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発売 | バンダイ |
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電源 | 単2電池×2本 |
■ 誰でも組み立てられる競技用ロボット!
「ロボットキットを組み立てる」聞くと、「電子部品」や「制御回路」なんて難しい言葉が頭に浮かぶアナタ、ちょっと待った!
今回紹介するバンダイの『VARSX(ヴァーズエックス)』は、文系出身の筆者でも、カンタンに組み立てられるロボットなのだ。ロボットと言っても、『AIBO』のように、自分から動き出す「自律起動型」のロボットではない。人間が操作する「操縦型」のロボットだ。
もともと『VERSX』は、その起源から流行のコミニュケーションロボットとは違う。定められたルールの中でワザを競いあう、競技用のロボットとして生み出されたのだ
キット状態の『VARSX』(スコルピオブースト)。デコレーション用のシールつき | 移動して、対象物を運ぶ。この2種類が『VARSX』の基本動作だ |
『VERSX』規格のロボットは、本体にアームギアボックスと走行用のギアボックスを内蔵している。言いかえれば、「移動すること」と「物を持ち上げること」に特化している。
『VERSX』を使った競技は、「バトルマシンリーグ」と呼ばれ、3種類の公式ルールがある。どの競技にも共通しているのは、アームでコンテナを持ち上げ、ゴールまで運んだ得点を競いあうという点。言わばロボット版サッカー(というよりポートボール?)だ。
操作は、リモコン上の3つのトリガーで行なう。操作できるのは、左右の車輪の回転とアームの上下運動だ。左右の車輪は、それぞれが別のモーターで制御されている。例えば左右の車輪をそれぞれ逆方向へと回転させれば、その場ですばやい方向転換ができる。いかに相手のロボよりも早くコンテナをとらえ、正確にゴールまで運ぶか。それこそが『VERSX』に求められる能力なのだ。
うまくアームで持ち上げたら、自分のゴールを目指す。2対2のルールもある | リモコンのアップ親指の位置のトリガーが移動用、人差し指のほうがアーム操作用 |
パッケージの中身は、プラモデルのようなキットになっている。組み立てはカンタンで、それぞれのパーツをランナーから切り離して、はめ込むだけ。このとき接着剤はもちろん、ドライバーさえ必要ない。そのかわり、パーツの固定には、専用のポリ製ナットやボルトを使う。組み立て用に専用レンチも同梱されていて、ナットをパーツのジョイント部にかぶせて、「キュッ」と回すだけでしっかりと固定できる。
パッケージを開けてから20分ほどが経ち、モーターを取り付ける段階になった。ギアボックスは、半完成状態で同梱されていてる。あとはモーターを組み込むだけで、動力ユニットは完成するのだ。「これだけで大丈夫なの?」と思いながら、リモコンのトリガーを引くと、ものすごい勢いでギアが回転しはじめた。もう一方のトリガーを引くと、今度は力強くアームの持ち上げ運動をくり返す。ギアボックスのケースはクリア成型のため、中の様子がよく見える。例えばアーム運動用のギアボックスならば、放熱フィンの回転までよく見える。やはり「動く」オモチャはすばらしい!
専用のレンチで固定する。キツくしめすぐると、ジョイントのツメがおれてしまうこともある | 実際に放熱の役目があるかどうかはともかく、フィンが回転する |
組み立てが終了し、操作方法も覚えた。そこで、VERSX競技のキホン中のキホン、「コンテナの持ち上げ」にチャレンジ。コンテナの前までロボを移動させ、アームを動かす。「ウィィーーーーーン……コロッ」せっかく持ち上げかけたコンテナが、アームからこぼれ落ちてしまう。『VERSX』アームは、左右から挟みこんで「つかむ」ことはできない。コンテナを持ち上げるには、アームを下にもぐりこませて、持ち上げるしか方法はない。そのためには、真正面から近づかなければならないのだが、左右の車輪の動きが独立しているため、どうしても本体が右や左に向いてしまう。
そこで、付属の「エクステンションアーム」を取り付けてみることにした。エクステンションアームは、巨大なツメのような形をしているオプションのアーム。説明書によると、コンテナが真正面になくても、しっかりとホールドすることができるらしい。さっそく装着してみると、ノーマルアームのときとは違い、2、3回の失敗で、コンテナを持ち上げることができた! オプションパーツの装着ひとつで、ここまで性能が変わるとは。パーツ選びの重要性を身を持って痛感した。
通常のアームだと、なかなかうまく持ち上げることができない | エクステンションアームを使えば、前方のコンテナをあらゆる角度からキャッチできる |
『VARSX』では、付属の「エクステンションアーム」のほかに、パーツ固定用のナットやキャタピラユニットなどのオプションパーツがある。例えば、金属を使ったナット「メタルエックス」は、標準のナットと交換するだけで、重心の位置を変えることができる。走行中にウイリーをしてしまいがちな場合など、アーム部分に取り付けるといいだろう。
どのオプションパーツも、シリーズの全ロボットに互換性があり、取り付けもカンタン。オプションパーツ以外に、他のロボットに入っている「走行ユニット」や「アームユニット」をまるごと換装することもできる。スピード重視のユニットを組み込めば、素早くコンテナまでたどり着くロボットに。逆にパワー重視のユニットならば、コンテナの回収能力が高いロボットにカスタマイズすることができる。ひとつひとつのパーツの組みあわせで、完成後の性能が大きく変わってくる。
ところで、『VERSX』の無線のラジコン化は難しいのだろうか? ものぐさな筆者としては、遠くにあるビデオやテレビのリモコンを、取ってくるのに使えたら便利なんだけどなあ。
金属製のオプションナットは、重心バランスを調整するのに使える | ユニットに組み込まれたモーター。モーターそのものを強力なものに替えるのも面白い |
(2001年3月15日)
[Reported by 依田智雄 (ワンナップ)]
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