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【連載第130回】 あの、おもちゃを徹底レポート




ドラクエが体感ゲームになった!
スクウェア・エニックス「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」

「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」
発売 スクウェア・エニックス
価格 6,980円
電源 アルカリ単3電池×4(別売)
専用ACアダプタ(別売)
発売日 発売中



 これからはじまる年末商戦において、台風の目になるともいわれているのが、この「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」(以下剣神ドラゴンクエスト)だ。9月の発売以来売れに売れ、一部では入手困難な状態が続いている。ゲームショップや玩具店の軒先に「剣神ドラゴンクエスト入荷しました!」という張り紙が貼られる光景もよく見かける。

 なぜこの「剣神ドラゴンクエスト」が売れに売れているのか。理由のひとつめは他でもない、ドラクエシリーズの最新作だからだろう。これはいわずもがなだ。

 ふたつめは、体感ゲームとの融合にある。体感ゲームとは、少年少女の間でブームとなっている新感覚ゲーム機の総称。ハードの中にソフトが内蔵され、ケーブルを使ってテレビとつなげるだけですぐに遊び始められる新しいタイプのゲーム機。最大の魅力は、そのコントローラにある。ゲームの内容に応じてボクシンググローブ、釣竿、ボウリングのボール、ゴルフのドライバーなどに形を変え、体を動かして遊ぶ楽しさを味わえるようになっている。「剣神ドラゴンクエスト」は、体感ゲームの中核となっている「XaviX」というテクノロジを採用し、「ドラクエ」仕様としてさらに磨きをかけている。テレビの前でロトの剣型のコントローラをふれば、画面の中のスライムを叩き切れるのだから、面白くないわけがない。

 みっつめは、ゲームの内容が「ドラゴンクエストI」のストーリーに即していること。竜王にさらわれたローラ姫を救い出すために、伝説のロトの勇者の末裔が冒険の旅に出る、あの物語。ファミコン第1世代が心底夢中になった物語が、体感ゲームとして新たに体験できるのだ。これなら大人でも見逃すわけにはいかないだろう。

ロトの紋章が輝く剣を握れば、気分は勇者!

 パッケージの中には、本体、剣、メモリーカードの「冒険の書」、そしてAVケーブルが入っている。本体の電力となるアルカリ単3電池を4本、もしくは別売の専用ACアダプタを用意すれば、すぐに遊び始められる。

 パッケージからこれらのアイテムを取り出してみると、まず剣に目を奪われる。ゲーム中に登場し、公式ガイドブックなどでたびたび目にしたロトの剣。あれが立体化されているのだ。玩具ということで安全性に配慮し、剣の先端が丸みを帯びているなど多少のデフォルメはなされているが、非常に格好いい出来栄え。剣の中心には黄金のロトの紋章が刻まれ、握っているだけで気分が盛り上がってくる。

 本体も負けじと凝っている。ロトの紋章が大胆にあしらわれ、中央にはロトの宝玉も埋め込まれている。この宝玉は、本体の電源を入れると赤く点灯する。

 テーマパークのように、細部を丹念に作り上げ「冒険者の気分」を損なわないようにする。そんな狙いが伺える。

ロトの剣がコントローラとなる。これ1本だけで進行、攻撃、防御、魔法の使用など様々な行動を操作できる ロトの紋章をかたどったレリーフ。造形も美しく、見ているだけで気分が高まる
本体はCPUとソフト、そしてセンサーが内蔵されているオールインワン設計 メモリーカード。「冒険の書」という名前で、外見も書物らしく作られている

 ケーブルでテレビと本体を接続し、電源を入れると、剣の調整画面が現れる。なるほど、これは重大な作業だぞ……と改めて、本体や剣のセッティングを確認する。本体はテレビの上に設置。センサーをプレーヤーの正面に向ける。剣は利き手でしっかりと握りしめ、事故防止のために付属のストラップを手に巻きつける。そして立ち位置。テレビから1.5メートルの場所に立つのがベストポジションとのことなので、それを実行する。

 画面にはブルーの玉が映し出されている。これを縦に切れ、との指示が表示されているので、実行してみる。「シュパッ!」。心地よい音と共に、ボールがふたつに割れる。次は横切り、そして斜め切りを試してみる。なるほど、これは大したシステムだ。プレーヤーが剣を構えている位置を正しく認識し、縦、横、斜め方向のアクションも判定する。まるでテレビ画面の中に腕の動きがコピーされているようだ。体感ゲームは、これまで作品を重ねるごとにその機能を進化させ続けてきたが、ついに極まった感がある。

このように剣をテレビに向けてプレイ(実際はテレビと剣の距離を1.5メートル程度開けます) 剣の調整。自分の動作を誤差なくゲーム中に伝えるための大切な設定だ

 剣の調整を終えると……出たっ! おなじみの「DRAGON QUEST」のロゴマークと、すぎやまこういち氏作曲のメインテーマだ。これだけで気分は最高潮。「ドラクエ」の新作を遊べる! という喜びが体を駆け巡る。

 続いて画面の指示通りに「冒険の書」にファイルを作成。これで準備は万端だ。

 ゲームが開始されると、そこは出発の地、ラダトーム城。王様から光の玉を取り戻すように依頼される。ファミコンの「ドラゴンクエストI」では見下ろし型の画面で描かれたシーンだが、ここでは主人公の主観型画面なので見た目は大きく異なっているが、すぎやまこういち氏の音楽によって、気分はいきなり「ドラクエI」の世界へ誘われる。さあ、出発だ!

 冒険に出ると、システムの優秀さに驚かされた。剣の先端を本体に向けると道を直進し、ウインドウにメッセージが表示された場合は、ウインドウの右上のボタンを指し示すと新しいメッセージが表示される。つまり、モンスターたちとのバトルだけでなく、ゲームの進行を含めたすべての動作が剣1本で行なえるように設計されているのだ。そのため、何かあるたびにいちいち移動することもなく、剣をふるってゲームに集中することができる。

タイトル画面。全編にすぎやまこういち氏作曲のおなじみの音楽が流れる ラダトーム城の王様。長い冒険の旅はここからはじまる


戦略的なバトルシーン。迫力のボスバトル

 道を直進すると、スライムが飛び出してきた! すかさず剣を縦に振り、一撃で倒す。これで安心と思ったら、スライムが次から次へと出現。剣を縦に横に振りまくる。

 剣を振りながら、モンスターを倒すのも戦略があることがわかった。例えば4匹のスライムが横に並ぶように出現した場合、横切りにする。すると一撃で4匹を倒せるのだ。スライムの斜め上にドラキーが現れた場合は斜め切りをすれば一撃。こんなふうにモンスターの陣形を読み取って、ベストな剣の振り方をすれば、攻撃を受けることなく、効率よく倒していける。

 さらに剣を空振りすることなく、連続してモンスターを切り付けていけば、剣がパワーアップしていく。また一度に複数のモンスターを倒すと「コンボ」としてカウントされ、記録を伸ばしていく楽しみもある。

 とかく単調になりがちな剣のアクションを、あの手この手でスリリングに仕立て上げている。さすがはドラクエシリーズだ。

スライムがあらわれた! ぼんやりしていると攻撃されるリアルタイムバトルが展開する 岩陰に隠れながら矢を撃ってくるリリパット。先に岩を砕く必要がある

 さらに道を進めると、炎のほこらにたどりついた。ここでは攻撃魔法のギラを授けられた。

 戦闘中、剣の腹を本体に向けるとモンスターの攻撃を防御することができ、この体勢のまま剣を本体に近づけると魔法を使うことができる。

 目の前にしりょうのきしが現われた! スライムやドラキーとは違い、見るからに強そう。力を込めて剣を連続して振るも、一切ダメージを与えられない。それどころか、しりょうのきしの剣によって、ダメージを受けまくるばかり。攻防を続けていると、対処法が見つかった。しりょうのきしの攻撃を盾で防ぐと、一瞬ひるんで大きな隙ができる。この一瞬を逃さずに、剣で叩ききればいいのだ。なるほど、強敵はただ切るだけでなく、それぞれの弱点を見抜いて攻撃していくというわけか。バトルにいよいよ熱がこもろうというもの。

 しかし、しりょうのきしに受けたダメージが大きく、今にも死にそうだ。ここで先ほど習得したギラを使うことにする。本体に向けて、腹を見せるように剣を持ち替え、グッと近づける。すると魔法画面に切り替わったので、ギラを選択。画面は再び戦闘画面に切り替わり、剣の先端から炎が放射されはじめた! これをしりょうのきしに向けて一気に体力を削っていく。勝利だ!

 ステージ1をクリアすると、名前入力画面になる。このBGMは「ドラゴンクエストII」の名曲「ラブソング探して」なのだから泣かされる。

ステージ1のボス、しりょうのきし。これまでの敵と比べると圧倒的な強さで攻めてくる 魔法の選択画面。剣の操作で、攻撃魔法や回復魔法を使い分けられる
ステージをクリアすると、経験値が手に入り、さらに戦いぶりに応じた称号が与えられる ステージの間にはマップ画面が表示され、次に行くエリアが明らかにされる

 冒険の物語はこの後もまだまだ続く。ステージ2では毒の沼地でくさったしたいと戦い、ステージ3ではドラゴンと対面する。ドラゴンの迫力と強さには、誰もがおののくはずだ。

 冒険の途中に巻物を手に入れると、必殺技が使えるようになる。必殺技は、ボスクラスのモンスターとのバトルで勝敗の決め手となるのだが、入力が大変。5個ある玉をすべて瞬時に切る。あるいは5個の玉のうち、真ん中のものを切らないようにして、残りの4個を右、左と斜め切りする、などスリリングな条件なものばかり。これもゲームを熱くするのにひと役買っている。

 またゲームの途中にミニゲームが出現することもある。例えば、一定時間内に100体のスライムを叩ききる「スライム100」。ステージをクリアすれば、以降は好きなときに遊べるようになる。

ステージ2のボス、じんめんじゅ。ツルを伸ばして攻撃してくる おなじみのドラゴン。どこに登場するかは遊んでからのお楽しみだ
冒険の途中にはこのように町へ立ち寄り、情報収集する場面もある 主人公のステータス画面。これまでのプレイ内容を一望できる ミニゲーム「ばくだんドッジ」。ばくだんいわを使って、危険なドッジボールをくり広げる

 内容もボリュームもすべてが「ドラクエ」の名にふさわしいクオリティ。文句なしの面白さだ。気になりながらもまだトライしていない人がいれば、熱烈にお薦めする。

 筆者はといえば、剣を振っていた右肩が痛い。最近トレーニングを重ねていたので大丈夫だろうと予想していたのだが、それ以上に力を込めて腕を上下左右に振りおろし過ぎていたのだろう。だけど、そんな痛みもアレフガルドの地で作ったと思えば、どこか心地よくもある。

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□スクウェア・エニックスのホームページ
http://www.square-enix.co.jp/
□「ドラゴンクエスト」のページ
http://dragonquest.square-enix.co.jp/
□「剣神ドラゴンクエスト 甦りし伝説の剣」のページ
http://dragonquest.square-enix.co.jp/ssd/
□関連情報
【2003年10月8日】スクウェア・エニックス「剣神ドラゴンクエスト」
CM新バージョンを放送開始
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20031008/enix.htm


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(2003年11月6日)

[Reported by 元宮秀介]


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