「Game Tools & Middleware Forum 2010」東京会場が開催
SCEは3D立体視とPS Move、マイクロソフトはKinectを披露


7月1日開催

会場:大手町サンケイプラザ

入場料:無料



 株式会社ウェブテクノロジ、オートデスク株式会社、シリコンスタジオ株式会社、Dolby Japan株式会社、株式会社ボーンデジタルの5社は7月1日、ゲーム開発者向けのツール&ミドルウェア展示会「Game Tools & Middleware Forum 2010(GTMF2010)」を東京大手町サンケイプラザにて開催した。本稿ではイベント全体の模様と、SCEとマイクロソフトのセッションの内容を中心にお伝えしたい。


■ 日本最大規模のミドルウェアの祭典「GTMF 2010」。SCEは3D立体視を大プッシュ!

プラットフォーマーのセッションはいつも人気。SCEのセッションはほぼ満席となった
SCEソフトウェアプラットフォーム開発部部長の豊禎治氏
3D立体視の基礎的な部分をレクチャー。3D立体視を本気で広めようという意志が感じられた

 「Game Tools & Middleware Forum」は、ミドルウェアメーカー5社が、各社のミドルウェアを採用するデベロッパーに向けて、最新情報の提供と情報共有を目的に年に1度のペースで開催されているミドルウェアフォーラム。2月に福岡で開催され、6月には大阪ときて、東京会場が最後となる。

 3つのセッション会場と展示会場がワンセットになっており、セッションを1日通しで聴講する人もいれば、展示会場に通い詰めて熱心に質問を重ねるデベロッパーもいる。CEDEC同様、業界関係者向けではあるが、事前応募さえしておけば無料で参加でき、自由に入退室が可能な気軽さが魅力だ。

 主催の5社のほかには、プラットフォーマーからはSCEとマイクロソフトの2社が参加し、ミドルウェアメーカーからはCRIミドルウェアと「Unreal Engine」で知られるEpic Gamesの日本法人エピック・ゲームズ・ジャパン合同会社などがセッションを行なった。

 今回大きな注目を集めたのはやはりプラットフォーマーによるセッション。プラットフォーマーのセッションは毎年人気があるが、今年はE3直後の開催で、それぞれE3で具体的な新サービスを発表したこともあり、E3に参加できなかったデベロッパーを中心に高い人気を集めた。

 東京開催のトップバッターを担ったSCEは、親会社であるソニーと一体になって推進している3D立体視技術の紹介を中心に、E3では次々に具体的なコンテンツが発表されていたモーションコントローラーPlayStation Move、Cellのコンピューティングパワーを活かした高画質画像拡大技術、そしてPS3タイトルの提供メディアであるBlu-rayディスクの空き容量の有効活用法の提案など、遊び手にも具体的なメリットが伝わりやすいエンドユーザー寄りの技術情報が多数紹介された。

 中でもセッション時間50分という限られた枠の中で30分弱の時間を割いて紹介されたのが3D立体視技術である。先のアップデートですでにすべてのPS3が3D立体視レディ状態にあるが、6月10日にはソニーから待望の3D立体視対応テレビ「3D BRAVIA」が発売。この動きに合わせてSCEも3タイトル(「Mr. PAIN」、「STAR STRIKE HD」、「WipeOut HD」)の3D立体視対応タイトルをPlayStation Networkを通じてリリースし、すべての準備が整った。今後は、E3で発表した3D立体視対応タイトルを順次リリースしていくと同時に、3D立体視対応のBlu-ray「3D BD」に対応するためのファームウェアアップデートを行なっていく予定だ。

 セッション講師を務めたSCEソフトウェアプラットフォーム開発部部長の豊禎治氏は、「3D立体視が最近ブレイクしつつある」と切り出し、ジェームス・キャメロン監督の映画「アバター」の大ヒットから現在までの一連の3D立体視の動きと、ソニーグループとしての取り組みなどを紹介。続いて「ゲームは3D立体視に向いている」とし、その理由を挙げながら、3D立体視の仕組みや表示方式、3D立体視化するためのノウハウなど、3D立体視ゲームの基礎講座を繰り広げた。

 豊氏は、過去の3Dコンテンツが“質の低さ”によって失敗したことと、先人の名言「3D(立体視コンテンツ)を作るのは簡単だが優れた3D(立体視コンテンツ)を作ることは難しい」を上げながら、「刺激的な3D立体視コンテンツを作りたくなる誘惑にかられてはいけない」と、3D立体視の心得を紹介。SCEとしては今後、ソニーと協力しながら、ソニーグループが蓄積してきた3D立体視のノウハウを、こうしたセッションやレクチャーを通じて公開していく方針だという。

 E3では「KILLZONE3」や「グランツーリスモ5」といったAAAタイトルを中心に20以上もの3D立体視タイトルが発表されたが、肝心のサードパーティーの反応はまだ限定的だ。SCEの3D立体視の取り組みに、今後サードパーティーがどのように答えていくのかが注目されるところだ。


【3D立体視の心得】
SCEはサードパーティーにも3D立体視対応のゲームを作って貰うため、3D立体視に特化したレクチャーを行なっていくという

【PlayStation Move】
PlayStation Moveについては、すでに十分な情報が開発者に開示されているためか、セッションではあっさりとした紹介だった。ただし、ブース出展会場では大人気だった。初出の情報としてはPlayStation Moveの構成ハードのひとつであるPlayStation Eyeのマイク機能を使ったPS3向け音声認識技術。主要6カ国語に対応し、7月中にもβ版のSDKの公開が始まるという。今後、音声のみで遊ぶゲームが生まれるかもしれない


■ マイクロソフトはセッションを丸ごとKinect試遊会に

マイクロソフト ホームエンターテイメント事業本部ゲームコンテンツ推進部デベロッパーアカウントマネージャー緒方貴宏氏
Kinectの良好なレーテンシーを実証するためのデモ。微細なパーティクルが雨あられのように降り注ぎ、それを体を受け皿代わりにすることでパーティクルを貯められるというもの
マイクロソフトのスタッフ2人で「リコシェ」を協力プレイ。非常にシンプルなゲームだが、2人の動きがおもしろく、そのたびに場内が笑いに包まれる。パーティーゲームとしての潜在能力の高さは折り紙付きである

 残るプラットフォーマーのマイクロソフトは、E3で正式名称と共にリリース日やローンチタイトルを発表したジェスチャーコントローラーKinect一色の展開だった。50分のセッション時間中、説明はわずか10分ほどで、残りはほぼ希望者による体験に時間を割いていた。狙いはシンプルで、Kinectに対して一部の報道で伝えられる「レーテンシー(遅延)が大きくてまともに遊べないのではないか?」という疑念を、デベロッパーレベルから払拭して貰おうというものだ。

 デモに使用された機材は、E3で使用されていた新型Xbox 360ことXbox 360 250GBとKinectのメタリックブラックのセットではなく、“Project Natal”と呼称された頃の白いハードウェアに、Xbox 360デベロッパーズキット。現Xbox 360デベロッパーズキットには、Xbox 360 250GBにあるKinect専用接続端子が付いていないため、Kinectは、Xbox 360のUSBポートと電源の2カ所に枝分かれして接続されていた。セッション講師を務めたマイクロソフト ホームエンターテイメント事業本部ゲームコンテンツ推進部デベロッパーアカウントマネージャー緒方貴宏氏が「本社の許可を取るのが大変だった」と語るように、ギリギリのところでの公開発表だったようだ。

 緒方氏は、まずはじめに人間の骨格の動きをリアルタイムで追跡してゲーム側に伝えるというKinectの特異なインターフェイスを紹介。最小限のレーテンシーで、体の動きをゲーム側に伝えることを強調した。

 今回実施されたデモは、テーマパークスタイルのアトラクションが楽しめるミニゲーム集「Kinect Adventure」の中から、全身でプレイするスカッシュゲーム「リコシェ」、2人で協力して急流滑りを行なう「River Rush」、レール上の動く台座の上で障害物競走を行なうアトラクション「Obstacle Course」の3種類。いずれもE3でプレイアブルで公開されていたものばかりだが、ビルドが新しくなっており、ローディングにTipsが表示されたり、キャラクター選択画面が加わるなど多少の変化が見られた。

 Kinectの体験は緒方氏は初回だけに留め、残りは来場者に挙手をさせて体験させていた。「リコシェ」が2回、「River Rush」が3回、「Obstacle Course」が3回で計8回もの試遊を実施するなど、結果としてほとんどの時間を試遊にあてていた。体験後はすべての体験者からコメントを求め、「思ったり早い反応だった」、「没入感が凄い」、「良い運動になる」、「疲れる」、「恥ずかしい」、「距離感が掴みづらい」といった様々な感想を獲得していた。

 今回唯一出ていたネガティブな反応が「距離感が掴みづらい」というものだったが、今回の試遊では、会場の設営の都合上、小さな液晶モニタで試遊を行ない、それをプロジェクタを通じて見せていたため、Kinectの仕様上の問題ではなく、単純にモニタが遠かっただけのようだ。

 ただ、その結果明らかになったのは、Kinectは正常にプレイするためには、2メートル弱の距離を取る必要があるため、あまり小さいモニタだとプレイしづらかったり、狭い部屋では距離が取れないといったことが起こりそうだ。大前提として広々としたリビングで大きなテレビでプレイすることが想定されているのは間違いないようである。

 緒方氏によれば、一般ユーザーに触って貰う機会は「まだ当分先になる」ということで、一般向けの試遊がスタートしたPlayStation Moveに比べると、多少の出遅れ感がある。日本での発売時期についても「年末」のままということで、今後も引き続き続報に注目したいところだ。


【Kinect試遊】
即席の6組の来場者がKinectを体験。「Kinect Adventure」はプレイ中にオーバーアクションを取りやすい箇所で自動的に撮られる写真が笑いの大きなネタとなる。ぜひ大人数で楽しみたいパーティーゲームだ


【展示会場】
今年も10社以上のメーカーがブースを構えた。左上から順にCRIミドルウェア、IGM、ヤマハ、ボーンデジタル、ドルビー、ウェブテクノロジ