NCJ、「The Tower of AION」運営インタビュー
「3.0」情報や日本運営の今後など「AION」の未来像を聞く


5月21日 開催

会場:ワーナーマイカルシネマズ茨木


 エヌ・シー・ジャパン株式会社は、5月21日にWindows用MMORPG「The Tower of AION(以下、AION)」の最新アップデート「Episode 2.5 光のさす場所へ」を記念したオフラインイベント「タワー オブ アイオン 2.5アップデート記念ジャパンプレミア」を大阪のシネコン「ワーナーマイカルシネマズ茨木」で開催した。

 イベントでは「2.5」の紹介や「2.6」アップデートのサプライズ発表、月刊少年エースでのコミカライズなどが発表された。イベント終了後に、エヌ・シー・ジャパンの「AION」担当パク・ナナ氏に話を聞くことができた。

 アップデート「2.5」や「2.6」、コミカライズなどイベントで発表された内容の詳細に加えて、韓国では年末の実装を目指しているという「3.0」の情報や、今後の日本運営の方向性など、今後の「AION」を占う重要な情報目白押しでお届けしたい。



■ ユーザーが世界を作っていけるようなゲームにしていきたい

エヌ・シー・ジャパン「AION」担当パク・ナナ氏
大阪のイベントではパク氏が「2.5」の見どころを紹介した

編: オフラインイベントの手ごたえはいかがでしたか?

パク・ナナ氏: 大阪のお客様はフランクというか、みんなすごくフレンドリーで積極的でしたね。

編: すこし暑くて疲れ気味でしたが、最後のアトラクションではすごく盛り上がっていましたね。

パク氏: 設備の問題で予想外のことが起きてしまって申し訳なかったです。でも映画館でできたこと自体には手ごたえを感じていますし、ご来場いただいたお客様にもすごく満足していただけたと、お帰りになる時の反応を見ていて思いました。

編: また映画館でやって欲しいという声もありましたね。

パク氏: 大阪に限った話ではありませんが、今後は今までとは少し違う形でのオフラインイベントをやりたいなと思っています。例えば、あくまで希望としての話ですが、ドームとか遊園地を借りて、オフラインイベントの内容以外にも楽しめる要素を取り入れたものにしたいと思っています。

編: 大阪でもまた開催したいですか?

パク氏: もちろんです。

編: ではゲームのほうのお話しに移ります。「2.5」の意義について改めて教えていただけますか?

パク氏: プロモーションの公式動画を見ていただければわかるように、「2.5」は「3.0」につながるコンテンツとしての意義を持っています。今、ユーザーさんのほぼ半分以上がレベル50以上です。そういったユーザーさんが快適に楽しめる状況を作ることを1番のコンセプトにしたアップデートなのです。そのために新たな目標を提示しつつ、ストレスを感じずにサクッと遊べるエンドコンテンツを提供する。それに加えて、低レベルのユーザーさんが離脱しないで上に上がれるように、助っ人システムですとか「2.6」で入るパーティーの自動マッチングというシステムが入ります。早く上にあげつつ、上ではサクッと遊べる環境を作るという意味も持っています。

編: 「2.5」は「2.0」のフォローアップではなく、「3.0」への前準備という意味合いが大きいのですね。どんどん上げてということは「3.0」では、かなり高レベル向けのコンテンツが入っていくということですか?

パク氏: 「AION」は他のMMORPGとは違ってレベルアップが目的ではないのです。ですから最高レベルに達するまでの時間は短くて、2カ月もあればレベル50になれます。レベルを上げるのが目的ではなくて、上がった後の並列的な楽しさを提供することが目的なのです。「2.5」では高レベルの方が「3.0」を待ちながら楽しめるコンテンツを取り入れています。

編: 高レベル向けのエンドコンテンツというと、対人戦か、装備を手に入れて強化するという形になりやすいですが、「AION」ではそれ以外にどんな楽しみ方を提供していくのですか?

「2.5」では新しいブランド衣装や、「テンペル訓練所」の報酬としてたくさんのおしゃれ装備が実装される

パク氏: もちろんコンテンツの目的となる、ユーザーさんが目指すところがないとつまらないと思っています。「AION」の場合は、より強い装備を集めて対人戦で勝ちたいというのが一部の方の目的だと思います。でもそれ以外の方を見ると、もっと生活に近いと私は感じています。仲間がいておしゃべりをしたり、おしゃれ好きの方の場合はアイテムを集めてスクリーンショットを撮ってという、それぞれの楽しみ方をユーザーさんが見つけているのです。それが「スタイリッシュAION」とキャッチコピーを変えた理由でもあります。要するに、1つの目標に向かってみんなが走るのではなくて、ゲーム内でそれぞれの目的をユーザーさんが見つけて、それを自分なりに楽しむRPGだと思うのです。

編: 「2.5」で実装されるレギオン装備もそういったコミュニケーション要素の1つですね。

パク氏: PvPが好きな方、仲間とのパーティープレイが好きな方、制作が好きな方など、楽しみ方は人それぞれだと思います。MMORPGというジャンルで全員の要望に満遍なく応えるのは非常に難しい事です。今後の「AION」は運営がこっちだよと引っ張るものではなく、どちらかというとユーザー自身がコンテンツを作っていく形になっていくのではないかと思っています。

編: ゲームの世界をユーザーが作っていくということですか?

パク氏 :「AION」が他のゲームと1番違うのは、ユーザーさんがすごく積極的で、一言でいうと現代っ子だということです。オフラインイベントにいらしているのも、みんないまどきの若い人たちで、生き生きしています。とても個性が強くて、ゲーム内でもユーザーさん主導で色々なイベントが行なわれたりするのです。だから運営が「こうしてください」とか「こういうのをやるよ」と言うのではなく、ユーザーさんがイベントを行なう際にアイテムで協賛してあげたり、公式で告知してあげたりといったようにフォローもしていく感じですね。

編: 「助っ人」システムは、パワーレベリングがやりやすそうなシステムですが、それに対する防衛策は何か入っているのですか?

パク氏: 韓国では友達や恋人同士で遊ぶことが多く、助っ人パーティーを利用して早くレベルアップする傾向はもちろんあります。しかし経験値自体は、同レベルのプレーヤーと一緒にパーティーを組んだ方が多くもらえます。ですので、助っ人システムがパワーレベリングの手段になるとは言いがたいです。日本で実際にパワーレベリングに使えるかどうかはまだわからないですが、まず実装してみて、害のある部分は今後改善していきたいと思います。ただ日本ではそこまで悪用する人はいないのではないかと期待しています。日本のユーザーさんは韓国とは違って、ユーザーさん同士で厳しく注意しあいますから。韓国ではお互いに許し合ってしまうようなところがあるのです。それもあって本来の目的で使っていただけるのではないかと思っています。

編: 韓国でも規制する仕組みは入っていないのですか?

パク氏: 入っていません。そのせいで、何か大きな問題が起きているということも今はないですね。



■ 「3.0」の柱となるのは生活要素と新しい戦闘方式

2人以上のパーティーで入る「第1テンペル訓練所」。「第2」は1人で挑戦するソロ用のインスタンスダンジョンとなる

編: イベントで「2.6」のサプライズ発表もありましたが、「2.5」、「2.6」と小刻みに分かれているのはなぜですか?

パク氏: アップデートはユーザーさんが1番楽しみにしている行事です。全部まとめて1年に1回出すのではなくて、ある程度の内容を提供して、そこで足りなかった部分やもっと強化して小刻みに提供することによって、ユーザーさんにも楽しみが増えると思うのです。1カ月に1回とか、大型アップデートがあった後にすぐにまたアップデートがある方が、楽しみを提供する機会を増やせると思います。

編: 「2.6」で入る要素について教えていただけますか?

パク氏: 1番の目玉は「第1テンペル訓練所」に続く「第2テンペル訓練所」です。レベル50以上のキャラクターが楽しめるソロ用のインスタンスダンジョン(ID)が1つ増えることになります。今まで「古代の遺物」や「勲章」はクエスト以外では1人で集める方法がありませんでしたが、ここではそれらを1人で集められます。デイリークエストのように、ソロで遊ぶユーザーさんが毎日遊べて、目標を達成していくやりがいを感じられるという意味合いが最も大きいと思いますし、第1と同じくステージクリア型なので挑戦していく楽しさも感じていただけると思います。

編: 「第1」ではテンペル記章がもらえますが、「第2」では別の報酬があるのですか?

パク氏: 同じです。ですからパーティーに参加できない方でも「第2」で1人で集められます。韓国では「2.6」アップデートの後に、「ルドラ」と「タハバタ」の難易度が下がるというパッチがあったのですが、日本ではそれを合わせた形でのアップデートになります。これも既存ユーザーにとってはかなり嬉しい内容になると思います。

編: 「第2テンペル訓練所」の内容は「第1」とどう違うのでしょうか?

パク氏: 「第1」は10ステージ5ラウンドですが、「第2」は6ステージ1~2ラウンドで、敵の構成も「第1」とは少し違うものになっています。後は6つのステージとは別に「ヒドゥンステージ」というものがあって、時々現われる亀裂から隠されたステージに入れます。

編: 隠しステージには何かいいお宝があるのですか?

パク氏: お宝ではありませんが、テンペル記章を集める機会が増える場所です。中は見てのお楽しみとさせてください。

編: ボスも「第1」とは違うものが出現するのですか?

パク氏: 「第1」とは違うボスと対決することになります。しかし決して手軽な相手ではありません。

編: カスパールのようにNPCがついてきてくれることはないのですか?

パク氏: それはありません。ずっと1人で戦うことになります。「ハラメル」などに近いですね。

編: 「タハバタ」と「ルドラ」の難易度が下がるということですが、今までは倒せる人が少なかったのですか?

「2.6」アップデートから、「暗黒のポエタ」のボーナスボス「タハバタ」を攻略しやすくなる

パク氏: 「ルドラ」の場合は正攻法では倒せないボスになってしまっていて、「ゾンビアタック」と呼ばれている攻略法で倒されています。それはコンテンツとしてどうなのかということで、正攻法でも倒せるようにバランスを調整しました。

編: 今までのボスでも「ヴォカルマ」をパターンにはめて倒したりということがありましたが。

パク氏: 「ヴォカルマ」の場合は正攻法でも倒せますが、「ルドラ」の場合は正攻法では倒せないと開発が判断したわけです。だからストレスを感じさせない方向で、正攻法で倒せるようなレベルに調整したのです。

編: 「タハバタ」についてはどういう理由ですか?

パク氏: 「タハバタ」の場合は「暗黒のポエタ」でランクを決めるポイント自体が調整されてSランクに挑戦しやすくなります。Sランクが既存のAランクくらいのポイントに調整されています。その上で、AランクとSランクのボスが弱くなっています。入場条件とボスの強さが調整されたわけです。

編: 今まで見たことがなかった人も、「タハバタ」に会えるようになるわけですね。

パク氏:データを見てもSランクはあまり戦われていなくて、Aランクが1番多かったのです。今後はAのポイントでSに入れるようになりますから、もっと「タハバタ」の人気も出るでしょうね(笑)。

編: 報酬についても調整が入るそうですが?

パク氏: 「炎の神殿」と「スティールクロウ号」でのみ適用される新システムが入ります。この2つでボスを倒すと、武器ではなく箱を落とします。箱を開けると、開けたキャラクターがソードウイングならば、ソードウイングが装備できる武器のリストが出るので、そこから欲しいものを選択できます。箱を手に入れるクラスによって、武器の種類は変わります。

編: 自分が欲しい武器が手に入りやすくなるのですね。

パク氏: おそらく経験されたことがあると思いますが、パーティーで一生懸命戦ってやっと武器がドロップしたのに「これ持ってるわ」とか「これいらないわ」となってしまうことがありますよね。それを防げるようになります。

編: 適用されるのが「炎の神殿」と「スティールクロウ」だけなのはなぜですか?

パク氏: レベル30~40台のユーザーさんに、あまりIDでのストレスを感じさせないように、そして早くいい武器を手に入れて欲しいという目的です。

編: 確かにそのレベル帯では毎日IDに行っても手に入らなかったということがありますね。

パク氏: そうなんです。レベルがすごく早く上がるようになったので、IDに行けるチャンスが少なくなったんです。ですから少ないチャンスでも手に入れられるようにするため調整です。

「2.5」のムービーの最後に入っている「3.0」の映像。ハウジングが生活要素の目玉となる
みんなで入る温泉。どういう効果があるのか気になるところだ
レギオンが所有できる街同士の戦争もあるかも?

編: 「3.0」も少しずつ見えてきていますね。

パク氏: 基本的には「ビジョン映像」の内容はほとんど実装されると考えていただいて問題ないと思います。1番強化されるのはハウジングの部分ですね。レギオン単位の街づくりができて、その街対街の戦闘があるかもしれないといった感じです。

編: それは面白そうですね。

パク氏: 「2.5」の動画の最後にみんなで入る温泉のようなものが出ていましたよね。あれがレギオン単位になるかどうかはわかりませんが、レギオン単位でハウスが持てるようになるのは確実です。世の中はSNSブームですが、私はオンラインゲーム自体が一種のSNSだと思うのです。「AION」ではそういったソーシャルの要素を強化していくことになると思います。自分のブログを持つような感覚で家を持って、そこで物を売ったり自分好みに飾ったりという要素が今後も強化されていくと思います。

編: 「3.0」というのは生活要素が大きなコンテンツとして入るようなイメージですか?

パク氏: それにプラスして戦闘の方式が大きく変わるかもしれないという2つですね。

編: 「3.0」の情報はいつごろ出てくることになるのですか?

パク氏: 年末くらいでしょうか? 韓国では年内の実装を目標に動いていると思います。

編: もうかなり近いですね。

パク氏: 近いですね。ですから「2.5」の公式動画の後ろに「3.0」がついたのも、もうすぐ来るよという理由だと思います。



■ オンラインゲームのすそ野を広げるためのコミカライズ

主人公はイズラフェルワールドの魔族側でプレイをするという設定
PvPが好きなコアゲーマーのヒロイン。リアルワールドでの主人公との恋の行方も気になるところ
オンラインゲームならではの人間模様が楽しめる

編: オフラインイベントでは「AION」のコミカライズも発表されました。他にもさまざまなメディアがある中で、なぜコミカライズを選んだのですか?

パク氏: 日本のアニメの市場を見てみると、人気のコミックスをアニメ化していくことで成功のラインに立っていく、コミックに先に認知度があってそれをアニメ化することでさらに話題になるというスキームがあります。そこを地道にやっていくことが告知の拡大になるだろうというのが、そもそもコミカライズの企画を立てたきっかけです。

編: スタート地点としてのコミカライズなのですね。

パク氏: もちろん「AION」というコンテンツありきですから、通常のパターンとは少し違います。今回我々がチャレンジしたいのは、オンラインゲームの中にある色々な人間模様をわかりやすく表現していくことで、オンラインゲームの敷居を下げるということです。角川さんと組む理由もそこにあります。少年エースは読者が中高生なのです。「AION」のメインのプレーヤーさんは経済力のある社会人の方です。「AION」が中高生向けになるわけではなく、逆に中高生に「AION」をわかりやすく説明して上がってきてもらうというイメージです。それにはコミックが表現としてはわかりやすいかなと。アニメにしなかったのは、アニメではなかなか表現しづらいアウトラインや細部まで表現できるコミックスのほうが作りやすいと思ったからです。

編: 企画自体はいつごろから動いていたのですか?

パク氏: 1年くらい前に「AION」をもっとわかりやすく説明しながら、新規の方に触れていただくにはどうしたらいいかという話し合いがありまして、その中の一案としてコミカライズが出たのです。その後、紆余曲折がありまして、やっと実現までこぎつけたという状況です。

編: 作家さんの選定は角川さんで行なわれているのですか?

パク氏: そうです。

編: NCJさんはどういった形で関わるのですか?

パク氏: 我々は監修とストーリーのプロット作業を担当します。こちらで作り上げたプロットを、作家さんにボリュームアップして漫画に落とし込んでもらうという流れになります。

編: 「AION」では天族と魔族は会話ができなので、そこをストーリーに絡めていくのは難しそうですね。

パク氏: 今回は「AION」というタイトルがテーマにはなるのですが、「AION」の中だけで進行するのではなく、現実世界とも密接にリンクさせる物語になっています。「AION」で出会うボーイミーツガール的な要素を入れながら、リアルではラブコメ、ゲームの中ではバトル漫画という形を目指しています。オンラインゲームへの敷居を下げるためのコンテンツととらえていますので、ゲームの楽しみ方の根幹部分、例えばプレーヤー間のコミュニケーションや、両族間の戦いのスピード感みたいなものをフィーチャーできるような作品にしたいです。

「イズラフェルサーバーに決まったことに、わたしたちが1番驚いているのですよ」とパク氏

編: オフラインイベントで発表した後のユーザーさんの反応はいかがでしたか?

パク氏: 話題にはなっていますね。どういう話になっていくのかがユーザーさんにもなかなか想像できないということと、リアルとゲームとの話が現行でサービスしているゲームのコミカライズとしてはあまりなかったものなので、新鮮味を持って受け入れられているコメントが目立ちました。ちなみにイズラフェルに決まったのは本当に偶然です。

編: 本当ですか? 狙ってやったのかと思ったのですが。

パク氏: まったくもって偶然です。リハーサルの時にはシエルだったんです。シエルを引いた時も、1番人口が多いのでヤラセっぽく見えると思ったんです。でも実際にイズラフェルになると、これも新規獲得に力を入れているワールドだけにちょっとヤラセっぽいかなと(笑)。我々が1番驚いています。

編: イズラフェルとシエルではコミックスのストーリーも変わってきそうですね。

パク氏: そうですね。でもイズラフェルの方がドラマティックな展開ができるかもしれないですね。

編: 魔族が劣勢なので主人公に合っているかもしれないですね。ユーザーさんのリアルな環境も漫画の中に反映させていくのですか?

パク氏: 実際にユーザーさんが使っているPC環境を描写として入れることはあり得ると思います。ロケをするサーバーを決めたのも、コミックとゲームの連動を念頭に置いた企画だからなので、リアルな状況とコミックスの話がクロスオーバーすることも考えています。

編: イズラフェルのプレーヤーがコミックスの中に登場したりもするのですか?

パク氏: ユーザーさんの許可が取れれば出演してもらう方向で考えたいと思っています。そのあたりは今後のゲーム内の企画にも関わる部分なので慎重に進めていますが、出演してもらう可能性はあります。

編: 出演したいと言う人は多そうですね。

パク氏:例えば要塞戦では大手レギオンが指揮を執っていますよね。そういったシーンでは間違いなく名前を出した方がリアリティがあります。主人公やヒロインはレギオンの一兵卒として登場すると思いますので、そういったところでユーザーさんにご出演してもらうことになると思います。

編: ゲーム内でコミックスに関連したイベントは予定されているのですか?

パク氏: 現在企画中ではあります。内容はまだ固まっていないので、お楽しみにという段階です。



■ 「AION」だからできる、女の子だけのオフラインイベントも企画中

編: 「AION」のサービスが日本で始まってもうすぐ2年が経ちますが、運営の現状について聞かせてください。

パク氏: サービスが始まってすぐの頃にはアカウントハッキングやBOTなど色々な困難があり、重い課題が多かったので運営の態度も慇懃でした。それが「2.0」辺りから変わってきて、掲示板に「田中」というスタッフが出たり、イベントでおなじみのMCタナベもそうですが、運営も「AION」を楽しんでいる人たちだよということを強調しています。運営もユーザーさんと同じように「AION」が好きで集まった人たちなので、もう少しフランクな感じの運営をしていきたいと思っています。いま「AION」の運営メンバーを見ると、みんなとりあえず元気です。社内でも1番団結力があって、1番主張も強い現代っ子たちの集まりなのです。つまり「AION」を遊んでいただいているユーザー層に近いわけです。だからもっとオープンマインドな運営をしていきたいと思っています。

編: そういえば最近はゲーム内であまりBOTの姿を見なくなってきましたね。

パク氏: そこに対してはかなり厳しくやっています。内部で基準を決めて、もうこれ以上絶対に増やしてはだめというものが明確にあるので、それに沿ってBOTを処理しています。

編: リストでも毎回公表していますね。

パク氏: 公表しているのは一部で、アカウントを停止した数はもっと多いです。BOTが減ったのは、「2.0」や「2.1」でドロップ率の調整が入ったことでBOTが稼げなくなったことの影響も大きかったのですが、それに加えて内部での施策を強化したことも大きかったと思います。

編: 「2.0」あたりから、本当に顔が見える感じになってきましたね。

パク氏: それは今までのエヌ・シー・ジャパンではあまりなかったことなのです。内部でも最初は「大丈夫か?」と心配はあったのですが、1回出てみたらユーザーさんの反応は思ったよりもよかったので、調子に乗っているのです(笑)。今後もこの調子で行きたいと思っています。

編: ここ最近の可愛い「AION」という方向性には、パクさんの女性的なセンスも反映されているのかなと思ったりもするのですが、どうですか?

パク氏: 韓国の「AION」では、女性ユーザーの数が異常と言われるくらい多いのです。その要因としては、キャラクターカスタマイズがあるとかグラフィックスが綺麗という部分もあるのですが、それ以上にレベルアップしやすいとか、進行しやすいという部分が大きいですね。それで彼氏が彼女を呼び込みやすいのです。日本のオフラインイベントでも女性のお客さんが多いですが、韓国でも同じなのです。女性のユーザーさんが増えれば、当然女性のユーザーさんの声が大きくなってきます。もっと簡単にして欲しい、もっと可愛くして欲しいと。女性のユーザーさんがいると、今度は男性のユーザーさんが集まるので、女性ユーザーさんの声が反映されていくのです。ですから女性が喜ぶテイストは今後も強化していくことになるでしょう。

人数が少なく苦戦中のイズラフェル魔族。種族間の人数差は「AION」の課題だ

編: 天族と魔族の人口バランスはどうなっているのでしょうか? 前回のオフラインイベントで発表されたイズラフェルワールドの7:3という人口比の数値は動いているのですか?

パク氏: ほとんど動いていないですね。例えばイズラフェルだと魔族が弱いというのは相変わらずです。ただ、その発表した数字はあくまでも客観的な指標です。要塞戦など勢力争いに関わってくるのはユーザーさんのやる気、集まり具合です。人口比自体は変わっていないのですが、集まりはかなり魔族の方がよくなっています。ユスティエルの場合はずっと魔族が劣勢でしたが、最近になって要塞の所有は頻繁に変わっていますし、イズラフェルの場合もキャラクターを作ろうという運動が掲示板で起こったりと、ユーザー自身で劣勢種族を挽回させようという雰囲気がとても強まっています。優勢種族と劣勢種族に関わる問題は深刻に捉えていますが、かといって運営が直接何とかしてあげるのは、逆にユーザーにとってはつまらないと思うのです。ですから直接関与するのではなく、1つのワールドに人を集めてあげるとか、そういう間接的にフォローするような対策をとっていきたいと思います。

 今回のアップデートで魔界が非常に明るくなりますし、肌の色も天族と変わらない色が作れるようになったので、今後の新規ユーザーさんに関しては魔族が増えるのではないかと期待しています。まだ具体的にいつ実施するとは言えないのですが、新規応援を1つのワールドに集中させたいと思っています。イズラフェルの場合は魔族が弱いと言われるのですが、それ以前にイズラフェル全体の人口が他のワールドに比べて少ないのが問題なのです。イズラフェルの人口を増やすための対策を取って、イズラフェル魔族に残る人は残ってもらい、他のワールドに移動したい人にはそうしてあげるといった形で、まずは1つのワールドに人口を集中させる対策を取っていきたいと思います。

編: イズラフェルに新規ユーザーを呼び寄せる方策はあるのですか?

パク氏: 5月31日からオススメワールドがイズラフェルに変わる予定です。今後、新規のユーザーさんに対する広告展開などの際には必ずイズラフェルに誘導するような導線を作りたいと思っています。いまFSが実施している初心者応援も、1つのワールドに集中させた方がユーザーさんにとっても一緒に始める仲間が多くて楽しいはずです。それを早い段階で入れていきたいと思います。

編: 今後、「AION」はどういう形で運営していくのか考えを聞かせてください。

パク氏: 私は「AION」の立ち上げからずっと携わっていました。個人的な話になりますが、プレイしていて最初はすごくプレッシャーがあったのです。「早くレベルを上げなければ」とか、「早くあのアイテムを手に入れなければ」とか、自分が強くない部分がストレスだったのです。でもいつの間にか、それらはどうでもよくなってきました。弊社の多くの女性社員も「AION」で遊んでいますが、みんな自分なりの楽しさを見つけていく雰囲気になったのです。「スタイリッシュMMORPG」というキャッチコピーは、見た目だけでなくライフスタイルまで表わすものです。私自身は「AION」をハードルの低いMMORPGにしていきたいと思っています。「AION」は非常に高い完成度を持っているのですが、それを前面に出すことによって、ユーザーさんは難しそうとか、スペックが足りなさそうだと逆に壁を感じてしまうのです。そういう壁を取り除いて生まれ変わることが、今の「スタイリッシュAION」というキャッチフレーズに繋がっています。その方向性を保ちつつ、初めての方も楽しく遊べるMMORPGにしていきたいと思っています。

編: 新規で始める方に向けてのアプローチはどんなやり方を考えていますか?

パク氏: 最初は天族と魔族の戦いというよりは、2つの種族に分かれてお互いの運命が変わっていくような、ぼんやりした見せ方をしていきたいと思っています。天族と魔族が昔は1つの種族だったのにそれが別れてと説明しても、初心者には伝わりにくいと思うのです。だから最初はキャラクターカスタマイズとか、アクションとか、ぱっと見てわかるような特徴を全面に出していきたいと思っています。天族と魔族に分かれているから遊びたい、と思う人はあまりいないと思うのです。最初は自分だけのキャラクターが作れるとか、空を飛びながら戦えるとか、色々なペットが飼えるとか、ソーシャルアクションが使えるとか、そういうカジュアル寄りの側面を押していきたいと思っています。

編: カジュアルなユーザーを増やしていきたいということですか。

パク氏: MMOの市場自体はコアユーザーに焦点を絞っていることが多いですよね。ユーザーさんを取り込みやすいからそうなっているのですが、コアユーザーは新しいゲームが出るとすぐにそちらに行ってしまいます。コアユーザーだけではコンテンツ自体の寿命が縮まってしまうのです。日本で長続きしているRPGが少ない理由もこれだと思うのです。新しい人を呼びこまなければすぐに終わってしまうので、まずは市場を広げることが大事なのです。

「カジュアルな層にオンラインゲームを知ってもらい、すそ野を広げていくことが重要です」とパク氏

編: ライトユーザーはオンラインゲームに触れる機会があまりないと思います。コミカライズはいいチャンネルになるかと思いますが、他にはどんな方法でのプロモーションを考えていますか?

パク氏: 1番難しいところですね。今までは、PCを購入する方への宣伝や、ネットカフェを中心に展開してきたのですが、今後は少し考えを変えて認知度を高めるためのプロモーションを増やしていきたいと思っています。例えば今、TOKYO MXで放送中の「明けテレ」という番組内で「AION」をプレイしてもらうというコーナーを展開しています。そういう番組協賛もそうですし、コミカライズもそうですが、「AION」の内容をよりわかりやすく、説明っぽくならないよう伝えていければと思っています。

 MMORPGを始めるきっかけは友達からの誘いが1番多いのです。だから今遊んでいるユーザーさんをどれだけ楽しませるのか、どれだけ誠意を見せられるのかが1番のキーになると思っています。弊社の場合、オフラインのイベントにとても力を入れています。ユーザーさんの満足度が上がれば、自信を持って友達を誘えますから。今後は友達を招待できるオフラインイベントもやっていきたいと思っています。「俺こんなゲームやってるんだよ」と友達に見せても恥ずかしくないオフラインイベントにしたいですね。実は女子会のような企画も進んでいます。女性ユーザー限定でお友達と遊びにきてくださいというような、お茶会的な展開も考えています。

編: 面白いですね。あまりそういう展開をしているオンラインゲームは見たことがないですね。

パク氏: 「AION」の場合は、女性だけのイベントをやってもあまり人が集まらないという心配はまずありませんので(笑)。自信を持ってそういうオフラインイベントを実施できると思っています。

編: 最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

パク氏: 好きなように遊べる。なるべくユーザーの個性に応える。それをフォローしていく、ノリのいい運営になりたいと思います。これまでも皆さん素敵な「AION」ユーザーとして活躍していただいてありがたいですが、その調子で今後も「AION」を楽しんでいただければと思います。

編: ありがとうございます!



 なおイベントと同日に生放送された「椿姫・自演乙☆のタワー・オブ・ニコニコ大放送!」のアーカイブ版が公開されている。オフラインイベントと絡めたコーナーもあるので、当日生放送を見られなかった方はぜひご覧いただきたい。


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(2011年 5月 27日)

[Reported by 石井聡]