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【連載第80回】 あの、おもちゃを徹底レポート




バーコードスキャナで面白さ倍増!
バンダイ「ディースキャナVERSION 1.0」

「ディースキャナVERSION 1.0」
発売 バンダイ
価格 3,500円
電源 単4電池×3(別売)
発売日 発売中


 「デジモン」が子供たちに絶大な人気を誇っていることは、重々承知しているつもりだ。とはいえ、シリーズも長く続いているので、一時期ほど盛り上がっていないのでは、とタカをくくっていた筆者は甘かった。デジモンの最新携帯ゲーム機「ディースキャナVER.1」を、発売日の昼過ぎに買いに行ったら、すでに完売。その後何件もの玩具店を探し歩いたが、どこも売り切れ。各々のショップで店員さんに、念のためにと訊ねてみると「ありません」、「品切れです」と即答が返ってきた。変わらぬ「デジモン」人気のすごさを、肌で実感させられた次第だ。

 それから数週間がたち、ようやく手に入れることができた「ディースキャナVER.1」を遊んでみて、なぜそこまで子供たちの興味を惹きつけるのか理由がよくわかった。もし筆者が子供のころにこれを手にしていたら、それこそ夢中になって遊んでいたに違いない。そう確信させるほどに、魅力的なトイなのだ。

本体。原作となる「デジモンフロンティア」の主人公・神原拓也が持っているアイテムと同デザインだ 裏面。ベルトに止められるガイドが付いている



素直に「カッコいい!」といえる本体デザイン

 「デジタルモンスター」……通称デジモンと呼ばれるモンスターたちを集め、鍛え、バトルさせる。これまで「デジモン」は、さまざまな商品が発売され、多彩なシリーズ展開を行なっているが、この基本の部分は変わりがない。今回の「ディースキャナVER.1」も、そうした「デジモン」の基本を正しく継承しながら、“バーコードを読み込む”という行為を組み合わせることで、新たな面白さを生み出している。

 今までに登場した携帯用の「デジモン」と比べるとひと回り大きいボディには、バーコードスキャナが内蔵されている。これでバーコードを読みこむと、さまざまな“遊び”が生まれるのだ。

 それらの“遊び”を紹介する前に、本体の特徴を語っておきたい。パッと見で感じる印象は「カッコいい!」のひと言。以前、「デジモン」は小学校高学年の層をメインターゲットにして、背伸びをしたい年頃の子供たちの目にもカッコよく映るデザインを狙っている、という記事を目にしたことがある。その逸話を思い出させるデザインだ。子供をターゲットにしてはいるものの、一切媚びておらず、素直に「カッコいい」と感じさせる雰囲気をかもし出している。

 本体は、右手でガッシリと握って遊ぶ。手のひらに収めたとき、ちょうどひとさし指が当たる部分--本体の右側の側面にAボタンがある。さまざまな事項の「決定」を入力するボタンだ。液晶画面の下にある2対のボタンが、選択を行なうL、Rボタン。その下にある緑のボタンが、「キャンセル」を行なうBボタンだ。他の携帯ゲーム機と比べるとほかに例のない独自の配置だが、実際に遊んでみると、使い勝手に優れていることがわかる。

 肝心のバーコードスキャナは、本体上部の右側についている。サイズにして1センチ四方の小さな穴だ。この部分をバーコードに当てて、本体を横にずらしてデータを読みとる、というわけだ。

使ってみると、このボタンの配置がとてもしっくりくる バーコードスキャナ。このアイテムの面白さの“核”だ



バーコードを読むとデジモン、アイテム、バトルのどれかが飛び出す

 バーコードを読みとると、次の3つのうちのどれかが起きる。ひとつ目は「デジモン」の入手だ。スキャンしたバーコードが「デジモンバーコード」だった場合、液晶画面に表示されたデジモンを自分のものにすることができる。
 ふたつ目は「アイテム」の入手だ。バーコードが「アイテムバーコード」だったとき、アイテムがひとつ手に入る。アイテムには、デジモンのバトルをサポートしたり、成長を促進する効果がある。
 みっつ目は「デジモンとのバトル」だ。そのバーコードが「バトルバーコード」だった場合、敵デジモンとのバトルがスタートする。バトルには、勝つと自分のデジモンの勝率と経験値が上がる「通常バトル」と、勝率と経験値の上昇のほかに対戦デジモンが手に入る「キャプチャーバトル」。そして、負けると自分のデジモンが消滅する「ディフェンスバトル」の3種類がある。

 よし、バーコードをスキャンしてみよう。スキャンを行なう際は、ディースキャナ本体をバーコードにギュッと押し付け、素早く一気に移動させるのがコツだ。途中で本体がバーコードから離れたり、ゆっくりし過ぎるとエラーになってしまう。

 まず読み込んだのが、インプレス発行のPC書籍「できる」シリーズだ。「できるExcel応用編」のバーコードをスキャンすると、アイテム「A SPアップ」が出現。次に「できるOfficeXP」のバーコードを読み込むと、アイテム「ハイパーEX」が登場。続く「できるWindowsMe活用編」からは「ローワム」が、「できる筆まめ10Windows版」からは「ギャンブラー」と、またまたアイテムが登場。「できる」シリーズ4冊ともアイテムだとは……う~む。最初なので、できれば「デジモン」がほしい。

 今度は音楽CDのバーコードを読みこむことにする。キャロル・キングの名盤「つづれおり」のバーコードを読んでみると……でた! デジモンだ! しかもいきなり「CHAMPION」ランクに分類されるデジモンで……ええっと、これはなんていう名前なのだろうか。この「ディースキャナVER.1」では、デジモンの詳細なステータスは見られるが、どうやら名前は表示されないようだ。デジモンプレーヤーにとって、デジモンの名前は常識なのだろうが、この点は残念だ。いろいろ資料を当たってみて、これはどうやらケルベロモンだろうと当たりをつける。勇ましい姿のデジモンで、とてもうれしい。

赤く点灯したら、スキャン開始の合図だ 本体をバーコードの左から右に向け一定のスピードで動かす
手に入れたデジモン。トレーニングをくり返しパワーアップさせる アイテム。バトルの勝ち負けに大きく左右するものも多い



バーコードを見るとすぐにスキャンしたくなる!

 今度もデジモンだといいな、と期待をこめて、別のCDのバーコードをスキャンする。いきなりバトルがはじまった! バトルでも同じようにバーコードスキャナを使用する。液晶画面に「READY」と表示されたあと、3秒以内にバーコードスキャナの上に、指や鉛筆などの細いものをこすりつける。このこすりつける動作の入力数に応じて、攻撃のパターンが変化する、という仕組みだ。

 入力数は72とカウントされた。悪くない数だなと思った瞬間、いきなり自分のデジモンが破壊された。確かに一切の育成をしていなかったので、負けるのも無理はない。デジモンのトレーニングは、バトルと同様に、バーコードスキャナの上で、指や鉛筆などの細いものをこすりつけることで行なう。

 しかし、筆者のデジモンは戦いに敗れてケガを負っており、バトルやトレーニングをすることができない。ケガの回復にはアイテム「キュアBOX」が必要で、「キュアBOX」はバーコードスキャンで手に入る。……そこから筆者は、火が付いたように雑誌や書籍、CD、DVDなどのバーコードを読みまくった。その結果、新たなデジモンやアイテムが続々と手に入った。ビートルズとローリングストーンズのCDでは、どっちの方からカッコいいいデジモンが出現するか。はたまた文芸春秋社と新潮社の文庫本では? などと、ライバル同士の取り組みを決めると、面白さが俄然と増してくる。同様の遊びは、音楽CDを使った「モンスターファーム」でも行なえたが、バーコードを読むだけという手軽さと、CDに限らずあらゆる商品からデータを読み取れるという自由度の高さで、より楽しく感じられる。以来、バーコードを見かけるたびにスキャンをしたくなる、というおかしな習慣がついてしまった。

トレーニングの様子。指や鉛筆を振った回数が育成度合いに反映する メニュー画面はシンプル。シリーズ作品から継承されていてわかりやすい



過去のシリーズ作との連携プレイも可能

 「ディースキャナVER.1」のもう1つの売りとして、他の機器との連携プレイがある。同じ「ディースキャナVER.1」はもちろん、既発売の「デジモンペンデュラム」シリーズ、「D-3」シリーズ、「ディーアーク」シリーズの機器と通信バトルが楽しめるのだ。これを体験するために、「D-3 V-MON VERSION」を購入してみた。「ディースキャナVER.1」と「D-3 V-MON VERSION」を、それぞれ通信対戦が可能な画面にしたあと、コネクタ同士を接続するとデジモンのバトルが開始される。ここで筆者は、感激させられた。多くの場合、こうした玩具は、新しい機種が発売されたら古い機種はお払い箱となる。しかし「デジモン」シリーズは、このような互換性を持たせることで、過去のものになってしまった機種でも長く遊び続けられるように配慮がなされているのだ。これならひとつひとつの機種とデジモンを大切にしよう、という気持ちが生まれる。

 今回の体験を通じて、「デジモン」にも興味が沸いてきた。今後、注目すべきアイテムが登場したら、またレポートしたい。

「D-3 V-MON VERSION」。内蔵の万歩計を利用した遊びが楽しめる それぞれの機器の上部にあるコネクタ同士を合体するとバトルがスタートする


(C)本郷あきよし・東映アニメーション

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/


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(2002年9月5日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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