インタビュー

カードバトルにアクション要素がプラス? スマホ版「ファントムクロニクル」

Facebookアプリに端を発する独特のゲーム設計をディレクターに聞く

2月17日 配信(Android)

7月29日 配信(iOS)

ダウンロード:無料

利用料金:無料

ビジネスモデル:アイテム課金制

 日本の開発会社グッド・フィールによるスマートフォン用アクションカードバトル「ファントムクロニクル ラッシュファイアー(以下、ラッシュファイアー)」のiOS版が7月29日より配信された。ダウンロード、利用料金は無料で、ビジネスモデルはアイテム課金制。Android版は配信中。

 「ラッシュファイアー」は、「ファントム」と呼ばれるキャラクターカードを操ってバトルを繰り広げるアクションカードバトル。連続タップによる攻撃や、ファントムたちの特殊能力(スキル)による戦闘、またリアルタイムバトルが特徴となっている。

 本作には前身タイトルがあるのだが、それがFacebookアプリ「ファントムクロニクル」だ。日本ではあまり知名度はないものの、海外で100万人以上にプレイされているというヒット作で、今回の「ラッシュファイアー」はスマホ用のスピンオフタイトルとなる。

【プロモーションムービー】

 「ファントムクロニクル」はオーソドックスなカードバトルゲームといった内容だったのが、「ラッシュファイアー」ではこのカードバトルに「アクション要素」を加えるという大胆なアレンジが施されており、単なるカードバトルとは一線を画すような仕上がりになっている。

 今回、「ラッシュファイアー」が持つ魅力について本作ディレクターの阿部裕一氏にインタビューする機会を得た。アクション+カードバトルという一風変わったジャンルに属する本作がどのような経緯で作られ、どんな方向を目指すのかを伺ってきた。

Facebookアプリからスマホアプリへ。その過程で起きたゲームシステムの変化

「ファントムクロニクル」「ラッシュファイアー」双方を担当するディレクターの阿部裕一氏
カードゲームでありながら、アクション要素のある戦闘で勝敗を決める「ファントムクロニクル ラッシュファイアー」。今回、そのiOS版が新たにリリースされる

――まずは、「ラッシュファイアー」をリリースされた経緯などおうかがいできますか。

阿部裕一氏: 「ラッシュファイアー」の前身に、Facebookアプリとしてリリースしている「ファントムクロニクル」というものがあります。こちらは2013年11月から公開されていて、海外向けとして始めたプロジェクトなのですが、多くのユーザーさんに遊んで頂けており、もっとたくさんのユーザさんに遊んでほしいなという思いから、スマートフォンに移植しようという計画が出てきました。

 もとがFacebook版ということもあって、なかなか国内のユーザーさんに遊んでもらえていないという部分もありました……。

 当時はFacebook版の移植で進めていたんですが、開発を続けるうちに静的なカードゲームではなく、もっとアクション性の高い、リアルタイム要素を足して、最近のゲームのトレンドに合ったものに作り替えていきたいなと。そうしてできたのが、スマートフォン版の「ラッシュファイアー」なんですね。

――そもそも「ファントムクロニクル」は、カードゲームを作ってみようという企画だったのですか?

阿部氏: そうですね。開発メンバーの意向としてそういう部分があったのと、当時はパズルゲームが全盛でしたから、そこに出すものとしてうちはカードゲームを作ろう、ということになりました。

 日本国内でも当時、カードゲームは流行っていましたけど、海外では一部タイトルが売れたようだ、ぐらいの情報しかなく、本当に当時日本国内で流行っていたようなカードゲームが売れるのだろうかという思いはありました。

 それでも、ネイティブアプリとして開発するよりは、1度それ以前に開発経験もあったFacebookアプリとして、アメリカを中心として海外向けにリリースしたんです。最初は10万人ぐらい集まればいいな、程度に話していたのですが、フタを開けてみれば100万人以上と、びっくりしました。

――100万人はすごいですね。それでスマホアプリになるわけですね。こちら、Android版とiOS版でずいぶん時期がずれているようですが。

阿部氏: 本当は最初にAndroid版を出したら、すぐにiOS版も出そうという計画だったのですが、時期的に入れられなかった要素などもありました。それで、まずはそのあたりを実装して、少し整えてからいきたいなというところがありまして、iOS版は遅くなったんです。それが今、いよいよ出せる段階まできたということです。

ファンタジーよりもSF寄りに。現実世界を意識した舞台設定

近未来風の世界観をベースに物語が展開。人類は新生命体「ファントム」によって滅亡の危機にさらされる
まさしく海外向けといった感のあるキャラクター。海外ユーザーにはイラストの熱烈なファンも多いとのこと

――それでは、「ラッシュファイアー」の世界観についてお話をうかがいたいのですが。

阿部氏: 海外向けに、というところを意識していましたので、異世界やファンタジーよりも、現実世界に寄せたいなというところがあり、地球の近未来、という設定にしました。遺伝子操作された生物が世界中にあふれ、人間がそれに太刀打ちできず滅んでしまった世界、という感じになっています。

 背景イラストは最初、もっと荒廃した感じの世界を表現していたんですが、こちらは描き直しをして現在の形に落ち着きました。「荒廃した世界」という部分を、鮮明かつさびしくならないようにというところに気をつけて構成するようにしています。

 荒廃した感じという部分はカードのイラストにもところどころに散りばめていて、敵がジーパンをはいていたり、鉄骨を持っている敵がいたり、現代風のネックレスをしている敵がいたり、服装とかにもワンポイントがあったりします。ファンタジーというよりはSFや現代に近いところを意識している感じでしょうか。例えば「ミミック」という宝箱の敵は、アタッシュケースになっている、などといった感じです。

――イラストは、最初に拝見したときに輸入物なのかな、と思ったぐらいに海外的なテイストだなと思いました。アメコミ風のオープニングなどもありましたね。あれはすべて国内のスタッフが作られたのですか?

阿部氏: オープニングの漫画は内部のスタッフが描いていまして、カードイラストについても、一部は外注ですがかなりの量を内部で描いています。

――国内でカードゲームとなると、「萌え」を売りにしたものも多いですが、「ラッシュファイアー」では彫りが深いと言いますか、濃いめのイラストが多いように見受けられます。こちらはやはり海外を意識してのものでしょうか。

阿部氏: はい。当時は海外を考えてそのようなビジュアルを使っていたのですが、「ラッシュファイアー」に関しては国内でもリリースしていますので、今は国内も意識して、日本人好みのかわいい女の子のイラストとかも足していっています。ただ、あまり「萌え」要素には寄らないようにするかなと思います。

連打したり、攻撃を避けたり。アクションゲームならではの楽しさを追求

カードを1回タップするごとに1回攻撃を行なう。このとき連打すれば一気に大ダメージを与えられることも
敵がスキルを使用する直前には、その予兆としてエフェクトが表示される。素早く移動すれば回避可能だ
リザルトでは、自分の戦闘が総合的な評価によってランクづけされる。ランクが高いほど報酬も豪華に

――先にも少しお話が出ましたが、もともとが静的なカードゲームにアクション要素をプラスしていった背景をお聞かせ願えますか。

阿部氏: 「ファントムクロニクル」はFacebook版においては思ったよりも人が来てくれたという話をしましたが、スマートフォンアプリになる「ラッシュファイアー」では、もっと上を目指そうという目標がありました。そのなかでも、継続率や課金率といった気になる要素がありますので、そういう部分を上げるための工夫としてアクションを、というのがあります。

 それと、最近は3Dで動いているゲームが多いなかで、静かなカードゲームでは埋もれてしまうという懸念もありまして、もっとアクション要素を高めることで、独自性を打ち出していこうという部分もありました。

――そのアクション要素は、どういったところで楽しさを感じられるようにしているのでしょうか。

阿部氏: カードバトルと言えばターン制で攻撃するのが普通だと思うのですが、そこをリアルタイムにしました。また、敵についてはすべて自分の時間が来たら勝手に行動するというものになっていまして、一方、プレーヤーは場に出ている自分のカードをタップすれば攻撃ができる、というものにしています。

 敵は自分が何もしなくても一定時間ごとに攻撃をしてくるので、それよりも先に自分が連打したりスキルを使えば倒せる、といったバトルを突き詰めていきました。このバトルのポイントとしては、敵が攻撃してこちらのカードのHPを削りきる前に、場に出ている自分のカードをしっかり見て一気に攻撃を仕掛けて倒す、というところで、そこでアツくなってもらえるかなと思います。

 また、敵はときおりスキルを使ってくることもありますが、その直前にプレーヤー側の場に攻撃予告といった感じのエフェクトが出るんです。そこに素早く反応できるようになれば、エフェクトが出た場にあるカードの位置を変更して敵のスキルを回避することができる。そういう部分も楽しいですね。

――まさにアクションゲームといった感じになっていますよね。「ラッシュファイアー」では、受けるダメージの総量が多いとリザルト画面で好成績を獲得できないこともありますが、あのあたりは適正なバランスを取られているのでしょうか?

阿部氏: はい。この前に追加された最新のエリアでも、すべてSランクを獲得しているプレーヤーの方がいらっしゃいます。ダメージ部分の話でいえば、属性の優劣を把握して、なるべく敵の属性に対して強い属性を持ったカードで攻撃できればかなり有利になります。カード配置も任意のタイミングで変更できますので、敵の属性に対抗したカード配置にすると、やはり戦闘が楽になりますね。

――あの配置変更のシステムは面白いですよね! ところで本作では最大6枚のカードを使いますが、序盤はカードが置ける場所がすべてオープンしておらず、4枚から始まって、プレーヤーのランクに応じて徐々に解除されていくようになっています。これには何か理由があるのでしょうか。

阿部氏: あれは、カードを動かして敵の攻撃を回避することを意識してほしいと思って、最初はあえてそのようにしました。最初からフルに置けるようにすると、そもそも回避することができず、回避の概念を認識しづらいだろうというところで、空きを作っています。

 それと、最初から場にカードがたくさんあると、初心者にはその管理が難しいんじゃないかなということもあり、徐々にカード運用をできるようになっていただこう、という理由もあります。また、プレーヤーのランクに応じて解除されれば、ご褒美的なうれしさもありますし、そういうところでも段階的な開放ということにしました。

目的に合わせたクエスト選択で効率良くプレイ

各クエストのマス上にあるアイコンを見れば、そのマスがどんなタイプのクエストなのかを判別できる
クエストデータ右上の「Enemy」の欄には、出現する敵の属性が表示される。対抗できるパーティを編成して挑もう

――「ラッシュファイアー」にはさまざまなタイプのクエストが用意されているようですが、こちらの意図はどのようなところにあるのでしょうか。

阿部氏: クエストでは、1つのマップに20のクエストが用意されていて、それぞれにアイコンが描かれてします。これらは「どんな属性の敵が出るのか」とか「進化素材が入手しやすい」といったことを表わしていて、デッキのレベルが上がりやすくなるとか、コア(ゲーム内通貨)がたくさん集められるなど、目的に合わせて選べるようにしています。

 例えば、現在、火属性の敵に困っていて、ちょっと水属性のカードを増やしたいというときは、水属性アイコンの場所に移動してクエストをクリアすれば、水属性カードが充実してくるのでそれを使って強敵に挑む、という感じです。今は曜日イベントというのがありまして、特定の曜日にはたくさん経験値が入ったり、さらにカードを強化させられるなどの仕組みも入れています。

――お気に入りのカードを突き詰めて育てるよりは、複数のカードをまんべんなく育成したほうが攻略はしやすいのでしょうか。

阿部氏: 現状は、1つのカードを強化していくだけでも、かなりのところまでは行けるようになっていますが、すべてのクエストでSランクを獲得したいとなると、やはり強いカードが複数体いなければ難しいバランスにはなっていますね。

――強いカードと言えば、レア度の高いSRランクのカードやURのカードなども意外と簡単に入手できるバランスになっています。

阿部氏: サービス開始直後はレアカードの入手については渋めだったのですが、それだとゲーム進行がややつらい部分があり、また、プレーヤーのモチベーションを高めるという観点からも、最近はかなりゆるめています。ただし、ゲームスタート時に無条件で入手できるSRランクのカードは、ほかのSRランクのカードとくらべると、若干弱めにはなっています。

バトルによる経験値獲得が多めに。戦うだけでもカードが育つバランス配分

クエストを何度もこなしているだけでカードに経験値がたまり、徐々にレベルアップしていく
エリアに登場する全てのファントムを入手すると、特別なカードである「ホムンクルス」が獲得できる
進化によってURランクとなったホムンクルスの勇姿。かなり強いカードとのことなので必ず手に入れたい

――「ラッシュファイアー」では、カードの育成部分などでも色々とバランス調整をされているとのことですが、そのあたりもお聞かせいただけますか。

阿部氏: 本作は戦闘をすると、そのとき撃破した敵に応じてデッキに入れておいたカードに経験値がたまっていきます。つまり、いわゆるカード合成といったものをしなくても、クエストをクリアしていれば、徐々にカードが成長していくんです。

 この成長部分はかなり意識して調整をしていまして、もちろんゲーム序盤に一気にレベル上げをしたい、という場合はもちろんカード合成のほうが早くレベルアップできるのですが、経験値がたくさんもらえるクエストを重点的にプレイするだけでも、結構なスピードでカードが育っていきます。

――こういうタイプのゲームで、経験値獲得用アイテムの取得ではなく、バトルによる経験値獲得に重点が置かれているのはなかなか面白いと思います。

阿部氏: SRランクぐらいのカードであれば、ゲーム後半のクエストならヘタに合成をするよりは、クエストをプレイしてしまったほうが早い場合もありますね。すでに相当なレベルに達していたり、レア度の高いカードであると、カード合成してもちょっとしか経験値が入りません。それであれば、カード合成は序盤で一気に育てるときに使う形にして、それ以降はゲームそのものをたくさん遊んでもらいたいという意図です。

――結構珍しいといいますか、コンシューマーゲームのような感じですよね。

阿部氏: 少々やり過ぎちゃったかな、とは思っています(笑)。あと、それとは別ですがデイリーミッションというものを用意しておりまして、これを毎日クリアしてもらうと、eクリスタル(課金ポイント)をもらうことができます。これをためれば「ガチャ」も回せますので、ぜひ利用してほしいですね。

――「ラッシュファイアー」では、「ガチャ」で獲得できるカード以外でも育てがいのあるカードが提供されているとのことですが。

阿部氏: ファントムコレクションというのがありまして、1つのエリアは20個のクエストで構成されるのですが、そのエリア1に登場するファントムをすべて獲得すると、報酬として「ホムンクルス」というカードがもらえるんです。このカードは最初はNランクなんですが、進化素材を集めて進化させることで最終的にはURランクまで育つ、非常に強力なカードとなっています。

 通常ですと「ガチャ」を回さない限りURランクが手に入ることはそうないので、このシステムを利用すれば、進化させる必要はありますが、全員がURランクを獲得できるチャンスがあるということですね。

――進化用の素材というのは入手が困難なのでしょうか?

阿部氏: それに関しては結構コツがありまして、普通にクエストを進めているだけだとなかなか入手しづらい形になっています。各クエストのアイコンで研究所を表しているものがありますが、そこをクリアすると進化用の素材を獲得しやすいですね。

 また、曜日によっては進化素材をたくさんドロップするところもありますので、そこを狙ってプレイしてもらえれば、進化させやすいようになっています。進化させるほど、後半のクエストに出現する素材が必要となりますので、そこは頑張って先に進んでもらえればというところです。

ハズレを引いてもくじけない? 補償のある「ガチャ」システム

「eクリスタル(課金ポイント)」で回す「ガチャ(アドバンスドサモン)」。10連召喚ならSRランク以上が1枚確定
何度もアドバンスドサモンを利用することでシルバーコアがたまる。一定量ためればURランクすら確実に入手可能!

――「ラッシュファイアー」では「ガチャ」に「シルバーコア」という補償のようなシステムがありますね。

阿部氏: できれば「ガチャ」を利用される方にはたくさんいいカードを取ってほしいんですが、そこがあまりにも簡単になると、運営的な部分で厳しくなってしまう。でもどうにかしたいということで、「ガチャ」を回すたびに「シルバーコア」というポイントを獲得できるようにしました。

 この「シルバーコア」は、一定以上集めることで、SRランクやURランクが確定する「ガチャ」のチケットがもらえるので、「ガチャ」を利用しつづけていればいつかはSR、URランクのカードが必ずゲットできるようになっています。

――なかなか良心的なシステムですね。

阿部氏: 本当はユーザーの皆さんにはつねに楽しく遊んでいただきたいんですけど、「ガチャ」は確率なので、どうしてもハズレが出てしまう。そういうのを見ていると、申し訳なく思うんですね。今後は「シルバーコア」を使うことで、特別なカードなども入手できるよう検討しています。「SR・UR確定ガチャ」という「ガチャ」形式ではなく、自分で欲しいカードを指定して交換できる、といった感じですね。

――「ラッシュファイアー」の今後の展開などをお聞かせください。

阿部氏: 現在はレイドボスやレイドバトルを準備しているところです。iOS版がリリースされるあたりから今年の夏じゅうまでにはできたらいいなと思っております。今のバトルは敵が複数体出てくる感じですけど、レイドボスはどーんと1体敵がいて、それを倒す形ですね。画面もだいぶ印象が変わります。

――アクション部分については変わっていくことはあるのでしょうか。

阿部氏: アクション性につきましては、今後新しい操作を追加する予定もなく、だいたい今の形で落ち着くかと思います。あとはユーザーの負荷軽減などに務める形ですね。ただ、スキルとかそのあたりのバランスに関しては、これからもさまざまなものを追加・調整していきたいと考えていますので、どうぞご期待下さい。

――本日はありがとうございました。

おまけ:「ヴィクトリア[R]」×1をプレゼント!

 グッド・フィール様のご厚意により、レアリティSRまで進化可能な「ヴィクトリア[R]」のシリアルコードをいただくことができたので、こちらを読者全員にプレゼントしたい。下記シリアルコードをゲーム内で入力すると、1人につき1枚のみ受け取れる。受け取り期間は9月1日9時まで。

「ヴィクトリア[R]」受け取り用シリアルコード

SFAWJTD5

(泊 裕一郎)