山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第32回

名作の“VRリメイク/リマスター”ってありだなって思ったり、こだわりゲーム移植でお馴染みエムツーにお邪魔させて頂いた話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

はい、どうも山村智美です。いよいよですね。明日、10月13日にいよいよ、PlayStation VRが発売です。

予約が行なわれてもその度に毎回瞬殺……という状況が続いてしまったようなので、予約できた人とできていないという人の温度差が凄そうですが……、

正直に言うと、“VRへの注目度は昨年あたりに予想されていたよりも、ずっと上がった”と思います。

なんといっても頭にすっぽりと被り物をするっていう、悪い言い方をすると大げさなデバイスなわけで。アミューズメントパークならそこだけの体験ということで許容される(むしろゴテゴテした装着物はテンションが上がる)とは思うんですけど、家庭内でその手間をかけることを受け入れる人がどこまで増えるかは、やっぱり今でも未知数な感じがあるんですよね。

そういうわずわらしさへの抵抗感、もっと言えば可処分所得(簡単に言うと趣味に使えるお金)からの値段の壁は、今も残っていると思うのですが、

でも、そこからすると、今はその壁を越えて「欲しい!」と手を挙げる人がずいぶんと増えたと思います。

おそらく、ゲーム好きな人ならそれほど強くはVRに興味を持っていないという人でも、「もう少し本体の価格がこなれてくれたら買いたい」ぐらいに意欲が上がっている人は多いのではないでしょうか。上から目線なわけではないんですけど、2年ぐらい前からPS VR関連のインタビューなり体験レポートを書いてきた僕としては、「よくぞここまで……」みたいな気持ちになりますね。

ハードが発売されてしまえば、あとはソフトの話。どこまで「定着」して、コンテンツが出続けてくれるか。特にキラーコンテンツと言えるような、それまで興味がなかった人でも「あれやってみたい!」となるソフトが登場してくれるか。

ソフトと言えば、ソニー・インタラクティブエンタテインメントさんにお邪魔して各種のタイトルをプレイさせてもらったときに、僕は「Rez Infinite」をすごく気に入ったんです。

VR触り始めの頃だと「VRならではな体験を重視」したコンテンツに興味を引かれるのは当然だと思うんですけど、ある程度それに慣れてくると今度は、「よりゲーム的な魅力の強いものをVRでやりたい」って思うんですよね。僕がそうなってきた頃にびたっとフィットしたのが「Rez Infinite」だったというわけで。

「Rez Infinite」はもとは2001年にPS2/ドリームキャスト向けに発売されたシューティングゲーム「Rez」のリメイク作ではあるのですが、VRという“巨大で立体で視界を覆うディスプレイ”を得たことで全然違った魅力になるんです。

その体験から“VRリメイク/リマスター”ってありだなぁと思えるようになって。

原作とは映像の見え方そのものが変わって、ゲーム的にも大きく変わる、もしくは「こういう表現がしたかった、原作発売当時にVRデバイスがあれば……」という、“本当に目指したかったもの”も実現できる。

VRリメイクはこれまでのリメイクよりもゲーム性の広がりや、新しい魅力の発見になるのではないかなと思います。

例えば、「Wizardry」タイプの3Dダンジョンものも、等身大のスケールで迷宮の壁が広がっていたら。そこに自分よりも大きい背丈をしたモンスターが目の前に現われたら。それだけでのめり込み度がグッと上がりそうですよね。最初はビビると思いますけど。

一人称視点のものではなくても、いわゆる“ゲーム内の背景部分”が視界の全てに広がっているだけでも、すごく見違えるものがあると思います。個人的にはセガサターンの名作「NiGHTS」とかがVR化されたらやりたいですねー。最終ステージの夜空が視界の全てに広がっていて、そこをナイツが飛んでいたら……最高ですね。

とまぁ、夢が広がるわけですが。とりあえずこのお話に共感して頂けて、PS VRも買われるという人には、「Rez Infinite」を個人的にオススメしたいです。いいですよ、あれ。

最後にちょっと告知というか、記事の前フリみたいなものを書かせて頂きますが、
先日、“こだわりのゲーム制作集団”こと有限会社M2(エムツー)さんにお邪魔させて頂きました。

エムツーと言えば、GAME Watch的には「セガ3D復刻プロジェクト」シリーズのインタビューで、読者の皆さんにはお馴染みですよね。

今年も12月22日発売予定のニンテンドー3DS用ソフト「セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」が控えているほか、12月15日にはエムツー初の自社パブリッシングタイトル「バトルガレッガ Rev.2016」も発売になるということで、

てんやわんやどころか“燃え上がっているんじゃないか or 燃え尽きて灰になりかけなのでは”ぐらいの忙しさと思われるなか、お邪魔してお話を伺ってまいりました。

どのタイトルについてお話しを伺ったのかは掲載を楽しみにして頂きたいのですが、おそらく近日中に皆様にお読み頂けるのではと思います。

あいかわらず“特濃なエピソード”満載です。

許可を頂いて、エムツーさんの社内を少し撮影させて頂きました。……基板屋さんみたいですよね(笑)。往年のタイトルの基板や、様々なハードがひしめきあっております。1980年代~1990年代のベーマガことマイコンBASICマガジンもずらり!

ではでは、今回はこのへんで。また来週。