ゲームは年々目覚ましい勢いで進化しており、8bitの頃とは違って“ただ映像が映って音が鳴るだけ”の環境では満足のいくゲーム体験はできない。
しかし、ゲームをプレイするためだけに別途ゲーミングモニターやサウンドバーなどを導入するのはスペースがかなり必要になってくる。家庭によっては大掛かりなゲーミング空間を作るのは結構敷居が高かったりする。
そんなゲーマーの悩みを解消すべく本稿では、手軽にゲーム体験の質を向上させる“自分だけのエンターテインメント空間”を作ってみたので、ぜひ最後まで読んでもらいたい。
用意したのはテレビ「ビエラ」と
ゲーミングネックスピーカーの2つだけ!
ゲーミング空間を構築するにあたって重要なものの1つがゲームを映し出すディスプレイだ。ゲームをプレイするならばゲーミングモニターという認識があるかもしれないが、実はテレビでもゲームに特化したものが存在している。
その中でも今回選んだものは、4K有機ELビエラ「TH-42LZ1000」だ。4K有機ELディスプレイの42インチ。基本性能として4K120P入力対応、VRR対応で、AMD FreeSync PremiumやNVIDIAのSPD Auto Game Modeにも対応しているなど、ゲーマーにとって欲しいと思える機能を搭載している。また、大きさを最小限に抑えつつも迫力は文句無しといった商品で、臨場感あふれる美しいHDR映像でゲームを楽しめる。
それだけではない! 映像のフレームレートなどのデータを表示できるほか、ゲームをプレイしている時に調整する事が多い設定項目や調整項目を纏めた「ゲームコントロールボード」が用意されている。また、この後でも触れるが、映像の影などの暗い部分が見えやすくなる「暗部視認性強調」など 、ゲームプレイに特化した機能が取り入れられているのだ。
ゲームをプレイしていないときはテレビやネット動画の視聴もでき、1つで2度美味しい空間にすることができる。家族と離れ、ひとりでゲームからテレビやネット動画まで様々なエンターテインメント作品を楽しみ尽すことができるわけだ。
【TH-42LZ1000】
HDMI端子は4つ。ゲーマーには有り難い数だ!
映像面が整ったら、次に整えたいのは音響の部分だ! サウンドバーとウーハーをセットできれば完全無欠の環境なのは間違いないのだが、先にも述べた通り家族と同居していると大掛かりな機器の設置や爆音を鳴らしてゲームをプレイするのは現実的に難しい。
周りに配慮して没入感を得るという点ではヘッドホンという選択もあるが、これは周りの音を完全に遮断してしまうため、家族から声を掛けられても全く気付くことができないのがとても不便である。
耳を塞がず家族との関係性も考慮した際に最もベストだったのが、ゲーミングネックスピーカーシステムの「SC-GN01」である。こちらも先ほどのテレビと同様にゲーミング用に特化した商品となっている。
【SC-GN01】
無駄のないスタイリッシュなデザイン
筆者はゲーミングネックスピーカーを使用するのはこれが初めてだったのだが、装着してみると機械を肩に乗せているとは思えないほど想像以上の軽さで、長時間使用していても首や肩に負担は掛からなかった。
使用前は首周りの締め付け具合がどの程度なのかも気になるポイントだったが、本体の中央部分がシリコンゴム素材になっているので装着時に窮屈さはなく、どんな太さの首周りにもフィットする構造となっていた。
音の遅延を少なくするため本製品はUSBケーブルによる有線接続式となっている。PCやコンシューマゲーム機にUSBケーブルを1本差すだけなので接続がとても簡単だ。
有線というと小回りが利かなそうに聞こえるが、本製品のケーブルは約3mと長さに結構な余裕があり、近くを動く程度だったらケーブルに引っ張られることがない非常に使い勝手の良い作りになっている。
とても軽く、フィット感も良好。見た目に反して首を回しても邪魔にならない点も良い
最も肝心な音について触れていこう。本製品はシアタースピーカーの特製を取り入れた4chスピーカー構成となっており、手軽に立体的な音響が楽しめる。ボディ手前と本体根元の左右から流れるサウンドは“頭の外で音が鳴る、現実のようなリアルな音の拡がり”を感じることができる。
複数の「サウンドモード」を搭載しているのも特徴で、プレイするゲームジャンルに合わせて最適な音響効果に切り替えることができる。ゲームに最適な「RPGモード」、「FPSモード」、「ボイス強調モード」が基本となるが、他にも「シネマモード」、「ミュージックモード」、「ステレオモード」の計6つのモードが用意されている。次項でゲームをプレイした感想について詳しく触れていこう。
本体の左右にボリュームやモード切替、ミュートのボタンが備わっている
手軽さに反して、
ゲームライフが格段に充実!
セッティングが完了し、できあがったゲーミング空間はご覧の通り。とは言ったものの特に手間や労力は掛かっておらず、ビエラとネックスピーカーをPCに接続するだけで拍子抜けするほど簡単にゲームライフ満喫空間が完成した。机の上の限られたスペースでもゆとりが持てる仕上がりだ。
省スペースでも手狭にならないシンプルなゲーミング空間が完成
まずはRPGをプレイ!
「映像モード」をよりはっきりした映像に!
音もリアルで、街にいるNPC同士の
会話や喧騒などが四方から拡がるよう!
ここからは実際に色々なジャンルのゲームをPCで試していきたいと思う。まず初めにRPGのタイトルから「サイバーパンク2077」と「ペルソナ5 ザ・ロイヤル」をプレイ。
映像的にどちらも発色が良くコントラストが強めの作品で、通常のディスプレイでも十分綺麗だ。そんなゲームも、本機の4K有機ELディスプレイによってさらにワンランク上の映像に進化する。
本体機能の「映像モード」を変更することで、より美しい映像を楽しむことができる。ゲームプレイに特化した「ゲーム」モードでは、「スタンダード」と比べて光の表現が強くなり、明暗の表示がさらにクッキリして美しさが格段に上がっていた。
ゲームに特化したユーザーインターフェイス「ゲームコントロールボード」を搭載。ご覧頂くとわかるとおり、ゲーミングテレビといっても過言ではないゲーム向きの機能が充実!
設定の「映像モード」を開くと各設定項目が表示される。1番下にあるのが「ゲーム」。比較的コントラストが強調されたはっきりとした映像となり見栄えがグッと良くなる
映像モードの比較。左がスタンダード、右がゲームモード。スタンダードと比べてゲームモードの方が光の広がりや反射が強い印象
もちろん音響の部分もワンランク上のゲーム体験に繋がっていた。ゲーミングネックスピーカー「SC-GN01」の本体左手側にサウンドモードの切り替えスイッチが備わっているのだが、ボタンの数が少なく直感的な操作ができて扱いやすい。モード切替時も現在が何モードかを音声で教えてくれる親切設計なのも良い。
ジャンルに合わせてRPGモードを試したが、このモードでは音の響き方がとてもリアルで、街にいるNPC同士の会話や喧騒などが四方から拡がるように伝わってくる。まるで自分がゲームの世界に入ったかのような没入感を味わうことができた。
アクションゲームでは、「等速駆動モード」で
キビキビとした快適なプレイが楽しめた
サウンドは「シネマモード」がもっとも
アクションゲームのプレイを熱くさせた
アクションゲームのジャンルでは、競技性の高い対戦格闘「ストリートファイターV」、昨年話題となった「ELDEN RING」、新作タイトルの「FORSPOKEN」をプレイしてみた。
映像が綺麗に越したことはないが、格闘ゲームでもっとも重要なのは表示の遅延の少なさだ。本機にはゲーム用の「等速駆動モード」が搭載されており、60Hzのゲームコンテンツを60Hzのままで表示することができる。
実際に操作したところ入力した際の遅延はほとんど感じられず、打てば響くといった感じでキビキビと動き、快適なプレイが楽しめた。
そして「ELDEN RING」、「FORSPOKEN」が持つ広大なスケールの世界を42インチである「TH-42LZ1000」のディスプレイサイズなら存分に堪能することができる。ファンタジー世界の景色や魔法のエフェクトなども美しく映し出され、ゲームのワクワク感を増幅させてくれる。
【ELDEN RING】【FORSPOKEN】
広大なオープンワールドの世界を最大限に楽しむなら、やはり42インチは欲しい
サウンドモードにはアクションという項目は無いので様々なモードでプレイしたところ、効果音などが強調される「シネマモード」がもっともアクションゲームのプレイを熱くさせた。
吹きすさぶ風の音や吊り橋の軋む音、滴る水の音などのリアルな環境音がゲームの世界にグイグイと引き込んでくる。戦闘では、魔法による衝撃音、剣による斬撃音や攻撃を盾で受ける音などがとにかく重厚で、攻撃の重さを耳で感じることができる。
アクションゲームは比較的手が忙しく、プレイ中に長い時間コントローラーから手を離すことができない。だが、場面が切り替わって音が急激に大きくなるなんてこともあり、その際にリモコンを手に取って音量を調節するのは正直ストレスである。
「SC-GN01」の本体右手側にはボリュームボタンが備わっており、音量を瞬時に調節可能。さらに、ボリュームボタンを1回押した際の音の増減幅が広い設計で、ボタンを何度も連続的に押さなくて良いのもゲーマー向きの仕様といえるだろう。
写真はスピーカーの左側面なのでミュートボタンとなっており、ボリュームボタンは右側面となる。ただ、ボタンの位置もわかりやすいので、最低限の動作でモードを切り換えたり、ボリューム操作を行なうことができる
FPSでは「暗部視認性強調」機能で、
暗い場所の視認性が向上
サウンドも「FPSモード」で
音の鳴る方向までしっかりと把握!
格闘ゲームと同等に、ディスプレイの良し悪しで戦績が左右しかねないFPS。話題のタイトルから「オーバーウォッチ2」、「GUNDAM EVOLUTION」、「Apex Legends」の3タイトルを試してみた。
FPSにとってディスプレイのサイズはかなり重要で、小さ過ぎると敵が見え難く、逆に大き過ぎると視点移動距離が長くなってしまうのでFPSのプレイに適してるとは言い難い。
その点「TH-42LZ1000」はベストなサイズ感で迫力と遊びやすさの両面で文句無しだ。プレイした感触も、自動的に低遅延モードに切り替えられるALLM機能によって最高のパフォーマンスを発揮してプレイできた。
格闘ゲームと同じく、操作していて遅延は全く感じられず快適であった
プレイで重宝する「暗部視認性強調」機能を搭載しているのも注目のポイント。この機能を使うことで暗い場所にいる敵の視認性が格段にアップする。闇に紛れているのを瞬時に認識できるのはプレイしていてかなり大きなアドバンテージだと感じられた。
一人称視点のゲームなので、カクつきや残像などが残る映像で視点移動をしていると“3D酔い”をしやすくなってしまうのも懸念点なのだが、本機は4K120p入力対応で従来の2倍のフレーム数の4K映像信号の入力に対応しているだけあり、視点を移動させても映像はとても滑らかで、めまぐるしい動きで戦っていても酔うことはなかった。
FPSに特化したサウンドの「FPSモード」では足音や銃撃音などをしっかりと拾い、音の鳴る方向までもしっかり聞き取ることができるので非常にプレイに役立ってくれた。
本機にはマイク機能も付いているので仲間と通話をしながらゲームを楽しむことができる。実際に試したところ、ゲーム音と相手の通話音声の大きさに強弱が付いており、ゲーム音と音声が混ざっていて聞き取り辛いということは全くなかった。こちらの声も相手にクリアに伝わっている様子だったので、ヘッドセットが苦手な人にもおススメだ。
暗部視認性強調の比較。左が全く調整していない状態で、右が最大に明るくした状態。その違いは歴然
音ゲーも、より美しい音でプレイできる
ゲーミングネックスピーカーは必須だ!
最後はリズムゲームの「初音ミク Project DIVA」と「DEEMO」をプレイ。サウンドモードの「ミュージックモード」でプレイ。幻想的な「DEEMO」の世界、ボーカロイドたちの可愛いPVを大画面で見られるのも心が躍るポイントだ。
スピーカーの設定はもちろん「ミュージックモード」。このモードでは、歌声や楽器の音の拡がり方が他のモードよりも強調されており、ボーカロイドの透き通る歌声や心地よいピアノの旋律を全身で感じることができた。美しいサウンドに包まれ、比喩表現ではなく本当にゾクゾクと鳥肌が立った程だ。1度この環境でゲームをしたらモニターのスピーカーには戻れない。
【DEEMO】
音ゲーの主役はやはり“音”。メインなゲームだけあり、ゲーミングネックスピーカーでプレイすると、テレビのスピーカーだけとは段違いの音楽的なアドバンテージを感じることができた
ゲーム機能を持つビエラと
ゲーミングネックスピーカーで
プレイするとゲームが変わる!
ゲーミング空間で様々なジャンルのゲームをプレイしてみたが、従来のディスプレイとそのスピーカーから流れる音でゲームを遊んでいたときと比べると充実感は雲泥の差であった。
ここまではPCのゲームを触ってきたが、今回使用したデバイスはもちろんプレイステーション 5をはじめとするコンシューマーハードとも接続可能。しかし1点だけ注意したい点は、「SC-GN01」はPCでは4chの立体音響を楽しめるが、コンシューマーハードに接続した場合は、左右2chのステレオサウンド信号出力の4chへのアップコンバートになるので、それだけは覚えておいてもらいたい。
ゲームのためだけに大掛かりな設備を整えるのは大変だが、今回の様に簡単にセッティングするだけでも、最新のゲームを十分楽しめ、ゲームライフを格段に上げることができる。現状のゲームライフに物足りなさを感じている人は是非試してもらいたい。
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