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「ドラゴンクエストX」、映像化するプロジェクト「冒険者たちのきせき」の第2弾公開

第2弾は実写ドラマ化、原文エピソードも紹介

9月10日 公開

 スクウェア・エニックスは、プレイステーション 4/Nintendo Switch/Windows/Wii U用MMORPG「ドラゴンクエスト X オンライン」において、サービス開始から5年を記念して“奇跡”のようなエピソードを基に映像化するプロジェクト「冒険者たちのきせき」を開催している。9月10日より第2弾として実写ドラマ「EPISODE(2)『どの職業で戦うか迷う話』」を特設サイトにて公開した。

 「冒険者たちのきせき」 プロジェクトは、実際にプレーヤーが体験した“奇跡”のエピソードを基に映像化するプロジェクト。

 第2弾では、実際の「ドラゴンクエストX」プレーヤーから投稿されたエピソードを基に、約22分に及ぶ本格実写ドラマが制作された。主人公には、劇場版「進撃の巨人」やTVドラマ版「アカギ」などに出演した本郷奏多さんを起用。

 ドラマでは、「ドラゴンクエストX」を通して知り合った女性とのゲームプレイやチャットでの交流を通じて、自身について見つめなおしていく様子が、事細かな心理描写とともに描かれている。12月には、第3弾として「EPISODE(3)」が配信される予定になっている。

【「EPISODE(2)『どの職業で戦うか迷う話』」ドラマストーリー】

 少なからず働く意欲があるものの、定職についていない主人公は、「ドラゴンクエストX オンライン」のゲームを通じ、看護師の仕事をしている女性プレーヤーと知り合う。
 ゲームの世界では、“僧侶”として、仲間を強敵から救い、彼女からも頼りにされている存在であったが、現実世界では、ゲームの世界での役割とは程遠いような生活を送っていた。

 そして、その女性プレーヤーとのチャットの中で、彼女が育児と両立しながら、看護師として“人助け”をしていることを知る。

 その事実を知った主人公は、自分の現実世界での生活に対して葛藤を抱き、自身について見つめなおしていく……。

【本郷奏多さんからのコメント紹介】

 「ずっと好きだったドラゴンクエストに関わることができて嬉しいです。じっくり時間をかけて撮影したので、いい作品になっていると思います。映像がとても綺麗だと思いますので注目してください。」

【本郷奏多さん】

【「冒険者たちのきせき」クリエイティブディレクター小霜和也氏のコメント】

 「DQX内では「人と人」のコミュニケーションが楽しまれています。見た目はゲームキャラであっても喋っているのは生の人ですから、リアル世界と同じく、思いがけない一言に励まされたり、気づかされたり、時には人生に影響を与えられることもあります。このミニドラマで描いたのはその実際のお話ですが、生き方を大きく変えることとなった出来事なので、ユーモラスさを多少交えながらも、全体として真摯な表現であるよう努めました」

「冒険者たちのきせき EPISODE(2)『どの職業で戦うか迷う話』」原文エピソードの紹介

投稿者:滝川治助さん 「どの職業で戦うか迷う話」

【原文エピソードの紹介】

 「ナースなんだ」とウェディ娘は言うのだった。部屋でひとりゲームに興じていた僕には、あだっぽく聞こえた。一緒にパーティーを組んでボスモンスターと戦っている最中だった。ゲーム内では僧侶の僕はその夜、いつもより丁寧に、彼女にホイミをかけた。「ドラゴンクエスト」は楽しいけれど、ゲームを終えればたちまち現実が押し迫ってきて、向き合わざるを得ない。

 僕は無職だった。派遣のアルバイトで日銭を得て、どうにか暮らしを繋いでいるが、年をとっていくことが不安だった。年をとるということは、親が老けるということや、同級生たちが立派になったり結婚したりしていくことを含んでいる。流れていく時間が、恐ろしいのだ。

 「ドラゴンクエスト」は幅広い年齢層に人気のゲームだ。「今日は学校の授業参観日だったよ」世間話のつもりで話すウェディ娘だったが、聞いているうちに、親として参観日に臨んだらしいとわかった。

 僕の想像とは食い違ってきた。「子どもが小学校に入るとたいへん」ウェディ娘の言葉が、僕の胸に刺さった。ひとつはウェディ娘が妙齢の乙女ではないことだ。それはいい。

 それよりも、僕の親もこのように僕を育てたのだろうと予感させられたことだ。僕は子どもとして参加したことしかないが、参観日には当然、子ども以外の視点もあるのだ。今まで気付かずにいたことがショックだった。さらには、小学生というものは年々と学年が上がっていくが、僕は変わらぬ今を生きている。

 僕には季節が無いような気がした。就職しようと考えた動機は、そんなところだった。

 仕事はなかなか見つからなかった。やっと見つけた就職先は介護職だった。それでも嬉しくて、介護の仕事を始めたことをウェディ娘に告げた。慣れない仕事で疲れてしまい、ゲームができない日も増えた。

 勤めて9カ月くらい経ち、ほんのわずか、ボーナスが出た。嬉しくてはしゃいだ。初めてのボーナスで親にプレゼントを買った。コーヒーカップだ。

 やがて職場で何か介護に関わる資格を取ってはどうかと教えられた。無資格でいるよりも、資格があるほうがいいらしい。

 介護に関係する資格は山ほどあって、取得しやすいものもあれば、学校に通わねばならないものもある。何がいいのか見当もつかなかった。

 そういう話をウェディ娘にすると「じゃあ、看護師は?」と薦められるのだった。看護師には正看護師と准看護師があり、准看護師のほうなら僕にも達成できそうに思われた。

 ウェディ娘が学生時代に使った教科書やノートがあるから、送ってあげてもいいと言ってくれた。「ドラゴンクエスト」内だけの付き合いだけど、3年以上も親交があるので、僕は住所を知らせた。

 果たして、荷物は届いた。古くなり紙が柔らかくなった教科書と、きれいな文字のノートだった。青春の残り香のようなものが、感じられないでもなかった。

 来春から僕は夜間学校に通う。この教科書やノートが、きっとくじけそうになる僕を励ましてくれるだろう。

【実写ドラマ スクリーンショット】