■ 嗚呼! 我が青春の「ニンジャウォリアーズ」
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「G.S.M.TAITO 1」としてサイトロンレーベルから発売(発売元はポニーキャニオン)された作品。「ニンジャウォーリアーズ」、「オペレーションウルフ」、「フルスロットル」、「レインボーアイランド」のオリジナルBGMのほか、「ニンジャ~」はアレンジ2曲を収録。ライブ仕立ての「DUDDY MULK」が秀逸。何年か後に行なわれたTAITO SOUND TEAM“ZUNTATA”のライブではもっと盛り上がりました! 「ニンジャ~」のCDは他にもリリースされていますが、アレンジはこのヴァージョンが一番好きです
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私と「ニンジャウォリアーズ(以下ニンウォー)」との出会いはいつだったかな? 明確には思い出せず、その上なぜプレイしだしたかもはっきり記憶にないんです。
当時の私はしがないただのOLで、毎日毎日残業で帰りが遅かった。アフター5ならずアフター10って感じで、もうそんな時間じゃあ買い物したくてもお店は開いてないし、だからといってそのまま家に帰るのもいやだったのですよ。会社と家の往復だけの生活はうんざりだ! とか思って。でもあのころは、そんな時間から遊べる場所などあまりなく、なんとなくゲームセンターに行くようになったような。ゲーセンなら一人で遊んでても楽しいし、もとからゲーム好きでもありましたし。
多分そのくらいの時期に「ニンウォー」を始めたと思います。三画面筐体が目に付いたから、とかやっぱり大した理由はなかったんですが。
さしたる理由もなく始めた「ニンウォー」がどうして「我が青春」なのかというと、私が初めて「考える」ことに目覚めたゲームだからなんです。
それまではただ無心に遊んでいた「ゲーム」が、「ニンウォー」をプレイしはじめて「先に進みたい」という目的意識が芽生え、「先に進むためには?」と毎回プレイの内容を反芻してゲームオーバーになった原因と打開策を考えるものになったんです。敵の出現パターンを覚え、それぞれの敵に対しての対処法を考え、「昨日終わったところより進むんだ!」、「2度と同じ失敗はしない!」などと自分なりに目標を定めて日々がんばってました。そう、まさに「攻略する」意識の目覚めだったのです。
さて、いろいろ思い出深いこの作品ですが、あれ程までにトリコになったひとつの要因にBGMがあります。和楽器とロックが融合した不思議なサウンドは一度聞いたら忘れられないほどの衝撃を受けました。それまでは和風のゲームといえばベタベタな日本風のBGMのイメージがあったのですが「ニンウォー」はそうではなく、メインはシンセ、其処ここにボコーダーのボイスが使用されてとても和風情緒とはいいがたい。しかし三味線や琴のような音などなど和風テイストが随所にちりばめられていて、それがまた耳に残る。ロックと和楽器という一見両極にあるものがひとつになり見事に「ニンウォー」の音楽の世界を作り上げているのです。
この斬新な和楽器ロックをさらに印象的にしているのがプレーヤーキャラクタである“クノイチ”と“ニンジャ”だと思います。金髪のクノイチと青い目のニンジャもまさしく和と洋の融合、「ニンウォー」サウンドが歩いているようなキャラクタです。もしこのゲームの音楽がただの和風の曲だったら、もしキャラクタがただの忍者だったらここまでインパクトはなかったんじゃないでしょうか。ロックだけど和風、忍者だけど外人、そしてストーリーにもあった「ニンジャウォリアーズ」のいい意味での「裏切り」や「アンバランス」にやられた! という感じです。
友人との会話の中でも、今でもわりと頻繁に「ニンウォー」の話題が出ますが、そのとき必ずといっていいほど音楽の話になります。身内で一番人気はやはり「DUDDY MULK」です。次が「CHE!」。私も「DUDDY MULK」がお気に入りです、でも三味線よりその前のシンセがもりあがっているところがいいですねえ。どの曲も高音が抜けるようなシンセの音色がスバラシイ! いまだに現役で活躍しているCDのひとつです。ビバ! 「ニンジャウォリアーズ」!
[Text : 遠藤 美幸]
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