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【連載第55回】 あの、おもちゃを徹底レポート




凶暴でわがままな性格の一風変わったロボット・トイ
セガトイズ「ディノッチ」

ココロボシリーズ「ディノッチ (DINO-CHI) 」
プテラノドン (左) ティラノザウルス (右)
発売 セガトイズ
価格 各3,980円
電源 単4アルカリ電池×3本
発売日 発売中


「ココロボ」史上初の「凶暴」なロボットが登場!

 ずいぶん前に発売済みだけどどうしても気になるので、遅まきながらこの「ディノッチ」を取り上げみることにした。当連載で、くり返し取り上げてきた「ココロボ」シリーズの最新作だ。犬型ロボットの「プーチ」やレトロなロボットの「ロボチ」などに続き、最新作のモチーフは恐竜となった。しかも「ティラノザウルス」と「プテラノドン」の2種類が同時に登場。恐竜や怪獣を愛してやまない筆者としては、うれしい限りの展開だ。

 「ココロボ」シリーズといえば、ユーザーの接し方で喜怒哀楽が変わる「ココロボ回路」を搭載し、そこが面白さのひとつなのだけれど、さすがは恐竜、ひと味違う。「ココロボ回路」も今回だけは特別に「恐竜型ココロボ回路」となっており、これまでのココロボたちと比べ、凶暴な性格を持ち合わせているという。しかも「ディノッチ」だけの機能として、相撲やレースが行なえる「バトルモード」があるとのこと。面白そうだ!

「ティラノサウルス」。鼻先には光と音のセンサーを内蔵し、状況に応じてアクションを変える 「プテラノドン」。頭上のボタンを押すと、鳴く、歌うなど、様々な反応を示す



不機嫌でわがままな性格が妙にカワイイ「ティラノサウルス」

 最初は「ティラノサウルス」から。外見はティラノサウルスのデフォルメ版という感じだが、体表の模様が大胆にデザイン化されており、個性を放っている。

 電池を入れるやいなや、上あごをあげ、「グガォォォォ」とひと吠え。と同時に、2本の足を前後させ、ノッシノッシと前進をはじめる。力強さを感じさせる歩きで、カッコいい。ところが、一体どこまで前に進むかな、と注目したとたん、歩みをピタリと止めた。従来のココロボならば、こうしたときは手を叩くのが基本。すると内蔵された音声認識センサーが働き、再び歩き出すのだ。ところが、この「ティラノサウルス」は、いくら手を叩こうとも、ウンともスンとも言わない。不思議に思ってマニュアルを読み進めていると、勝手に歩き出し、再び「グゴガァァァァ」と吠えている。そうか、これが「凶暴」たるゆえんか。恐竜なので人間にはなかなかなつかない、という設定なのだろう。

 「ティラノサウルス」はお腹をすかせるので、適宜にエサを与える必要がある。で、何がエサになるのかというと……思わずギョッとさせられた。エサはトリケラトプスの形をしているのだ。確かに、ティラノサウルスが草や果実を食べては変だものねえ。セガトイズの遊びごころに、やられたっ! という感じだ。

 エサをふんだんに与えたり、頭にあるボタンを押し続け、ご機嫌をよくすると、歌を歌い始める。歌といえばこれまでの「ココロボ」シリーズの共通の仕掛けなのだけど、この「ティラノサウルス」は様子がずいぶんと異なる。「喜びの歌」や「イタリア国歌」など誰もが知っているメロディのきれいな曲をレパートリにしているのだが、これをひどいダミ声で歌う。おまけに、時々音程が上へ下へとズレる。そう、こいつオンチなのだ!

 しばらく何もしないでほったらかしにしていると、スリープモードに入る。このときの動作も秀逸。「グゥゥゥ……」といびきの音と共に、上半身をカクッカクッとずらし、船をこぐのだ。わがままで、オンチで、しかもこの動作。妙に人間くさい恐竜だなあ、と何だか、とても気に入った。

大きな頭、小さな手、太い足……とティラノサウルスの特徴をうまくデフォルメしてる 目の表情は5タイプに変化し、「ハッピー」から「怒り」まで、ご機嫌の状態を表す エサ。マニュアルでは「正体は不明」とあるが、どうみてもトリケラトプスだ



マイペースな態度が不思議と「生命」を感じさせる

 お次は「プテラノドン」。おなじみの翼竜にエイリアンが混ざったような外見をしている。個人的にはメカゴジラを彷彿とさせるところもあり、好きなデザインだ。「キャシャッー」と金属的な鳴き声を立てながら、大きく口を開け、2枚の羽をバタバタさせる。もちろん2本の足を使った歩行も可能だ。片足を前に出すたびに、体が上にあがり、少しだけフラフラする。それにも関わらず、前へ前へ歩く姿がいじらしくもある。

 外観的な特徴以外は、「ティラノザウルス」といっしょ。突然、するどい鳴き声を発して歩きだす。こちらから歩かせようとアプローチをしても、歌を歌ったり、ひたすら鳴き声を上げたり。まず言うことはきいてくれない。これまでの「ココロボ」シリーズの従順さに慣れている身としては、意外に新鮮。持ち主になつかず自分のペースで吠え、歩き回る「ディノッチ」の方が、不思議と「生命」を感じさせる。こうして原稿を書いているときも、机の上で「ティラノサウルス」と「プテラノドン」が好き勝手に吠え、鳴き、気ままに歩きまわっている。時には筆者の手のひらに進行方向をさえぎられ、立ち往生してジタバタしていたり。どちらもとてもカワイイ。

 ちなみに「プテラノドン」のエサは、シーラカンス。これを口元にあてがうと、「オイチプッ、オイチプッ」と愉快な咀嚼音を立て、おいしそうに食べる。

「プテラノドン」の口。咆哮時は、このように大きく開き、舌が赤く点灯する 鳴き声を上げるときは、同時に翼をバタバタとふるわせる エサ。こちらはシーラカンス? いすれにしろ野性味あふれるセレクトだ



かまった分だけ強くなる「バトルモード」

 バトルモードは、スリープモードに入っている状態からはじめる。それぞれ口元にエサをあて、食べ始めたタイミングで頭上のボタンを5回、そして3秒以内にもう一度ボタンを押すと、バトルモードとなる。バトルモードとは、ようは「ディノッチ」が常に歩く状態になること。前へ前へと進む「歩み」のパワーを利用して、2体「ディノッチ」を向かい合わせて「相撲」をとらせたり、横に並べて「レース」をさせるのだ。

 相撲を試してみた。「ティラノサウルス」と「プテラノドン」が口々に叫び、お互いをめざして前進をはじめる。すばらくすると、両者が激突。どっちが勝つかと思いきや、「プテラノドン」が歩みを止め、なおも進み続ける「ティラノサウルス」に倒されてしまった。第2回戦目を行なったところ、まやもや同じ結果がくり返された。マニュアルを確認してみると、バトルモードのときの歩く長さは、彼らのご機嫌に比例するのだという。できるだけかまって、なおかつお腹を満たしていると、歩く長さが増しバトルモードで強さを発揮できるのだそうだ。なるほどね、これなら普段、つれない態度に翻弄されようとも、彼らを世話しようという意欲がわいてくる。

 「ココロリンク」は、2体の「ディノッチ」の動作を同調させ、あたかも心が通った会話を交わしているかのうな光景が見られる、という遊び。とはいえ、会話が完全にシンクロすることはなく、ただ勝手に吠えて、鳴いている印象が強い。ところが眺めていると、両者の鳴き声が見事にかわるがわるに、あるいは同時にくり出される瞬間があり、本当に仲良く会話を交わしているかのように映るのだ。お互いを挑発しあっているようにも、意気投合しているようにも、愚痴を言い合っているようにも感じられ、シンプルな動作が繰り返されるだけなのに、ほほえましくてじっと見入ってしまう。

バトルモードの「レース」。同時にスタートし、先に歩みを止めた方が負けとなる こちらは「相撲」。向かい合わせると、両者の体がぶつかりあい、相撲状態に突入! 「ココロリンク」を使った会話中。会話の内容を想像しながら眺めると笑える


 「ココロボ」をずっと遊び続けている筆者としては、「ココロボ」もここまで来たのだなあ、と感慨深いものがある。歩けず、ただ吠え、歌うだけの初代「プーチ」から、歩き、会話をし、そしてバトルができるようになったのから、すごい進歩と称えたい。

 さて「ココロボ」シリーズは、どうやらここらで「ひと休み」となるようだ。同じセガトイズからリリースされる、2本足で爆走する「走機爆走!! グランドランナー」の発売を楽しみに待ちたい。登場したら、さっそくレポートするつもりだ。

(C) SEGA TOYS 2001

□セガトイズのホームページ
http://www.segatoys.co.jp/
□「ココロボ王国」のページ
http://poo-chi.segatoys.co.jp/index2.html


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(2002年2月28日)

[Reported by 元宮秀介 (ワンナップ)]


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