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【連載第112回】 あの、おもちゃを徹底レポート




振動型コントローラーで臨場感アップ!
エポック社「大モノ釣ろうぜ! エキサイトフィッシングDX」

エポック社「大モノ釣ろうぜ! エキサイトフィッシングDX」
発売 エポック社
価格 6,980円
電源 単3アルカリ電池×4(別売)
専用ACアダプター対応(別売)
発売日 発売中



 今回取り上げるのは、エポック社の体感ゲーム最新作「大モノ釣ろうぜ! エキサイトフィッシングDX」。当連載では、この体感ゲームを常に追いかけているので、ご存知の方も多いと思うが、あらためて説明したい。

 体感ゲームとは、ゲーム機のハードとソフト、そしてコントローラーが一体化されたトイのこと。最大の特徴は、コントローラーの形状にある。野球をテーマにしたゲームならバット型、ボクシングゲームならグローブ型と、作品ごとに内容に応じた自由なデザインが施されているのだ。「体感ゲーム」と総称されているのは、この専用コントローラーを使って、体を動かして遊ぶゲームだからだ。

 専用の家庭用ゲーム機でも専用コントローラーを用意すれば、同様の楽しみを満喫することはできるが、体感ゲームは何しろ価格が安い。この「エキサイトフィッシングDX」の価格は、6,980円なので、ちょうどプレイステーション2用ソフト1本分の値段で、専用コントローラーを使ったゲームが楽しめることになる。

 接続や準備の手間がかからない、という点も魅力のひとつだ。本体とテレビをAVケーブルで接続すれば遊びはじめられるのだから、小さな子でもお年寄りでも気軽に遊ぶことができる。

 「大モノ釣ろうぜ! エキサイトフィッシングDX」は、過去に発売された「エキサイトフィッシング」のバージョンアップ版に当たる。ロッド(竿)型専用コントローラーに振動機能が加わった。釣れる魚の種類が格段に増えた、など、ハードとソフトの両面でパワーアップしている。

本体。AVケーブルも同梱されており、TVにつなげばすぐに遊べる カーソルを動かすスティックや決定、キャンセルボタンもあり、ゲームのコントローラと同等の感覚で操作できる


魚のアクション合わせて、コントローラーが異なる振動する

 ゲームの舞台となるのは、フィッシャーマンズ島と名付けられた架空の島。浜辺や湖で、それぞれに生息する魚を釣り上げることができる。条件を満たせば、海に出て沖釣りを楽しめるようになる。

 ……これがゲームの概要だ。どうだろうか、海水魚も淡水魚も釣れて、磯釣りも沖合い釣りも楽しめる、この豪快さ。家庭用ゲーム機の釣りゲームが次第にシミュレーター志向を強め、よりストイックな内容になっていっているのに対して、この大らかさがたまらない。筆者はとても気に入った。

   ゲームには最大4人までが参加可能で、それぞれのゲームデータをセーブできる。家族で遊ぶにはちょうどいい。

 ゲームの構成は、時間の経過する緩やかなストーリー仕立てになっている。3月、7月、11月……と定期的に開催されるコンペに参加し、優勝をめざす。それらのコンペで3回優勝すると、ボートが手に入り、沖合いにある小島で開催されるコンペに参加できる。そこで優勝すると今度は漁船が手に入り、大海原へ行けるようになる。

 そんなふうに次第に行動範囲を広げて、新たな釣りにチャレンジしていくのだ。

最大4人までのプレイの記録をセーブできる。セーブは自動的に行われる ゲームの随所にて、釣り歴30年という設定の勝美プロがアドバイスをくれる

 ゲームは、4月からスタート。はじめはビギナー向けのスイショウ港しか行けず、ここで釣りの方法をマスターすることになる。

 釣りの方法はこうだ。テレビ画面の中に広がる波間めがけて、まずロッド型コントローラーを振り下ろす。すると、仕掛けが放たれ、着水。着水後は、水中の様子を映した画面と、浮きやロッドを捉えた画面が表示される。水中の画面を見ながら、エサやルアーに魚が反応するように、リールを巻き上げる。

 魚がエサやルアーをつつきはじめると、ロッド型コントローラーが、「ビクッビクッ……」と震える。あくまでかすかな震えなのだが、いかにも魚が突いているようで、リアリティを感じる。

 浮きが沈んだ瞬間、あるいはルアーに魚が食らい付いた瞬間が、勝負の分かれ目となる。ここですかさずロッド型コントローラーを手前に持ち上げ、針を魚に引っ掛けるフッキングを行う。フタイミングがズレたり、ロッドを持ち上げる力が弱いと、あっけなく魚に逃げられてしまう。

 フッキングに成功したら、リールを巻き上げる。このときに、もう一度振動が訪れる。「ズルルルル……」という感じに微震が続き、魚の引きによってリールが回転するフィーリングだ。

 魚の大きさによっては、糸が切れたり、針が外れる恐れがあるので、画面中央に表示されたテンションメーターを確認しながら、ときおりリールを弱めつつ、釣り上げる必要がある。

まずは釣るポイントを決める。ポイントは2カ所から選べる ロッドを強く振れば振るほど、仕掛けは遠くへと飛ぶ 浮きと魚の動きに注目。浮きが沈んだらチャンス到来だ
浮きが沈んだり、竿がしなったら、ロッドを一気に引き上げる 糸が切れないように、時折リールを緩めることも必要 新しい種類の魚が釣れると「NEW」と表示される


 この釣りの面白さは、フッキングに集約されている。タイミングが想像以上にシビアなのだ。おかげで筆者は「魚を一匹たりとも逃すまい」とテストプレイの最後まで緊張が抜けず、スリルを味わうことができた。魚が釣れたら、サイズや体重が表示され、図鑑に登録される。図鑑にはあらかじめ50ページが用意されており、すべてを埋め尽くす、というポケモンを彷彿とさせる楽しみかたも用意されている。


コンペには知識とテクニックが必要!

 こんなふうに釣りを楽しんで、プレイヤーが任意で終了させるたびに、一ケ月が経過する。そうして訪れたコンペにチャレンジしていく。

 ……となると、通常の釣りはどんどんスキップして、コンペだけを楽しめばいいのじゃないかという気がしてくるが、そういうわけにはいかない。タチウオやバス、シロギス、イシダイなど、コンペの品目になる魚たちの生態を見抜き、それに合った仕掛けやルアーを検証しておく必要があるのだ。これを誤ると、コンペの最中に、いくらロッドを投げても魚に見向きもされない、という事態に陥ってしまう。

 特に難しいのがルアーの扱い。現実同様に、ロッドを上下させたり、適度にリールを巻いて、あたかも生きているかのように演出しないと、魚に食らい付いてもらえないのだ。

 う~ん、実にリアル。「釣りの疑似体験をする」というこのゲームの本来の目的は、充分に満たされている、といえるだろう。

ルアーは、特徴が大きく異なる5種類から選ぶことができる 魚図鑑。その魚の特徴や釣れたシーズンが記録される


 「タチウオコンペ」が始まった。画面には、破天荒な性格の女子アナウンサーという設定のゆきこちゃんが登場し、テレビ番組のレポート風に、コンペを盛り上げる。「タチウオコンペ」の評価基準は、総重量。できるだけたくさんのタチウオを釣る必要がある。開始と共に、ロッドを振り、糸を海に放つ。時間は3時間という設定だが、実際には10分程度。

 目に見えぬライバルたちの存在を感じながら、筆者もどんどん釣り上げていく。釣ったタチウオのサイズが過去最大なら「NICE!」というメッセージが表示され、やる気をさらに盛り上げる。

 仕掛けの選択と同様に大事なのが、釣り場の変更。1回のコンペに付き、2カ所のポイントが用意されているのだが、魚の密集具合から判断して、適度に往復する必要がある。これに遅れると、獲物をライバルに奪われたり、時間をロスしてしまう羽目になる。

 時折、ヒトデやカニが釣れたり、大物の場合は水面で暴れたり、と単調になりがちな釣りを、飽きさせないような工夫がなされている。結果は……筆者の大勝利だった。一瞬のスキも逃さない素早い行動が吉と出たようだ。優勝賞品としてトロフィーが贈られた。これはいつでも自由に閲覧できる。

 さらに「シロギスコンペ」と「バスコンペ」を制覇。念願のボートが手に入り、小島での釣りを楽しんだ。ここから先で、さらにコンペで優勝を重ねていけば、漁船を操っての大物釣り、そしてクルザーに乗って幻の魚と対決することができるようになるが、残念ながらここで時間オーバーとなってしまった。

コンペはテレビレポーターが中継し、雰囲気を盛り上げる 魚のサイズが大きく、記録が更新されると「NICE」と表示される


コンペの結果はランキング形式で発表される。筆者は一位を獲得! 獲得したトロフィーはこのように展示され、いつでも眺められる



充実した内容で長く遊べる良作

 「充実しているなあ」というのが筆者の感想だ。子供向けといっても、釣り自体の内容は非常にしっかりしていて、知識もテクニックも問われる。だからこそ「釣りを疑似体験できた」という気分に浸れる。前述した通り、クリアまでの道のりはまだまだ果てしないようなので、長く遊べることだろう。

 それにしても、長い時間ロッドを振って、リールを回していたので、腕が重くてしょうがない。汗もさかんに出ている。心地よい疲労感に大満足!

□エポック社のホームページ
http://www.epoch.gr.jp/
□「体感アクションゲーム」のページ
http://www.taikan-game.com/


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(2003年5月15日)

[Reported by 元宮秀介]


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