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【連載第98回】 あの、おもちゃを徹底レポート




家庭にいながら本格ボウリングが楽しめる!
エポック社「ストライクきめるぜ!エキサイトボウリング」

「ストライクきめるぜ!エキサイトボウリング」
発売 エポック社
価格 6,980円
電源 単3アルカリ乾電池×4(別売)、専用ACアダプター(別売)
発売日 発売中



「エキサイト」シリーズ現時点での最高傑作!

 プロ野球、サッカー、ボクシング、バスフィッシングと、さまざまなスポーツを題材にして、タイトルを重ねてきた「エキサイト」シリーズ。最新作のテーマは、ボウリングだ。えっ、これまではメジャーなプロスポーツが中心だったのに、今回は庶民のスポーツのボウリングかい。地味でないの……とやや疑問を感じてはいたのだが、遊んでみたら、それが大きな過ちであることがわかった。これまで、ほとんどの「エキサイト」シリーズを遊んできたけれど、これは現時点での最高傑作。投入されている技術が洗練され、実際とほぼ変わらないフィーリングで、ボーリングを楽しめるのだ。もちろん、ボールが軽い、転がらない、など埋めようのない差があることは百も承知だ。ただ、遊んでいると、実際のボーリングに熱中しているような錯覚に陥る瞬間があるのだ。

 本題に入る前に、「エキサイト」シリーズについて、簡単に説明しておこう。ひと言でいえば、ハードとソフトが一体になったゲーム機だ。本体にはCPUとソフトが内蔵されており、付属のAVケーブルを使って、テレビと接続するだけですぐに遊べる。これだけだと、お手軽なテレビゲーム機というイメージなのだけれど、最大のポイントはコントローラにある。内蔵されているソフトに合わせて、野球ゲームならバット、ボクシングゲームならグローブと、実に自由度の高いデザインが施されているのだ。

 家庭用ゲーム機にも、もちろんスポーツゲームはある。つりざおやハンドル程度なら、コントローラもある。だけど、ここまでバリエーションに富んだコントローラの投入は、採算面を含めてなかなか難しいだろう。「お手軽さ」と遊び心に満ちた「自由度」。これが「エキサイト」シリーズならではの魅力なのだ。

本体。下部の黒い箇所が赤外線受光部とイメージセンサーになっている ボールはもちろんのことながら、非常に軽量だ



ボールの位置や腕を振る速度を測定

 コントローラは、ボウリングのボール型。子供向けに小型で、軽量化が図られているが、指を入れる3つの穴もきちんと再現されている。中指と薬指、親指でガッリリとホールドしてみると、これからボウリングをするぞ、という気分が盛り上がってくる。

 本体には画面を操作する方向スイッチ、決定とキャンセルをする○、×スイッチがある。ポイントとなるのは、本体の下部にある赤外線発光部とイメージセンサーだ。発光部から放たれた赤外線を、ボール型コントローラが反射をする。そして、その反射された赤外線をイメージセンサーがキャッチする。このメカニズムによって、ボールの位置、転がる方向、スピードを感知することができるのだ。

ボールのホールド感は、実際のボウリングそのまま。手首にストラップをかける仕様で、事故防止へのケアも十分 ボールを握って投げると、本体が位置と速度を感知する。赤外線の有効範囲は約1.5メートル



実際のボウリングにほど近い感覚で遊べる

 ゲームは4種類が用意されている。仲間とスコアを競い合う「シングル戦」。ペアを組んで1球ずつ交代して進める「カップル戦」。コンピュータキャラクタと対戦する「トーナメント戦」。そして、難しく配置されたピンをできるだけ少ない投球数で倒していく「スペアチャレンジ」だ。

   プレイの前には、プレーヤー登録を行なう。髪や目鼻、口などのパーツから好みのものを選び、プレーヤーの顔を決定。他にもマイボールのカラーやハンデ、フックの有無などを登録する。このプレーヤーデータは最高スコアや優勝記録などと共に、継続的に保存される。

 筆者は、ひとりでも気軽に遊べる「トーナメント戦」を選んだ。対戦するコンピュータキャラクタは、総勢8人。トーナメント形式で3回の試合に勝利すれば、優勝となる。最初の相手の“はなこ”は、見るからに初心者風。プレイも、ガーターこそはないものの、ストライク、スペアを出すことはなく、安心して自分のプレイに集中できる。

 ボールを投げる場合は、まず立ち位置を決める。床に置いた本体のイメージセンサーがボールの位置を読み取り、画面上のカーソルがそれを表示する。筆者の好みの投法は、中央よりやや右の位置に立ち、ボールを左側にフックさせながら、1番ピンを狙う、というもの。ボールを調節し、前方にスイングする。すると、画面の中でボールが転がり、ピンのあるエリアへと吸い込まれていく。ボールがピンの近くにいくと、拡大映像が表示され、ピンが倒されていくさまが映し出される。

 筆者の放った球は、1番ピンに当たるも、ピンはバラバラと倒れていき、2本残る結果となってしまった。画面にはボールの速度が表示されるのだが、9キロという内容だった。……そうか、1番ピンに当たりながらもストライクにならなかったのは、スピードが足りなかったからか、と分析して、次の投球では右腕に力を込めてスイングする。速度は17キロ。ただし、今回は立ち位置が悪かったようで、ボールは1番ピンの左側にそれてしまった。その次の投球では、立ち位置を中央からさらに右寄りに調節。この作戦が功を奏した。ボールはスピードに乗ったまま、1番ピンを直撃し見事にストライクとなった!

 ……ここまで読んで気づいた方もいるだろう。筆者の思考、そしてプレイは、実際のボウリングのセオリーそのままなのだ。現実のボウリングとプレイ感覚が似ているため、これがゲームだとは意識することなく熱中してしまった。うん、よく出来ている。

様々なアイコンを駆使して、自分のキャラクタを登録する。初心者と遊ぶときのためにハンデをつけることも可能だ ひとりで遊べるモード、他人数で遊べるモード、など多彩なゲームが用意されている。多人数は最大6人まで参加できる トーナメントは、難易度に合わせて4種類ある。それぞれのゲームで優勝すると、トロフィーが送られる
ボール型コントローラを振ると、画面の中のボールが転がり始める。タイムラグなどは一切なし ボールがピンに近づくと、クローズアップ画面が表示され、結果をくわしく伝えてくれる 投球後のリアクションも凝っている。ボーリングのピンとペンギンを合わせたようなオリジナルキャラクタがかわいい



腕を力いっぱいに振っていい汗がかける

 2回戦の対戦相手は、ドクトル。ストレートのボールを主体に、ストライクをガンガン決めてくる。筆者も負けじと集中力を高めて応戦。1回戦目の手応えがまだ残っていることもあり、ストライクを3連発。ターキーを叩き出した。次の投球でも、なんとストライク! 4回連続でストライクを出すことを、フォースというのだなんてはじめて知った。

 スコアは188。実際のボウリングでも最高記録が145のため、これは出来すぎ。勢いにのって、3回戦目に突入。対戦相手は、おばば。投球スタイルは、極端にフックをかけるタイプ。上級者ならではのスタイルに一瞬戦慄が走るが、ふたを開けてみると、ボールは大外れ。気が抜ける。しかし、これがフェイントだったことに気づいたのは、勝負も大詰めのころ。どうやら後から調子を上げてくるタイプのようで、ストライクをガンガン量産しはじめた。筆者はといえば、おばばの最初の失態に安心して、集中力を欠いていたため、追いつくのはもはや不可能。そうそう、ボウリングって集中力も大切なんだ。そんな当たり前のことに気づくも時すでに遅しで、結果として大差をつけられて負けてしまった。あーくやしい。だけど、楽しめたっ! こうして叩き出したスコアは、パスワードとして保存され、インターネットで開催されているスコアランキングに応募することができる。

 次は「スペアチャレンジ」に挑戦してみる。練習用、中レベル、プロ、アンビリーバブルと難易度が4段階に分かれており、筆者は練習用からチャレンジ。不規則に並んだピンを倒すべく、ボールを投げるも、全然うまく当たらない。ふと気づけば、右腕はクタクタ。ゲームとはいえ、腕をスイングする速度も測定されているため、力まかせに腕を振っていたのが原因のようだ。額には心地よい汗がびっしり浮かんでいる。

フックスローを得意とし、終盤からグングンと調子を上げてくるおばば。「ボウリング命」らしい 「スペアチャレンジ」。ランダムに並べられたピンをいかに倒すか。戦略性が要求されるモードだ 個人記録の画面。アベレージとハイスコアが表示される。インターネットランキングは、現在開催中


 かねてから「エキサイト」シリーズに注目をしていたが、今回でまたあらためてファンになった。技術の研鑽によって、ひと皮むけた。そんな印象がある。今後の展開にますます期待ができる。

(C)2002 EPOCH
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(2003年1月30日)

[Reported by 元宮秀介]


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