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【連載第133回】 あの、おもちゃを徹底レポート




携帯電話で操作できる女性向けのペットロボット
タカラ「CHORO MODE PET」

「CHORO MODE PET」
発売 タカラ
価格 3,129円
電源 アルカリ単4電池×3(別売)、ボタン電池CR2032(付属)、ボタン電池LR44(付属)
発売日 発売中



ターゲットは「大人の女性」。そんなラジコン今までなかった!

左下のイラストに象徴されるように全体的に女性をターゲットにしたデザインが施されている
 今回の「チョロモードペット」は、長くロボットトイをウォッチしている筆者にとっては、意外というか新鮮さを感じさせてくれるアイテムだった。

 タイトルの「チョロ」から想像できるように、タカラの「チョロQ」の流れを汲んだ商品だ。携帯電話をコントローラとして利用して小さなメカを動かす仕組みは、以前に取り上げた「チョロモード」そのままだ。しかし、印象は大きく異なる。以前の「チョロモード」は小さなスポーツカーを携帯電話で動かす超小型ラジコンで、いかにも“大きなお友だち”向けの商品だった。

 ところが「チョロモードペット」は、シリーズ作品にも関わらず、グッと女性向けのテイストになっているのだ。内蔵されているペットのデザイン、その姿や表情はファッション雑誌のイラストから抜け出てきたようなおしゃれな雰囲気をかもし出している。パッケージを眺めてみると、その狙いはますます鮮明になってくる。

 描かれているのは、ワンピースを着た女性。ショートカットのヘアスタイルとノースリーブのワンピースから、学生ではなくてOLだと思われる。なるほど、トイとは無縁の女性に訴求するべく生み出されたトイなのだな。それなら筆者がOLになり代わって(?)、女性の心をつかめるアイテムなのかどうか、判定してみよう。

あらゆるキャリアの携帯電話で遊ぶことができる

 パッケージの中には、ペットロボットが1台、充電ユニットが1基、そして携帯電話をコントローラに代える通信ユニットが入っており、アルカリ単4電池を3本用意すれば、すぐに遊べるようになっている。パッケージは、「ピンクウサギ」「アオウサギ」「チャイロイヌ」「シロイヌ」「ミドリネコ」「オレンジネコ」の6種類が発売されており、筆者は「オレンジネコ」をチョイスした。

 使用する携帯電話は、「NTTドコモ」をはじめとして、「au」、「Vodafone」、そして「TU-KA」とすべてのキャリアに対応している。また遊ぶ際には使用料や通話代は一切かからないので、その点は安心してほしい。
 遊び始めるには多少の準備が必要だが、いずれもとても簡単だ。まず使用する携帯電話にイヤホンジャックがあるかどうかを確かめる。イヤホンジャックがあれば、「通信ユニット」をそのまま挿しこむ。なければ付属の「スキャンリンクアダプタ」を携帯電話のスピーカーを覆うようにしてセッティングする。

 次に携帯電話自体の設定を行なう。ボタンを押すと鳴る「ピ、ポ、パ」という音がロボットへの命令となるので、プッシュトーンが大きく鳴り響くように設定を変更する。そして「充電ユニット」に電池をセットし、その上にペットロボットを乗せて、充電を開始する。1分の充電で約3分間遊べるようになる。

「充電ユニット」。この上にペットロボットを乗せると、自動的に充電が開始される 「通信ユニット」。丸い部分はベルトなどに装着できるようになっている 携帯電話に「通信ユニット」と「スキャンリンクアダプタ」を装着すると、コントローラとして使用できる

「オレンジネコ」。幅広く好かれるような“抑え”の効いたデザイン。いわゆる“オタクくささ”は感じさせない


史上初? 「いうことを聞かないラジコン」の誕生だ!

実際の使用感覚だと、ペットロボットがいうことをあまり聞かないため、携帯電話はコントローラというよりも、コミュニケーションツールのように感じられた
 「チョロモードペット」の遊び方は、大きく分けて2種類ある。「放し飼いモード」と「お散歩モード」だ。「放し飼い」はその名の通り、ペットが気ままに歩く様を眺めて楽しむモード。「お散歩」は、携帯電話をコントローラとして使い、ペットを自在に操作するモードだ。

 携帯電話での操作には、ダイヤルボタンを利用する。「2」なら前進、「8」なら後退、「3」なら右斜めへ前進と、説明書を見ずとも直感的にわかるようになっている。「充電ユニット」から「オレンジネコ」を取り外し、机の上に置いてみる。

 すると「オレンジネコ」がいきなりのタイミングで、メロディを奏でて前進をしはじめる。その勢いに、机の下に落ちてしまわないかとハラハラさせられた。なるほど、こんなふうにして、ペットを見守る飼い主の気分が味わえるというわけか。

 携帯電話を握り、操作をしてみる。まずは前進を命令する「2」ボタンをピッと押してみる。あれ? 動かない……と思った2秒後に「オレンジネコ」が前進を始めた。今度は後退を命令する「8」ボタンを押してみる。うん、今回もすぐには動かない。これはどうしたものかと思った瞬間、後退し始めた。しかも、「オレンジネコ」の動きは直線ではなくて、左右に少しフラフラしている。

 これはどうしたことか、と説明書を熟読してみると、疑問は氷解した。「ペットの動きはアバウトです。2をプッシュしてもまっぐす前に進むとは限りません。前方90度の範囲で動きます」と書いてあったのだ。

 えっ! そんなのアリ!! とたじろいたが、考えてみると、実にユニークな発想に基づいて作られていることが伺えた。もし「チョロモードペット」がボタンに即座に反応し、スポーツカーのように迅速に動いたとしたら、それは単なるラジコンだ。OLは遊ばないだろう。

 しかし、これはあたかも生命が宿っているように見立てて遊ぶ“バーチャルペット”なのだ。本当の動物のように飼い主の命令に素直に従うこともあれば、反抗することもあるだろう。作り手は、そんな“気ままな感情”を表現したかったのではないだろうか。遊び手も「わっ! 今回は素直だね!!」なんて、「チョロモードペット」のささいな動作に一喜一憂する、そんな遊びかたをする……。

 ラジコン好きの筆者としては、これを面白いと感じるかどうかは正直微妙なところだが、「いうことを聞かないラジコン」という発想があることには感心させられた。


 ほかの遊びかたとしてはメールモードがある。これは特定のキーワードをメールを打つようにして入力すると、「チョロモードペット」にさまざまな動作をさせられる遊びだ。たとえば「**7999♯」と打つと、「チョロモードペット」が周囲を円を描くようにして走る。「**1444♯」と打てば、「チョロモードペット」が「メリーさんの羊」を歌う、という具合だ。これらのキーワードは、今後公式サイトで追加公開されていく予定とのこと。

 さらに「チョロモードペット」はある程度遊ぶと、疲れて動きがトギレトギレになったり、ふてくされてプレーヤーの命令と正反対の行動を取ることがある。こんな場合は携帯電話に「おかし」や「くすり」を意味するキーワードを入力すると、問題を解消できるようになっている。

 筆者は女性じゃないから、こうしたトイがどれほどの需要があるか正直なところわからない。だけど男にはまるでウケないが、女性にはすこぶる人気のあるトイが登場したとしたら、それは大変面白い。「チョロモードペット」は、そんなアイテムになり得るのだろうか。

(C)TAKARA Co.,Ltd. 2003


□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/
□「CHORO MODE PET」のページ
http://www.takaratoys.co.jp/cmode-pet/


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(2004年1月8日)

[Reported by 元宮秀介]


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