スクウェア・エニックス オープンカンファレンスレポート(前編)

スクウェア・エニックスの次世代ゲームエンジンのグラフィックスの全て
スクエニ流“実写クオリティ”のゲームグラフィックスの作り方


10月8日開催

会場:新宿エルタワー


 株式会社スクウェア・エニックスは10月8日、同社のテクノロジー推進部が研究開発中の技術や、現在同部で研究開発中の「Luminous Studio」に実装されつつある技術を報告するカンファレンス「スクウェア・エニックス・オープンカンファレンス」を開催した。弊誌ではカンファレンスの模様を前後編に分けてお届けしたい。

 なお、本文中、「Luminous Studio」に関して記述している箇所の中に、厳密には、現在、開発中のLuminous Studio上で動作するテクノロジーデモ「Philosophy」について言及している箇所もある。概念的にはPhilosophyは、Luminous Studio上に実装された(あるいは実現しうる)多様な機能のうちの、一部を選択して開発が進められているものだ。本文では、このニュアンスを残して説明することが難しかったため、解説の都合上、「Luminous Studio」という表記に統一しているのでご了承いただきたい。



■ スクウェア・エニックスがゲーム開発者を対象とした無料の技術カンファレンスを開催

開幕の挨拶を行なう和田洋一氏(スクウェア・エニックス代表取締役社長)

 「スクウェア・エニックス・オープンカンファレンス」は、「トップゲームスタジオが開催する完全無料の技術カンファレンス」という触れ込みで募集が行なわれたため、告知後、申し込みが殺到し、瞬く間に定員オーバーに達して参加募集が打ち切られるという人気ぶりを見せた。募集打ち切り後も参加希望者の問い合わせが後を絶たず、元々は開催場所はスクウェア・エニックス社内で執り行なう予定だったものが、より大きな新宿エルタワービルのカンファレンスルーム会場での開催に切り替えて、再募集を行なったほどだった。

 こうした無料カンファレンスの開催は、ソフトウェアエコシステムを育成する意味合いから、インテルやNVIDIAなどのハードウェアメーカー、あるいはマイクロソフトのようなOSメーカーが開催することはしばしばあるが、ゲームスタジオが、しかも日本のゲームスタジオが開催することは非常に珍しい。

 これについて、冒頭で開催の挨拶を行なったスクウェア・エニックス代表取締役社長・和田洋一氏は今回の件について以下のように説明した。

 欧米では、開発者同士の技術交流が盛んで、技術交流カンファレンスの開催自体が珍しくない。そしてゲームエンジンの概念が早くから浸透している欧米では、ゲームエンジンのフォーラム・コミュニティも活発だ。一方、日本のゲーム業界は、技術を囲い込む方向の文化が強く根付いてしまった。CEDECのようなゲーム開発者向けのカンファレンスの年次開催で、そうした「囲い込み文化」が和らぎつつはあるが、ゲームスタジオ間の壁を越えての「距離感の近い交流」の機会はまだまだ少ない。閉塞感漂う日本のゲーム業界を盛り上げていくためには、いわば「チームジャパン」としてゲームスタジオ同士が手を取り合ってゲーム開発シーン全体を盛り上げて行く必要がある。それには、オープンコミュニティの文化が日本のゲーム開発シーンにも必要なのではないか……。

 「日本のゲーム開発シーン」を「業界のみんなで発展させていこう」という意図から、今回の開催になったというのだ。大変、志の高い試みである。ぜひとも、1回で終わらず、幾度となく開催を期待したいものだ。

 さて、本カンファレンスは「グラフィックス編」、「AI&アニメーション編」、「ゲームエンジン&マネジメント編」の3部構成で行なわれ、各部では2セッションずつ、合計6セッションが執り行われた。

 本稿ではそのうち、「グラフィックス編」の2セッション、「AI&アニメーション編」の1セッションをレポートする。本稿でカバーしていない残り3セッションは、後編を参照して頂きたい。



■ グラフィックス編(1)~「DirectX 11最新リアルタイム映像事例集」

テッセレーション技術関連について講演したRemi Driancourt氏(シニア R&D エンジニア)
ComputeShader技術関連について講演したGavrenkov Ivan氏(グラフィックスプログラマー)

 「Luminous Studio」については、既に筆者の連載「3Dゲームファンのためのグラフィックス講座」の