラフィックスは正直、頑張ってはいるが同等というには物足りないと思ったが、モバイルアプリ版にもPC版同様にグラフィックスオプションがあり、デモ機では「低」になっていた。試しに最高に挙げたところ、奥行きの描写やポストエフェクトによる空気感など、かなり美しくなった。ただ、デモ機のiPad Miniでは表示がカクカクになり、とても遊べない状態になってしまった。モバイルアプリ版「リネージュII」を最高の状態で遊ぶためには、最新のスマートフォンやタブレットが必要になると考えて良いだろう。

 細かく遊んでいくと、そのほかにもいくつか違いがあることに気づいた。たとえば、ビジネスモデルは、基本プレイ無料のアイテム課金制を前提に設計されており、また、モバイルアプリではお馴染みの日々のクエストや日替わりのログインボーナスの仕組みが追加され、毎日遊ぶモチベーションが強化されている。

 そして中国開発のMMORPGらしく、全自動モードが存在する。これはクエストからバトルまですべてAIが代行し、プレーヤーは見てるだけでいいという、真の意味で全自動でゲームを進めてくれるモードだ。日本ではここまで自動化したゲームはPC、モバイルを問わず少ないため、あまり理解できない部分があるが、全自動にすることで「別のことをやりながら遊べる」、「忙しくても遊べる」、「遊びたい部分だけ遊べる」というメリットは中国のゲームファンにとって魅力的に映るのだという。

 iOS版は7月28日に配信が開始されたばかりで、容量は800MB。Android版も現在開発中で、9月配信予定。気になる日本展開については、まずは中国サービスが安定化させることが最優先で、その後余裕が出てきたら日本を含む、他の地域での展開を検討していきたいという。PCオンラインゲームのモバイルアプリ化のうねりが日本にも届くのかどうか、今後の推移を見守りたいところだ。

【スクリーンショット】

【Snail Gamesの次期日本展開タイトル】
Snail Gamesでは今後武侠系のモバイル向けMMORPG「天使」、「九阴」の2タイトルを日本展開していくとしている