インタビュー

「PsychoBreak」クリエイターインタビュー

“得体の知れない敵との戦い”について

“得体の知れない敵との戦い”について

正体不明の“得体の知れない敵”たち

――レベルデザインについてですが、プレーヤーが任意に壁を壊したり、何かのきっかけで家が崩れるようなことは起きるのでしょうか。

木村氏: さきほど色々なシチュエーションと申し上げた通り、
多岐にわたり色々な事ができます。また、色々なことが起こります。これということは申し上げられませんが、本当に色々なものがあります。

片貝氏: あくまでホラーゲームなので、自由度を念頭に置いたゲームではありません。不自由な環境の中でいかにプレーヤーがもがいていくか、突破していくかという作りになっています。

――デモの後半でゾンビのような敵とのバトルがありましたが、銃で撃ったり罠を仕掛けるだけでなく、敵を避けるようなシーンもありましたね。敵は全滅させずに、逃げるという選択肢もあるのですか?

木村氏: あります。腰を落として隠れて歩いたり、逃げるという選択肢ももちろんあります。

――ほー、ということは敵は視線を持っていて、視線を外して動けば見つからずに動けるのですか?

木村氏: そうです。でも敵も探し回ります。AIはかなり凝っています。

――敵が松明を持っていたシーンは斬新でした。人間と同じ探し方をするのだなと。

木村氏: 敵はただの障害物ではなくて、視覚や聴覚を備えたかなり色々な駆け引きができる相手になっています。

――しかし、彼らはゾンビでないとすると何者なのですか?

木村氏: “得体の知れないもの”にしておきたいなと考えています。“怖い物”とは何だろうと考えた時に、理解できないもの、得体の知れないもので、だからこそ怖いと思うのです。これは三上もすごく大事にしています。

片貝氏: いわゆるただのゾンビではないのです。

――一度クリアするとすべての謎は一通り解けるのですか。

木村氏: そうです。ただ、どこまですっきりさせるかはミソですね(笑)。

――謎という点では、監視カメラに映っていたフードを被ったキャラクターが何者なのかとか、蜘蛛のように手がいくつもある敵との戦いの手前で、大量の血に襲われて、溺れると思いきや他のシーンに移ったりとか、あのあたりの謎も解けるのですね。

木村氏: はい、色々な方法でユーザーは謎について情報を得られると思います。

――あとは何と言っても、病院から外に出たときの衝撃の光景の謎も謎が解けるのですね。

木村氏: はい。とにかくいっぱい「何これ!?」と思ってもらいたいものがデモにも詰まっています。

――では事前のプロモーションにおいてもあまり説明はしない感じなのでしょうか。

片貝氏: そうです。不安な感じが常につきまといます。

木村氏: 何か言ったとしても、「それってどうなるの?」という感じの事しか言わないと思います。

――アートディレクションの中で現実感を失わせるような工夫は何かしていますか?

片貝氏: さまざまな場所や色々な方法でシチュエーションを改めるわけですが、色々なコントラストを持っています。暗くて狭い部屋だったり広かったり地上にいたり地下にいたりというギャップはちりばめられています。意外な繋がりや意外な展開を用意しています。

【スクリーンショット】
「PsychoBreak」は今世代機ではめっきり少なくなってしまったサバイバルホラーにこだわった作品として大いに注目したいタイトルだ

木村氏「サバイバルホラーのベストバランスを作ってみようとしています」

――今回武器はハンドガンやマインが登場しましたが、鉄バットのような近接武器も登場するのでしょうか。

木村氏: 鉄バットかどうかは分かりませんが、色々な武器は出てきます。

――乗り物の類はいかがですか?

木村氏: ストーリーに関する話になってしまうのでここであるなしを申し上げられません。色々なシチュエーションがあるとだけ申し上げます。こんなことしてみたいなという要素がたくさん入っています。

――そのあたりはトリプルAタイトルの宿命ですね。

木村氏: そうですね。

――発売が2014年とのことですが、そのときには次世代機もリリースされていることが予想されます。「PsychoBreak」の次世代機向けの最適化というのはどのようなものでしょうか。

木村氏: 今作っている最中ですので次世代機はこんなことができますということがハッキリと言えるわけではありません。しかし、ビジュアル面、ゲーム面においても色々なフィーチャーを取り入れていこうとはしています。

――すると同時発売ではない可能性もあるのでしょうか。

木村氏: どうでしょう。相手様のあることですので何とも言えないです。

――しかし、本当に「心臓が弱い人はご注意ください」的なゲームになりそうですね。

木村氏: すごく大事なところです。怖いをチームとして大事にしているので繰り返していますが、では怖いだけかというともちろんそうではありません。三上自身も申していますが、今回作ろうとしているのはサバイバルホラーです。サバイバルホラーの何が大事かと言えば、怖さとそれを打ち破る気持ちよさの絶妙なバランスを如何に取るかということなのです。三上自身がもう一度サバイバルホラーのベストバランスを作ってみようとしていますのでご期待いただきたいですね。

――では今回難易度設定は無いのでしょうか。

木村氏: 難易度設定はあります。バランスを取った上で多くの人にやっていただきたいのです。私はゲームが下手な人間ですが、噛み応えがあるゲームが好きというユーザーもおりますのである程度の幅は用意する予定です。

――日本のサバイバルホラーファンにメッセージをお願いいたします。

片貝氏: ホラーファンの皆様、お待たせしました。三上のホラーが帰ってきたかもしれません。怖がってください。期待していてください。

木村氏: 僕らは純粋にサバイバルホラーを作っています。ホラーでもない、サバイバルでもない、サバイバルホラーを待ち望んでいた方に本当に楽しみにしていてもらいたいです。その期待に応えられると思います。

――ありがとうございました。

(中村聖司)