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韓国キョンギにて世界最大級のe-Sports大会「Intel Extreme Masters」が開幕

会場風景と大会予選日の様子を紹介!

12月16日~18 日開催

会場:高陽体育館

 インテルとドイツのe-Sportsオーガナイザー、エレクトロニック・スポーツ・リーグ(ESL)が共催する、世界最大規模のe-Sportsイベント「Intel Extreme Masters(以下、IEM)」の韓国キョンギ大会が、12月16日から18日の3日間、韓国・高陽(コヤン)市にある高陽総合運動場の体育館で開催されている。

 「IEM」は2007年にシーズン1が始まって以来、世界各地で大会が開催されている。現在は11回目となるシーズン11が進行している。1つのシーズンは、いくつかの大会で構成され、本シーズンは、2016年7月の上海大会で開幕し、オークランド、高陽の3会場で催された後、2017年3月にポーランドのカドヴィツェで開催されるワールドチャンピオンシップ大会で世界一が決定する。賞金総額は、このシーズンから初めて100万ドルの大台にのった。韓国での開催は8年ぶり。高陽市が会場となるのは初めてだ。

 このレポートでは、予選1日目、2日目が開催された会場の様子と、インテルのブースなどを紹介したい。

「オーバーウォッチ」がe-Sports大会で初採用

会場となった高陽体育館

 会場となる高陽体育館は、韓国のプロバスケットボールチーム、高陽オリオンズの本拠地でもあり、体育館はイベントやコンサートにも使われる大規模な作りだ。同じ施設内には、飛び込み用と競技用のプールもある。開会式には、高陽市の副市長も顔を見せ、韓国でのe-Sportsの認知度の高さを感じさせた。

 今大会では「League of Legends(LoL)」、「StarCraft II」、「オーバーウォッチ」の3タイトルが競技種目に選ばれている。シーズン11の正式種目は「LoL」、「StarCraft II」、「Counter-Strike: Global Offensive」だが、今年最後のイベントとなることを記念して、韓国で大ヒットしている「オーバーウォッチ」がエキシビション的に追加された。

 個人戦の「StarCraft II」は16人の選手のうち、15人が韓国の選手。「オーバーウォッチ」は6チーム中4チームが韓国チームと、ホームタウンの開催で多くのゲーマーが参加しているのがわかる。「LoL」は各国の混成チームも合わせた8チームが参加している。ホームタウンとはいえ、韓国人選手の多さに驚かされる。

 大会の模様は、韓国のe-Sports専門ケーブルテレビOGNが撮影を行ない、公式ページ、OGN、Twitchなどから配信されているので、予選が始まるとアナウンサーが興奮した口調で試合を実況する。ちなみに、16日に行なわれた「オーバーウォッチ」の準々決勝、Luxury Watch RedとKongdoo Pantheraの試合は、17日23時の段階ですでに1,000万人以上が視聴しており、も6,000人以上がライブ視聴しているなど、注目度の高さを実感することができた。

インテルが最新のテクノロジーをブースで紹介

 会場の内外には、インテルが自社の製品を搭載したゲーミングPCや、VRマシンを展示。大会で使用されているゲームや、最新のVRコンテンツを体験することができた。

 会場の内部には、車の座席型のコントローラーでプレイするOculus Rift用の「Project CARS」や、発売したばかりのOculus Touchを使った魔法対戦ゲーム「Unspoken」、LenovoのハイスペックゲーミングPCでHTC VIVEで体験できるデモコーナーなどが並ぶ。

 会場の外には、韓国のイーコマースサイトAUCTIONと、IEMがプロゲーマー用に推奨している「IEM Certified PC」を販売している韓国のホワイトボックスメーカーPreflowが、共同でブースを出していた。ブース内には、acerやASUS、DELL、HP、Lenovo、MSIなどから発売されている、Core i7を搭載したゲーミングPCで大会種目のゲームが遊べるコーナーや、水冷式の「IEM Certified PC」の展示、HTC VIVEやOculus Riftを体験できるコーナーが並ぶ。べて遊んでスタンプをもらうと、「オーバーウォッチ」のフィギュアや、メーカーのグッズ、スマホ用のVRヘッドセットなどがもらえる抽選に参加できた。

 さらに隣には、「オーバーウォッチ」や「LoL」のコスプレーヤーとの写真撮影コーナーや、出場選手のサインがもらえる交流コーナーなども設置されており、試合終了後には応援にきた女性ファンが行列を作っていた。韓国では、プロゲーマーは若い女性ファンを獲得しており、韓国の有力チームが出場する試合では、選手の名前を書いたプラカードを振りながら予選を見守っている女の子集団の姿もあった。

【会場外の様子】
インテルブースの、ゲーミングPC体験コーナーではCore i7搭載のPCでゲームをプレイできる
インテルブースのVRコーナーでは、THC Viveの「The Lab」やOculus Riftの「Project CARS」がプレイできる
Preflowの「IEM Certified PC」コーナー。水冷式のゲーミングPCが並んでいた
「オーバーウォッチ」のコスプレをしたスタッフ
「LoL」のコスプレをしたスタッフ
いろいろなフレーバーがある、エナジードリンクの試飲コーナー

【会場内部の様子】
Oculus Rift用の「Project CARS」
Oculus Touchを使った魔法対戦ゲーム「Unspoken」
ステージと、その前に設置された実況ブース
予選が始まると、実況の熱のこもった声が会場内に響く

大会のバックヤードにもテクノロジーが凝縮

 今回は、普段見ることができない舞台裏をチラ見させてもらうことができた。会場の奥にはスタッフルームやVIPの控室、着替え室などがある。さらにその奥には、搬入された機材が入っていた大量の箱が積み上げられていた。会場裏手には、テレビ局のミキサー室がまるまる入ったような、ネット配信用のミキサー車が2台と、大会用のクライアントを動かすためのサーバーが置かれたテントがある。

 ステージには、奥に6対6の「オーバーウォッチ」用ブースと、5対5の「LoL」用ブース、さらに、普段はクレーンで上空につるされた「StarCraft II」用のシングルマッチブースがある。ステージの前には、アリーナ席、その奥に各ゲームの配信実況ブース。そしてインテルの体験コーナーと、ゲーマー用エナジードリンク「G FUEL」の試飲コーナーなどがある。

 e-Sportsの大会は、ESL、インテル、OGNなど、e-Sportsを取り巻くプロフェッショナルたちに支えられている。e-Sportsがメジャーになっていくに従って、その周辺を支える技術やサービスを提供する企業も育っていき、大きな産業として成長しているという現在の状況が、イベントからも感じられた。

【バックヤードツアー】
バックヤードは大量の空箱で雑然としている
積み上げられた機材の箱
会場の裏側に停めてある、ネット配信を行なうためのミキサー車
ミキサー車の内部を外からチラ見。5人くらいのスタッフが真剣な顔で仕事をしていた
テントの内部で仕事をするOGNのスタッフ
ソデから見たステージ。上にスタークラフトのブースが吊るされている

決勝戦は18日の11時20分から日本でも観戦可能

 グローバルなe-Sportsのマーケットは、2015年の3億2,500万ドルから、2016年には4億6,300万ドル市場へと成長するとみられている。北米では、イベントやグッズ販売、スポンサーシップやネット広告、ライツ事業などの売り上げが1億7500万ドルになると予想されており、e-Sportsを知っている人の数は、昨年比36%増の1億人に達するといわれている。

 急きょ競技種目に追加された「オーバーウォッチ」のように、e-Sportsを強く意識したゲームが登場することで、新しい選手が育っていく。世界中のプレーヤーやファン、スタッフが集まる会場は、グローバルなe-Sportsの広がりを目の当たりにできる格好の機会だ。

 明日はいよいよ、大勢の観客で盛り上がる決勝戦が開催される。決勝は、11時からオープニングセレモニーが始まり、11時20分に「オーバーウォッチ」、14時から「StarCraft II」、17時から「LoL」の決勝が行なわれる予定だ。配信だけでは見えにくかった、韓国でのe-Sportsファンの盛り上がりを目の当たりにするのが楽しみだ。戦いの様子は、改めてレポートでお伝えしたい。

【セミファイナルの様子】
「LoL」では、強豪チームKongdoo Monsterが2勝して決勝にコマを進めた
「StarCraft II」のセミファイナル