東京ゲームショウ2010レポート

コードマスターズ、「F1 2010」プレイレポート
ファンが待ち望んだ“ガチ”のF1ゲームが登場。 会場に体験コーナーも設置!


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 レースゲームからアクション、FPSまで幅広いジャンルのゲームを手掛けるコードマスターズだが、今回のTGSでセガブース内コードマスターズコーナーに出展されたタイトルは「F1 2010」のみ。開発の本拠を英国に置くCodemastersは元々レースゲームの老舗として知られるデベロッパーであり、最新作の「F1 2010」はレースゲームファンの期待に答えるべく、2010シーズンのF1シーンを完全に再現するレースゲームとなっている。本稿では本作の情報を詳しくお伝えしよう。




■ レースゲームの老舗が贈る2010シーズンのF1ゲーム。そのリアルさとは

セガブースの受付近くにあるコートマスターズのコーナー
「F1 2010」の体験プレイ用の筐体
天候はリアルタイムに変化する。雨天では路面が滑りやすくなり、柔らかいタイヤが有利

 TGS 2010の会場内には、セガの巨大ブースの中に間借りする形でコードマスターズのコーナーが配置されている。その中身はブースというよりは純粋に「F1 2010」の試遊コーナーとなっており、レーシングチェアにレーシングホイールを装備した、体感筐体型のプレイシートが4つ並べられている格好だ。

 「F1 2010」は、英Codemastersのレーシングゲーム開発チームが手掛けるF1をテーマとするレースゲーム。タイトルの通り、目下進行中の2010シーズンのF1シーンを余すことなく再現するタイトルだ。対応プラットフォームはプレイステーション3/Xbox 360で、10月7日の発売が予定されている。本作について今回、コードマスターズのスタッフに取材を行ない、詳しい話を聞くことができた。

 本作のゲームエンジンには、Codemasters内製の「EGO」エンジンの最新版を使用。従来作の「GRID」や「DiRT 2」といったレースゲーム、あるいは「オペレーションフラッシュポイント:ドラゴンライジング」というFPSでも利用されたゲームエンジンだ。FPSにも使えるほど幅広い表現が可能なエンジンを用いたことで、本作ではリアルタイムに移り変わる「天候」をゲームに導入している。晴れ、曇り、雨といった環境の違いが、レース中にも現われてくるわけだ。

 天候の違いは当然ながらマシンセッティングにも影響してくる。プレーヤーのライバルカーを務めるコンピューターAIは、常に最適なセッティングを採用するのではなく、チームによって傾向が異なるよう調整されているという。これにより現実にもありうるチーム状況の「ゆらぎ」を再現しようとしているようだ。例えば晴れの状況でなぜか柔らかめのタイヤを採用したチームが、突然の降雨により俄然有利になる……という塩梅だ。

 2010シーズンのF1シーンを再現するということで、もちろん各種のレギュレーションも現実に沿ったものとなっている。特に影響が大きいのは「レース途中での給油禁止」というルール。今シーズンから導入されたこのルールによりレース開始時から完走に必要な燃料を満載する必要があって、従来まであった「ピットイン時の給油を勘案して、タイヤの寿命と燃料搭載量を合わせて車重を最低限にする」という戦略が取れなくなっている。燃料をケチったり、乱暴な運転をして無駄遣いすればレース終盤にエンストが待っているというわけだ。

 レース展開をリアルにするため、本作ではピットクルーとのコミュニケーションも細かく再現している。、ピットイン前の連絡はもちろん、ライバルカーの状況や、軽くコースアウトするなどでタイヤに砂がこびりつき、トラクションが低下している状態への警告まで、多彩。ちなみにプレーヤーから連絡することなしに突然ピットインすると、クルーが慌てて準備をするためピットイン時間が数秒伸びてしまうこともあるという。

 走行内容のシミュレーション面では、タイヤ周りの精密なシミュレーションから、空力、燃料、破損に至るまで、完全にリアル系の内容を実装している。実車と同じく走行中のフラップ角操作も可能と、再現度は非常に高い。もちろん各種のシミュレーション項目は好みに応じてON/OFF、調整が可能。一番簡単なモードではスイスイ走れて、一番難しいモードではコースアウトしないようにすることだけでも細心の注意が必要……とメリハリのある内容ということもできる。


【F1 2010】



■ 本物のF1レーサーのようにキャリアを積む。そのために作られたゲーム

本作ノメインビジュアル。レーサーの人生に焦点が当たる

 これほどリアルにレース展開を再現しようとしている「F1 2010」が目指すのは、単にF1カーを操縦することではなく、F1ドライバーになりきるということだ。そのために用意されているのがキャリアモードと呼ばれるメインゲームモード。このモードでプレーヤーは新米のF1ドライバーとなり、たいていは下位チームのセカンドドライバーとしてスタートする。

 キャリアモードは現実と同じ2010シーズンのグランプリ開幕スケジュールに沿って進んでいく。各グランプリはプラクティスセッション、予選、そして決勝という段階を踏んで行なわれ、最もリアルなモードでは周回数も現実と同じものになる。つまり決勝では50~70周、予選を含めると軽く100周以上、同じコースを走り続けることになるわけだ。

 もちろんリアリズムを調整するための各種のオプションは用意されている。それでも周回数の最低設定は現実の20%となっており、少なくとも10~15周のレースを展開する計算だ。というわけでキャリアモードの1レースは最低でも20~30分程度の長丁場となり、高い集中と持続が求められることになる。ここまで“ガチ”の内容を見せられると、引いてしまうレースゲームファンも居るのでは?と心配してしまうほどだ。

 厳しいレースを乗り越えて、チームレベルによって与えられる目標をクリアしていくことでプレーヤーはステップアップしていく。同じチームのファーストドライバーになるもよし、より上位のチームに移籍するもよし。プレイ開始時に決めるキャリアのシーズン数(3、5、7年)を経る中で、チャンピオンに輝く事が最終的な目標となる。

 また、シーズンの途中に新パーツのテストや導入というイベントが起こることもあり、プレーヤーの成績や直接的な選択によりマシン性能が変わってくることもあるようだ。レーサーとしてマスコミへの対応を迫られる場面で、チームを想う返答をするか、自分本位の返答をするかといった「なりきり」風要素もあり、これがまたプレーヤーのその後のキャリアに影響してくることもあるそうだ。

 キャリアモード以外には、コースを選んでのタイムアタックや通常レース、また、最大同時12名が参加できるマルチプレイヤーモードもサポートしている。マルチプレイモードでも、予選から決勝までを再現するプレイモードがサポートされており、F1ファンならばますますレーサーになりきってプレイできそうだ。

 「F1 2010」の内容を知るほどに、「ここまでやるか」と思わせる。すべてのレースシムファンとF1ファンが待ち望む、そのままの形であるとはまだわからないが、少なくとも、本作はF1を忠実に再現しようとする点で、全く揺るぎのない作品であることは確かだろう。本作の対応プラットフォームはプレイステーション3およびXbox 360。発売日は10月7日、リアルの鈴鹿グランプリ直前である。




(c) 2010 The Codemasters Software Company Limited ("Codemasters"). All rights reserved. "Codemasters”® and the Codemasters logo are registered trademarks owned by Codemasters. An official product of the FIA FORMULA ONE WORLD CHAMPIONSHIP.
The F1 FORMULA 1 logo, F1 logo, F1 FIA FORMULA 1 WORLD CHAMPIONSHIP logo, FORMULA 1, FORMULA ONE, F1, FIA FORMULA ONE WORLD CHAMPIONSHIP, GRAND PRIX and related marks are trade marks of Formula One Licensing BV, a Formula One group company. Licensed by Formula One Administration Limited. All rights reserved.

(2010年 9月 17日)

[Reported by 佐藤カフジ]