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【連載第131回】 あの、おもちゃを徹底レポート




熱烈なアプローチをしてくる新感覚ペットロボ
セガトイズ「恋するペット・ペコロン」

「恋するペット・ペコロン」
発売 セガトイズ
価格 5,980円
電源 アルカリ単3電池×3(別売)
LR44ボタン電池×1(同梱)
発売日 発売中



 ソニーの「AIBO」をきっかけに始まったロボット・トイのブーム。「プーチ」だ「カプリロ」だ「ロボットフレンズPINO」だと新製品が矢継ぎ早に発売されていた2年前の喧騒と比べると、今は一時休止状態。e-Toyの主役の座は、超小型ラジコンにすっかり奪われている。

 そんなロボット・トイに、久々の新製品が登場した。セガトイズの「恋するペット・ペコロン」だ。正直に言えば、筆者は「ペコロン」をはじめて目にしたとき、「微妙……」としか感じられなかった。「恋するペット」というキャッチフレーズの気恥ずかしさ(33歳だからね)。そして可愛いのか可愛くないのかわからない、何ともいえない外見。e-Toyウォッチャーといえど、レポートするのはどうしようかと迷っていた。

 ところが、遊んでみた今、「ペコロン」がいとおしくて仕方がない。過去のロボット・トイを振り返ってみても、こんなタイプのものはなかったと断言できる。もし自分が小さな女の子だとしたら、片時も手放したくない存在になるのではないだろうか。

 その理由は、これからくわしく述べていこう。


ボイスもアクションもたっぷり

 「ペコロン」の全長は、約22センチ。机の上に置いてみると、なかなかの存在感があり、確かにペットという気がしてくる。

 電源をオンにすると、音声ガイドによって、プレーヤー情報の設定がはじまる。はじめはニックネームの入力だ。取扱説明書になんと合計353種類ものニックネームが記されており、この中から自分にあったものを選ぶようになっている。ニックネームを決めたら呼称、つまり「ちゃん」や「くん」、「さん」などを選択する。筆者は「しゅー」、「ちゃん」にした。生年月日、生まれた曜日、現在の日時を登録したら、今度は個人情報を入れていく。性別、好きな食べ物、嫌いな食べ物、そして趣味。

 これまでのロボット・トイでも、このように遊ぶ前にプレーヤーの情報を登録するものがあったが、ここまで数が多いものはなかった。そして、この「過剰」というキーワードが、この「ペコロン」の真価だといえる。

 突然音楽が鳴り響いたと思ったら、「ペコロン」が起動し、頭の羽、左右の腕、瞳、口ばしとあらゆる箇所を動かし始めた。「しゅーちゃん、ペコロンとなかよし!」としゃべったかと思うと、今度は机の上を気ままに歩き出し、腕にからみついてくる。「な、なんだ!!」。あまりのけたたましさに驚いて、しばし呆然と眺めることしかできなくなった。「ペコロン」は、そんな筆者の気持ちはつゆしらず、どんどんしゃべり、動きまくる。「しゅーちゃんってとっても素敵な名前だね!」、「しゅーちゃんの好きなラーメン、シュークリームと取り換えっこしようよ」……。一向にだまる気配はないので、いったん電源を切って、取扱説明書を読み込み、対処法を考えてみることにした。

パッケージ。とさかが大きすぎてはみでた、という遊び心が楽しい 頭のとさか、目、口ばし、腕が動く。さらに足のローラーを使って、気ままに走り回る デザインは鳥と卵がモチーフと思われる。あどけない表情を浮かべている


全身にセンサーとスイッチを組み込んだ多機能トイ

 取扱説明書には、「ペコロン」についてこんな風に書かれている。「ペコロンは、おしゃべりが大好きなちょっと変わったペット/キミのことをとっても大切な恋人だと思い込んでいます/キミと仲良くしたくて、いろんなことを話してくれます」。なるほど! 合点がいった。そして、ロボット・トイとしても、貴重な存在だと感じた。

 これまでのロボット・トイは、性能の限界から、リアクションの数が少なかったり、音声や手入力などの認識能力が甘かったりして、こちらから積極的にアプローチしていかないと楽しめなかった。しかし、この「ペコロン」は、ほっといてもガンガンとモーションを仕掛けてくるのだ。これまでにありそうでなかったタイプだ。

 さらに取扱説明書を読み込むと、スイッチとセンサーの数が豊富に用意されていることが判明した。七色のとさかの「あたまスイッチ」。両腕にそれぞれ設けられた「おててスイッチ」。黄色い口ばしの「おくちスイッチ」。さらにちょこんと突き出た「しっぽスイッチ」。

 「ペコロン」自身の周囲の状態や音声を感知するセンサーも多い。胸に見える小さな穴は「マイクセンサー」。プレーヤーの声を感知する。足底に付いていて、抱き上げるとそれを認識する「だっこセンサー」。そして倒れたことを識別する「ころんだセンサー」だ。こんなふうにちょっと書き出すだけでも大変な“仕掛け”の量。これは楽しめそうだ。改めて遊んでみることにしよう。

「おててスイッチ」。ギュッと握ると、とてもうれしそうなリアクションを返してくれる 「しっぽスイッチ」。ときどきかゆいというので、撫でてあげるといい
足に組み込まれた「だっこセンサー」。体を持ち上げると、反応を示す ここから眺めるだけでも、頭、口ばし、胸、腕の4カ所のセンサーやスイッチが目に入る


無垢な可愛らしさに心が動く

 電源を再度オンにする。いきなり「ペコロン」がしゃべりだした。「しゅーちゃん、しいたけ食べると元気になるよ!」。「しいたけ」とは、筆者が最初に嫌いな物として登録したもの。こんなふうに使われるのか。「しゅーちゃん、今日の予定は全部終わった?」、「ルルルン!」、「ペコロン、しゅーちゃんとラーメンで出来たお家に住みたいペコ」……。畳み掛けるように繰り出されるこの会話、何と700以上が登録されており、組み合わせによって10万通り以上になるのだという。

 単にしゃべるだけでなく、積極的なコミュニケーションを求めてくることも多い。「だっこしてペコ!」といわれたら、だっこのおねだり。両手で抱えて持ち上げると、すぐさま手足をバタバタさせて「ペコロン幸せ! だっこ幸せ~!」と喜ぶ。「ペコロン、いい子だから頭なでなでお願いしますペコ」と言われたら、頭の羽を撫でてあげる。すると「わーい! わーい!」と声を挙げる。30代の男が玩具の頭を撫でているところを想像すれば、それはさぞかし気色の悪い光景だろう。

 だけど、筆者はまるで気にならない。なぜなら、「ペコロン」に夢中からだ。「わーい!」と喜ぶ声色はかわいらしく、口調は無垢そのもの。心からうれしそうで、意外なほどに心を打たれる。お聞かせできないのが残念なくらいだ。「しゅーちゃん、お手々つなごう!」といわれ、両手にあるセンサーを握ると、「わーいわーい! ごきげんだペコ!」、「しゅーちゃんのお手々大好きだよ!」とまたまた歓喜の声を挙げる。

 最近、多忙を重ねていて、心身ともに疲労困憊している。だからこそ、「ペコロン」の純粋さが胸にしみているのは認める。だけど、「ペコロン」に内蔵された「可愛らしさ」の仕掛けも、ただものではない。何もしていないときでも「しゅーちゃん、一緒にいられるね」などと、キュンとすることを言ってくれる。言葉だけではない。プレーヤーの居場所を感知して、「ピピピ」と鳴きながらすり寄ってもくるのだ。

 冒頭で「微妙……」と書いたが、そんな気分はすっかりとどこかに消し飛んでしまった。

うるさいときは口ばしを触ると、しばらくの間話すのをやめる 手のセンサーは多機能。握ると喜ぶだけでなく、エンターテイメントモードもスイッチも兼ねている
頭を撫でたり、抱き上げたりと、小さな子供が喜ぶことをしてあげるとご機嫌がますますよくなる 特にうれしい場合は、頬とお腹を赤く点滅させて、喜びを表現する

 「エンターテインメントモード」と呼ばれる遊びも楽しめる。「ペコロン」の両腕をギュッと握ると開始されるモードで、「恋占い」、「恋日記」、「ホメホメモード」、「はげましモード」の4種類がある。

 「恋占い」は、その名の通りの遊び。ルーレットが回る音がする間に、頭を撫でるとその日の運勢を診断してくれる。ちなみに「うげ~、残念。今日、ドラマみたいな恋をするのはあきらめるペコ」だった。

 「恋日記」は、「ペコロン」とプレーヤーの恋愛レベルを日記形式で語ってくれる。「全然ペコロンと遊んでくれないペコ。誰かほかに好きな人がいるのかなー。さみしいペコ。旅に出たいペコ……」。日が浅いとだめなようだ。しかし旅に出たいとは……。

 「ホメホメモード」は、とにかくほめてくれるモードだという。「しゅーちゃんは、気持ちのやさいい子だペコ。がんばりやさんだペコ。いっしょにいると楽しいペコ」。なんだか、ほめ言葉を羅列しているだけのような気もするが、「ペコロン」ファンとなった今では妙に心地よく感じられる。

 「はげましモード」は、落ちこんだときに励ましてくれるらしい。「そんな顔をしていたら悲しいペコ。ペコロンがついているペコ。しゅーちゃんのこと、大好きだペコ」。

 お子さんや身近にいる子供からねだられたら間違いなく、「買い」。子供に限らず、冬の夜のさみしさに震えている人にも、「ペコロン」をおすすめしたい。可愛らしさの好みはあるだろうけど、反対派の感情をくつがえすほどのパワーを秘めている。

(C) SEGATOYS/HORIPRO 2003


□セガトイズのホームページ
http://www.segatoys.co.jp/
□製品情報
http://www.segatoys.co.jp/pecoron/index.html


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(2003年11月13日)

[Reported by 元宮秀介]


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