気になるe-Toy遊んでレポート
 

← 前回分  【バックナンバー】

【連載第73回】 あの、おもちゃを徹底レポート




大ヒットを記録したマージャン専用機が復活!
バンダイ「ポケジャンEX(イーエックス)」

「ポケジャンEX(イーエックス)」
発売 バンダイ
価格 オープン
電源 ボタン型電池×2(付属)


 ポケジャン。この名を聞いて「おおっー懐かしい」と即座に体が反応するのは、30歳以上の人だろう。ポケジャンとは、'83年に発売されたマージャン専用のポータブルゲーム機。ゲームボーイが普及しきった現在からすれば「遊べるソフトがマージャンだけなのに売れるの?」とも感じられるが、当時は驚くほど売れた。

 何しろ、ファミコンと同年の発売だ。ゲームボーイが存在しないどころか、ファミコン自体も空前のヒットに向けて、ゆるやかなランディングをはじめようとしているころ。「いつでもどこでも、本格的な4人打ちマージャンが楽しめる」という売り文句は、マージャンがまだ“娯楽の王道”として輝いていた時代に、強烈にアピールしたのだった。

 今回紹介するのは、そのポケジャンの最新機種「ポケジャンイーエックス」。「名作携帯ゲーム機の最新版」という触れ込みに興味を抱いたのはもちろんのこと、それ以上に「なぜ今ポケジャンなの?」という素朴な疑問が沸いてきたのだ。通勤途中の電車の中やリラックスタイムに、「マージャンをしたいな」と思ったら、ゲームボーイで遊べばいいではないか。わざわざ専用機を買う意味はどこに? しかし、バンダイは、最新機種を市場に投入するという。あえて勝負をかけるには、この最新機種にはゲームボーイにはない何かがあるはずなのだ。

パッケージ。モスグリーンを基調に、銀のハイライト 本体はPDAを彷彿とさせるシックなデザイン

PDAにも見える洗練されたデザイン

 東急ハンズの店頭で商品を手にとったとき、疑問の一部がまず解けた。価格が安いのだ。カタログ上ではオープン価格になっているが、ここでは3,980円で販売されていた。つまり、ゲームボーイアドバンスのソフト1本を買うより安いのだ。しかも、ゲームボーイアドバンス本体を持っていない人が「マージャンゲームをしてみたい」と思いたち、本体とソフトを購入したら、13,600円が必要となる。これは希望小売価格の合計なので、実際はもっと安く済むだろうが、それでも3,980円の魅力にはかなうまい。

 パッケージを開けると、疑問はさらに解けた。本体が小さく、軽いのだ。サイズは縦62ミリ、横は84ミリ。まさに手のひらサイズだ。重量もとても軽い。計測してみると、78グラムだった。ゲームボーイアドバンスの約半分だ。そして、何よりデザイン。「マージャン専用の携帯ゲーム機」というコンセプトからかけ離れた、シンプルなデザインなのだ。遠目にみれば、PDAのようにも映る。「電車でゲームボーイに夢中になっている姿を、人に見られるのはちょっと……」というような人たちにも、「これならアリ」と感じられるだろう。

 デザイン面における試みは成功といえるだろう。とはいえ、重要なのはマージャンゲームとして楽しめるかどうか、だ。

手のひらに収まるサイズ。右下には滑り止めの工夫もある。本体のサイズが実感できるだろうか。重量はとにかく軽い

操作体系にはひと言いいたい!

 ゲームは「ランキング対戦」、「勝ち抜き戦」、「2人対戦」の3モードが用意されている。まずは、コンピュータ3人を相手に東南半荘戦を行ない、戦績によってランクが診断される「ランキング対戦」から遊んでみた。本体の「ON/OFF」スイッチを押すと、液晶画面に文字がひとつずつ表示されはじめた。「バンダイマージャンクラブ ポケジャン」。文字だけのシンプルなタイトル画面。久しく目にしていなかった雰囲気だけに、懐かしさに頬が緩む。

 続いて、「トクテンは27000モチ 30000カエシ」、「クイタンアトヅケアリ」、「フリテンリーチアリ」と「ポケジャンルール」が表示される。ふむふむ。そして「ランキングタイセン」「カチヌキセン」「フタリタイセン」から、「SELECT」ボタンで「ランキングタイセン」を選び、「ツモ」ボタンを押す。画面には「ドレカボタンヲオシテクダサイ」。言われるままにもう一度「ツモボタン」を押すと、液晶画面の中でサイコロが回転をはじめた。

 よし、勝つぞ! と意欲が盛り上がってくる。ところが……はじめてしばらくすると、様子がおかしいことに気づいた。不要な牌を捨てようとすると、選んだ牌とは別の牌が勝手に捨てられるのだ。「あっ、待ってくれ」と心で叫んでも後の祭り。この現象を解決すべく、取扱説明書を読むことにした。なるほど、ゲームを選択した後は、「ツモ」ボタンではなく、スタートボタンを押すのか。これは筆者の早計だった。しかし、だ。ポケジャン本体を何度見返しても、スタートボタンは見当たらない。

 再度、説明書を読み返すと、スタートボタンは「カン」、「ツモ」、「ポン」ボタンの上に、それぞれ「S3」、「S2」、「S1」と略称で表記されているとのこと。しかも「S1」は初級者レベル、「S2」は中級者レベル、「S3」は上級者レベルに分かれているという。うへっ、わかりにくい!

 マージャンというポピュラーなゲームを、幅広い層に遊んでもらうためのハードとしては、配慮に欠けている。少なくともゲーム開始までは、説明書を読まずとも、感覚的に進められるように十分に工夫すべきだ。

アガリやリーチ専用のボタンがあり、操作は良好といいたいところだが…… タイトル画面。ドットが浮き立った文字がなんとも懐かしい

上級者向けレベルはなかなかの厳しさ

「ランキング対戦」。上段は現在プレイ中のライバルの画面。下段は自分の手牌
 気を取り直して、対局に興じよう。表示能力の限界のため、字牌が省略されるが、これは付きものといえる。遊びはじめのころに若干の違和感を覚えるが、すぐに慣れる。

 一局終えて気づいたのだが、液晶の設計は優秀だ。サイズは縦31ミリ、横118ミリと、非常に横長なのだが、この長さが生きている。一局に捨てる牌の最大数である19牌が、すべて横並びに表示されるのだ。おかげで局の流れがつかみやすく、「そろそろ中盤なので、誰かがテンパっているはずだから、捨て牌選びに注意しよう」とか「あと3回ツモると流局だから、鳴いてでもテンパイに持ち込んでおこう」など場面に応じた牌運びが行なえるのだ。

 コンピュータの思考速度は、最近のマージャンソフトのような息つく間もないほどの速度ではないが、「次のツモはまだかな……」とホンの少しだけ待ち遠しくなるテンポ。ときにはコンピュータが長考をするといった演出もあり。

 筆者は中級者レベルを選んで遊んだのだけど、2回上がったのみの成績でランクは最低を示す「1」。う~ん、マージャンは2年ぶりだから勘が戻らなくて……と言いわけをさせてほしい。

 自虐的な気持ちで、上級者ランクにも挑戦したみた。中級者とハッキリとした差は見受けられないが、コンピュータが仕掛けてくる順目は早く、上がった場合もしっかりと役を狙ってきているのがわかる。この勝負、筆者はリーチピンフドラ1を何とか上がれたのみ。ランクは変わらず「1」だった。


ヒマつぶしに最適な「2人対戦」もある

 「勝ち抜き戦」は、同様のコンピュータ相手の東南半荘戦を行ない、戦いの場を変えながら、やがては世界チャンピオンを目指していくモードらしい。「らしい」と書いたのは、最初の勝負「チョウナイカイ」をまたしても勝ち抜けなかったから。トホホ。コンティニューも可能なので、通勤電車の中で毎日コツコツと挑戦していくことにしよう。

 「2人対戦」は、文字通りふたりで遊ぶマージャンだ。コンピュータとサシで勝負するのかと思いきや、牌を捨てると、瞬時に牌が裏返しになり、続いて裏になっていた相手の牌の絵柄が表示された。なるほど。これはリアルな2人対戦ができるわけか。

 まずはひとりが「ポケジャン」を手に取り、操作を行なう。そうして自分の番が終わったら、「ポケジャン」を渡し相手が操作を行なう。「ポケジャン」が対戦相手の手に渡ろうとも、自分の牌は裏に伏せられているので、マージャンは成立するのだ。ユニークなアイデアだと思うけど、時間がかかりそうではある。行列に並んでいるときとか、退屈な時間をしのぐのに向いているのかな。

 ゲームボーイを持っていればまったく不要かというと、そうでもない。筆者は、このアイテムが放つ「軽さ」と「カジュアルさ」が気にいった。ふとマージャンを遊びたくなることがある人なら、カバンの中に常備しておき、いつでも取り出せるようにしておくとよいだろう。価格も安いので、プレゼントにもよさそうだ。

(C)2002 BANDAI

□バンダイのホームページ
http://www.bandai.co.jp/


 毎週、電子系のおもちゃを中心にオススメのおもちゃをご紹介しています。「このおもちゃ、気になるけど面白いかなぁ」といったものを徹底的に遊び倒し、その面白さをお伝えしていきます。取り上げて欲しいおもちゃなどがありましたらドシドシと編集部までメールを送って下さい (編集部)

→ game-watch@impress.co.jp ←

(2002年7月11日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

Copyright (c) 2002 Impress Corporation All rights reserved.