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「仁王」はストーリーに着目して是非プレイしてほしい

ほぼ仕上がりの状態で、あとは最後の詰めが残るだけ

12月3日~4日 開催(現地時間)

会場:Anaheim Convention Center

 コーエーテクモゲームスから2017年2月9日に発売が予定されているPS4用アクションRPG「仁王」。Opening Showcaseでは会場から大きな拍手で迎え入れられ、ハードアクションへの期待感が高まっていることを感じさせた。

 本稿では、米国のアナハイムで開催中の「PlayStation Experience 2016」に合わせて渡米していた、コーエーテクモゲームスの代表取締役社長であり、本作のプロデューサーである鯉沼久史氏に話を聞くことができたので、ここで紹介する。

コーエーテクモゲームス代表取締役社長 鯉沼久史氏

――今回プレイアブルで出展されたバージョンと、東京ゲームショウのバージョンとの違いは何があるのですか

鯉沼氏: 今回のバージョンは、プレイアブルとしては初めてとなる「伊賀」ステージと、まっさらな新ステージが追加されているところが違います。追加されたのは「二俣」という新ステージで、ストーリーの中盤の所です。あと、武器としては初公開となる鎖鎌に注目してほしいですね。「NINJA GAIDEN」といえば鎖鎌ですから。トリッキーですが使い応えがあります。

――東京ゲームショウから時間が経ちましたが、開発の状況としてはいかがですか

鯉沼氏: もうほぼ出来上がっていて、通しプレイをやっていて、トータルのバランスをどうするか詰めているところです。今回幅広く言語対応をしますので、ゲーム自体は出来上がっているんですが、最後の山が整っていない部分もあり、そこをならしている感じですね。

――午前中のカンファレンスでも、タイトルの発表があったとき歓声が上がりました

鯉沼氏: 今回その歓声を聞きに来たというのも正直なところです。あれがないと多分、皆さんに興味を持たれていないのというのがあって。歓声が上がってよかったと思いました。

 ゲームは基本、座ってプレイすることを想定して作っているんですが、今回のように立ってプレイする場合もあるので、試遊台を出す時は少し難易度を下げていたりします。それでも難しいという人もいらっしゃいますが。また、試遊台は置かれ方によっても画面に反射が出てしまってプレイしづらかったり、コントローラーのレスポンスも違ったりするので、そのあたりも考慮しながらバランスをとっています。

 あとは通しプレイをすると、難しいと思う人もいれば易しいと思う人もいるので、そのあたりをどうするか対策を考えています。そうはいっても、想定よりも易しくなってしまうのは、難易度設定がおかしくなってしまうので気をつけています。あとは2月7日から北米を皮切りに全世界で発売されますので、その反応を見て対応しようと思っています。

――発売後のスケジュールやDLCについては決まっていますか?

鯉沼氏 発売後も長く楽しんでいただけるようDLCの配信なども準備していますので期待してください。

 「仁王」は、よく言われる「死にゲー」、サムライだから人斬りみたいなイメージが先行していますが、私としては人を倒す理由とか、背景とか、ドラマ性というのはちゃんと表現したいと思っています。Team NINJAだけでなくシブサワ・コウも入ってコーエーテクモ全体で作っているという意味がそこにあります。

 体験版や試遊台は、なのでそのあたりは端折っていますが、実はこんな悲しい物語が隠れていて……といったところも楽しんで欲しいところです。難しいところをクリアする、アクションゲームのカタルシスもわかっていますが、製品版ではドラマ的なところもちゃんと味わって欲しいですし、そこを楽しみにしていただきたい。ただ人を斬るだけのゲームではありません(笑)。そこら辺はしっかりと作り込んでいますので。

 日本人だったらよく知っている武将も出ますし、主人公のウィリアムズも、元々はこういう人がいたという話からファンタジーを描いているので。そのあたりも感じて欲しいですね。

――主人公の物語を日本の史実とリンクさせると以前伺いましたが?

鯉沼氏: シブサワ・コウ自身が陣頭指揮を執ってドラマを書いており、10年以上前から始めていますが、その点だけは最初からまったくぶれてないところでもあるので、そこは是非期待していただきたいと思います。本当の意味でのTeam NINJAとシブサワ・コウが融合したところかな。「Team NINJAだったらこう作るけど、シブサワ・コウだったらこういうドラマ性が生まれてくるよね」というのは、私も一緒にやっていて、途中でどんどん良いものに書き換わっているのをみていますので、その点は楽しみにしてください。

「仁王」ブースでデモプレイをする来場者達

――海外での、ゲームシステムに対する反応はいかがですか?

鯉沼氏: 映画の「ラストサムライ」があるから受け入れられる素地はありますね。個人的には海外の方は結構、日本のサムライに興味を持たれている人が多いと思っていますし、黒澤映画が受け入れられているので、大丈夫だと思っています。上段、下段、中段とか、海外の方はそこまで知らないよねというところまで作り込んでいますので。日本人が作っているリアルアクションサムライゲームを純粋に楽しんでいただくだけでも、「仁王」はアメリカの人にとってもやる価値がある作品と思っています。多分、日本人とは驚くところはちょっと違うとは思うのですが。海外の方にも是非遊んでもらいたいですね。

 鎧についても、歴史的な時代背景を考証して作っています。そこはうちの得意とするところですし、普通の資料館や博物館よりも、うちの方が資料があると思います。日本の鎧などが好きな人には、非常に楽しいゲームとなっていると思います。

――武器の種類も多いですね。

鯉沼氏: 1つの武器を突き詰めて使っていただくのでもいいですし、組み合わせ、パズルではないですが、この敵がきたらこの武器に持ち替えて、という遊び方をするのもいいでしょう。そこはプレイスタイルの幅、ということでいいと思います。先ほども言いましたが、中でも鎖鎌はいいですよ。ただし隙が多いし、トリッキーな武器ではありますが、はまったときには気持ちいい武器になっていると思うので。是非遊んでください。

――英語版ですが、「落命」などはそのまま表示されるんですね。

鯉沼氏 日本語がそのまま通じることも多いようですね。下手に訳すと変になると言われたこともありますし、そのあたりはプロの翻訳者の方と話しながら進めています。まあ、ラストサムライも英語の表記だろうか、ということもありますよね。本当に英語だったら、「ラストソルジャー」とか、そういう名前になると思うのですが、「仁王」に関してもそのままでいいと。「仁王」で大丈夫と言われました。わからなくても訳されると拍子抜けするというか、「仁王」は「仁王」という名詞でいった方がいいと。

 ゲームについてですが、クリアするまでに平均で40~50時間くらいかかるようになっています。ちなみに韓国の「G-STAR」にも出展したのですが、すごく上手なプレーヤーさんがいたらしいく、みんながその人のプレイをずっと見ていたそうです。スタッフが「このゲームは難しいんですよ」と説明していた最中らしいですが(笑)。

 アメリカの方のプレイを見ていると、やられてもリトライされる方が多いという印象です。プレイ時間が長いのは気になるかもしれませんが、昔は日本でも落ちたらゲームオーバーということもありましたし、何度でもやっているんですよね。

 ですので日本の皆さんも、諦めずにプレイしていただければと。昔はそれが楽しかったんですよね(笑)。やればやるほど、誰でもちょっとずつうまくなると思いますので。そこが、ほかのゲームと違うところですし。あとはオンライン協力プレイなど、どうしてもクリアできない場合の対応策はありますので、是非最後までプレイしてください。