山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第29回

TGS 2016も終わり、“プレイステーション 4 ProとPro対応パッチ”のことを考えた話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

東京ゲームショウ2016も無事に閉幕いたしましたが、みなさんの感想はいかがでしたかね?

僕は開幕前には「PlayStation VRが目玉だけど、そのぶんVR以外がちょっと少なめかなぁ……」なんて感じていたんですけど、終わってみるとVR関連も注目されていましたが、期待のタイトルの新情報が賑わせていたイメージもあって。なんだかんだで中身のある年だったような気がします。

僕は例年通り、ビジネスデイ&一般公開日ともにフルタイム(なんなら終了後の撤去まで見届ける勢いで)会場にいて仕事しまくっていましたので、まだ頭がクラクラしています。

さて、今回は本当は「普通の記事には入らないTGS 2016で見かけたちょっとした小ネタ」をいろいろ書いていこうと予定していたんですけど、

僕は幕張メッセに4日間で45時間ぐらいいたのに、自由に見て回ったのは4日目終わる直前の残り15分だけだったので。記事にしているもの以外ほとんど見れておりません。残念。

なので、まずは僕が書かせて頂いた記事から、ちょこっと書いていきましょうか。

今年に僕が4日間で書いた記事は以下のようになっております。

PS4 Proの実力を4K/HDRテレビで体験!
HDRの明暗部表現と4K解像度で見え方の全てが変わる!「FFXV」もPro版デモに納得&満足
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1020525.html

SIEワールドワイド・スタジオプレジデント吉田修平氏インタビュー
プレイステーション 4 Proと対応アップデートの状況、PlayStation VRの今など伺った
http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/1020395.html

「龍が如く6 命の詩。」横山昌義プロデューサーインタビュー
“常識を破り、常に攻めの気持ちで”プレイ体験を高める「龍が如く」の想い
http://game.watch.impress.co.jp/docs/interview/1020812.html

待望の「人喰いの大鷲トリコ」体験プレイ&ムービー掲載!
“かわいさ”と“怖さ”も併せ持つ大鷲トリコとの関係性が独特な面白さを生む
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1020693.html

「ファイナルファンタジーXV」アクティブタイムレポート TGS2016出張版
田畑氏“PS4 Proの性能を引き出すための対応は時間がかかるが、取り組んでいきたい”
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1020792.html

TGSに小島プロダクションが帰ってきた!
「デススト」発売時期や「METAL GEAR SURVIVE」の噂に回答など、久々の小島節が炸裂!!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1020781.html

「セガ3D復刻アーカイブス3 FINAL STAGE」に「サンダーフォースIII」収録!!
テクノソフトの権利をセガが取得、元テクノソフトの新井氏も登場して経緯を語った
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1020718.html

プレイステーションの巨大なブース内にこれでもかとPS4/PS VR/PS Vitaの試遊タイトルがたっぷり!
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/1020439.html

……よく、「お仕事でゲームするなんて良いなー」的な羨ましがられ方と似たような方向で、「TGSに行くなんていいなービジネスデイいいなー」的なことも業界外の方から言われるわけですけど、実際はとんでもなくヘビーな4日間でございまして。

“時間を縫うようにして取材やインタビューと原稿書きを繰り返すうちに、気がつくと4日間が終わっていた”ぐらいの感じです。

で、僕の今年のお仕事を見ますと、ちょいちょい“プレイステーション 4 Pro”というキーワードがあるんですね。

PS4 Proは4K解像度に対応したハイスペック版のプレイステーション 4なわけですが、

4K/HDRテレビで技術デモを見せて頂き、SIEワールドワイド・スタジオ プレジデントの吉田修平氏にもインタビューさせて頂き、「ファイナルファンタジーXV」、「龍が如く6」、そしてコジマプロダクションのステージでも、PS4 Proは気になるところとして話題に出ました。

なので実は、ずーっとPS4 Pro、4K、そしてHDRのことばっかり考えていた4日間でもあったんです。

まず「PS4 Proの実力を4K/HDRテレビで体験!」の記事で見させて頂いたデモは、まぁキレイですよ。記事に書いたとおりなんですけど、写真ではなく肉眼で見るとさらに衝撃があります。

ですが、逆の言い方をすると、このデモに使われていた4K/HDR対応テレビのSONY「BRAVIA X9300D」の映りがものすごいキレイで、ディスプレイが活かされているとも言えます。そして、綺麗なディスプレイに映すならコンテンツ側もそれ相応のものじゃないともったいない……つまりPS4 Proの力とも言えます。

まぁ両方あるとこの威力というわけです。4K/HDR対応テレビが既にある or 買う予定なゲーム好きであれば、もう間違いなくオススメですよ。PS4 Pro。

逆の方向で気になるのは、「4K/HDR対応テレビを持っていないけど、PS4 Proは買いなの?」っていうことですよね。4K/HDR対応テレビないっていう人の方が絶対に多いんですから。僕も今のところそうです。

でも、そこにおいても、ハードウェアのスペックが従来のPS4より高いぶんフレームレートの安定化が望めるということ、PlayStation.Blog「PlayStation 4 Pro:よくある質問」には、「「1080p(HDテレビにおける最高品質)」未満のPS4ゲームは、PS4 ProとHDテレビの組み合わせにおいて、1080pにアップスケールされます」というものもあって、フルHDの環境でも解像度においてメリットのあるタイトルは多そうというわけで。

そうしてProならではのメリットを味わいつつ、

「4K/HDR対応のテレビなりモニターなりをいずれ買うぜ! そのときには俺のProの真の力が解放される!(俺の)世界に変革が訪れるのだー!」と、野望を抱くというわけで。

テレビとProを同時に買うってのもお財布がきついですし。順に揃えればいいじゃんって思いますよ。

PS4 Proの実力を4K/HDRテレビで体験の記事より。「ファイナルファンタジーXV」の映像デモと、「Horizon Zero Dawn」プレイアブルデモで、PS4 Pro&4K/HDRテレビの魅力を味わいました

それはさておき、今回一連のなかで気になったのは「PS4 Pro発売の11月10日時点でのソフト側のPS4 Pro対応パッチはどんな感じになるのだろう?」ということなんですね。

これをSIEのワールドワイド・スタジオプレジデント吉田修平氏にお伺いしたところ、「対応パッチを作っている最中です」ということ、「やればやるほど『こういう使い方ができる』ということがわかっていくから、ギリギリまでやりたいというチームが多いんです」というご回答を頂きました。

一方、「ファイナルファンタジーXV」アクティブタイムレポート TGS2016出張版では、「Proの性能を最大限に引き出すのには時間がかかります。まず『FFXV』発売のタイミングで対応しつつ、より時間をかけてのチューニングにも取り組んでいきます」というお話がありました。

これはディレクターの田畑さんは相当にユーザーさんに正直なところをお話されているのだと思います。

この2つのお話をまとめると、Pro対応パッチは「どこまでやるか」の話なんだなと思えるわけですね。ゲーム作りはいつでもそうなのだと思いますが、Pro対応パッチにおいても、解像度周りの内部的な設定やHDRの対応のみなら、それほど時間をかけずにパッチを出せるのかもしれませんが、より詳細にグラフィックスをいじってPS4 Proならではのパフォーマンスを出せるようにするのは、0から作るほどではなくとも手間や時間はかかるという。

それに対して、どうせやるのならPS4 Proの発売である11月10日までギリギリまで手をいれたいというチームが多いというのが、先の吉田氏のご回答ですよね。

同時に、じゃあいつまでに作る?となると、「どうせパッチを出すのなら11月10日に間に合わせたい」というのが当然あるでしょうし、「でも、中途半端な対応パッチを出して終わらせるのは嫌だ」みたいな、そういうせめぎ合い。

おそらく、今この瞬間もいろんなスタジオが対応パッチを作っているのだと思います。

このお話をネガティブに捉えてしまう人もいるかもしれませんが、僕は逆のつもりでして。

「どうせやるのなら凄いものを見せたい、だからギリギリまで作らせて!」

とか、

「初日に間に合うものも出すし、そこからももっと良くしていくよ!」

という前向きな取り組み。

まぁそもそも“大なり小なり何かしらの手間は絶対に必要になる”というのはあるわけで、“やればやるだけパフォーマンスを引き出せそう”という状況において、消極的な姿勢ではないというのは嬉しいところです。

より考えを進めると、これからユーザーが味わっていくPS4 Proでのゲーム体験には今後に延びしろがあるのかもしれません。

より手間をかけてチューニングした対応パッチの登場というのもそうですが、開発初期からPS4 Pro対応を進めて、よりPS4 Proのパフォーマンスを引き出したタイトルが登場することも期待できそうです。

早い段階からPS4 Proに手を伸ばす人は、基準となる通常PS4でプレイするときの魅力に加えて、「このソフトのPS4 Pro対応はどんな感じかな?」っていうプラスアルファがあり、そして、それはおそらく開発がこなれていくに連れてクオリティアップの度合いが伸びていくのだと思います。

4K/HDRテレビはないけど……という人なら、テレビを購入できたときのステップアップによる達成感と衝撃がドーンっとやってきて……そうして、そこからよりPS4 Proのパフォーマンスを引き出したタイトルを楽しんでいく、という感じになるでしょうか。

ある意味では、やはり新しいハードの発売やローンチに近いような。でもリーズナブルに普通のPS4で楽しんで、いずれ気持ちが向いたら切り替えていくという選択も全然ありという、今までの家庭用ゲーム機にあまりなかった展開と思えます。

というわけで。PS4 Proの発売タイミングに、どんなタイトルがどれぐらいの変化を見せてくれるのか。その先はどこまで伸びていくのか。より具体的に楽しみになったというお話でございました。

余談ですが「ペルソナ5」やってます!発売日はTGS初日だったので早朝に30分、TGSが終わってから本格的にプレイ開始となりました。面白い!かっこいい!面白い。

ではでは、最後に東京ゲームショウ2016を振り返りつつ、今回はこのへんで。また来週。

SIEのTGS終了間際のステージで「人食いの大鷲トリコ」の特別ムービー&舞い散る白い羽!

【TGSクロージング映像 『人喰いの大鷲トリコ』(動画20分頃より)】
「ICO」、「ワンダと巨像」、そして「人食いの大鷲トリコ」へ……!ゲーム画面の中でたくさんの白い鳥が羽ばたくと、ステージにたくさんの白い羽が降ってきた!!

「龍が如く6 命の詩。」はTGSの終了翌日にシアタートレーラーを公開!

【PS4専用ソフト『龍が如く6 命の詩。』ストーリーロングトレイラー】
【PS4専用ソフト『龍が如く6 命の詩。』ゲームトレイラー】