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【連載第101回】 あの、おもちゃを徹底レポート




'80年代の名バイクを超小型ラジコン化
タカラ「チョロバイRC」

「チョロバイRC」
発売 タカラ
価格 2,980円
電源 アルカリ単3電池×3
発売日 発売中



 トミーの「ビットチャーG」やタカラの「デジQ」の成功に刺激を受けたのだろうか、超小型ラジコンの登場が相次いでいる。今回紹介するバイクのラジコン「チョロバイRC」も、その流れにあるアイテムと考えていいだろう。発売元は「チョロQ」と「デジQ」を擁するタカラだが、タイトルに「Q」の文字が入っていないところから想像すると、別のラインにある商品のようだ。手のひらに収まるほどコンパクトなサイズから、「チョロ」というフレーズだけは受け継がれたのだろう。

 いずれにしろ、当連載でも、バイクのラジコンを扱うのはこれがはじめて。どんな走りを見せてくれるのだろうか。

現在の車種のラインナップのテーマは「'80年代の名車」。これはカワサキの「GPZ900R」 コントローラは、楕円形。どこか懐かしさを漂わせているデザインだ



'80年代を駆け抜けた、あの名車がラジコン化された!

 「チョロバイRC」は現在、6種類が発売されている。カワサキ「GPZ900R」、SUZUKI「GSX1100X」、HONDA「CB750F」、YAMAHA「RZ350」の'80年代に活躍した名車種が4種類。そしてコミック「バリバリ伝説」から「CB750F 巨摩郡仕様」、「GSX750F 聖秀吉仕様」の2種類だ。筆者は中から「GPZ900R」をチョイスした。

 パッケージは、ドーム型。上半分がクリアパーツになっていて、チョロバイが見えるようになっている。そのままインテリアとしても使えそうな雰囲気もあり、好印象だ。

 ギョッとさせられたのが、パッケージの下半分。裏返しにしたら、いくつものボタンやスイッチが並んでいたのだ。そう、チョロバイを飾る台座の部分、つまりパッケージの下半分が、そのままコントローラになっているのだ。そのとき筆者は、この「チョロバイRC」の商品特性が理解できた。チューニングやカスタマイズが可能で、公式のレースも開催されている「デジQ」とは異なり、もっともっと気軽に、カジュアルに遊ぶタイプのトイなのだ。

 その思いは、パッケージからチョロバイ本体を取り出したときに、確信に変わった。チョロバイを裏返してみると、そこには前輪と後輪の2本のタイヤと共に、小さな補助輪が付いていたのだ。なるほど、“なんちゃって”2輪走行なのだな。実は筆者、こうしたテイストは嫌いではない。いかにもオモチャらしいなあ、とニヤリとしてしまうのだ。どこか懐かしさも感じられる。

パッケージは、そのままディスプレイ台になるデザイン。コレクションするのも面白そうだ 二輪歩行を支える(?)補助輪。縁の下の力持ちだ


ライダーは着脱可能。操作が乱暴だと、スポーンと飛び出すこともある
 チョロバイ本体の作りこみも、これまた古き良きオモチャテイストに溢れている。細部を限界まで再現するというより、全体的な雰囲気、あるいは手にしたときの興奮を重視しているようだ。

 くわしく言えば、エンジン周りなどのディテールは省略が目立つが、鋭角と流線型が織り成すボディデザインは実機のイメージをよく捉えていて、大排気量の車種ならではの肉厚なボディも表現されている、という具合だ。

 チョロバイに跨っているドライバーは、着脱可能。加速時の完全な前傾姿勢を取っており、バイク本体と合わせて、「カッコイイ」と言わしめる雰囲気を醸し出している。

デフォルメされてはいるものの、全体的には本格的なイメージ。メーカーロゴなどもきちんと再現されている



ん? 走行性能に疑問符が……

 チョロバイ本体への充電は、コントローラから行なう。コントローラの充電口にチョロバイをセットして、数分待つ。もはや“定番”と呼んでもいいスタイルだ。

 コントローラのボタンは、前進と後退、そして左と右の4種類。最初は前進を押す。走った! 「シャッー」と快音を響かせ、チョロバイが前進を始める。スピードは決して速いとはいえないが、その分操作しやすくもあり、オモチャとしてはいい感じだ。

 チョロバイの安定度は抜群。左右にかすかに振れることもない。さすが、補助輪付きだ(笑)。続いて、後退。「バイクが後退なんてするの?」というツッコミはさておき、これもスムース。

 ところが、右や左へと曲がらせようとしたら、筆者の頭の中に「???……」と疑問符が渦巻きはじめた。カーブの角度が緩やかなため、急な旋回ができないのだ。例えば、手元から出発して、途中で折り返し、また戻ってくる、というラジコンの基本的な動作も難しいのだ。広い空間があれば可能なのだろうが、超小型ラジコンは室内でも遊ぶもの。机やテーブルの上で、文房具などを障害物に見たてて、スラローム走行を楽しむ、なんてこともできない。残念ながら、遊びの幅が狭く、性能的に物足りなさを感じざるを得なかった。

コントローラーに入れた電池から、チョロバイ本体へと電源を供給 走行のイメージ
【ムービー】
295KB
「チョロバイRC」が走っているところ


 '80年代のバイクをモチーフにしたことからも想像できるように、この「チョロバイRC」は、現在の少年たちではなく、30歳台の大人をターゲットにしている。そう、チョロQの第一世代だ。大人がユーザーであるならば、そんなに真剣に走らせることも少ないだろうから、この“味付け”もわかる。だけど、もっと走りを楽しみたかった、というのも本音なのだ。見た目は、懐かしい。だけど、中身は新しくて、驚きがある。30歳台ユーザーとしては、そんなオモチャこそが理想なのだけれど。

□タカラのホームページ
http://www.takaratoys.co.jp/
□「チョロバイRC」のページ
http://www.takaratoys.co.jp/choro-b/


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(2003年2月20日)

[Reported by 元宮秀介]


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