【特別インタビュー】

「エースコンバット04 シャッタードスカイ」開発者インタビュー

【一柳宏之氏】【河野一聡氏】
プロフィール
株式会社ナムコ 第一開発本部制作二部主任。本作のプロジェクトディレクター。 株式会社ナムコ 第一開発本部制作二部係長。本作のデザインディレクションを担当。

 昨年ナムコでもっとも話題をさらったゲームといえばやはり「エースコンバット04 シャッタードスカイ(以下AC04)」であろう。2000年末のプレイステーションパーティでの衝撃の初登場以来、そのグラフィックには誰もが注目したし、発売されてプレイしたときも、そのクオリティの高さに感動したことは記憶に新しい。初めてのプレイステーション 2で飛び立った「エースコンバット」について、開発スタッフのお二方にお話をうかがった(文中敬称略)。


■ 毎回挑戦はするべき

--発売されたあとの反応を見ていていかがでしょうか? ?

一柳 そうですね……思い通りの所を楽しんでいてくれてるかなあ……と思います。グラフィック的に感心してくれているというか、PS2ならではだし、すごいなあっていう事と……。あとはゲームの進行上で、自分の出した成果がすごくアナログ的にステージクリア時に出るようになっているんで、「自分はこんな戦い方をした」といった感じで遊んでくれている。

 「クリア条件を満たして先へ進んで~クリア条件を満たして先へ進んで~全部クリアして終わりました」っていうんじゃなくて、「次やってみたらこれだけの点数が取れたり、ここにはこんな敵の団体がいたよ」とか、そういう感じで楽しんでくれている人の声を聞いたりすると嬉しい。

 あと、無線ですね。けっこう内心どう受け取られるか不安だったので(笑)。結構「無線カッコイイ」、「無線楽しい」とか「結構浸れる気分になるよね~」とか聞くと「あ~よかった~」って(笑)。確信はあったんですけど、ただやっぱり……実際に自分が携わった作品だとマヒしてくるものがあるから、だんだん発売日が近づくにしたがって確信がどんどんどん「どうなのかな」ってなってきて、発売されてからの反応を見て「あ、よかった」と安心して。それは全ての要素にわたってなんですけどね(笑)。

河野 そう(笑)? なんかゲーム作ってて、その……なんか「スコーンと抜ける瞬間」が何回かあるんですよ。開発初期の段階で雲を見た時とか。「ああ、これはいけるなあ」とか。無線も、入った時に周りの反応とか聞いて、「ああ、これはいけるなあ」っていう、なんかこう……手応えがいろんなところにあって。無線はそのひとつだったのでそんなに心配はしてなかった。むしろ他の部分を心配して(笑)。

--その他の部分というのは?

河野 サイドストーリーとか。繋がりとか、「理解してくれるのかなあ? 大丈夫なのかな?」と心配だった。

一柳 でも、自分的にはかなり試験的というか新しい試みだったわりには解ってくれる人が結構いたなあという……。

河野 大人に受けがいいのがうれしいね。ちゃんと……意外とちゃんと読み取ってくれてるなあと……。もっと訳もわからず頭ごなしにけなされるのかなあと思ってて。

--なんとなくちょっと大人向けというか……。上品な感じの終わり方だなあと思うんですが。押しつけのない。

一柳 やっぱり、あくまでプレーヤーが主人公で、すごいパイロットであるという設定なので、それを崩すようなものを作りたくはなかったんですよ。サイドストーリーでも。だから、結果的にああいう風にして、「あなたはこういう事したからこういう風に話が進展して、あなたは偉くなりました」といった風なダイレクトに全部説明するということではなく、逆にさりげなくプレーヤーが自分に浸れるものを狙ってたつもりだったんですけど……。

河野 うん。なんか……刷り込まれてていいんじゃないですか(笑)?

--私たちは刷り込まれてるんですね(笑)。普通だと例えば、ステージクリア時にポイントがいくつあって階級が上がってといった直接表現になりますよね。それが今回は無線の内容に反映されていたりとか、先のステージに行くと「リボンが……」って話になってくるあたりがその刷り込みの効果ということですね(笑)。

河野 そうですね。その辺は無線でストーリーラインが描かれているということですね。……狙った通りに(笑)ツボにハマってるのかなあって。まあ中には照れちゃう人もいるみたいですけど。

一柳 多分そういう人は上手い人だね。あの元々3D空間を飛行機操舵で飛ぶのって結構大変なんで、「AC」が上手い人でも、かなりブランクがあった人は多分、1回目のプレイでは無線のセリフを全部読めないですね。で、何回かやってどんどん上達していったらもう1回やりたくなる、という特性を持ったゲームだと思ってるんで、そうなったら今度は気持ちに余裕が出てきて無線も楽しめるようになってくる……っていうような風になったらいいなあと思っていたら、結構そうなっているんで、多分だから最初から読めて楽しんでいる人は、かなり上手い人なのかな~と(笑)。

河野 なんかいろんな冒険といろんな要素が入っているソフトで、遊ぶ人が結構頑張らないと……頭使って遊んでもらわないといけなくなっちゃったかも……。その分フリーフライトがあるからいいか。なんにもしないで飛んでられるし(笑)。まあ、バランスはよく取れてるんじゃないでしょうかと。自画自賛ですが(笑)。

一柳 ただ、こういうゲームが、最終的にベストの形態ってわけではないんですよね。時代的に今ってやっぱり映画みたいに、そのプレーヤー自身が「さあじゃあ楽しませてくれよ」っていうようなスタンスで遊び始めるんで、どんどん引っ張ってってくれる方が面白いって感じる人もいると思うし。なんかこう……物語を提供するような感じのゲームっていうのはそういう風に成り立ってるし、でも、うちはちょっと違うものをやってみた、ということですね。

河野 そうね、うちは後ろから押してあげるゲームだからね。

--押してあげるって新しいですよね。

河野 そうですね……。「早くエースパイロットになれ!」なんて。いろんな要素で、後ろから後押ししてあげると。「変わったゲームだなあ」とは思いましたけど、なんかまあ受けてるというか、販売実績もいいみたいで……よかった。ひとまず安心。

一柳 結構、自分たちとしても「こういうのもアリなんだ」とか、今回盛り込んでみた細かい要素という選択肢が増えたし、これから……まあ形は変わってもいろんなゲームで盛り込んでいきたいなあとか……なんか結構レベルアップに繋がったかなあと思いました。

河野 まあ、ナムコがそういう事をやらなきゃいけないんですよ。やっぱり。続編続編って言われちゃいますけども。なにか新しい要素を入れてあげないと……。開発陣も……ね。頭固まっちゃうもんね(苦笑)。毎回挑戦はするべきだと思うし。「AC04」はたまたま上手くハマったみたいで……。ま、次に何やるかが大事でしょうね。

一柳 そうだね。


■ すべてを間接的に

--具体的に、その後押しの部分っていうのはどんなところだったりしますか?

河野 全部間接的にしかやらないことかなあ?

一柳 サイドストーリーも自分(プレーヤー)が出てくるわけでもなければ、自分の視点でもなければ、すごく遠くにあるところの話を伝え聞いてるっという形だったりとか。

河野 でも、そこから自分の情報を得たりとか、「自分が偉くなった」、「ちょっとは自分認められてるんだ」っていうことを感じ取ってもらうとか。

一柳 そうそうそう、単にその遠くの話をすることで直接的な部分が無くなったってだけじゃなくて、その事によって生じる何かがあると思うんですよ。遠くで自分のことが話されてるっていうのは、ちょっとグッとくるじゃないですか? 「あんた偉いね」って言われるよりも、「あの人ってすごくない?」っていうのを聞くっていうのは。

河野 無線に関しても同じだよね。

一柳 そうだね。

河野 「メビウス1、お前はすごいぞ! だから~で~になるんだ!」とか命令されたりとか、ブリーフィングで「君は隊長だから~」とか……。

一柳 「君の双肩に全てはかかっている!」って言われるよりは……。

河野 ちっちゃい歩兵に「やつはすごい」って言ってもらった方が(笑)。

--(笑)。

一柳 まあ、よく好きなセリフで例を挙げると「嘘でもいい! メビウス1が来てるっていっとけ!」って会話するんですよ。それはすごく「あ! スーパーマンだ!」って言われるより、間接的に言われた方が……(笑)

河野 敵が「あ! リボン付きだ!」とかって逃げ回ってるとかって……。

--そうですね。無線とかかなり、こう……持ち上げてるような感じですね。確かに(笑)。

河野 そういう意味で、音周りの設計もいろいろ工夫しましたね。「ここはそのステージを通して大きな対戦があるから、ここの曲はもう、あざといぐらい盛り上げてプレーヤーの気分を引っ張ろう」とか、「ここはもう重苦しい位辛い曲にしてプレーヤーを沈ませよう」とか(笑)。「次は一気に開放感を味わってもらおう」だとか。構成とかも気をつけて、なるべくプレーヤーがいろんな……苦労したような気分になってもらうように(笑)。

一柳 全体の流れ、例えばグラフィック的な、晴れた空の次は曇天で重苦しくて、しばらくそれが続いて今度はパーっと明るいステージになるといった展開をB.G.M.に合わせるという仕事って、やっぱり映画の演出っぽいですよね。そういうプレーヤーの気持ちの高揚みたいなものを、こっち(企画)で想定して……といったものは、自分はそれほど得意ではないので、結構コアな方に担当してもらって……(と河野氏の方を見る)。グラフィックと密接に関ってるから。

河野 でも、いわゆるストーリー展開を引っ張るゲームは、おつかい要素、「次じゃああそこの島に行ってあれやってきてください。何々取ってきてください」といったものが直接的に画面に出ちゃう。だけど、「AC04」の場合は、いろんな設計を間接的にして全部裏に回すことで、なるべくプレーヤーには直接言わないとか見せない。それが知らず知らずに自分で決定している。持ち上げられている気分にさせられちゃうという……。

一柳 そうなると怖いのがやっぱり、気付いてくれなかった人は最後まで気付かない、という危険があるんですが、それはもう……量を使って威力を高めてっていう(笑)。


■ 「空を作る日」

--今回、空の色、風景などがとても印象に残ったんですけれど……特に天気のバリエーションにはびっくりしました。

河野 今回、色にこだわって……。微妙に色を変えるだけで、水分を含んだ感じになったり、カラカラになったりだとか。そういったところまで調整しているので、他も相対的によく見えるんではないかと思います。

 チーフデザイナーと一日、「空を作る日」というのを作って。1つのモニタを2人で並んで見て、最初のステージからずーっとプレイして調整していくんですよ。「さっきの面の晴れはこれぐらい晴れているから、この面はあの面より晴れちゃいけないね」とか。一日中天気だけを見て。そうやって流れを作っていったんです。上陸作戦の時は「ここはとにかく大雨を降らせて陰鬱にして、とにかく暗く苦しいイメージで」とか。もやがかかるフィルタの調整とかも細かくやりましたね。雪とかも最初うまくいかなかったんですけど、「ウソでもいいから動きをゆっくりにしてみな」とか調整して。

 チーフデザイナーもそうですが、僕らはあまりハッキリした色は好きじゃないんですよ。海外のフライトものとかを見ていると、青255・0・0みたいな(笑)。夕方だと、赤、青、グラデーションみたいな(笑)。そういうのが嫌いで。だからあえて差し色みたいな感じで、微妙にオレンジを入れたり、緑を入れたり……。「AC04」の空って微妙な色づかいをしているんです。同じ天気でも、これは15:00回ってるかなとか、19:00回ってるかなとか。こだわって作ってますね。

 月もちゃんと満ち欠けを調べて作ってあるんですよ。1つ1つのミッションに、日時や緯度経度も書いてありますしね。

一柳 ああ、やってたね……。

--地上もすごいですよね。夜の町の灯とかも……。

河野 グラフィックに関しては「マップ会議」というのがあって、一通り僕が画面を見ながら、すべてを底上げするのはつらいので、各面のポイントを洗い出して指示しましたね。一番晴れた面なんかは、雲の影を濃くして……とか。だからちゃんと見てほしいところはちゃんと作ってあります。似ている面というのはあまりないはずです。

--リアルタイムのオープニングですが、てっきりムービーだと思っていたんですけれども……?

河野 「あまり気負わないオープニングにしよう」と演出担当のスタッフと打ち合わせしました。今回見せたかったのは「対比」だったので。雲と飛行機、飛行機とカモメで……イメージ的に固いものと柔らかいものとがうまく再現されているゲームだ、ということが伝わればいいと。

 リアルタイムにこだわったのは、「リアルタイムでもこれだけ固いものと柔らかいものと独特のフィルタがかかった質感が表現できるんだ」というのを最初に見てほしかったんですよ。おまけになりますけど、一度クリアしたあと、あのデモの中で飛んでいる飛行機が変わったりするのも楽しいですよ。


■ メガリス

--「エースコンバット」って最後はなぜ狭い所に入るのかなっていう疑問が兼ねてからあったんですが? 今回はメガリスの通路でしたけれど。

一柳 それは……ですねえ。上から言われてるんですよ(苦笑)。いやいや嘘ですけど(笑)。

河野 なんでだろうね?

一柳 まず基本的に、あんな大きな建築物ってのはありえないですよね。だから戦闘機が通れる狭い所なんていうのも現実世界にはまずありえない。「AC04」に関してはやっぱりある程度現実世界をベースにしてるんで、例えば「円盤が出てきていいのか?」とか「『インデペンデンス・デイ』」みたいなの出てきていいのか?」となるわけで。でもそれはちょっとダメ(笑)で。「その境目はどこなのか?」、「どこまでOKなのか?」ってなると、やっぱりいくつかのステージでどこかに潜っていくみたいなミッションを作るわけにはいかないんですよね。

 でもやっぱり、そういった3Dで自由に動けて「こんな所通ったら面白い」っていう遊びのアイディアは当然生まれてくるんです。そういったものって結構メリハリにはなると思うんですよ。で、用意するとなると、難しすぎるんで終わりの方に持ってくる、みたいな感じかな(笑)。

河野 そうだね、操作難しいし。あとやっぱり、終わらせ方が戦闘機(もの)って難しいんだよなあ……。1対1のドッグファイトは意外とつまらないから。

一柳 うん、そうなんですよ。

河野 「あ、終わっちゃた」ってなっちゃうんで。潜ると結構「辛い辛い辛い辛い辛い閉塞感辛い辛い辛い辛いバッって開いたーっ」ていうような(笑)。

一柳 確かに突入する時、突入して通ってる時、で最後のターゲット見ながらなおかつ緊張しなきゃいけないというのは、ラストのステージというシチュエーションに向いているんでしょうね。ただまあやっぱりみんなに言われますね。「なんでいつも狭いの?」って(苦笑)。

河野 「ここに来て急になんでだ~」って。今回途中に一回も潜るようなところはなかったからね。でも、狭い所飛ばなかったら飛ばなかったで、また不満が出て来るんじゃない?(笑)。

 それにしてもみんな、最終面、黄色中隊と戦うんだね。

一柳 戦ってたね。

河野 俺なんかむしろまっすぐ(メガリスに向かって)飛んでたよ。

--直行ですか(笑)。

一柳 戦えよっ(笑)。無線聞けるんだから(笑)。

河野 「ジャン……」、「グライマン……」しか聞いてない(笑)。あとでネットとか見て、「あそこ(最終面)の黄色中隊との戦いが悲哀があって……」とか書き込みがあって。「あ、そうだったんだ」と(笑)。だって、あそこに入ってからの突入部隊の無線の調整が大変だったんで「黄色中隊ジャマっ!」ぐらい思ってましたよ(笑)。むしろ「後は任せたっ」という気分でしたね。

--後ろで味方がボロボロやられていくと(笑)。

河野 それにしても、やっぱり「AC」は読めないな……プレイスタイルが。

一柳 実はクリアするだけだったらかなり簡単だったりするんですよね。とくにポイント制のミッションだとか。そこから先、高みを目指す……機体を買いたい、とか。そういう人は苦労する。苦労するとやられちゃう危険性はありますけど、その危険を冒しても苦労するという人は、達成感を味わえると思うんですよね。ある意味、早くゲームを先に進めて、物語やテーマを見たい、という人には物足りないかも知れませんが、2周、3周とプレイしてもらっていろんな部分に目を向けてもらいたいなと思いますね。

--クリア後、ということに関連してお伺いしますが、難易度「ACE」は、プレーヤーへの挑戦状という意味で入れられたんでしょうか?

一柳 「ACE」モードに関しては、位置づけ的にはこちらが用意した正統派の難易度というよりは、完璧なオマケですね。「EXPERT」までは、ちゃんと「考えて」やっているのですが、帰投してダメージが回復しないというのは、帰投する意味が半減してしまうので。「ACE」はもうほんと、ある意味「マゾヒスト」が遊んでください、という(笑)。一番リアルに近いモードだけれども、「AC04」でシミュレータ的雰囲気を味わいたい、という方向けですね。


■ スタッフがみんながんばってくれた

--お2人とも、PS2での「AC」を制作してみて、いかがでしたか?

河野 私は「2」に続いて2回目で、「2」ではマップのテクスチャの直しとか、サポートを担当していたんですが、基本的に「カッコイイもの路線」が好きだったんで、「飛行機カッコイイなあ」と思っていたので今作も希望してプロジェクトに参加しました。実際に担当してみても、「カッコイイゲームになったなあ」と思いますし。楽しんでやりました。

一柳 私は今作が初めての「AC」シリーズだったんですが、もともと「AC」シリーズを「ひたって遊ぶ」プレーヤーだったんですよ。自由に動ける、ということもあって。だから、自分なりにこのシリーズの魅力を感じていたし、プロジェクトに参加して、自分がやることは自分の中ではすぐに決まったんですよ。

 仕様に関しては、新しい試みが多かったんで、いろいろ試行錯誤しましたけど。「シリーズもの」だから楽、という部分はあまりなかったです。元々の「AC」がこういうものだったから、といった縛りだとか。根本は変わらないんですけれども。

 例えば、飛行機の挙動に関しては、今まで「AC」に携わっていたプログラマの石井がいてくれたからできた。開発序盤は、自分たち企画はタッチできるほど余裕がなかったんですよ。他の部分を考えなければいけないし。現用機だから、挙動は(今までのシリーズから)大幅には変わらないだろう、ということはありましたけれども。石井が今までの経験から「こういうものでどうですか?」というものを作ってきてくれて、僕らはそれを手直ししていくだけでよかったので「助かった」と。いろんな人に助けられましたね。

 序盤にグラフィックチームのほうでしっかりしたツールを組んで、どうやって効率を上げるか、ということも研究してもらって基盤を作り上げてもらったので、後半はかなり助かりました。

河野 システムがうまくいって、後半はマップを作るだけならわりと簡単に作れるようになったんですよ。企画的に「こういうふうにしたい」といったマップに計画性を持ちこもうとすると調整を含めて時間がかかるんですが、ただ空があって、飛行機が飛べればOK、というものなら2~3日でできるようになりましたからね。

一柳 だから序盤から忙しかったよな(と河野さんの方を見る)? 全体的に平均化した作業量だったし。最後はやっぱり忙しかったけれど。

河野 うん。ウチのプロジェクトとしては珍しいかな。あまり修羅場という修羅場はなかったし。普通だと、締め切り2~3ヵ月前に「うわーもうこのゲームできねー」ってならなかったからね(笑)。

--やっぱりそうなる時もあるんですね(笑)。

一柳 基本的にはそうかも(笑)。

河野 あるある。全然。基本的にある(笑)。今回はスタッフが優秀だったから……(笑)。通常ならみんなもう独り立ちしてもおかしくない人ばかりが集まってたから助かった(笑)。

一柳 VSモードやチュートリアルモードとかも、スタッフが足りなくて「どうしよう?」となったときに助っ人に入ってきてくれた人が、全般的に担当してくれたんですよ。

 対戦の企画自体は前からあったんだけれど、具体的な敵配置や、バランス取りとかを担当してくれる人がいなくて……そこで入ってくれた猪ノ口くんが、たまたまなんですけれどメインゲームとはまったく別のタイプのゲーム、ミニゲーム的なものが得意で。助かりましたね。

--今回の対戦は仕掛けがいろいろありましたね。

一柳 元ネタを考えるのは企画のプランとしてわりと早めに上がったんですが、そのあとそれをどう料理しようか、となると細かい工夫がいるんですよ。2人で戦うだけじゃなく、ポイントを争ってもらおう、となったときに最初から急降下から始まるミッションにしてみたり。先に行けば早くターゲットを攻撃できるし、後ろからいけば相手をジャマしやすくなるし、とか。彼はそういった調整がうまかったので、助かりました。

--最後になりますが、この作品をプレイしてくださった方や読者の方々にメッセージなどあれば……

河野 作った人間も満足しているぐらい、しっかり作られたソフトなので、買って損はないと思いますし、PS2で描画される空の世界を楽しんでもらえればいいんじゃないでしょうか。たぶん今一番キレイな空が実現していると思います。

一柳 買ってくれて遊んでくれた人にありがとうといいたいですね。生むのは辛かったので、それだけにいろんな人に遊んでいただいていることを聞くとうれしいですね。もう感無量というか。今回、こういった大きなプロジェクトに参加したのが初めてだったので。スタッフも多かったからプレッシャーもあったし、自分で「よく終われたな」と思ったし。

河野 スタッフがみんながんばってくれたからね(笑)。

--今回はどうもありがとうございました。


「AC04サウンドトラック」発売中!!

 サイトロン・デジタルコンテンツ株式会社より、ED曲「Blue Skies(Vocal.Stephanie Cooke)」も収録したサウンドトラックが発売中。サイドストーリー完全版B.G.M.を中心に、CD2枚組の大ボリュームとなっている。価格は3,360円。




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□ナムコのホームページ
http://www.namco.co.jp/
□「AC04Web」のホームページ
http://www.acecombat04.com/
□製品情報
http://www.namco.co.jp/home/cs/ps2/acecombat4/index.html
□サイトロンディスクのホームページ
http://www.scitron.co.jp/label/
□製品情報(「エースコンバット04 シャッタードスカイ オリジナルサウンドトラック」)
http://www.namco.co.jp/home/cs/ps2/acecombat4/index.html
【2001年9月14日】PS2ゲームレビュー 「ACE COMBAT 04 shattered skies」
http://game.watch.impress.co.jp/docs/20010914/ac04.htm

(2002年1月17日)

[Reported by 佐伯憲司]


ウォッチ編集部内GAME Watch担当 game-watch@impress.co.jp

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