サッカーの盛んな欧州では「このタイトルを知らないサッカーフリークはいない」と言っても過言ではないほどの絶大な支持を受けている「CHAMPIONSHIP MANAGER」(以下CM)シリーズ。日本語版に先駆けて発売されたシリーズ最新作、「CHAMPIONSHIP MANAGER 4(以下CM4)」も英国では大ヒットを記録している。日本でもコアなCMユーザーは英語版を直接輸入してプレイしているほどだ。 ここまで支持される理由は何なのだろうか? それは本格的にクラブ運営をシミュレートできるゲーム性と膨大なデータの量だ。今回のCM4では実在する41カ国91ディビジョンものリーグを再現し、20万人もの膨大な選手データを収録している。そんなモンスターデータを誇る究極のサッカーチームマネジメントシミュレーターが日本語にローカライズされついに発売された。以下ではCM4の魅力をたっぷり紹介していくつもりだ。
■ 世界中のリーグをシミュレート。選手データも半端では無い
しかもこのタイトルは、41カ国91ディビジョンのどこのリーグのどのチームを選んでもプレイすることができる。つまり、プレーヤーはマイナーなリーグのマネージャーになって、マイナーリーグからセリエAのユヴェントスに匹敵するような強豪チームを作ることも可能なわけだ。与えられたデータ量の分だけ遊び方もある。それがこのCM4というタイトルだ。 ■ プレーヤーの役目は監督兼マネージャー。仕事の多さにてんやわんや
筆者は、今回イタリアのサッカーリーグ「セリエA」の伝統あるチーム、ラツィオで始めた。ラツィオは1900年に創立し、スクデット2回('73-74/'99-2000)、カップ優勝3回('58/'98/'99-2000)の伝統ある強豪チームだ。しかし経営危機のせいで、'99-2000のスクデッドを取った時に活躍した有名選手達を放出。クラブ運営の転換機にあるチームだ。こんなチームを選んで、波乱のチーム運営をするのもCM4の楽しみのひとつなわけだ。 さて、CM4でプレーヤーに課せられる仕事は非常に多い。監督として、まずスターティングメンバーを選ばなければならない。どのチームを選択しても既存の戦力を基本に戦っていくことになるだけに、非常に重要な仕事だ。選手の能力を見て個性を見抜き、最善のスターティングメンバーを考えることが勝利への近道だ。選手間のトラブルで、不仲な選手同士をどのように起用していくかなど悩みも多い。 次に戦術を考えなければならない。戦術は、近代サッカーでは非常に重要要素であり、名監督と言われている監督達は独自の戦術理論を持っている。たとえば、以前、南アフリカをワールドカップに送り出し、昨年のワールドカップでは日本を率いて輝かしい成績を収めたトルシエ監督は、徹底したシステムサッカーを選手に教え込み、今までの4バックのフォーメーションを止めてフラット3という新しいフォーメーションを日本に持ってきたことで知られる。中盤でのプレスとディフェンスラインを上げたコンパクトなサッカーを要求し、日本代表をベスト16に進出できるほどのチームに仕上げた。 CM4もしかりで、プレーヤーは既存の戦力でベストの試合をするために独自の戦術を必要とする。他のチームの戦術や、リアルサッカーの戦術を真似てみるのも良いとは思うのだが、自分の独自の戦術で相手を破ったときの爽快感は格別だ。試行錯誤をしながら最高の戦術を見つけ出そう。戦術は、プレスを自陣のみで行なうか、常に行なうか、タックルの強弱。クロスを上げるときにニアサイドに上げるのか、ファーサイドに上げるのか……など選手個人に指示ができ、非常に細かい部分まで指示が可能だ。試合を見つつ微調整をしていくことをお勧めする。 さらに、選手のトレーニングの指示もしなければならない。これもまた細部までトレーニングの指示ができ、メニューを作るのに時間がかかる。フィジカル系のトレーニング、個人スキルのトレーニング、セットプレイのトレーニング、戦術トレーニング、ミニゲーム、ゴールキーパートレーニング等、チームに合ったメニューを作らなければ、試合での勝利は難しい。 当然、トレーニングをこなしていくことで選手の疲労は蓄積されていき、怪我の原因にもなる。程よい休養も必要だ。トレーニングは、トレーニングスケジュール毎にコーチまたはフィジカルコーチを割り当てることができ、コーチの能力が高ければ高いほど練習効率は高くなる。この辺りも考えながらメニューを作ることが大切だ。それに加えて、下部組織であるサテライトチームや、U-20のチームの指示もしなければならない。もう猫の手でも借りたい気分である。 上記のような監督業のほかに、戦力補強や、選手の放出も行なわなくてはならない。既存の戦力でどうしても勝てない場合は、他のチームから選手を補強することがチームの成績向上に直結する。わかりやすい例でいえば、中盤の選手の質はピカイチなのに、フォワードが弱く得点力不足のチームに、世界最高の呼び声が高いフォワード、ロナウドを加入すれば、目に見えて多くの恩恵を受けることになるだろう。 若く素質のある選手を青田買いし、未来のエースに育てたり、高い値段で他チームに放出したりする事もマネージャーの仕事だ。チームの資金と相談しながら弱いポジションに強い選手を補強し、勝利を目指そう。 ただ、注意して欲しいのは、有名選手はクラブの知名度が低いと交渉にすら応じてくれない。J2のチームでいくらお金を出したとしても、海外の有名選手はそうそう加入してはくれない。クラブに見合った選手補強をしていくことが大切だ。
レアルマドリードのような強豪チームは、クラブ知名度も高く初期から補強に費やせる資金が多いため、補強は容易だ。ただし、このような強豪チームはちょっとした成績不振でもマネージャーの責任を問われることになるので、一長一短といったところか。しかし、いつかは指揮してみたいチームであることは確かだ。
■ 選手の個性は膨大なパラメータで表現 一般的にこの手のシミュレーションゲームは能力を数値で表すものが多い。CM4もその例外ではないのだが、データ量が半端ではない。選手の個性付けにさまざまな能力値が設定されている。まず能力の一覧をここで紹介しよう。
・技術能力
・メンタル能力
・身体能力
・GK能力
・その他の要素と能力 CMでは上記の能力で選手の個性を表しており、各能力が関連しあっている。たとえば、FWの場合「決定力」がいくら高くても、「予測力」や「オフザボール」の能力が低い場合なかなか高い「決定力」を生かすことができないし、DFの場合「ジャンプ力」が高くても「強靭性」や「ヘディング精度」が低い場合せっかくの「ジャンプ力」力を生かすことができないのだ。
これらの能力から自分の求めている選手を選ぶことがCM4の醍醐味のひとつであり、全てであると筆者は思った。自分好みのチームを作るために、テキストとにらめっこする時間が、ゲームを進めるために費やす時間より長くなってしまうことは必至だ。以下では、CMシリーズの人気を支える膨大な選手データを、筆者的視点で分析してみようと思う。
■ 新システム2Dピッチで試合をよりわかりやすく 今までのCMシリーズの試合は、テキストが表示されてそのテキストを読み、プレーヤーが自分の頭の中でプレーをイメージして楽しむという内容だった。今回のCM4でもそのスタンスは大きくは変わらない。だが、イメージするための補助的なシステムが搭載された。それが2Dピッチというシステムだ。 2Dピッチとは、試合を真上から見ている視点で、選手を背番号付の○で例え動きを描写している。敵と見方が色分けされ、ボールマークを追うといった非常にシンプルなシステムだ。この2Dピッチのシステムのおかげで選手がどのような動きをしているのかが把握し易くなり、今まで以上にプレーのイメージが膨らむようになった。 しかもこの2Dピッチは意外に臨場感があり、本物の試合を上からの視点で見たかった筆者にとって、かなり面白く試合を見ることができた。2Dだからといって侮ってはならない。選手は○なのだが、ヘッディングの時にはアクションを起こすし、動きもスピーディーである。実際のサッカーの試合を見ているようなダイナミックさを表現しようとしているように思えた。 2Dピッチのオプションで、フルで試合を見る設定や、キープレーの時に試合を見る設定も可能。試合の流れのスピードも調節できる。ただ、あまり早いスピードにしてしまうとテキストを読む暇が無く、試合を楽しむことができない。試合後のレポートでハイライトシーンを見ることもできる。じっくりと2Dピッチで確認し、今後のチーム作りの参考にしていこう。 なお、私のPC環境は
CPU Pentium4 2.53GHz といった環境なのだが、「推奨圏を選択」ボタンを押して選んだ場合、22カ国、全23ディビジョンを自動で選択する。その他のリーグを選ぼうとしてチェックしていくと「このPCでは26ヶ国まで選択することをお勧めします」と赤文字で注意が出た。おそらくこれ以上の国を選ぶと、リーグシミュレートに非常に長いローディング時間を要するのだと考えられる。 私は試しに25カ国、全2ディビジョンでプレーしてみたのだが、ゲームを製作するのに約30分かかった。ゲームを進める時にもプロセスを消化するために結構待たされるため、サクサクゲームを進めるとは言いがたい。待ち時間が煩わしいプレーヤーは、少数のリーグ、少ないディビジョンでゲームをプレーすることをお勧めする。
■ コアなサッカーファンには垂涎モノのシミュレーター CM4は今までのCMシリーズより確実に敷居は低くなった。だが、CM4を心底楽しむためには、ミドルからコアなサッカーファンぐらいのサッカー知識が欲しいなと筆者は感じた。2Dピッチのおかげで試合の流れは把握しやすくなったものの、それがどのようなプレイなのかと想像を膨らませることがこのゲームの楽しみである。 想像を膨らませるためには、それなりのサッカー観戦や、サッカーに対する知識が要求される。しかし、CM4を始めるにあたって、数々あるサッカーサイトを回り、レンタルビデオでサッカーのスーパープレイのビデオを借りてきたり、深夜に放送される海外のサッカー中継等をみたりして、一からCM4とサッカーを学ぶのも面白いかもしれない。それぐらいやる価値があるほど本格的なシミュレーターなのだ。 そして欠かすことのできない選手情報。この記事を見ている読者の方々はインターネット環境があると思うので、インターネットを駆使し、今後活躍しそうな逸材や、今話題の選手等を検索してみるのも良いだろう。 本格的なチームマネージメントや采配を自分の思いのままにできるCM4は、さすが欧州のサッカーフリークから支持を受けているだけのことはあるといった感じだ。今夏は冷夏でアツい夏とは言い難かったが、いまこそCM4でアツくなろう。 Championship Manager 4 c Eidos Interactive Limited, 2003. Developed by Sports Interactive Limited. Published by Eidos Interactive Limited, 2003. Championship Manager is a trademark of Eidos Interactive Limited. All Rights Reserved.
□「CHAMPIONSHIP MANAGER 4 日本語版」公式ホームページ http://www.eidos.co.jp/title/CM4/CM4_main.htm □関連情報 【4月8日】本日到着! DEMO & PATCH 「Championship Manager 4」Playable Demo http://game.watch.impress.co.jp/docs/20030408/demo0408.htm (2003年9月5日)
[Reported by 渡辺 智]
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