NHN Japan、「TERA MEDIA DAY」で日本語版「TERA」を初披露
期待の超大作MMORPGが日本でもいよいよ本格始動!


12月20日 開催

NHN Japan本社


「TERA MEDIA DAY」の様子

 NHN Japan株式会社は、Windows用MMORPG「TERA:The Exiled Realm of Arborea(以下、TERA)」の日本版を初公開する「TERA MEDIA DAY」を開催した。

 「TERA」は韓国Bluehole Studioが29億円の開発費と4年の歳月をかけたビッグタイトル。韓国では2011年1月11日からオープンβテストが始まる予定で、日本でも来年中のサービス開始を目指して着々と準備が進められている。

 今回のプレス向け体験会では、プロデューサー潮田太一氏が日本版「TERA」の開発が順調であることを報告。日本語にローカライズされたクライアントで、キャラクターメイク、ソロプレイ、パーティープレイを体験できたので、多数のスクリーンショットと共に紹介しよう。なお、日本語へのローカライズは現在も進行中で、画面中に出ている呼称は今後変更される可能性もあるのでご了承いただきたい。

 「TERA」の日本サービス予定や概要については、11月に行なわれた韓国G-Starで収録した潮田氏のインタビューを参照して欲しい。




■ より進化した「フリーターゲッティング」システムを宣言

「TERA」日本版のプロデューサー潮田太一氏

 体験会の冒頭には、同日に公式ホームページで公開したばかりの日本オリジナルムービーを上映した後、潮田氏が「TERA」の世界観を説明した。

 「TERA」の舞台となるのは「流刑された世界 アルボレア」。ゲームのベースとなる神話や世界観はかなり緻密に作られていて、それをどのようにゲーム内に反映させていくかは開発、運営とも頭をひねっているところだそうだ。プレーヤーは「ヴァルキオン連合」という勢力に所属して、自分たちの種族の平和のために英雄になることを夢見ているという設定だ。

 「単純に一言言いたい。『TERA』は面白いです。これを胸を張って言えるほど運営として幸せなことはなかなかない」と潮田氏。Unreal Engine 3.0で作られたグラフィックスは非常に鮮明で美しい。「いい意味で、開発の執念を感じる」と潮田氏が太鼓判を押すように草1本まで細かく作りこまれており、建物や地形などに細やかなこだわりを感じる。

 “次世代MMO”を標榜する「TERA」は、新しいチャレンジ、膨大なスケール、納得してもらえる完成度、そしてそれらの考え方に対して共感を得られることを目指している。そんな「TERA」の「シンプルにして最大の課題」は「どうすればお客様に末永く楽しんでもらえるのか? 持続していただける動機づけとは?」という、いわばすべてのMMORPGが直面する課題だ。

 潮田氏は「TERA」のアプローチとして、独自の戦闘システム、多様性のあるコンテンツ、仲間と強力したり競争したりするコミュニティの3つを上げた。

 特に「TERA」の最大の特徴であるターゲッティングシステムについては、新たに「Free Targeting(フリーターゲッティング)」という名称を宣言した。これは、弓や回復など一部のクラスに、ターゲットできた方がより楽しいスキルが入っているため、「ノンターゲッティング」の中に「ターゲッティング」の楽しさを入れた世界で初めてのシステムが「フリーターゲッティング」というわけだ。

 コンテンツについては「お客様の探究心、冒険心をしっかりとくすぐれるものを用意している」と潮田氏。多数のクエスト、レアアイテム収集、生産などのコンテンツが用意されている。そして3つめのコミュニティでは、協力してのボス討伐、ギルドの協力と共闘のほか、まだまだ謎な部分が多い「政治システム」を紹介した。

 短い説明の中からも、NHN Japanや潮田氏を始めとした運営スタッフの意気込みが伝わってきた。「顔の見える運営を心掛けたい」という潮田氏。その本気がどの程度結果として表れるかが、

 気になる日本でのサービス予定だが、現状ではまだ調整中という答えしか得られなかった。現在判明しているのは、年明け以降にまずはユーザーの中から公募によって選ばれた「TERA LEADER」を対象としたクローズドβテスト(CBT)が行なわれ、その後一般のCBTという形で検討しているそうだ。


【ゲーム紹介のスライド】
美麗なグラフィックスと「フリーターゲッティングシステム」が、次世代MMORPGの扉を開こうとしている

【日本オリジナルムービー】
「TERA」の冒険世界「アルボレア」の創世神話から現在までのスケールの大きな歴史がつづられている



■ 焚き火を囲む、ほのぼのコミュニティシステム

 「TERA」には「ヒューマン」、「キャスタニック」、「アーマン」、「ポポリ」、「エリーン」、「バラカ」、「ハイエルフ」の7種族がいる。体験版のバージョンでは「ポポリ」と「エリーン」が「ポポリ連合」という同じ種族にまとめられているが、今後のバージョンでは別の種族という扱いになる予定だ。

 キャラクターメイクではまず種族とクラスを選んだ後、顔を細かくカスタマイズできる。戦闘システムの関係から、体格の高低はないがその分、顔は12種類のプリセットをベースにパーツごとに実に細かいカスタマイズが可能。プリセットの中に好みの顔がなくても、努力次第で理想のキャラクターを作成可能だ。

 移動はWASDキーで、「Space」キーがジャンプ、カメラはマウスで自由に動かすことができる。攻撃やアイテムの使用はマウスの左右のボタンと、「1」~「6」と「F1」~「F6」、「C」キーに対応したショートカットスロットにセットして行なう。NPCと話をしたり、落ちているアイテムを拾うには「F」キーを使う。将来的には、ゲームパッドへの対応も予定されているそうだ。

 パーティーを組んだり、チャンネルを移動する時には、「Alt」キーか「Esc」キーを押してUIモードに切り替える。最初はNPCとしゃべるつもりで技を発動してしまったりと、なかなか勝手が掴めなかったが、それほど難しい操作はないのですぐに慣れることができた。


ヒューマン(男)ヒューマン(女)キャスタニック(男)
キャスタニック(女)アーマン(男)アーマン(女)
ポポリエリーンバラカ
ハイエルフ(女)ハイエルフ(男)ウォーリアー
ランサースレイヤーソーサラー
アーチャーバーサーカーエレメンタラー
プリーストキャラクターのカスタマイズ画面顔の造形は細かくカスタマイズ可能

 体験プレイはキャラクターメイキング後に最初に降り立つ、「黎明の島」という初期ゾーンで行なわれた。最初は従来のMMORPGと同じようにソロでうろついているモンスターを倒すところから始まる。しかし、次の街に行くあたりから敵が同種族同士でパーティーを組んでいたり、同種の小型タイプをお供として従えるようになってくる。「TERA」のフリーターゲッティングシステムを生かした戦闘は、これら複数の敵を相手にした時に生きてくる。

 近接攻撃クラスはアクションゲームのような感覚で操作できる。敵の攻撃には範囲と方向があるので、攻撃範囲からうまく逃ればダメージは受けない。そのため、例えばランサーのスキルには相手の移動速度を遅くする範囲攻撃があったり、ウォーリアーには相手の間合いから抜け出すような技があったりと、「移動」が強さのカギを握っている。

 遠距離攻撃クラスは、画面中央に出るサイトを敵に向けて攻撃する。サイトの横には敵との距離が数字で表示されている。スキルごとに決まっている距離まで近づいてから攻撃しなければ攻撃は出るが当たらない。弓職には敵をターゲットするスキルがあり、サイトから外れた場所にいる複数の敵に1度に攻撃することができる。

 キャラクターには「コンディション」というステータスがあり、100%を下回るとHPやMPの上限が減っていくようになっている。コンディションは戦闘していると徐々に減っていくので、あまり連続した狩りが長時間できないという、長時間プレイの防止であり、一種のBOT対策だ。コンディションを回復させるには、店売りやドロップで手に入る「焚き火」にあたらなくてはならない。「焚き火」は自分やパーティーメンバーがたいてもいいし、まったく関係ない別の誰かが焚いたものにあたることもできるし、「薪」をくべて効果時間を延ばすこともできる。「ちょっと焚き火に当たってもいいですか?」と、コミュニケーションを図る道具としても活用して欲しいという意図があるそうだ。

 フィールドには飛び降りたり、よじ登ったりできる場所がある。飛び降りると落下ダメージを食らってしまうが、かなり高い場所から飛び降りても死んでしまうことはない。「TERA」には初期ゾーンのほかに4つの大陸があるが、別のエリアに移動する時にはペガサスで空を飛ぶことができる。この時移動は自動だが、視点は自由に変えられるので、のんびり空中散歩を楽しめる。


スキルウインドウキャラクターステータスウインドウ装備の強化用のウインドウ
インベントリ「焚き火」や「薪」は拠点の雑貨商人が売っている予想よりも大きめだった「焚き火」
オレンジ色の「!」がついたNPCはストーリーに関わるクエストを持っているクエストの確認画面初期ゾーンを出た後使えるようになる「ホムンクルス」の画面




■ 今までのMMORPGにはなかった“避ける”楽しさ

まるでレイドボスのような迫力がある「カラスチャ」

 今回試したパーティープレイは、NPCキャラクターを一定時間守り切るというクエストと、「カラスチャ」というボスモンスターを倒すクエストの2つ。どちらも初期ゾーンの終盤に出てくるクエストだ。どちらのクエストも、ゲームマスターが回復役のプリーストを勤める4人パーティーで参加した。

 「TERA」のパーティー人数は現在最大5名。ただし、今後さらに大人数でパーティーを組んで敵を倒すようなコンテンツも順次実装されていく予定があるそうだ。

 護衛クエストは街にあるワープ用の石から移動する。移動した先でNPCに話しかけるとクエストが始まり、道の向こう側からたくさんの敵が1度に攻め込んでくる。護衛をするNPC以外に、2匹の猫のようなNPCがいるが、この2匹は戦闘中しゃべりながら一緒に戦ってくれる。

 盾好きの筆者はランサーで参加してみたが、まだ序盤で攻撃スキルしかないのでひたすら攻撃することになった。巨大なランスと盾を持ったランサーは、多段攻撃しながら一定距離を進む突進攻撃や回転しながら周囲の敵にダメージを与えるシールド攻撃などを使う。武器が大きいので1つ1つの攻撃に発動時間が必要で、素早い対応が難しい。攻撃も1度発動すると、一定時間自由に動けないものが多いのでかなり上級者向けという印象を受けた。

 敵は2、3種類のモンスターが10匹以上の部隊を組んで波状攻撃を仕掛けてくる。味方がバラけるとヒールが届かなくなるので、攻撃をしている人も、常に回復役との距離に気を配るなど、回復職と攻撃職が連携した動きが求められる。


4人パーティーで挑む護衛クエスト。まだまだ序盤なので力押しでもいけるとはいえ、適当に動きまくる筆者たちにGMのプリーストさんは忙しそうだった

 「カラスチャ」のダンジョンには、強そうな敵がうろつくフィールドの奥にある遺跡のような場所から侵入する。中は円形の広場が細い道でつながったような構造で、2つめの広場にはごちゃごちゃと色々なモンスターがひしめいている。こちらのダンジョンでも、クエストに付き合ってくれる2人のNPCがいる。1人は回復で、戦闘中に回復するので近くに来るようセリフで促してくる。

 途中GMのプリーストがフリーズしてしまうというアクシデントもあったが、自己回復のスキルを持つスレイヤーの活躍で広間のモンスターをなんなく一掃。さらに奥へ行くとムービーが始まり、ボスの「カラスチャ」が登場する。初期に戦う敵とは思えないほど迫力があり、かなりデカイ。

 画面内にサイトがない近接職では、序盤の雑魚戦でフリーターゲッティングの醍醐味は、実のところあまり感じられなかった。しかしパーティープレイの中で、ターゲットがない自由さがじわりじわりと楽しさに結び付くのがわかった。何しろ1度に襲ってくる敵の数が多いので、思わずカチカチとマウスを連打したくなってしまうが、だんだんとタイミングや位置取りに注意を払うようになってくる。そして何より相手の攻撃を「避ける」ことにこそ、この戦闘システムの醍醐味があるのではないかと思えた。


「カラスチャ」の討伐クエスト。アクシデントで回復なしで闘うことになった。善戦したが、結局後少しというところで全滅してしまった。死亡すると、近くの拠点に飛ばされる

【ペガサスを使ったエリア移動】
拠点から拠点への移動には、空飛ぶペガサスを使う

 体験プレイの後行なわれた質疑応答で判明したのは以下のような情報だ。

・PvPは1対1やパーティー単位でも可能。競技的な形で遊ぶようなものになる。
・「政治システム」は自分で立候補をしたり、あるいは選挙のような形を取るものになる。
・将来的なバージョンアップで、多人数同時のGvGが導入される予定。当初は10人対10人程度からスタートして、人数が増えていく予定。
・大陸は4つあり、初期にオープンするのは2つ。プレーヤーはそのエリアの領主となる。
・身長の大小は種族差が出ないように調整されている。
・メニューにある「ホムンクルス」は、ペット的なもの。ホムンクルスを使って自分の売買をヘルプしてもらったりすることができる。
・PCのスペックは、韓国で発表しているものと同じ。メインメモリー2GB以上、GeForce 8800以上、CPUはCore2 Duoのミドルクラスでも稼働する。
・サービススケジュール、ビジネスモデルは未定。

 今回体験できたのは、初期ゾーンにあるコンテンツだけで、「TERA」の本当にわずかな一端を捉えたに過ぎない。ここから始まるであろう壮大な物語と、広大な世界に待ち受ける敵に挑む日が待ちきれない。


【スクリーンショット】
不思議な雰囲気の「黎明の島」。アルボレアを駆けまわる日が楽しみだ

TERA and“TERA : The Exiled Realm of Arborea” is a trademark of Bluehole Studio Inc.
Copyright(c)2007-2010 Bluehole Studio Inc. All rights reserved.
Published by NHN Japan Corporation.

(2010年 12月 22日)

[Reported by 石井聡]