カプコン、WIN「モンスターハンター フロンティア オンライン シーズン8.0」インタビュー
「今年はMHF本来の狩りの楽しみや面白さをより届けたい」


3月30日 収録

会場:カプコン東京支店


 株式会社カプコンは、Windows用オンラインハンティングアクション「モンスターハンター フロンティア オンライン(MHF)」において、大規模アップデート「シーズン8.0 “氷撃、デュラガウア”」を4月21日に実施する。

 「シーズン8.0 “氷撃、デュラガウア”」は、オリジナルコンテンツの実装という昨年の目標が一段落したことから、既存コンテンツへのテコ入れを目的とした今年最初のアップデートとなる。長年ユーザーから寄せられていた要望に対して、ハンターの攻撃スタイルの追加や、武器種のバランス調整、アイテムボックスの拡張といった形で答えを出したうえで、新モンスター「デュラガウア」や上位スキルの実装など、多岐に渡るアップデートとなる。

 インタビューのお相手は、「MHF」の顔としておなじみの開発統括本部オンライン開発部 運営プロデューサーの杉浦一徳氏。今回はアップデートと並行してXbox 360版にも取り組んでいる最中のインタビューとなり、睡眠時間が足りないとこぼしていたものの、インタビューで予定していた2時間をオーバーしても足りないほど「シーズン8.0」の魅力について語ってくれた。




■ 「ラヴィエンテ」や上位スキルなど「シーズン7.0」を振り返って

開発統括本部オンライン開発部 運営プロデューサーの杉浦一徳氏

――まずは「シーズン7.0」を振り返りたいと思います。新モンスターの「ラヴィエンテ」について、実装直後はプレイ時間などに対して賛否両論あったようですが、調整後は遊びやすいモンスターになったと感じています。これについての手応えはどうですか?

杉浦一徳氏 :「シーズン7.0」に関しては、実装直後か、修正後か、という時期によって大きく評価が違うと思います。実装直後に関しては反省すべきことが多く、少なくとも合格点ではなかったと思っています。

 「ラヴィエンテ」に関しては、毎週のように修正を加えていたので、お客様には迷惑をかけてしまいました。ただその中でも予想以上によかったことは、カプコン側のフットワークが軽く、毎週のように修正できたことです。次のアップデートまで修正待ちといった状況にならないように、最短の時間でリカバリーできたと思っています。

 ただそうは言っても昨年12月における「ラヴィエンテ」の「大討伐」に関しては見苦しい面があったので、改善すべき課題になっていました。修正後の1月以降は次第に落ち着いてきて、遊びたい人たちが適度に足を運んでいるという状況で、イベントモンスターとして安定した運用になっていると思います。

 その一方で、ものすごく頑張って遊んでいるお客様からは、開催間隔を短くしてほしいという要望もあります。しかしいつでも遊べるようにした場合は、お客様が分散してしまうと思っています。今の開催間隔のままで今後も十分安定運用していけると思っています。


【スクリーンショット】
32人のハンターが協力して討伐する「ラヴィエンテ」。様々な修正により現在は討伐時間が短縮されている


――「攻撃【特大】」や「見切り+4」など上位スキルに関してはどういう反応がありましたか?

杉浦氏 :正直言って、反応は地味なのかなと感じています。もしかすると、今までのスキル構成が大きく変わるもののように受け取られていたお客様もいるかもしれませんが、上位スキルはスキルポイントを大量に必要とするので、かなり限定された場面で使われるものになっています。

 例えば「超高級耳栓」であれば、「ラヴィエンテで使おう」といった形です。データを分析すると、多くの方が使われているわけでも、全く使われていないわけでもなく、比較的落ち着いた形で浸透しています。今後はアンケート結果を考慮しながら、「シーズン8.0」で上位スキルを一部追加して、「シーズン8.5」、「シーズン9.0」という形でリファインをかけていきたいと思います。

――双剣のバランス調整には随分慎重という印象でしたが、調整後のユーザーの反応はどうでしたか?

杉浦氏 :予想以上に双剣を使っていただいている印象です。プレーヤー(ハンティング)スキルの高いお客様が猟団対抗韋駄天杯や狩りの中で使い方を見せてくれているように、今回の下方修正によって双剣の能力が全く発揮できないのではなく、調整前の双剣に近いくらいの戦い方はできていると思います。

 お客様の中には、弱体化と言われて双剣を使うのをやめようと思った方もいるかもしれません。しかし、新たな戦い方を知り、これまでと同じように使えることがわかった方はそのまま双剣を使っていますし、それ以外の方は別の武器種にチェンジしているようです。少なくとも、双剣3、狩猟笛1というパーティー募集文が飛び交っている状況は減っており、そういうご意見も減少しました。

 例えば、剛種「ヤマツカミ」の時にはランスの「バーシニャキオーン」が、一部のクエストではライトボウガンの「超速射」が使われていたりします。双剣も剛種チケット入手用の「アクラ・ヴァシム」で使われているようです。モンスターの種類やクエストの条件で武器を変えるといった形で、本来遊んで欲しかった方向に向かいつつあります。ただ結果的によかったとはいえ、下方修正自体はよくないことなので、これからも気をつけていきます。




■ 武器全11種類に新スタイルを追加する「秘伝書」システム

理想像のスタートというくらい「秘伝書」システムには力をいれていたようで、最も時間をかけて語ってくれた

――前回のインタビュー時には、「シーズン7.0」まではオリジナルコンテンツを投入し、2010年からは既存コンテンツを拡張するとおっしゃいましたが、今回の「シーズン8.0」はその理想像に向かって進められていますか?

杉浦氏 :その理想像のスタートとなるのが今回の「秘伝書」システムです。今までは「パローネ=キャラバン」や「頼狩人(ラスタ)」、「大討伐」といった、メインとは別のコンテンツを増やしていきましたが、「シーズン8.0」からは、広場で受注するクエストというメインの部分に対して、さらなる楽しさや面白みを与えられるものを追加していこうと考えています。

 また今回登場する新モンスターの「デュラガウア」は狩りを楽しむ、という王道の部分をコンセプトに開発したモンスターになります。そういった意味では、「デュラガウア」と「秘伝書」の2つの部分に関して、既存コンテンツの拡張という目標に向けた動きはスタートしています。今後1年を通して、「シーズン8.5」、「シーズン9.0」、それ以降のアップデートでもメインコンテンツのリファインや追加を続けていきます。

――ではまず「秘伝書」で追加される新スタイルの導入経緯から教えてください。

杉浦氏 :ハンターの攻撃アクションを増やしてほしいという要望は、2007年の後半くらいから継続的に寄せられていて、いつかは導入したいと考えていました。ただ武器が11種類あるのでボリュームが多かったのです。そのため、ある程度時間はかかりましたが、今回満を持して「シーズン8.0」で実装できることになりました。

――具体的に新スタイルにはどういうものがありますか?

杉浦氏 :11種類全ての武器に新スタイルがありまして、「シーズン8.0」と同時に全ての新スタイルを実装します。ボタンの割り当てから始まり、色々と試行錯誤したのですが、最終的に今までの特徴的な攻撃アクションと、新たなスタイルを入れ替える形になりました。

 例えば大剣の新スタイルでは、思い切って「溜め斬り」と新スタイル「ガード斬り」を入れ替えました。企画当初に聞いた時には、「溜め斬りを取ってまで入れるほどのものではない」と思っていたのですが、これがカウンターのような感じに仕上がっていて、モンスターが襲ってきたタイミングで斬り返せるという、うまく使うと爽快感があるものになっています。溜め斬りのような見た目の派手さはなくなるかもしれませんが、モンスターごとに今までのスタイルと新スタイルを切り替えたりすることで、遊び方の幅が広がると思います。

 ガンランスの新スタイルに関しても、「竜撃砲」を削って「ヒートブレードモード」を追加しています。こちらは会心率が100%になりますし、従来のスタイルにとって変わるものにはなっていると思います。他にも、片手剣の場合はジャンプして斬り上げた後、降下で再び兜割り攻撃するスタイルや、双剣の場合は突きの後に回転斬りをするスタイルがあります。これらの新スタイルには攻撃アクションの違いだけでなく、「ヒートブレードモード」の会心率のような感じで追加効果も持たせています。

 実際に遊んでみたところ、ほとんどの新スタイルはモンスターの動きに合わせたタイミングが重要で、プレーヤースキルを必要とするものも多くなっています。慣れるまでは大変かと思いますが、HR500以上のベテランハンターならば、すぐに使いこなせるようになると思います。


【スクリーンショット】
ガンランスの新スタイル「ヒートブレードモード」。攻撃時のみ一定時間、炎が噴き出す状態になり、その間はリーチが伸び、会心率が100%になる

――新スタイルのコンセプトは、遊び方の幅を広げるといった感じですか?

杉浦氏 :それもありますが、武器種のバランス調整も多少考慮して、新スタイルに絡めているところもあります。片手剣の新スタイルであれば上方修正という意味でのバランス面も考慮しているので、使いこなせばより強い片手剣の使い方ができると思います。

――具体的に「秘伝書」システムの仕組みについて教えてください。

杉浦氏 :新スタイルの実装方法については悩みました。いきなりHR1から提供することも考えたのですが、それではネタとして面白くないと思います。そこで以前から課題の1つだったベテランのお客様に対するモチベーションアップに結び付けようと考えました。

 また「シーズン8.0」が実装される4月は、新しいお客様が1年を通して1番増加する月なので、新規のお客様とベテランのお客様がどう交流できるかということが課題になっていました。そこで「秘伝書」システムに2つのコミュニティが交流できるようにする仕組みを取り入れてみようというアイデアが生まれました。

 具体的には、HR500になるとギルドマスターが話しかけて、「秘伝書」について教えてくれます。「秘伝書」を入手したら、「秘伝書」とそれに対応する武器を装備できます。そして新スタイルを選択することで、新たなスタイルが使えるようになります。その際にどれか1つの武器種を選んで新スタイルを習得することになります。1度選ぶと別のスタイルを選び直すことはできないので、慎重に選んでもらいたいですね。ただ新スタイルを必ず使わなければいけないのではなく、クエストにはどちらかのスタイルを選んでいけるようになっています。

 そして選択した武器種を装備すると、スキルランク(SR)というものが関連付けられます。SRは、「秘伝書」と、選択した武器種を装備している状態に限定して適用されるもので、武器種ごとに付随したHRのようなものです。SRは1から999まであり、200になると別の新たな「秘伝書」を受け取れます。その際に1つ目の武器種のSRは200のままですが、2つ目の武器種のSRは1からとなります。武器種を切り替えるとSRもそれに対応したものになる仕組みです。

 またSRが低い状態では、クエストに持っていける武器にレア度制限があります。初めはレア度1の武器しか持っていけません。ちなみにレア度制限以上の武器も装備できますが、その場合はSRではなくHRに切り替わります。

 防具に関しては、SRに応じて防御力にマイナス修正が入ります。SR1では防御力が9割以上マイナスになりますので、例えば防御力が600の場合はその5%の30になります。防御力は非常に低くなりますが、スキルはそのままなので、HR1のハンターよりは有利といった感じです。

――SRとHRのハンターは一緒にクエストにいけますか?

 SRとHRの数値はリンクしています。あるクエストをHRとSRのハンター2人で見た場合、HRのハンターから見ればHRで表示されますが、SRのハンターが見ればSRで表示されます。つまりクエストではSRとHRに数値的な差はなく、一緒にクエストにいけるというわけです。

――全ての武器種をSRにした場合、HRはどうなるのですか?

杉浦氏 :HRがなくなるのではなく、「秘伝書」を外せばHRに戻ります。他のゲームでの一方通行な転職システムではなく、切り替えて遊べるシステムです。例えばHR500以上のハンターの場合、SRに切り替えれば低HRのハンターと遊べますし、HRに戻せばこれまで通り遊べます。

――新スタイル以外にSRのメリットはありますか?

 SRでクエストをクリアすると、ハードコア(HC)チケットと、ハンターランクポイント、スキルランクポイントが貰えます。このHCチケットは剛種チケットに近い要素で、これを使ってHCクエストに行けるようになります。HCクエストは、クエスト選択時に炎のマークが表示されている高難易度のクエストです。HCクエストをクリアすると、SRでしか手に入らない武器の生産素材などが手に入ります。

 またHCクエストに登場するモンスターは全て特異個体で、そのクエストでしか見せない動きをします。今回は「ババコンガ」、「リオレイア」、「イャンクック」、「ヴォルガノス」の4体がHCクエストに登場します。現在配信中の適正試験クエストのモンスターのようなイメージです。

 今回の「秘伝書」システムは、もう1度新鮮な気分でプレイしていただきたいという部分と、SRという数値になることでHRが低いハンター達と一緒に遊ぶという、上級者と初心者の交流を含んだものになっています。また既存のお客様に刺激を提供したかったので、難易度が高いHCクエストや、新スタイル、新しい動きを見せる特異個体モンスター、SRで生産できる武器などで楽しんでもらえるようにしています。

――「秘伝書」をHR500以上に設定しているのには何か理由があるのですか?

杉浦氏 :HR999に到達するまでに必要なハンターランクポイントと、現状の平均HR、これからの想定されるHRのシミュレーションなどから算出して設定させていただきました。当初はHR999からという案もありましたが、難易度が非常に高くて入手できないハンターが増えてしまいますので、HR500が適正だと思っています。

――SRが導入されると、HR501以上のメリットは主に進化武器の強化になりますが、それ以外のメリットは考えられていますか?

杉浦氏 :今後HR500からHR999までどういうモチベーションを提供するのはまた別の課題だと思っています。確かに現状でも進化武器という部分で提供していたり、HRが100上がるごとにマイトレポイントがもらえたりといったところはありますが、メリットとしてはやや少ないと言わざるを得ません。そこで今回のアップデートで、後ほど内容はお話しさせていただきますが、アイテムボックスの増加についてサーバーの負荷の問題もあったため、ページ数がHRに比例して増加していくという仕組みを導入しました。まだまだHR501以上のコンテンツは内容的に薄いと感じていている部分なので、これまで以上のインセンティブを提供していくことは忘れてはいません。

――ちなみに猟団対抗韋駄天杯でも新スタイルは使えるのですか?

杉浦氏 :今のところは新スタイルも使える方向で考えています。猟団対抗韋駄天杯では、プレイだけでなく、武器や防具、スキルなども考えなければならないのですが、現状では従来のスタイルと新スタイルで大きな差はないと判断しています。今後のご意見次第では、SR部門とHR部門に分けるなどのやり方もありますが、現在は1度使っていただいて様子を見たいと考えています。




■ 真剣勝負を意識した氷狐竜「デュラガウア」

氷狐竜「デュラガウア」のイメージイラスト

――新モンスターの「デュラガウア」にはどのような特徴がありますか?

杉浦氏 :「デュラガウア」は、氷狐竜(ひょうこりゅう)と呼ばれていて、スピーディーに動くモンスターです。なおかつ“ガチ”、つまり真剣勝負をコンセプトにしています。これまでは「オルガロン」は2頭で、「ラヴィエンテ」はイベントモンスターでという変わったモンスターでしたが、「デュラガウア」は1体に対してハンター達が真剣勝負できるという意味で、久しぶりのモンスターではないかと思っています。

 「デュラガウア」の攻撃のアクションはほとんどがオリジナルになります。スピーディな攻撃が特徴ですが、ある攻撃をハンターが受けると、これまでになかった状態異常になります。これはモンスターの属性に関係した攻撃で、ハンターが雪だるまになるものではなく、ダメージを継続的に受ける手ごわいものになっています。また狩猟中は特徴的なエフェクトが飛び交うので、派手さのあるモンスターだと思います。

――出現フィールドはどこですか?

杉浦氏 :塔の中に作られる新しいエリアです。「ヴォルガノス」の時に火山に新エリアを追加したように、塔にも新しいエリアを追加して、そこに「デュラガウア」が生息しているという形です。「リオレイア希少種」や「リオレウス希少種」が登場するエリアとは別のエリアになります。

 受注可能なHRは、今回はHRが低い方にも提供したいと思ったので、下位はHR22から受注できるようにしています。そして上位はHR51から、剛種はHR100から受注できます。剛種だけは下位や上位と違い、少し動きを追加しています。実装時期は、下位と上位が4月21日で、それから1週間ほど遅れて剛種が登場する予定です。


【スクリーンショット】
怒り状態の「デュラガウア」。通常時と比べて体表が氷に覆われたように白く変化している「デュラガウア」の出現フィールドは塔で、その中の新エリアに登場する。公開されたムービーでは、左右に大きく体を回転させながら攻撃していた


「デュラガウア」の素材から生産できるボルペフラウト(狩猟笛)。氷と睡眠の双属性を持っている

――素材から生産できる武具はどのようなものですか?

杉浦氏 :「氷狐竜」の狐のイメージから、デザインには和のテイストを取り入れています。また「デュラガウア」は青色、オレンジ色、緑色の体色をしたモンスターなので、武具にも同じような色が使われています。「アクラ・ヴァシム」の黒色、「ラヴィエンテ」の茶色、「ベルキュロス」の群青色といった地味な色とは違い、今までの中では比較的カラフルになっています。

――性能面ではどうですか?

杉浦氏 :武器に関しては、「デュラガウア」から想像できる属性が付与された性能のものになります。防具はFX防具についての話になりますが、お客様からは新モンスターの防具なのに性能がいまいちというのはいただけないという意見が多かったので、今後のアップデートでFX防具を実装したいと思っています。FX防具全般に関しては、できる限りいいスキルになるように現在調整しています。


【スクリーンショット】
「デュラガウア」の素材から生産できる剣士タイプ防具「稲荷」シリーズこちらはガンナータイプ防具「玉藻」シリーズ。左が男性用、右が女性用。剣士用・ガンナー用ともに狐をイメージした和風デザインとなっている



■ 「捕獲上手」などの新上位スキルを実装。武器のバランスを大幅に修正

――新たな上位スキルにはどのようなものが追加されますか?

杉浦氏 :今のところ「体力」、「斬れ味」、「防御」、「耐暑」、「耐寒」、「砲術師」、「圧力」、「捕獲上手」についての上位スキルを実装する予定です。今までの上位スキルと同じように多くのスキルポイントを必要とします。「捕獲上手」は、ベテランハンターというよりも、カジュアルなハンター向けのスキルといった感じです。モンスターを捕獲できるタイミングになると合図が出て教えてくれます。

 他には、「体力+50」をつけていれば、体力の最大値が非常に高い状態でクエストが始まりますし、「圧力」の上位スキルをつけていれば、1日の狩りを終えた時に結構な金額の差が出ると思います。ただ「体力」スキルは食事で代用できますし、「圧力」スキルをつけるくらいならスペシャルクエストでお金を稼ぐという人もいると思います。人によって考え方が違うので、万人用ではありませんが、まずはいろいろ試してみるという考え方でもいいと思います。

――武器種のバランス調整はどういった基準で実施されたのですか?

杉浦氏 :お客様からいただいたご要望をもとに、片手剣やガンランスの上方修正をメインに調整しました。双剣は「シーズン7.0」で下方修正したので、今回は属性値を元の値に戻します。その上でボウガンの「火事場力+2」や毒弾・麻痺弾の下方修正に関しては、お客様からのご要望と現状の狩りの状況を判断してメスを入れさせてもらったという形です。

――バランス調整の目的は、他の武器種を使いやすくするためということですか?

杉浦氏 :お客様からいただいているご要望の本質はそこにありました。好きな武器があるのに、狩りでは必要とされていないので持っていきにくいという意見が多かったので、そこを上方修正して、ニーズを与えようと考え、配慮させてもらった結果になります。

――今後もバランス調整は続けていく予定ですか?

杉浦氏 :まずは今回バランス調整をしてみて、その後のアンケートやゲーム内のデータからお客様の傾向を分析します。そのうえで手を加えていない武器種にメスを入れたり、今回のバランス調整が適性でなかったとすれば、再度バランス調整をしていきたいと思っています。




■ アイテムボックスの拡張やリファインアップデートについて

――「シーズン8.0」では既存コンテンツに関する様々なリファインも実施されますね。

杉浦氏 :新モンスターや「秘伝書」システム以外のアップデートについては、これまでの宿題を一部消化しているものにはなっているかと思います。最も大きいのは、アイテムボックスのページ拡張で、これは大多数のお客様から来ていたご要望を叶えられましたし、それ以外のリファインアップデートの内容に関しても、ほとんどがお客様からのご意見へのご回答という形でアップデートさせていただいたものが多いです。


アイテムボックスのページ数がHRに応じて最大15ページまで拡張される

――アイテムボックスの拡張には特に注目が集まっていますね。

杉浦氏 :2年近くお待たせしていた部分なので、お客様にはお詫びしなければいけないところだと思っています。なぜ2年もかかっていたのかというと、これまでは私たちが引いた合格ラインをクリアできるサーバー機器が市場になかったためです。それが昨年の秋くらいに、年明けには合格ラインをクリアした機器が出るという話になったので、今回の「シーズン8.0」に合わせて購入することになりました。

 そのサーバー機器を導入すればアイテムボックスのページ数を2倍以上にでき、お客様に発表する数字としても恥ずかしくないものになるという自信はありました。さらに追加アイテムボックスではなく、基本のアイテムボックスの拡張になりますので、今後は不自由なく使っていただけると思います。


猟団ランクを13まであげると、猟団部屋から期間限定クエストが受注可能になる

――他には猟団部屋の拡張がありますが、これはどういうものですか?

杉浦氏 :今年のコンセプトとして、猟団をより活性化しようという話があります。そこで猟団部屋に大勢のハンターが集まって遊べるようにするには、配信クエストを受注できるようにしなければいけないと考えていました。それに加えて、猟団部屋だけで受けられる特別な配信クエストを提供したかったこともあります。「シーズン8.0」では普通の配信クエストが受注できるので、今後は猟団部屋限定の配信クエストが提供できたらいいと思っています。

――イメチェンサービスについては一部公開されていますが、今後の計画を教えていただけますか?

杉浦氏 :イメチェンサービスについては、当面のアップデートでは新インナーと新フェイスを1つずつ追加していく予定です。「シーズン8.5」でも1つずつ用意していますが、その後はお客様のニーズを見て追加数を考えていきたいですね。

 それ以外のリファインとしては、クエスト受注ウインドウがチャットウインドウと重ならないようにしたうえで、直前に選択したクエストが履歴として残る機能を実装しています。細かいところでは、ヘビィボウガンにおける排熱噴射の内部温度ゲージの上限/下限を調整できるアイテムの追加もあります。あと面白いところでは、ラスタの離脱・復帰時の青い煙を薄くして見えやすいようにします。こういう細かい部分は海外のオンラインゲームでは重要視されない部分ですが、「なるほど、修正しましょう」という流れになるのは日本のいいところだなと思います。


ガイド娘のフィギュアなどが付属した「モンスターハンター フロンティア オンライン シーズン8.0 プレミアムパッケージ コレクターズエディション」

――今回からパッケージにフィギュアが同梱されますが、どういった意図があるのですか?

杉浦氏 :もともとコアなお客様に向けたファングッズというものを考えていたので、今回はメゼポルタ広場のガイド娘が面白いと思ってフィギュア化しました。フィギュアはガイド娘だけのように勘違いされてしまっているのですが、もちろんモンスターのフィギュア化も進んでいます。モンスターとキャラクターの両方で展開する予定です。

 現在は「エスピナス」のフィギュアを制作中ですが、モンスターのフィギュア化はハードルが高く、かなりいい物にしなければリアリティや迫力が出せません。アップデートに合わせて毎回は出せないので、1年に1度出せたらいいかなと思っています。

 また予約受付中のフィギュア付きパッケージは、予約段階でほぼ完売に近い状態です。フィギュアは予約を受けてから生産していては間に合わないのですが、当初見込んでいた予約数を上回っている状況です。アップデート直前に店頭で買おうとしても競争率はかなり高いかもしれません。再生産は現在は未定です。申し訳ございません。

――イベントに関しては今後どういうものを展開予定ですか?

杉浦氏 :4月以降のゲーム内イベントでは、夏の大きなイベントとして、「シーズン8.5」以降に正式サービス3周年記念イベントを予定しています。昨年の正式サービス2周年記念イベントを量と質で下回らないようにと考えていて、イベントは最低でも昨年同様10種類用意する予定です。現在は凝ったデザインの武器防具の追加も含めて企画を詰めていっているところです。

 また夏にはXbox 360版から始める方や、Xbox 360版との相乗効果でWindows版に新規加入するお客様も増えるはずなので、そういったお客様に対してフォローできるイベントを考えてもいます。正式サービス3周年、ハンゲーム導入2周年、Xbox 360版開始記念と、記念日が多くなってきたので、1つにまとめてアニバーサリーイベントとして大々的に行ないたいと思っています。

――「シーズン8.0」以降の展開について教えてください。

杉浦氏 :「シーズン8.0」の約2カ月後の6月下旬に「シーズン8.5」を予定しています。「シーズン8.5」でも、モンスターを追加する予定です。そして「シーズン8.5」を実装する頃に秋と冬のアップデートスケジュールを発表したいと思います。




■ 現状の「MHF」に関するユーザーからの要望など

「シーズン8.0」でこれまでの課題を消化したうえで、今年1年を通してゲームのキモである狩りの楽しみや面白みに注力していくそうだ

――クエストには1人でも行けますが、今のところ1人で遊ぶ場合のメリットがありません。そこで4人プレイ時との報酬に差を設けるか、またはモンスターの体力を変動させるといったことは考えられていませんか?

杉浦氏 :正直いって現状ではあまり考えていません。マーケティング的なデータ分析になるのですが、1人で遊ぶ方はゲームをやめてしまう確率が高く、1人用のコンテンツを増やしていくというのは、ゲームをやめてしまうきっかけを増やしていくことだとも考えられます。できればパーティーで遊んでいただきたいです。

――では1人プレイ専用の称号といったシンプルなものはどうですか?

杉浦氏 :企画としてシンプルとはいっても、開発期間と、お客様の満足度は同じではありませんし、難しいところです。ただ全く1人用のコンテンツを考えていないわけではなく、剛種「ナナ・テスカトリ」のような形で、クエスト形式で何かできないかとは検討しています。現在は様々な開発が進んでいる段階なので、1人用のコンテンツは優先順位としては、正直後ろに回しています。ただ、いつもはパーティープレイだけれども、たまには1人で遊びたいというお客様もいらっしゃると思います。そういったバランス配分は悩みどころです。

――次に猟団部屋の拡張に関してですが、現状では猟団部屋にいる人数や、クエストの受注状況がインターフェイスからは把握できませんが、これについての改善は検討されていませんか?

杉浦氏 :今のところ要望は寄せられていません。猟団部屋には知らないハンターはいないと思うので、猟団チャットなどで確認しているのかと思います。ただ確かにインターフェイスとしてはメゼポルタ広場に合わせることは検討すべきだと思います。これから猟団部屋からクエストに本格的に出発するようになるので、需要の有無に関わらず前向きに検討したいと思います。

――積極的にアンケートを実施されているという印象なのですが、その結果はどう取り扱っているのですか?

杉浦氏 :今のところアンケート結果を開示していませんでしたが、今後は運営レポートで可能な範囲で開示していこうと思っています。アンケートは開示する目的で作ってはいませんでしたが、お客様がお答えいただいた以上、どういった結果になったのか気になっているところではあると思います。

 ただアンケート結果というのは1つの指標なので、それだけを注視するのではなく、ゲーム内のデータも重要だと考えています。例えば、お客様が協力して偏ったアンケート結果を導き出したとしても、それがゲーム内のデータと大きく違っていればすぐに改善には踏み切れません。

 ただアンケートはスピーディーに動けるという点で非常に便利です。例えば、ご意見ご要望の場合は、お客様がそれぞれ文章で書かれるので、似た意見だからといって1つにまとめて傾向を見ることは難しいのです。アンケートの場合は、満足しているのか、満足していないのかといった全体的な傾向がわかりやすくなっています。ただ最終的にはご意見ご要望、アンケート、ゲーム内データから総合的に判断してお客様が喜んでくれるアップデートを考えています。

――最後に、「MHF」のハンターに向けて一言お願いします。

杉浦氏 :今回はWindows版のみで行なう最後のアップデートになります。Xbox 360版の準備も、同じ開発運営チームが急ピッチで進めています。ただ今回は、Xbox 360版があるからアップデートで手を抜いたとお客様に言われたくはなかったので、いつも以上に大規模に、メインコンテンツに深く関わるものを実装しました。新モンスターも下位、上位、剛種といった形で幅広くご用意させていただいて、ボリューム的にはきちんとしたものをご提供できたかなと思います。

 新コンテンツ以外でも、お客様のご意見をもとにしたリファインを重視しましたし、長らくお待たせしたアイテムボックスの件もこれで解決できると思います。またこれまで手を加えていなくて、若干課題が先送りになっていた武器種のバランス調整についても、大きくメスをいれさせていただきました。いい意味でも悪い意味でもお客様の反応を色々と聞けるアップデートになっていると思います。今は遊ばれていない休眠状態のお客様も、是非バランスが大幅に調整された「MHF」を見てください。お待ちしています。

――ありがとうございました。

(C)CAPCOM CO., LTD. 2007, 2010 ALL RIGHTS RESERVED.

(2010年 4月 16日)

[Reported by 日高文典]