★ PCゲームレビュー★


美しい東南アジアの大自然を舞台に 最大150人の大規模チームプレイを堪能する
Joint Operations: Typhoon Rising

  • ジャンル:アクションシューティング
  • 開発元:NovaLogic
  • 発売元:マイクロマウス
  • 価格:9,240円(日本語マニュアル付き英語版)
  • 対応OS:Windows 98/Me/2000/XP
  • 発売日:7月23日(発売中)


 かねてよりFPSゲームファンに注目されていたマルチプレイ専用チームベースFPS「JointOperations: Typhoon Rising」が日本国内でも正式に発売されることとなった。欧米では6月15日に発売された本作、発売よりちょうどカ月ほど経過した現在では多数のマルチプレイサーバーで常時数千人のプレーヤーが日々のチームプレイを楽しんでいるようだ。「Delta Force」シリーズを手がけてきたNovaLogicが総力を挙げて作り上げた本作。いわゆる「Battlefield 1942」キラーと言われて久しいが、その実力のほどをじっくりと検証していこう。


■ 濃密な植物描写により再現されたジャングルや湿原で大規模戦闘を堪能

凄まじい密度の植物は伏せれば隠れる場所として活用できる
水の表現も美しい。プログラマブルシェーダー対応のビデオカードが推奨される
炎上する物体の効果は、背後の風景がぼやけて描画されることで「熱」を感じとれる
遠方では草の描画は省略されるが、キャラクタの上には遮蔽効果が付加されるのでゲーム的には問題ない。こだわりが感じられる
 本作「Joint Operasions: Typhoon Rising」は、ジャンルとしては、Electronic Artsの「Battlefield 1942」で一躍メジャーとなったマルチプレイ重視型の大規模FPSに分類される。このジャンルは最近では「BattleField Vietnam」や「Soldner」などが立て続けにリリースされており、今年は大規模FPSの当たり年と言えるかもしれない。本作はそんな激戦区の中にあって非常に個性的な質感のグラフィックを持つ作品だ。とりわけ植物や水の表現が抜きん出ており、鬱蒼としたジャングルの中、湿地、珊瑚礁の島々で、激しい戦闘が堪能できる作品になっている。

 グラフィックスエンジンは、NovaLogicのメガヒットタイトルである「Delta Force: Black Hawk Down」で定評のあったエンジンを大幅に改良したものを採用している。特に注目したいのが地面を覆い尽くすほどの植物の表現。植物のテクスチャを地面に生やすことで雑草類を表現するというのは決して新しい手法ではないが、本作ではそれがこれまでにない密度で描画されており、近距離ではほとんど地表が見えないほどだ。

 また、背の高い木や草なども妥協の無い密度で描画されており、このおかげでいわゆる地形の「ポリゴンくささ」がすくなく、ジャングルなどの臨場感は凄まじい。それでいて描画速度そのものはよく比較されることの多い「Battlefield: Vietnam」と比べても軽いほうで、総じてバランスの良いグラフィックスエンジンだ。

 ちなみに、この濃厚な雑草の表現は、単に戦場の臨場感をもたらしているだけでなく、当然ながら伏せてその中に身を隠すことができる。舞台が東南アジアの自然が豊かな地方だけあって、こういった雑草が生えていない場所のほうが少ないほどだ。つまり歩兵はたいていの場所で隠れることができ、これがゲーム的に非常に重要な要素となっている。

 こうした草木は処理軽減のため遠距離になると描画が省略されるのだが、そういった遠距離であってもキャラクタの表面には草木の効果が描写され地形に溶け込んで見えるようになるので、距離によって敵を発見する難しさが理不尽に変化することはない。このあたりは、草木の表現をゲーム的に意味あるものとする上で制作側のこだわった部分だろう。

 水の表現も秀逸で、反射や屈折などが表現されているほか、海水や淡水、湿地の濁った水などの水質感の違いがきちんと再現されている。多くのマップには川や水田、網の目のように張り巡らされた水路などが登場するため、他のゲーム以上に泳いだり潜ったりといった機会が多く、また、水上を走るボートや船などの乗り物の役割が重要になっている。

 また、本作では最大150人の同時プレイが可能である。こういったカタログスペック的な数値は本当に数字だけで、実際に満員になることが少ないのがゲームに限らず世の常だが、本作では実際に同時150人で稼動しているゲームサーバーが多数あり、いくつかの人気サーバーは常時満員近くのプレーヤーでごった返している。

 また、こういった多人数FPSでは特に重要となるネットコードも秀逸で、このような大人数でもそれほどきついラグを感じることはない。さすがに海外の高pingなサーバーでは射撃が当たりにくい、ときどきワープしてしまうなどの現象が発生するが、Ping 100~200あたりのサーバーなら射撃・移動ともに良好な感触である。ADSL以上のネット環境なら、アメリカ西海岸のサーバーまではほとんどこの範囲に入ってくるので、遊べるサーバーが少ない……というようなことはほとんどないだろう。

 この150人という人数は2つのチームに別れて75人対75人ということになるが、実際にプレイしてみると数字以上に人が多く感じられるものである。乗り物に群がる人達、超満員の車両からこぼれ落ちて暴れだす人たち、事故で吹っ飛ぶ人たち……とにかく色々なでき事が猛烈な勢いで次々に発生していく洪水のような感じはプレイしていて非常に愉快だ。マップ開始時のスタート地点における壮絶なゴチャゴチャ感は、一度体験してみないとわからない感覚だろう。

 もちろん、こうしたカオスな感じもマルチプレイゲームの楽しみのひとつ(?)ではあるが、本作ではもちろんこうした大規模な人数のプレーヤーが協調してチームプレイを行なえるよう、ゲームシステム的に工夫が施されている。そのために特別な指揮系統システムが搭載されているのだが、これについては後述しよう。ここで、まずは本作に登場するユニット類を見ていきたい。

大人数のサーバーでは輸送ヘリに乗りこむ人数も多い。これだけのプレーヤーが集中しても、ラグはほとんど感じないのが素晴らしい 上空からの眺め。慣れてくれば、ヘリに乗ったままスナイパーライフルで敵を狙撃することも可能だ


密林での戦闘は遮蔽物が多いので一瞬の油断もできない。この臨場感 300メートル以上離れた敵の基地を狙撃。この距離では狙撃兵の独壇場だ


ゲーム内には「時間の流れ」がある。太陽を正面にしてしまうとこのように索敵が困難になる 敵基地に対し、ヘリ搭載のミニガンで制圧射撃を加える。油断すればこちらが撃墜される危険と隣り合わせだ


敵基地の敵を一掃し、占領を試みているシーン。このような基地の取り合いがゲームの基本となる 小型ヘリで最前線に強襲をかける。広大なマップでは機動力が命だ



■ 車両の最重要任務は「輸送」。兵力を効率的に集中させることが勝敗の鍵を握る

群島からなるマップではボートが主力兵器であると同時に、兵力の展開に力を発揮する。数に限りがあるので人員が集まるまで待機しよう
船に備え付けられている機関砲だけでなく、船上から手持ちの武器で攻撃することも可能だ。人員が剥き出しで防御が薄いので先手必勝
 「Joint Operations: Typhoon Rising」の舞台は2006年のインドネシア。反政府ゲリラによって政府が打ち倒された混乱期、事態を収拾するため派遣された多国籍からなる特殊部隊「Joint Operation Force」と、分離独立を叫ぶ革命ゲリラ部隊「Rebels」との戦いが本作のテーマとなっている。

 特殊部隊側は米軍を中心としたNATO系の装備であり、M16やM4、M60などのおなじみの兵器が登場する。武装ゲリラ側はこれもやはり旧東側の兵器が主で、AK47やPKMなどの兵器が登場する。このように陣営ごとに使用可能な兵器や車両は異なるが、登場する兵器の種類や使用目的は互いに対応しており、細部の違いはあるもののアンバランスさはない。

 たとえば、特殊部隊側のアサルトライフル、M16は非常に精度が高いがフルオート射撃がない。これに対応するゲリラ側の突撃銃AK47は精度が若干劣るものの一発あたりのの攻撃力が高くフルオート射撃が可能である、といった感じである。このあたりは対戦専用のゲームとしてきっちり作りこまれている印象だ。

 登場する車両や船舶も同様で、陣営ごとに異なった種類の車両が登場する。数十種類という多種の乗り物が登場するが、おおむね以下の5種類に大別できる。

●輸送車両  ジープ、トラック、バギーなど。3~6人が同乗可能で小回りが効き、高い機動力を誇る。大部分は機関銃を装備しており対歩兵戦闘が可能。ただし、装甲はないに等しくマシンガンで一掃されることもある。数が多く足も速いため地上輸送のかなめである。

●APC
 特殊部隊側は「Stryker」、ゲリラ側は「BTR-80」。それぞれ見た目は違うが性能はほぼ同じで、ロケット弾一発には耐える装甲があり、強力な砲台を装備している。ときに拠点を一気に制圧してしまうほど強力で、攻防ともに支援攻撃の要となる。水陸両用であり海も渡れるがジープ等に比べて速度が低く、小回りがきかないためジャングルの中や起伏の多い地形では立ち往生することもあるので運用には注意が必要。

●輸送ヘリ
 特殊部隊側は映画などでおなじみの「Chinook」、「BlackHawk」輸送ヘリ。ゲリラ側は耳慣れないが「HALO」「SuperPuma」が用意されている。輸送ヘリは車両では立ち回りにくい水面の多いマップや非常に広大なマップで輸送任務の中核となるユニットで、小型機で4~6人、中・大型機では20人以上も一度に輸送が可能。地上車両に比べて一度に多くの兵士を速く輸送できるのが強みだが、操縦が難しいので初心者が操縦席に座ってしまうと悲惨である。事故がおきやすい上、目立つので撃墜される危険性が常につきまとう。

●戦闘ヘリ
 ロケット弾やガトリングガンを装備した戦闘ヘリは本作では最強の攻撃力を持つ。ロケット装備の戦闘ヘリにとっては地上最強兵器のAPCですら一瞬で破壊できる格好の獲物にすぎず、うまく運用すればこれほど恐ろしい存在はない。ただし防御力が低く、油断しているとミサイルや機関銃ですぐに深刻なダメージを負ってしまう難しさがある。

●船舶
 「Zodiac」と呼ばれるゴムボート、複数の機関銃を装備したパトロールボート、APCも輸送可能な大型の輸送船などがある。本作では川や水路のあるマップの割合が非常に高く、水上輸送は重要な要素のひとつだ。両陣営のパトロールボートは10人以上の輸送が可能なほか、グレネードランチャーを含む多数の機関銃が装備されており、運用次第で非常に強力な働きができる。ゴムボートは3~4名しか乗れないものの、小回りが効く上に高速なので班単位の密な活動に最適だ。

 どの車両も操作は簡単で、始めて最初の数分でほとんどの操作をマスターすることができる。このあたりはリアリティよりもプレイしやすさを重視しているようで、そのおかげかパブリックサーバー上でありがちな輸送車両の事故多発でまともにプレイできず、といった事態は少ないのはありがたいところだ。

大型ヘリには車両も搭載できる。前線で車両が不足しがちなマップでは積極的に活用しよう APCの主砲は対空戦闘にも威力を発揮する。満載の敵ヘリを撃墜して気分爽快


ヘリから飛び降りて素早く展開する。ヘリは目立つのですぐに位置を変えなければ全滅しやすい インドネシアを舞台にする本作ではこういった水路が張り巡らされたマップが多く、素早いゴムボートは大事な足となる


「Armory」で装備の選択中。この画面でキャラクタクラスも変更できるので、状況に合わせたクラスを選択しよう
ジープに同乗して攻撃へ向かう。事故には気をつけよう……
 本作に登場するマップの多くは広大な領域を備えている。すなわち、効率的な戦力の集中が戦術の根幹を成す性質のゲームなので、他の同一系統のゲームに比べて、車両が直接戦闘に加わる比率は低い。乗り物の主任務は兵士の輸送であって、直接戦闘では非常に脆いことがほとんどだ。プレイを続けるにつれて次第にこのゲームが本質的に「歩兵のゲーム」を意識して作られたことがわかってくるだろう。歩兵の戦闘と、それを支援し戦略的な運用を助ける多種多様な乗り物、といった構成である。

 実際、本作では純粋な火力で言えば、車両よりも歩兵の方が強いのである。APCは確かに強力だが、油断すればライフルマン1人のロケットランチャーでたやすく破壊されてしまう。本作で使用可能な歩兵のキャラクタクラスは5種類用意されており、ゲーム中の作戦を組み立てるために重要な役割を担っている。本作に登場するキャラクタクラスを簡単に紹介しよう。

●ライフルマン
 このゲームにおける主力である。主武装のM16やAK47などのアサルトライフルにグレネードランチャーがつくのはライフルマンだけで、対人戦では最強の性能を誇る。同じくライフルマンだけが使用可能なロケットランチャーは、誘導能力はないものの、ほとんどの車両・ヘリ等を一撃で破壊可能である。これらの装備により中・近距離戦闘での火力は全クラス中最大であり、ほとんどの戦闘において中核に位置づけられる。プレイする機会が最も多くなるクラスだろう。

●ガンナー
 M249やPKMなどの軽機関銃を装備できるガンナークラスは、その弾幕の威力と伏せ撃ち時の精密さにより、近距離・遠距離を問わず大規模な戦いで威力を発揮するクラスだ。リロードせずに撃ちまくれる時間が長いので、敵のPSP(=Progressive Spawn Point、前進基地)内に突入するときのような超接近戦時には凄まじい制圧力を見せる。遠距離から支援射撃をする場合でも、伏せ撃ちの安定性は抜群でうまくいけば多くの敵を一掃できる。同時に複数の敵を相手にする場合に最も力を発揮する一方、中途半端な距離で遭遇戦になったときに脆弱さが出てしまうので使いどころに難しさがあるのも確かだ。

●スナイパー
 2~16倍のズーム倍率を持つスコープを装備した狙撃銃を持つスナイパーは全クラス中で装備が最も軽量となるので動きが素早い。その徒歩での展開力を生かして単独行動をすることの多いクラスだ。射撃ポイントの選択を間違えなければ、連続で複数の敵をしとめることも容易だ。最高のスナイパーは飛行中のヘリコプターのパイロットを打ち抜いて撃墜することさえもやってのける。ただしスナイパーは遠距離からの支援攻撃をするために拠点の占領には参加できないことが多いので、敵に会えなければ無駄な兵力となってしまう危険がある。経験と射撃能力にある程度の自信がある人が選ぶクラスかもしれない。

●メディック
 衛生兵には倒れた兵士を蘇生させる能力を持つ。蘇生は一瞬で可能なので、長い移動の必要な前線に再出撃してくる時間を考えれば、衛生兵に蘇生してもらうほうがはるかに効率が良い。敵のPSPを一斉に攻撃するときにメディックが3、4人いればチーム全体の人数がそれ以上に増えたも同然で、敵に倒されても倒されてもまた立ち上がって戦い続けることで数以上の戦力を発揮することができる。同時に、敵のメディックは真っ先に倒さなければならないだろう。

●エンジニア
 誘導ミサイルであるスティンガーや迫撃砲を使用できるエンジニアは、マップの状況に応じて主に2つの役割が要求される。ヘリ輸送が多用されるマップではスティンガーミサイルを使って敵のヘリを撃墜することが第一。スティンガーは敵のヘリが視界内に入れば即ロックオン可能で使いやすいが、フレアを散布されるとなかなか命中しないのでタイミングが肝心だ。もうひとつの重要な仕事は、迫撃砲で敵の展開している地点を間接砲撃することだ。迫撃砲は最大500メートル離れた直接見えない地点に砲弾を降らせることが可能で、複数人で同一地点に攻撃をしかければ周辺の敵を一掃することもできる。

 キャラクタクラスはゲーム中に基地などにある「Armory(武器庫)」にアクセスすることで随時変更することができる。また、メインメニューの「Player」メニューからデフォルトの装備などを選択しておくこも可能なので、戦闘中に装備を選ぶ手間を削減するために自分に最適な装備をあらかじめ指定しておこう。

 それぞれのキャラクタクラスはそれぞれに得意な状況と苦手な状況があり、互いに補間しあう関係にある。チームが最大の効率で戦えるようになるには、ときには自分個人の利益を犠牲にすることも必要だ。例えば、単にKILL数を稼ぎたいだけならばスナイパーが最適なのだが、占領に参加しないスナイパーが何人いても大局に変化ないばかりか、多すぎることは害ですらある。そんなときはチーム全体のことを考えて、マップに合ったバランスにクラス替えをすることも、良いプレーヤーの条件といえるかもしれない。

敵の基地にむけて間接砲撃を行なうエンジニア達。直接の戦果はわかりにくいが、こういった地道な努力がチーム全体の利益に結びつく 敵の多い地域では水中に隠れて進むのも良い選択だ。ただし呼吸には注意



■ マルチプレイの主な舞台となるゲームルール「AAS」

レーダーマップ画面。A~GまでのPSPがあるが、特殊部隊側がEまでのPSPを確保しており、FのPSPが占領可能となっている
このマップは2つの島が橋1本でつながっている。スナイパーが活躍しやすい配置だ
ライフル兵のグレネードランチャーは武器を切り替えずに直ぐ撃つことができる。中距離では最強の対人兵器だ
このようにヘリの屋根に乗って飛ぶこともできる。危険は承知の上だ
 本作には4つのゲームルールがあるが、マルチプレイで主にプレイすることになるであろうルールは本作独自の「AAS(=Advance and Secure)」と「TKOH(=Team King of Hill)」である。このうち「TKOH」は「1つの占領地域を巡って両軍が正面から激突する」ルールであり、深い説明は不要だろう。とにかく戦いたい、何も考えずに敵とぶつかりたいという人向けのルールだ。ここでは、インターネット上のサーバーでは盛んにプレイされているゲームルール「AAS」について紹介していこう。

●Advance and Secure

 「前進して確保せよ」本作のオリジナリティ色が最も色濃くでたルールであり、最も多くのパブリックサーバー上で導入されているのも本ルールだ。このゲームモードでは、マップ上にところどころ配置されている「PSP(=Progressive Spawn Point、前進基地)」を敵の本陣に向けて占領していくことが目標となる。

 「PSP」はプレーヤーが復活可能な小型基地のようなもので、「Battlefield 1942」のフラッグに相当する。敵よりも多くの兵士がPSPの範囲内に一定時間とどまればそのPSPを占領することができるのだが、「Battlefield 1942」に比べて占領までに必要な時間が長く設定されている。ただしPSPからの復活は無制限ではなく、多くのプレーヤーが利用するPSPでは復活までのタイマーがどんどん長く設定されていく。激戦区のPSPでは復活タイマーが30秒を超えることも日常茶飯事で、大量の兵士を失ったときにはPSPが無人になってしまうことも多い。

 激戦になればお互い兵士を大量に消耗するので、PSPで復活を待つより、ベースキャンプで効率よく兵士を組織して一度に多くを送り込んだほうが有利になる。マップが広大なだけにこの「集合-輸送-展開」の一連のパターンはゲームの基本中の基本となるし、それだけに、ヘリやジープを活用して上手に兵士を送り届けるプレーヤーの存在はチーム全体にとって極めて重要である。

 また、マップ中に複数配置されているPSPには「接続」の概念がある。これは現実の兵站の概念を取り入れたものだと思われる。たとえば両陣営の間にA-B-Cという3つのPSPがあるとし、味方がAを保有し、敵がBとCを保有しているとしよう。このとき、味方はBのみを占領可能で、Cに対して攻撃をしかけても占領することはできない。Cを占領するためには先にBを手中に収める必要があるので、敵も味方もA-BのPSP間に集中するという具合だ。

 これが戦略的に複雑なシチュエーションを作り出す上で非常に効果的なルールとなっている。例えば、敵がAに総攻撃をかけてきたときに少人数でうまく防衛しながら、手薄になったB主力を送り込んで占領を行ない中立化させてしまう。その時点で敵はAを占領することができなくなり、A付近に展開した敵の兵力は完全に無意味なものになるのだ。うまくいけばそのまま手薄なCまで一気に制圧することも可能である。これの逆もありえるので、敵の動向をうまく読みつつ、柔軟なチームプレイで戦力を有効に展開することが本作のゲームプレイの本質となっている。

 このような状況の変化は画面右上に表示される各PSPのステータスである程度確認が可能なので、今チームが必要としている戦力の配分を考えながらプレイしよう。プレーヤーが無作為に集まってプレイするパブリックサーバーで、そういったチームプレイを意識したプレーヤーが数人いるだけでも、そのチームの戦力は非常に強力なものになるだろう。こうした一人一人が戦略を意識したプレイをしやすいようにデザインされているのも本作の大きな魅力のひとつだ。

占領を仕掛ける準備として制圧攻撃をかけている。敵の出血を強いればそれだけ状況を構築しやすい ゲリラ側の大型ヘリで大量のバギーが輸送されてきた。この新たな輸送力を活用しない手はない


こちらは「丘の王者」ゲームモード。輸送ヘリが制圧地点に大量の兵員を送り込んできた心強い瞬間だ 拠点を守るため固定機関銃を使って敵を制圧する



■ 独自の指揮系統システムで即席チームでも濃厚なチームプレイを

コマンダー画面。このインターフェースでウェイポイントを指定したり、FireTeamに命令をくだすことができる
 このように戦略的なプレイが大きな特色となっている本作であるが、そういったプレイを可能にするためにはまとめ役となるリーダーの存在が必要不可欠である。従来の同一系統のゲームではゲーム外のコミュニティで結成された、プレーヤーによる「クラン」や「チーム」が戦略実施の担い手となることが多かった。しかし、本作ではゲーム中で即席に組織されたチームが効率的な指揮系統を獲得できるよう、一歩進んだ独自のシステムを搭載している。

 「Fire Team」システムと呼ばれるこの指揮系統システムでは、専用のインターフェイスを用いて特定のプレーヤーの元にチームメンバーとして参加したり、逆にチームメンバーを募集して指揮下に置いたりといった組織化の作業が簡単な操作で素早く行なえる。1人の指揮官は3つまでのチームを同時に組織することができ、また、数人のメンバーを指揮する指揮官の上に、さらに上級の指揮官を置くことで班・小隊・中隊というような現実的な上意下達型の指揮系統をすばやく組織することを可能にしている。このインターフェイスは非常によく考えて作られており、このシステムを使った数回のプレイを経験すればおおむね完全に仕組みを理解できるだろう。

 「Fire Team」に参加したプレーヤーの画面には指揮官の指定したWayPointや攻撃目標が表示され、同時に、攻撃目標に攻撃をしかけるタイミングを指定する「実行コード」も知ることができる。たとえば、「Attack Objective Delta-Go-Code-Taliho」といった具合だ。これは「攻撃目標はDのPSP、実行コードはタリホー」という意味で、指揮官が「Taliho! Taliho!」と叫ぶまでにDのPSPに対する攻撃準備を整えて待機せよ、ということである。こうした作戦遂行は決して簡単ではないが、うまく連携して実行することができれば大きな効果を挙げることができ、組織化されてない敵に対してはほとんど一方的な勝利をもぎとることすらできる。緊密な連携が成功したときの喜びはひとしおである。

 ただ、今のところ指揮官役に名乗り出るプレーヤーが常時いるようなサーバーはまだ少なく、一部の高レベルなサーバーでのみこうした指揮系統システムを活用したプレイを楽しめるのが現状ではある。パブリックサーバーの寄せ集めチームでも高度な作戦を遂行できる素晴らしいシステムだけに、今後もっと多くのプレーヤーが積極的に指揮官役に身を投じるようなコミュニティの成熟を待ちたいところだ。

この画面でFireTeamを組織できる。コマンダー役に名乗り出るプレーヤーは貴重だ 画面右上に黄色い文字で表示されているのが指揮官の指示内容。チームメンバーと協調して行動しよう



■ 現実的な地形効果と兵力の集中運用による戦術のダイナミズムを実現した本作

搭乗員でぎっしり詰まった中型ヘリ。150人規模のサーバーではすぐにこれくらいの人数が集まってくる
ヘリの後部から地上にむけて射撃することも有効な戦術のひとつ。勢いあまって滑り落ちる人も続出。何をするのも命がけ
 筆者は本稿を書き上げるために本作を数十時間、全く飽きもせずに延々プレイしてしまった。こういった種類のゲームで、宵の入りにプレイを始めて、ハマり続けて気が付いたら朝だった……というのはわりと久しぶりの体験である。

 最新のグラフィックス技術を惜しみなく投入した美しい画面は当然のこと、見た目だけでなく機能面まで再現された密度の高い草地やジャングルの表現、それを活用しての密林の銃撃戦の感覚は、従来のゲーム以上に「サバイバルゲーム」の臨場感を持っている。

 以前はエアガンを大量に抱えてリアルのサバイバルゲームをよく楽しんだものだが、濃い草地や森林で現実に感じる「すごく注意深く回りを観察しないと敵が見つからない感じ」や「うまく藪の中に隠れているつもりが、予想以上に簡単に発見されてピンチに陥る感じ」がそっくりそのまま、本作では体感できるのである。

 ただ、本作にも死角はある。操作を簡単にするため、また、ネットワークの負荷を軽くするためか、乗り物の挙動はかなり単純化されており人によってはチープさを感じることもあるし、150人対戦が可能な大規模マップはまだ種類が少なく、ずっとプレイを続けていると同じマップを何回もプレイすることになってしまう。

 だが、なかなかパッチを出さないと一部悪評のあるNovaLogicとしては珍しくすでに4回もパッチのリリースがあり、総力を挙げてゲームの改良に取り組んでいるようだ。マップエディタのリリースも近日に予定されており、MODも公式にサポートするということで、戦場のバリエーションは今後どんどん拡張されていくことだろう。そういった面も含め、今後が非常に楽しみなタイトルである。

 今回日本語マニュアル版が正式にリリースされることで、既にいくつか稼動している日本のパブリックサーバーもより盛況になっていくことが期待される。こういった種類のゲームはプレーヤーコミュニティの成熟度がゲームの面白さに直結する部分が非常に大きいので、これから動向を興味深く見守っていきたい本作である。

輸送ヘリから飛び降りて展開するゲリラ部隊。着陸地点の選択はパイロットの戦略センスが問われるポイントだ 味方とともに敵基地への圧力をかける。多方向から同時に攻めることができれば即座に敵を無力化できるだろう


藪の中から敵のAPC2両が行軍していくのをやりすごす。ときには敵を相手にしないことも、無駄な被害を出さないためには大切だろう バギーを拾って敵を待ち伏せるのに良い中間地点へ配置したところ。軽機関銃は複数の敵をなぎ倒すのに有効なので、敵の輸送路で待ち伏せるのはいい考えだ


敵の基地を占領し、支配権を獲得している。基地の内外に防御用の人員が配置していれば、そう簡単に落とされることはない 敵基地の占領にはヘリの展開がなにより有効だ。占領が終わったらすぐに次の地点へ赴く


これはゲリラ側のAPCの主砲視点。ライフル兵以外の敵に関しては無敵に等しいのでうまく活用すれば単独で基地を無力化できる 迫撃砲で300メートル先の敵陣を直接砲撃しているところ。マップ上で照準できるのはこの武器だけだ


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【Joint Operations: Typhoon Rising】
  • CPU:Pentium III 1.2GHz以上(Pentium 4 2.4MHz以上を推奨)
  • メインメモリ:256MB以上(512MB以上を推奨)
  • HDD:1.5GB以上
  • ビデオメモリ:32MB以上(128MB以上を推奨)


□「Joint Operations: Typhoon Rising」のホームページ
http://www.micromouse.co.jp/nova/JointOperations/jointoperations.htm/a>
□関連情報
【6月14日】「Joint Operations: Typhoon Rising」Multiplay Demo
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20040614/demo0614.htm

(2004年7月23日)

[Reported by 佐藤"KAF"耕司@ukeru.net]


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