本日発売! 「ニンテンドーDSi LL」
画面サイズ拡大はどのような恩恵をもたらすのか? 実際に試してみる


11月21日 発売

価格:各20,000円


140ページ超の取扱説明書と簡単スタートガイドはカラー印刷。DSiと比べると地味な梱包

 11月21日、任天堂株式会社のニンテンドーDSシリーズ最新モデルとなる「ニンテンドーDSi LL(ディーエスアイ エルエル)」(DSi LL)が価格20,000円で発売された。“LLサイズのニンテンドーDSi”というDSi LLは、「ニンテンドーDSi」から1,100円の価格アップとなり、「本体の大型化と広い視野角&大きな画面」、「2種類のタッチペンが付属」、「3つのDSiウェアを内蔵」といった特徴を持つ。カラーバリエーションは「ダークブラウン」、「ワインレッド」、「ナチュラルホワイト」の3色でスタートした。本稿では、「ダークブラウン」の製品版本体のレポートをお届けしよう。

 まず、手にとって最初のインパクトは、そのパッケージの大きさ。DSiと比較すると、箱の厚さはほとんど変わりないものの、倍近くの底面積となっており、重ねて見るとその大きさが実感できる。さらに、携帯ゲーム機としての先入観からすると、少し重量感がある。パッケージを開けてみると、2重底になっている以外、スペーサーの類はあまりなく、シンプルなダンボールの仕切りに整然と本体および付属物が配されている。カラフルだったWiiやDSiに比べると簡素といえるだろう。本体(UTL-001)、ACアダプタ(WAP-002)、専用タッチペン(UTL-004)1本(本体セット済み)と、専用タッチペン(大)(UTL-005)1本、取扱説明書とパンフレットなどという商品構成で、「DSi」と比較すると、ACアダプタは共通になっている以外はDSi LL専用品だ。


DSiとDSi LLのパッケージを比較。厚みは変わらないが、底面積の広さに驚く


■ DS Lite比93%アップをうたう大画面と、鏡面処理の天板で高級感を演出した本体

本体と付属のタッチペン2種。天板が鏡面処理されているため、ダークブラウンでは指紋跡が目立つ

 DSi LLは、従来のDSシリーズとは異なった本体デザインになっている。まず、天板が鏡面仕上げになっており、周囲の景色が映りこむほどの仕上がりになっている。また、本体外側は基本的にざらっとした感触の塗装処理が施されており、ホールド感を確保。開いてみると、内側はつや消し塗装されている。DSiはカラーにもよるが基本的につや消し塗装で統一されていたが、本体が大型化したことによって重量が増した分を補うためのホールド感覚の向上を狙ってなのか、本体を支えるために必要な部分の塗装処理を変えてきているのが芸が細かい。

 また、各エッジが立っているようなデザイン処理が多かったDSiに比べると、ゆるやかなラインと直線を組み合わせたようなボディラインになっているDSi LLのデザインは、ニンテンドーDS Liteのデザインイメージに通じるものも感じられる。天板は、多くの方のお察しの通り、カラーにもよるだろうが、やはり指紋跡や油脂などの跡がぺたぺたと残ってしまうので、クロスなどでふき取ってあげるといいだろう。


DSi(左)とDSi LL(右)の液晶画面の大きさの比較。「思った以上に大きい」と感じさせられた。解像度、色数に変更はないため、単純に映像が大きく表示される。タッチスクリーン側のGAME Watchのロゴの大きさを比較するとわかりやすいだろう

 さて、上画面側を開いてみると、上画面部分は意外と厚みがあることに気が付く。天板の厚みも加わり、重さも異なる。スペックでの厚みの違いは、上画面側の厚みの違いの影響が大きいようだ。そして、やはり大きくなったと感じられるのが2つの画面だ。上画面、タッチスクリーンともに4.2型の透過型TFTカラー液晶を採用。26万色表示、解像度に関してはDSiと変わっていないため、DSi LLでは純粋に1つのドットが大きく表示される。画面が大型化する=表示解像度が上がるということではないため、誤解なきよう。また、バックライトの明るさ調節は、DSi同様SELECTボタンを押しながら、音量/明るさ調節スイッチを押して切り替え、5段階の調節が可能なところもDSiと同じだ。

 ちなみに、近くを訪れる人々にDSi LLを開いて画面をみせると「でかっ!」、「大きい~」という感想がまず飛び出すのもうなづけるほどのインパクトがこの2つの画面にはある。そして閉じた所を見せると「電子辞書やPDAみたい」という感想を述べる人が多いのは、編集部という場所柄だろうか。

 ボタン類、インジケーター類の配置は、基本的にDSiと変わっていない。スピーカーの位置が上に上がり、電源/リセットボタンが大型化したのがわかりやすい違いだろうか。スピーカー位置が変わったためか、それとも上画面側のボディの厚みのせいなのか、スピーカーからの音量はDSiよりも若干上がっているように聞こえ、さらに音にも聞きやすさが感じられる。また、電源/リセットボタンは、DSiよりも多少押し込むために力が必要になった。DSiに慣れるまでは、うっかり押してリセットしてしまうことがあったことを思い出すと、この変更はうれしい改良点といえるだろう。


天板は緩やかにカーブしている。周りの景色が映りこむ鏡面仕上げになっている。それ以外の箇所は基本的にはざらざらした触感の塗装処理が施されている。外側内蔵カメラは周囲の黒い部分が大型化しているが、カメラ自体のスペックはDSiと同じようだタッチパネル側と上画面側をつなぐヒンジ部分はつや消し塗装。インジケーターの配置はDSiと同じだが、大型化されている。L/Rボタンは縦幅はあまり変わらないが横幅が増えている。音量/明るさ調節スイッチは、+側と-側が別れて見えるようになっているが、パーツは1つになっているようだタッチペン収納部とSDメモリーカードスロット。SDメモリーカードスロットカバーは軟質性で、DSi同様軽く開けたあとカバーを引っ張りだすようにしないと、SDカードの出し入れが難しい
本体を開いた状態。内側はつや消し塗装になっており、色も外側に比べると暗めなものになっている。ボタン周りの位置関係はDSiと同じカメラが作動中は、カメラランプが点灯するのもDSi同様。シャッターを切るとサウンドが鳴るところも同じ内側内蔵カメラの横にマイクが見える。2つともサイズはDSiと変わらない
十字ボタンと電源/リセットボタン。十字ボタンは大きさ、フィーリングともDSiと非常に似ている。電源/リセットボタンは大型化し、押し込むにはDSiよりも多少力が必要なように調整されているのが大きな変化といえるX、Y、A、BボタンとSELECT、そしてSTARTボタン。こちらの感触はDSiとほぼ変わらない印象だった。ストロークは浅めだが押している感覚がはっきりわかるDSiと違う点の1つに挙げられるのがスピーカー。上画面下側から、ほぼ中央へと位置が移動している。画面が大型化したからか、上画面の厚みのせいか、DSiよりも音量が大きいように感じる。左右の分離感もつかみやすかった
上画面側を開けると、DSiの2カ所から増えて3カ所でストップする。1番右と、中央の角度がDSiと同じだが、1番倒した状態は液晶側の重さの分、DSiよりこころもち倒れた形になる

 続いて、歴代DSシリーズとのスペック比較、そして写真では、DSiと比較して、DSi LLの画面をチェックしてみた。解像度が変わらず大型化した液晶パネルがどう見えるのかの参考にしてもらいたい。そして、DSi LLで改良された視野角の違いもチェックしてみた。また、公式サイトでは、DSL、DSiとの本体の大きさや画面の大きさの違いをビジュアルでわかりやすく提示してあるので、参考にしてもらいたい。

本体

形式

サイズ(縦×横×厚さ)

液晶サイズ

重さ

タッチペン(長さ×太さ)

DSi LL

UTL-001(JPN)

91.4mm×161.0mm×21.2mm
(+16.5)mm×(+24)mm×(+2.3)mm

4.2型
(+0.95)インチ
透過型TFTカラー液晶

約314g
(+100)g

約96.0mm×直径約4.9mm
(+2)mm×(+0)mm
約129.3mm(タッチペン大)

DSi

TWL-001(JPN)

74.9mm×137.0mm×18.9mm

3.25型
透過型TFTカラー液晶

約214g

約92.0mm×直径約4.9mm

DS Lite

USG-001(JPN)

73.9mm×133.0mm×21.5mm

3.0型
透過型TFTカラー液晶

約218g

約87.5mm×直径 4.9mm

DS

NTR-001(JPN)

84.7mm×148.7mm×28.9mm

3.0型
半透過反射型TFTカラー液晶

約275g

約75.0mm×直径約4.0mm

【DSiおよびDSLとの電池持続時間、充電時間の比較】
本体充電時間電池持続時間(使用ソフトによって異なる)
DSi LL約3時間最低輝度 約13~17時間
低輝度   約11~14時間
中輝度   約9~11時間
高輝度   約6~8時間
最高輝度 約4~5時間
DSi約2時間30分最低輝度 約9~14時間
低輝度   約8~12時間
中輝度   約6~9時間
高輝度   約4~6時間
最高輝度 約3~4時間
DSL約3時間最低輝度 約15~19時間
低輝度   約10~15時間
高輝度   約7~11時間
最高輝度 約5~8時間
店頭でモックアップを実際に見てもらえばわかるが「思ったより大きい」というのがDSi LLの外見の感想。上画面側が厚くなっている分がサイズに影響している

【DSi LL(左)とDSi(右)の画面】
DSi LLよりDSiの画面が青っぽく見える。人によってはDSi LLの画面が黄色いという感想を持つかもしれないが……ちなみにDSiは発売初日に購入したものだ
「ドラゴンクエストIX」のタイトル画面で比較。ドットの表現が若干異なって見えるが、実際に見てみると、違いがあまり気にならないのが正直なところ
「あぁ無情 刹那」の場合。文字のふちがディザリングされているのはDSi LLのほうが認識しやすい。これぐらいの大きさの文字ならどちらもちゃんと見えるが、小さい文字はもともとドットを省略しても見えやすいようにしてあることが多いため、塊のようなものがただ大きくなるだけなので、見えやすくなるわけではない
【視野角の違い】
モノクロの起動画面(左)と、「あぁ無情 刹那」の画面(右)。ゲーム画面では、DSiの方は背景が沈み込んでしまっているが、DSi LLは背景がちゃんと見える。なお、DSiのボディカラーがホワイトであるため本体が映りこんでしまっている。申し訳ない


【おまけ:PSP-3000との比較】
折りたたんだ状態ではボディサイズはかなり近いものを感じさせるDSi LLを広げると、やはり2画面の迫力を実感できる

 実際にゲームを遊んでいると感じるのは、まず「画面の大型化」による迫力、そして見易さの向上だろう。DSiと比べると、DSiは絵に密度が感じられるが、やはりDSi LLの画面を見たあとでは少しグラフィックスが小さく見える。密度のある分、テクスチャなどはキレイに見える反面、キャラクターの大きさはやはり大きいほうがいいに越したことはないだろう。また、文字も大きく見えるので、テキストメッセージなどもより見やすくなった。他機種からの移植タイトルなどで、画面に対してキャラクターが小さく感じられていたものは、はっきりと遊びやすくなった、と感じられた。

 また、本体が大型化したことによって、大人の手にはホールドしやすさが向上したことも、プレイしやすいという感想につながる要因だろう。ボタン周りはあまり変更点がないが、スクリーン以外の部分には多少スペースに余裕ができているので、持ちやすさも向上している。ただその分、100gほど重量が増しているので、たとえば、電車の中で片手で本体を持ってプレイというのは少々手が疲れてしまうことは容易に想像がつく。仰向けに寝転がって遊ぶスタイルの人にもちょっと負担が感じられるだろう。CMのように、机の上においてプレイするスタイルがもっとも適していると思う。重さも机の上において遊ぶスタイルなら、動きにくいというプラス面へつながる。

 タッチペンに関しては、やはり「専用タッチペン(大)」の使いやすさはなかなかのものだ。本体収納のほうは長くなっただけ(これはこれでうれしいことだが)だが、「専用タッチペン(大)」は太く長いため、文字を書く、図形を描くといった操作にはてきめんに効果を発揮してくれる。

 当然のことながら、液晶保護フィルターをはじめ、本体保護ケースなどのグッズは、DSi LLへの使いまわしは期待できない。鏡面仕上げの天板などを保護したくなる人は、改めて収納グッズを検討する必要があるだろう。


■ DSiメニュー周りは変更なし。内蔵DSiウェアに加え、キャンペーンで1,000DSiポイントをもらえばさらにDSiウェアを楽しめる

 DSi LLの本体ソフトウェアバージョンは「Ver.1.4J」で、起動時のままバージョンアップすることなく利用が可能だ。DSiメニュー、本体設定などはDSiのときとまったく同じなので、初めてDSiに触れる方は過去記事を参考にしていただきたい。本体バージョンが違うため、内蔵メモリの空き容量などに違いがあるが、本体設定のプロセスなどに大きな変更点はない。

 初期状態で内蔵メモリに収録されているのは、「ニンテンドーDSiブラウザー」(82ブロック)、「うごくメモ帳」(86ブロック)、「インターネットにつなぐと、できること」(100ブロック)、そして「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング 文系編」(67ブロック)、「ちょっと脳を鍛える大人のDSiトレーニング 理系編」(52ブロック)、「明鏡国語 楽引辞典」(128ブロック)の6つのDSiウェアだ。515ブロックが使われた状態になっているので、空きブロックは511になる。

 なお、2010年3月までなら、DSi/DSi LLを購入後、「ニンテンドーDSiショップ」に接続すると、1,000DSiポイントがプレゼントされるので、インターネットに接続できる、もしくはDSステーションなどに接続できる環境があれば、DSiショップでDSiウェアを購入できるのはうれしい。また、「クラブニンテンドー」のIDに、DSi LLを登録しておくのも忘れないようにしてほしい。1つのIDに、8台までのDSi/DSi LLが登録できる。そして、シリアルナンバーを登録しておくことも重要だ。


■ DSiウェアは別のハードに移行できない! 乗り換えの場合はDSiウェアは再購入の必要あり

 DSiが登場してから1年あまりが経過している。初登場時にはあまり気にならなかったことだが、DSiウェアは、ダウンロードしたDSi/DSi LLでしか利用できない。今回、DSiからDSi LLへ乗り換えるという人に注意してほしいのはこの制限だ。DSiウェアは、本体メモリと、SDメモリカードへのコピーや移動が可能になっているが、このSDカードにコピーしたデータは、他のDSi/DSi LLでは起動できないようになっている。ちなみに、DSi LLにあらかじめ登録されている4つのDSiウェアもSDカードへコピーできるが、同じDSi LL以外では起動できなかった。

 他のゲームハードウェアのネットワークサービスでは、基本的にIDを登録し、ゲームハードを認証させることで、IDの元で複数のハードウェアの上でダウンロードソフトをプレイすることが可能になっている。ハードウェアが有効であれば、任意で認証を解除することもできるため、新しいハードに乗り換えた場合でも、あらかじめソフト(アカウントが同じなら再ダウンロードでも対応可)やセーブデータのバックアップをし、ハードの認証を解除しておけば、制限数の範囲内でユーザー自身の手で移行が可能だ(コピー不可のセーブデータなどもあるため、すべてとはいえないが)。DSi/DSi LLの場合は、こういったことが現状不可能ということになっているのは残念だ(本体を初期化した場合は、DSiショッピングからDSiウェアの再ダウンロードは可能)。現状、Wiiも同様の対応が取られているが、新たに好みのカラーバリエーションが発売されたときや、限定モデルなどが登場した際の対応も一考願いたいと思うのは贅沢だろうか?


■ 触れてみるとこれはこれでアリ、と思わされる画面大型化の魅力

大きくなることでゲームがプレイしやすくなったというの素直な感想。DSiとDSi LLのどちらを選ぶかは利用シーン次第といえそうだ

 初公開時は画面の大型化というトピックスに「年配の方向け?」というぐらいしかDSi LLの登場理由がわからなかった記者だが、実際に手にとってみて、ゲームをプレイして思ったのは、「よりゲームが遊びやすくなった」というシンプルだがうれしい感想だった。大きな画面でプレイしてみると、たとえば文字が大きく見えるとか、シューティングゲームで敵の弾がよく見えるとか、アクションゲームでキャラクタの動きがわかりやすくなるなどの効果が実感できた。DSLからDSiに移行したときも、画面が大きくなったことを感じられたが、それ以上に大きくなったDSi LLの画面の大きさのインパクトはわかりやすかった。

 確かに、持ち運ぶにはちょっとかさばるし、視野角が広くなったことは、外出先で遊ぶには恥ずかしさを感じることもあるだろう。そして大きくなったことによって、やはり重さも感じられる。そういったことを考えると、CMで任天堂が提案している通り、あくまで、DSファミリーの選択肢が1つ増えた、と捉えるのが1番よさそうな感触だ。DSを主に自宅で遊ぶ人向けという選択肢の1つがDSi LLだと思う。外に持ち歩きたければ、DSiやDSLがあるのだし。できれば、今後登場するであろうカラーバリエーションは、渋めの方向だけではないとありがたい。


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(2009年 11月 21日)

[Reported by 佐伯憲司]