~ライターによる、GM思い出 暴れ語り~
●担当ライターが思い入れたっぷりにゲームとGMを語ります。
■ 気分は「Lonely Etranger」……「エリア88」
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サイトロン1500シリーズで発売。カップリングはなく単独タイトルでリリースされたことはこの作品のサウンドの人気の高さを物語っている。オリジナルバージョンのほか、ラウンド5のアレンジバージョン「Lonely Etranger」も収録。ラウンド5のBGMは全曲中一番人気
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いやあ、久しぶりに聴くといいですねえ、「エリア88」。
「エリア88」はカプコンからリリースされた漫画(アニメ化もされた)を題材にした横スクロールシューティングゲームです。私は原作をとても愛していたので、ゲームが発売されてすぐにゲームセンターに行きました。仲良しで「エリア88(以下エリ8)」好きな“ともちむ”という友達を連れて。
ゲーム内容は、シン(風間真)、ミッキー(ミッキー・サイモン)、グレッグ(グレッグ・ゲイツ)の3人から好きなキャラを選び全10面を戦い抜く、というものでした。3人の愛機にはそれぞれ特徴があって、シンのタイガーシャークはパワーアップすると連射が速くなり(ボタンを押しっぱなしにするソフト連射)、ミッキーのF-14(14E?)トムキャットはショットの幅が広くなり、グレッグのA-10は下方向に弾が撃てる、というものでした。
さてゲーセンに入って「エリ8」を見つけた私と“ともちむ”はさっそく100円玉を握り締めて筐体の前に座りました。「最初は2人協力プレイでいこう!」と仲良く並んでゲームを始める2人。ミッキーの取り合いでひと悶着あったものの、なんとか1面をクリアして2面に突入して間もなく、“ともちむ”のタイガーシャークが煙を吹いて撃墜されてしまいました。
「なんとか2人でエンディングを見たい!」と思った私はともちむをフォローしてあげられるように毎日がんばりました。そしてついに1人で全10面を戦い抜き、プロジェクト4の計画を阻止したのです!
エリア88をプレイしていたときの思い出は、「旅客機に仕掛けられたプラスチック爆弾をバルカンでこそぎおとせ!」という指令で出撃するスペシャルミッションです。旅客機に弾が当たってしまうと自分のダメージになってしまいます。うまく爆弾だけ撃たないといけないのに、ある日、徹夜明けで朦朧としながら「エリ8」をプレイしていた私は、気がつくと旅客機に弾を撃ちこんでいるじゃありませんか、おまけにその筐体は連射装置付きで、ものすごい勢いでライフが減ったあげく、ゲームオーバーになってしまいました。そして、ついうっかり「涼子ごめん!」と叫んでまわりの人に笑われた、という出来事がありました。
「エリ8」のBGMはどれも好きなのですが、なかでもラウンド8の海上とラウンド9の兵器工場が好きですね。ラウンド5、7の人気のある曲もいいのですが、ラウンド8の水平線がかすんで見える海の曲っぽいところとか、前半の押さえ気味なのに後半盛り上がるラウンド9がいいですね。
「エリ8」サウンドはメロディが立っていてわかりやすい曲ばかりです。メロディラインもなんというか、半音がきいてるというか、そういう部分が孤独な外人部隊の心情を表現しているような気がします。
この時期のカプコンサウンドチームは「アルフ ライラ ワ ライラ」という名前で女性のサウンドスタッフが活躍していた記憶があります。「エリア88」のコンポーザーも女性で、女性ならではのメロウな旋律や展開が外人部隊の男のロマンぽくてたまらないですね。
それぞれのステージの雰囲気とマッチしつつも常に哀愁、孤独、ロマンなどが漂っている曲たちを聴くとエリア88の傭兵たちを今でも思い出し、同時にゲームの画面が目に浮かびます。そして「こすり」の衝動もね。
[Text : 遠藤 美幸]
■ 「悪魔城ドラキュラ(FC)」……「コナミック・ゲーム・フリークス」より
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『悪魔城』の音楽を求めて最初に買ったのが、この「コナミック・ゲーム・フリークス」のテープ。「悪魔城ドラキュラ」はアレンジ・バージョンのみが入っていて、それにも大満足だったが、『恋のホットロック』や『沙羅曼陀』など、トータルで聞き応えたっぷりな内容。当時のコナミ音楽が大好きな自分にとっては、宝物。しかしCD版には、MSXメドレーとして『魔城伝説』などが入っている事実を、本日知って驚いた。
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ディスクシステムのコナミのゲームで、一番惚れ込んだゲームは『悪魔城ドラキュラ』です。簡単に好きな部分を述べると、世界観、音楽、ゲーム内容、操作性(ジャンプ中に方向操作が効かない不自由なところ、メインとなる武器の攻撃範囲の制約)です。
当時、自宅でいつも絶賛稼働中だったファミコン。その音源がPSGなどといった知識は無く、3重和音と1ノイズの作り出すいかにもな音に不満を感じることはありませんでした。むしろ、ファミコン以前に親しんだのがゲームウォッチで、それしか比較対象を知らなかった自分にとって、ファミコンのスペックは音楽だけでなく、あらゆる面において十分すぎるものだったのです。
当時はどのファミコンカセットを手にとっても物珍しくて面白く、コレつまんないなんて思ったこともなく、新しいファミカセをただひたすらプレイしているだけで狂おしいほど楽しく大満足でした。ファミコンを更なる夢のマシンへと変える「ディスクシステム」が登場し、ハードの生みの親、任天堂からは『ゼルダの伝説』など、卒倒寸前の垂涎ゲームがどんどん登場し、もうハッピーすぎて何もかも幸せフィルターがかかって見え、大変な時期でした。
しかし、『悪魔城』に触れたことは、当時いくつもの楽しく胸躍るゲームに触れたのとは別の、衝撃の大事件でした。
なぜ衝撃だったのか。「悪魔城」は私が初めて触れた、恐怖がデフォルメされたゲームでした。ゲームの中で表現されている世界から、恐怖をリアルに抽出して感じ取り、それが見事にツボに入ったのです。
主人公の等身は見慣れた2等身とは違うし、敵のグラフィックのおどろおどろしさと言ったらそれまでに見たどのゲームとも比べようが無く、そしてその音楽がまた、当時のコナミ節炸裂、とろけるほどに「恐カッコイイ」曲ばかりなのです。
絵的に最も印象に残っているのは、死神に至る5面の背景です。壁にぶら下がった白骨の手首には、鎖が繋がっています。肥大していた妄想の翼は、生きながら壁に吊されて放置される自分を思い描き、恐怖に震えました。
曲の中では、1面「Vampire Killer」が大好きで、次に5面「Heart of Fire」が好きです。これらの曲を聞くと、やるぜーーという熱い気分になれます。恐怖も、慣れてくると心地良くなり、恐怖を煽る曲が艶めかしく聞こえてくる、という不思議さを味わった曲でした。
進んだ面数や、得点の記録以外に、形あるモノにしたくて仕方なくなったのも、このゲームが最初です。曲に関してやったことは、聞き取りからの楽譜起こしと、曲のテープ録音です。家族には終了するまで静かにしてくれるようにお願いして、ラジカセをテレビの前に設置、マイクからの録音。このとき自分のこだわりとして、主人公がダメージを食らう「うっ」という声は絶対に入れない、つまり、ステージごとでいいからノーミスプレイで、という取り決めをして作業に当たりました。ラスボス、ドラキュラ手前の最強の門番とも言うべき死神に、思った以上に苦労させられ、やっとのことで成功するぞ、というプレイの最後の最後、家の前を選挙カーが通過して、大音量のマイクの声がぶち壊してくれました。このときは暫し呆然、その後沸々と湧き起こった怒りは、未だに忘れません(その後のやり直しは数回で成功、無事全ステージ収録できました)!!
このゲームがきっかけでMSX2を購入し、またゲームセンターに足を運ぶことになりました。来週は、業務用『悪魔城ドラキュラ』のGMについて語りたいと思います(ごめんなさい、好きなので……)。
[Text : 河本 真寿美]
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