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「エルダー・スクロールズ・オンライン」日本語版体験レポート

ストーリーや世界観がわかりやすく! 声優達の熱演にも注目

6月6日開催

会場:DMM.com本社

 DMM.comは6月6日、本社内の特設スペースで、Windows用MMORPG「エルダー・スクロールズ・オンライン(ESO)」のメディア体験会を開催した。ここでは日本語版の「ESO」を体験できた。

 6月23日よりスタートする日本語版「ESO」の最大の特徴は“日本語音声による吹き替え”だ。テキストだけでなく、NPCのセリフ、会話ウインドウ以外での言葉、そして街ゆく人々の声まですべて日本語化されている。これだけリッチにローカライズされた欧米のオンラインタイトルは少ない。その分どっぷりと「ESO」の世界に浸ることができた。

 弊誌では2014年の欧米でのサービス開始直後にゲームレビューを含め序盤の展開をレポートしている。今回はゲームの基本的な紹介は最小限に、主にローカライズの感触、パーティプレイを語っていきたい。

ごつい女戦士が小清水さんの声でヒロインに!? 声優達の名演が光る

 「ESO」は、「The Elder Scrolls」の世界“タムリエル”をたっぷりと探索できるMMORPGである。「Skyrim」や「Oblivion」はタムリエルの1地方を描いたRPGだが、「ESO」は3つの勢力に分割されたタムリエル全土が舞台となる。中心地方は広大な戦場になっており、全土の支配権を争う戦いが日夜繰り広げられ、プレーヤーが“皇帝”になることも可能だ。

今回は「Alienware Area-51 プラチナ」で、4K環境でプレイできた。他のスクリーンショットは縮小しているが、こちらは原寸でお見せしたい。これでも70fps前後で快適にプレイできた
シリーズお約束の囚人としてのスタート。今回はいきなり「お前はもう死んでいる」といわれる羽目に
ごつい女戦士リリス。彼女は実にカッコ良いのだが、小清水さんの声でさらに魅力的に
自己を犠牲に預言者を助けるリリス。リリスへの思い入れがグッと深くなるシーンだ
リリスのおかげでタムリエルへの帰還を果たす。これからが本当の冒険の始まりだ

 皇帝になるには強大なギルドに所属し、一大勢力となって同盟内でも頭角を現わすというかなりハードな道のりになるが、もちろん一介の冒険者に徹して自由にこの世界を旅するのも楽しい。そして世界を旅するのに、“日本語化”は非常にうれしい要素だ。

 壮大なメインストーリーはもちろん、愚痴を言っていたり、くだを巻いている通行人や、走り回っている子供達など、彼らのセリフがフルボイスの日本語化されていることで、旅をする楽しさがグッと高まっているのだ。「Skyrim」では道行く人々の何気ないセリフがクエストのヒントになったこともあった、「ESO」でも臨場感たっぷりの冒険が楽しめることを今回確認できた。

 アニメファンなど声優に詳しい人は“豪華キャスト”も注目だ。他のゲームで「豪華声優起用!」というキャッチフレーズはよくあるが、声優達は技の叫び声や、少ないイベントシーンで短いセリフをしゃべる程度なのが一般的であるが、「ESO」は違う。物語の鍵を握るキャラクターに実力を持った声優を起用することで、プレーヤーにしっかりとストーリーを刻みつけることに役立てている。

 「ESO」では、プレーヤーは地獄のような謎めいた世界「コールドハーバー」で目覚める。“囚人”としてスタートするのがシリーズのお約束であるが、今作ではプレーヤーは1度死にこの世界に囚われているというのだ。しかしノルドと巨人のハーフであるというリリス・ティタンボーンによって解放され、彼女と共に冒険する。彼女はこの世界に囚われてしまった“預言者”を助けたいというのだ。そして彼女と預言者を助けることだけが、この世界から脱出し、タムリエルへ帰還する唯一の道だというのである。

 リリスを演じるのは小清水亜美さん。強く凛々しい戦うヒロインの声を演じることが多い役者さんだが、ここまでごついキャラクターを演じることはあまりなく、収録でも「新鮮だった」という。リリスはパワフルに戦い、プレーヤーを常に導いてくれる。

 小清水さんは繊細さを感じさせる役が多い。このごついヒロインに小清水さんの声が重なると、どこか優しそうな雰囲気が加わるのが面白い。そして、彼女は自分を犠牲にして預言者とプレーヤーを助ける。囚われていた預言者と入れ替わり、自分は預言者が囚われていた闇の牢屋に囚われてしまうのだ。こうするしかなかった彼女の結城を褒め称え、脱出を決意する預言者の声は手塚秀彰さん。重々しく、秘密を握ったキャラクターにぴったりの声だ。

 預言者は帰還したタムリエルへの調査をプレーヤーに依頼すると共に、自分はリリスを助ける手段を探すという。短いセリフの中に断固たる決意が感じられる。声優の“凄さ”は短いセリフの中に世界観やキャラクターの想い、そして物語を聞く人の中に生じさせるところだ。アニメが苦手な人はその“作りすぎている声”が苦手だ、という意見もあるが、やはりこの声優の“技”が楽しめるのはフルボイスならではだろう。

 序盤での声優の技が楽しめる部分では、コールドハーバーで歌い続ける吟遊詩人キャドウェルを演じる立木文彦さんの“歌”でも楽しめる。調子っぱずれで、音痴で、だけど歌ってる本人は間違いなく気持ちいいという、絶妙な「ダメな歌」を聞かせてくれるのだ。プレーヤーの誰もが彼の歌に吹き出してしまうと思う。

 立木さんは「エヴァンゲリオン」の碇ゲンドウなど酷薄そうで重々しい声を持つキャラクターのイメージが強い。その声のイメージを残したまま、“変”な方向に一気に振り切れるからこそ、すごいインパクトと面白さが生まれる。「ESO」はこういった様々なところで声優の力を引き出していそうで、期待が膨らむ。

 タムリエルに帰還したプレーヤーを待っているのは恐ろしい力が迫っているのに、それに気がつかない人々だ。プレーヤーは預言者に導かれ恐ろしい力に対抗すべく活動を開始する。様々な人物から依頼されたクエストをこなしていくのが大まかな流れとなる。そのクエストでも、実は依頼人が怪しかったり、人間に化ける人狼が絡んでいたりと、2転3転することもある。

 筆者は以前、本作の英語版をプレイしていたが、やはり細かい部分のニュアンスがわからず、物語に入り込めない部分があった。今回のローカライズで世界観やキャラクターをきちんと楽しめるのはやはり楽しかった。時間が許すならずっとプレイしたいと思った。日本語化は筆者を含めた「The Elder Scrolls」シリーズファンにとってやはりうれしい要素だと強く感じた。

【スクリーンショット】
地獄そのものの景色が広がるコールドハーバー。吟遊詩人キャドウェルは立ち木さんの怪演で怪しさ大爆発だ
助け出した預言者と、この世界の番人と対決
タムリエルでは様々なクエストが待っている

歯ごたえありすぎなグループダンジョン。コミュニティの成熟に期待

 体験会では、本作のレベルキャップであるレベル50のキャラクターを使って「グループダンジョン」に挑戦できた。レベル50のキャラクターは、高いステータスとスキル、さらに「チャンピオン」という特性を持つ。

パーティープレイを体験したのだが、慣れないキャラクターでは難しすぎた
特性を獲得できるチャンピオンシステム。プレイスタイルをたっぷり強化できそうだ

 特にチャンピオンというシステムは新鮮だった。チャンピオンは本作のステータスと同じヘルス、マジカ、スタミナの3系統があり、そこから集中して割り振ることでプレイスタイルを特化できる。しかし今回はいきなり渡されたキャラクターのため、不十分なキャラクタービルドとなってしまった。

 「ESO」にはいくつかのインスタントダンジョン「グループダンジョン」があり、プレーヤー同士の息の合った連携が求められる。グループダンジョンはプレーヤーレベルで難易度が変わり、最大4人での挑戦が可能だ。今回はレベルばかり高いがスキルも特性もよく知らないキャラクターで、詩歌も3人の挑戦だったため、全く刃が立たなかった。最初の敵集団すら倒せないのだ。正直、体験会なんだからもうちょっとコンテンツを選べなかったのか? というのが正直なところだ。この「グループダンジョン」は、正式サービスでぜひやり込んだ上で挑戦してみたい。

 バランス的にもプレーヤースキル的にも大崩壊の企画だったが、「それでも前に進んでみましょうよ」という人がいるのがオンラインゲームの楽しさだ。今回も一緒にパーティーを組んだ他誌のライターがノリノリで提案してきた。こういう勢いは嫌いじゃない。こうして筆者達は隠れながら前に進んでいった。最初の敵は実は回避できるのだ! そしてクエストを進めることができた。ダンジョンフィールド残った地形などを見ることができ、作りの面白さも感じることができた。

 しかしいかんせん敵に全くかなわないのではゲームにならない。キャラクターへの理解、連携のコツをつかんだ上で挑んでみたいと思った。「グループダンジョン」は今回は面白さはわからなかったが、ひたすらソロでも楽しめる「ESO」にとってより“上”を目指すためのコンテンツであることが確認できた。

 今回はテストサーバーのため体験できなかったが、PVPコンテンツも「ESO」の大きな魅力だ。特にプレーヤーが集まる時間を覚えておくと、小さな集団を作って拠点を奪い合う戦いが始まるのが面白い。それほどやり込まなくても攻城兵器が買え、見よう見まねで援護射撃ができるなど、軽い気持ちで戦争に参加できるのは楽しかった。日本語版でも体験したい要素である。

 まずは「ESO」の6月23日の日本での正式サービスを楽しみにしたい。フルローカライズでグッとハードルが下がった「ESO」を日本人プレーヤーがどのように楽しむのか、注目したいところだ。

【スクリーンショット】
「こっちが進めます!」。熱意あふれるパーティメンバーのおかげで探索を進められた。演出やフィールド残り具合はかなりのものだ。報酬も魅力的とのことなので、ぜひ正式サービス時には突破したい