★ PC/Xboxゲームレビュー★

兄弟たちとともにクローン戦争を勝ち抜け!!
エピソード2と3の間を補完するサブストーリー

スター・ウォーズ
リパブリック・コマンド

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:LucasArts
  • 発売元:エレクトロニック・アーツ
  • 価格:8,379円
  • プラットフォーム:Windows 98/Me/2000/XP、Xbox
  • 発売日:2月17日(発売中)


 スター・ウォーズの新作「エピソードIII シスの復讐」の公開が、アメリカでは5月19日、日本では7月9日と間近に迫ってきている。これに併せて、小説やコミック、メイキングなど(どれも英語版ではあるが)、関係グッズも次々とリリースされ始めた。今回紹介する「スター・ウォーズ リパブリック・コマンド」もそんな関連グッズのうちの一本だ。

 スター・ウォーズの世界は、これまで公開されたエピソードI、II、IV、V、VIで描かれてきたストーリー以外にも小説、コミック、アニメ、ゲームなどさまざまなメディアを使ってスター・ウォーズ・サーガと言われる壮大なストーリーを構成している。そのどれもが有機的に関連するストーリーを持っているわけではないが、知っていると知ってないとではスター・ウォーズの世界を理解するのには大きな違いが出てくる。

 「リパブリック・コマンド」はエピソードII最後からエピソードIII冒頭まで続いたクローン戦争が舞台となっている。無情なバトルドロイドを中心とした分離主義者たちと、クローントルーパーを中心とした銀河共和国との戦いは3年余り続くことになるのだ。

 プレーヤーは、共和国のクローントルーパー特殊部隊「デルタ小隊」の隊長038(オースリーエイト)としてクローン戦争冒頭を駆け抜けていくことになる。映画がジェダイを中心とした上層からの視点で描かれるのに対し、本作は特殊部隊という能力の高い舞台ではあるものの一兵士にすぎないクローン兵からの視点で描かれるのだ。

惑星カミーノにあるカミーノアンのクローン工場の中で生まれる主人公。そして成長加速を施されつつ座学、戦闘訓練が施され共和国のクローントルーパーとして彼らは生まれるのだ

デルタ小隊の仲間たち。左から狙撃が得意な07、格闘が得意な40、爆破を得意とする62の3人。だが、ゲーム中ではあまり彼らの能力差に関しては描かれていない 惑星カミーノから共和国強襲艦にのって戦地へと出発するデルタ小隊とクローントルーパーたち


■ 一緒に戦うのは3人の兄弟達。状況に合わせて的確な指示を出そう

爆弾を仕掛けたりハッキングできたりといった行動指示が起こせるところにカーソルを併せると、キャラクタの影がボウッっと浮かぶ
Fキーを押すと味方に行動指示を出し、近くにいる味方が行動を始める。画面左下には作業の進捗状況が円状のバーで表示されている
 本作最大の魅力は「クローントルーパーごっこができる」という点に尽きる。エピソードII最後で隊列を組んで共和国強襲艦へと乗り込んでいくクローントルーパーの隊列に、「カッコイイ!!」と思った方も多いだろう。共和国の一兵士にすぎないクローントルーパーではあるが、スター・ウォーズの人気キャラクタである「ジャンゴ・フェット」や「ボバ・フェット」のアーマーを模した外見を持った彼らが、戦場で活躍する様にはかなり燃えるものがある。

 さて、本作においてプレーヤーは、巨大な戦場で戦う1人のクローントルーパーとしてではなく、クローントルーパーの中でも特に優秀なものを選出して組織された特殊部隊デルタ小隊の小隊長としてゲームを進めていくことになる。プレーヤーキャラである038を操作するだけでなく、小隊を構成する07、40、62という3人のメンバーにも状況に合わせた的確な指示を出していくのだ。

 たとえば、閉鎖されたドアなら電子錠をハッキングするか爆薬で電子錠を吹っ飛ばしてドアを開けるように指示を出す必要があるし、敵が大挙して押し寄せてくるようであれば的確な位置を指示して迎撃体勢を敷く、といった具合にプレーヤーは小隊メンバーに指示を出すわけだ。

 加えて3人のメンバーを操るAIはプレーヤーの位置をフォローするように敵に対する位置取りをしたり、遮蔽物にちゃんと身を隠したりとなかなか気が利いている。たまに敵がいる中へ突出することもあるが、今度はプレーヤーがAIをフォローしてやったりと互いに持ちつ持たれつでゲームは進んでいく。こうやってゲームを進めていくうちに、同じ遺伝子を持つ兄弟達としっかりチームを組んで、協力してクローン戦争を戦っているような感覚に浸ることができる。

 これまでも「SWAT」や「Rainbow Six」シリーズなど、プレーヤーが操る他のメンバーと小隊単位で動いてゲーム内の困難を超えていくゲームは他にも数多くあった。しかし、その多くは特殊部隊を描いたものであり、チームでの協力プレイ以外にも適切な装備の選択や突入プランの構築、メンバーの選定などゲームプレイ以外で考えることが多すぎて肝心の協力プレイにたどり着くまでのハードルが高かった。だが、本作の場合は深いことは考えなくてもいいように、そういった点は省略されている。さらに、メンバーへの行動指示も、必要な場所に照準を合わせてボタン1個押すだけでOKという親切設計となっているので、わざわざ「敵を拘束」とか「ドアを爆破」というような具体的な指示を出す必要はない。

 そういった意味では、FPSをやりこんだ玄人向けのゲームと言うよりはスター・ウォーズが大好きで映画好きといったライトユーザー向けのゲームデザインとなっている。

ゲーム画面は主人公が被るヘルメットを模している。通常モード、味方の位置を把握するタクティカルモード、暗闇での活動を可能にする暗視モードの3モードを使いこなそう

ドアを開ける際の一連の流れ。指示を出すとドアに爆薬を仕掛ける隊員以外にも、開けた瞬間にグレネードを投げ込む隊員、突入する隊員などの位置取りが全自動で設定される

視界の悪い暗視モード下では味方の姿を浮かび上がらせてくれたり、狙撃をするためにスコープを敵に併せると内部構造を浮かび上がらせてくれたりする

近接格闘で敵の返り血やオイルなどがヘルメットについて前が見えなくなっても、自動ワイパーですぐに綺麗になる。かなりハイテクなヘルメットだ

「HALO」シリーズと同様に、ある一定量のダメージはシールドが吸収してくれる。が、余り頼りすぎてるとあっという間に死ぬことになるので要注意だ 主人公がやられてもすぐにゲームオーバーにはならない。仲間達が助けてくれるのだが、それに任せていると小隊全滅ということは多い。タイミング良く回復の指示を出そう


■ クローン戦争開戦! 共和国の勝利のため数々の困難な任務をくぐり抜けろ!

ゲーム中、初めて起こる事柄にはこういったヘルプが表示されるので、FPS初心者でも大丈夫だ
 本作のストーリーは「ジオノーシスストーリー」、「アサルトシップストーリー」、「キャッシークストーリー」の3本のエピソードで構成されている。

 「ジオノーシスストーリー」はエピソードIIの最後で描かれた惑星ジオノーシスが舞台。大量のバトルドロイドの工場を擁し、共和国の部隊に対抗してくるジオノーシアンだが、デルタ小隊はジオノーシアンの幹部であるサン・ファークの排除、並びに上空のドロップシップから際限なく送り込まれるバトルドロイドを撃破していくことが主任務となる。

 一発目のステージと言うことで、初心者でもゲームを進められるようにゲーム内ヘルプが所々に表示される入門ステージだ。敵の多くはジオノーシスとバトルドロイドで構成されるのだが、数もそんなに大量に出てこないのであっさりと片づけることができるだろう。攻撃力の高いスーパーバトルドロイドと空中を飛び回るジオノーシアン・エリートが、唯一やっかいな存在といえる。

空中を飛び回って炎のようなレーザーを振らせてくるジオノーシアンエリート。照準を合わせてFキーを押すことで指示できる集中攻撃を加えて早めに倒そう 分離独立派のドロップシップ内に用意されているスーパーバトルドロイドの山。下手に手榴弾などを爆発させると全部が動き出すので慎重に、静かに動こう

 「アサルトシップストーリー」は行方不明だった共和国強襲艦が発見され、デルタ小隊が内部の調査を行なうというストーリー。周囲の状況がまったくわからず、一部システムもダウンした状態の艦内でプレーヤーはたった1人で調査をスタートすることになる。見たことのない特殊なドロイドが突然強襲してくるなど、プレーヤーの恐怖感をあおるステージ構成が好印象だ。

 ここでのメイン敵キャラはバトルドロイド。狭い通路内でジオノーシアンストーリーの比ではない大量のバトルドロイドが一気に襲いかかってくる。特にステージ中を飛び回りプレーヤーのエネルギーを奪ってくるスカベンジャー・ドロイドや大量のレーザーを雨あられと降らせてくるドロイディカなどがやっかいだ。ドロイドの多くはECデトネーターと呼ばれる高圧電流をまき散らす装備に弱いので、これを上手く活用していきたい。

空中をふわふわ飛び回り、電撃を浴びせてくるスカベンジャードロイド。ダメージを与えると特攻してくるので気をつけよう 大量に押し寄せてくる敵ドロイド達。バリケードに味方を設置し、効率よく迎撃していかないとすぐにやられてしまう

 「キャッシークストーリー」は、トカゲ型エイリアンであるトランドーシャンによって迫害を受けてきたウーキー族の救出ミッション。トランドーシャンにとらわれたウーキー族の長、ターフルを救出することからミッションは始まる。トランドーシャンは当然として、彼らに肩入れする分離独立主義者達のバトルドロイドや傭兵たちもプレーヤーに襲いかかってくる。加えてマップ自体も広いので長期戦が強いられる。敵に併せた武器の選択や、バリケードを使っての迎撃戦、固定砲台などを上手く使って敵を倒していこう。弾薬は潤沢にあるので手当たり次第に打ち倒してかまわない。

橋を巡る戦い。橋の奥にスナイパーを設置して襲いかかるドロイドに何とか対抗したいところだ。ここまで来ればクリアまであと少し! 最終ステージだけあって、大量の敵が登場してくる。上手い具合に砲台が用意してあるので、これを利用しない手はない


■ スター・ウォーズファンなら遊んで損はない。世界で日本が一番早く遊べる!

トランドーシャンの傭兵は、背中にジェットパックを背負っている。上手く弾を当てることができれば一発で宙に跳んでいくぞ
バトルドロイドはとにかく数が出てくるのがやっかいだ。ハンドガンタイプのブラスターピストルを使って頭だけ飛ばしてやると楽に倒せる
 ストーリーが3つと聞くと短い印象を受けるかもしれないが、3本というのはあくまでもストーリー上の分類で、実際遊んでみるとわかるが、ジオノーシアンストーリーの最初の方を除けばセーブ単位で区切る1ステージは結構長い。実際、難易度ノーマルで筆者が遊んでみても、10時間~15時間ぐらいかかった。FPSでこのボリュームはまずまずのレベルである。

 加えて、難易度の内容自体もちょうどいい。目の前の敵を何でもいいから倒せばいいと言うのでは通用しないが、バトルドロイドにはECデトネーターを効果的に使ったり、狙撃ポイントを上手くつかって仲間にフォローをさせたりと、場面場面で頭を使えばちゃんとクリアできるように難易度が調整してある。

 純粋にスター・ウォーズの世界を楽しみたいFPS初心者層はイージーモードで、FPSを日頃遊んでいる層はノーマルで、がっちりキツイのを楽しみたい方はハードモードで楽しむといい。また、本作はまったく同じ内容のものがPC用とXbox用で用意されている。両方を遊び比べてみたが、内容に関しては双方大きな違いはない。違いがあるとすればパッドで遊ぶかキーボード+マウスで遊ぶかだけなので、環境がある方で遊べば良いだろう。

 最後にマルチプレイに関して触れておくと、まずゲームモードは、目の前の敵を倒すデスマッチとチームデスマッチ、敵陣から旗を奪うキャプチャー・ザ・フラッグ、敵陣へ旗を運ぶアサルトの4モードが用意されている。どのモードもFPSでは至極基本的なゲームモードで、特に目新しいものはなかった。

 また、武器は2種類しか持てないなどの制限もあるため、本作のマルチプレイを遊ぶぐらいだったら同社の「スター・ウォーズ バトルフロント」を遊ぶ方をオススメしたい。また、筆者の個人的な感想を述べさせてもらうならば、マルチプレイに関してはお約束の対戦モードを乗せるよりも、Cooprativeモード(複数のプレーヤーが協力してシングルプレイのストーリーを進めていくモード)を搭載しておいた方がいいのではないかと思う。

 ちなみに本作は、日本が世界でもっとも早くリリースされる。日本のスター・ウォーズファンにとってはなかなかうれしいところだ。エピソードIIIの公開まであと半年弱あるが、一足先にエピソードII以降のスター・ウォーズを味わいたい方には、ぜひ遊んでみて欲しい一本だ。

 惜しむらくは、完全日本語化ということで音声も完全に日本語化されてしまったために、クローンの声を演じているTemuera Morrison氏(エピソードIIではジャンゴ・フェットを演じていた方である)の声が聞けないことだろう。セリフを字幕で表示するモードがついていたのであれば、できればインストール時に音声を選択できるようにして欲しかったところだ。

マップ中には地雷のほかにも爆発物などが多く存在している。トラップを設置して敵を誘い込み、お手軽かつ派手に倒してやろう スナイパーライフルである狙撃アタッチメントを使う場合は、とにかく頭部を狙うこと。効率的にダメージを与えられる。ドロイドの場合は頭部以外に、赤く光っているポイントを狙ってもOKだ

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【スター・ウォーズ リパブリック・コマンド】
  • CPU:Pentium III 1.0GHz以上(Pentium 4 2.0GHz以上を推奨)
  • メインメモリ:256MB以上(512MB以上を推奨))
  • HDD:2.0GB以上
  • ビデオメモリ:64MB以上(128MB以上を推奨)


□「スター・ウォーズ リパブリック・コマンド」のページ
http://www.japan.ea.com/republic_commando/
□関連情報
【2005年2月7日】本日到着! DEMO & PATCH 「Star Wars Republic Commando」Playable Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20050207/demo0207.htm

(2005年2月17日)

[Reported by tyokuta@ukeru.jp]


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