インタビュー
「Hearthstone」日本語化! Blizzardプロデューサーインタビュー
ローカライズは「丁寧に、時間をかけて」。日本語版公式フォーラムも開設決定
(2015/10/5 16:13)
Blizzard Entertainmentが10月3日に発表したWindows/Mac/Android/iOS用オンラインカードゲーム「Hearthstone: Heroes of Warcraft」の日本語化。10月末の配信が予告されたこの日本語対応版では、テキストだけでなく人気声優を起用して音声も日本語化される。発表イベントでは、破壊されると効果が発揮される能力「Deathrattle」が「断末魔」になっているなど考えられた翻訳も確認できて、その気合の入り方を感じることができた。
今回はこの発表にともなって、イベントでも登壇していたBlizzard Entertainment「Hearthstone」エグゼクティブプロデューサーのハミルトン・チュー氏にインタビューすることができたので、この模様をお伝えしたい。
日本語化は「良い仕事ができた」。今後の展開も意欲的に
まず「Hearthstone」が何なのかというところから説明すると、本作は2人対戦型のオンラインカードゲームとなっている。トレーディングカードゲームの「マジック:ザ・ギャザリング」をイメージしてもらうとわかりやすいが、本作は魔法と攻撃と防御を行なう「ミニオン」のカードでデッキを組み、相手ヒーローの体力を0にしたプレーヤーの勝利となる。
マナコストは自動回復かつ毎ターン上限が増える、ミニオンが相手の場にいてもヒーローに直接ダメージを与えられるなど、戦略性を保ちつつ簡略化されたルールが特徴と言える。現時点では、日本においては日本語未対応版がプレイでき、「何千人単位」のプレーヤーがいるという。
今回の日本語化はすでに多くのプレーヤーがいる中での発表となったが、これについては「日本語がないことが障害になり、プレイまで至らなかった人もいる。英語は日本人にとって第2、第3外国語である以上、日本語で遊んでほしい」という思いがあったそうだ。なお日本語対応後も、言語選択設定で英語を含む他の言語を選択できる。
また日本語への対応は「長期的な視点から、日本のコミュニティを広げていくべき」として以前から計画を進めていたが、ゲームのニュアンスやオリジナル版にある感触を確実に再現することに時間を掛けたという。チュー氏は「これは他の言語についても言えること」と前置きしながら、直訳では伝わりづらいユーモアの部分や持ち味を失わないようにすることを特に気をつけていったとした。日本にはBlizzardのオフィスがないということもあり、「焦らずに」取り組んだということだ。
ローカライズをテキストのみで済ませるのではなく、ボイスまで対応したことについては「ゲームの動きや音楽など、体験全体を考えた時、プレーヤーが自然に没入できる状態を作りたかった」とした。ちなみにBlizzardの他のタイトルについても今後日本語化があり得るのか聞いてみたところ「『Hearthstone』以外のことはわからない」と言われてしまったのだが、チュー氏にとっては、今回の日本語版配信は単に1つの言語に対応する以上の思いをもって「丁寧に、時間をかけて実現していった」ものなのだという。
日本語版ゲーム画面がお披露目となった10月3日のイベントでの反応は上々で、カードの翻訳も喜んでもらえて良かったという。現場を生中継したニコニコ生放送では「フォントをもう少し格好良いものにして」というコメントがあったが、対応予定はあるかと聞くと、「今の時点ではないが、そのような意見はどんどんほしい」と応えてくれた。
フィードバックについては、日本語版配信と同時に日本語の公式フォーラムが開設され、そこで意見を投稿することができる。対応には専門のコミュニティマネージャーが付くそうで、「より良いものを作るため引き続きお願いします」とした。なお配信と同時に、日本語の公式Twitterアカウントも開設される。
なお今後の日本でのイベントについては、SANKOがパートナーとなって実施していく。Blizzardとしても日本のコミュニティの関係を深めていきたい考えがあるそうで、コミュニティを広げるような活動や、e-Sports大会も開催したいとした。
またメッセージとして、既存プレーヤーに対しては「外国語ではあるが非常に多くプレイしてもらい、コミュニティの成長に貢献してもらって感謝しているし、有名なプレーヤーも出てきてとても嬉しい。作りこんだ日本語版を楽しんで、貴重な意見をどんどんいただきたい」、新規のプレーヤーには「『Hearthstone』やBlizzardを知らなくても、1回プレイしてほしい」と語った。
さらにチュー氏は、「個人的な話になるが、日本は文化も大好きだし、ゲームやアニメが大好きなこともあって、思い入れがある。今回の日本語化は、良い仕事ができたと思う。ぜひ楽しんでもらえれば」と話した。