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「ファイナルファンタジーXV」発売! 田畑D「お待たせしました!」

「FFシリーズで大切にしているのはプレーヤーのためのストーリー」

11月29日 発売

価格:8,800円(税別)

CEROレーティング:C(15歳以上対象)

イベント終了後は、ソフトの販売が特設レジで行なわれた

 11月29日、ついに「ファイナルファンタジー」シリーズのナンバリング最新タイトルとなる「ファイナルファンタジーXV」(以下、「FFXV」)が発売となった。発売記念イベントが開催されるヨドバシカメラマルチメディアAkibaのエントランス前には、朝早くから多くのゲームファンが集まった。新作発表から紆余曲折を経て決して安産ではなかった同作の門出を待ちわびたファンは、早まる気持ちを抑えきれなかったようだ。

 松田洋祐代表取締役社長は「『FF』シリーズは、クリエイティブな面でも技術的にもフラグシップタイトルであり、必ずやお楽しみいただける」と自信たっぷりに挨拶し、ファンから熱い声援を受けた。

 続けて登壇した田畑 端ディレクターも開口一番「本当にお待たせしました!」と切り出した。田畑氏は「『FF』って30年の歴史があり、1作目はドットで描かれ台詞もテキストでした。30年経つとキャラクターもAIを搭載し、心を持つようになった。しかし変わらないものがある。それはプレーヤーのためのストーリーであること。プレーヤーが主人公になり体験していくストーリーを『FFXV』でも大切にしています。皆さんも『FFXV』の主人公になって楽しんでください」と、ファンに語りかけた。

 イベントにはゲストとして、主人公のノクティス役の声優・鈴木達央さん、ヒロインのルナフレーナ役の声優・北川里奈さんも登壇。鈴木さんは「ファイナルファンタジー ヴェルサス XIII」の制作当初から携わっており、まさに10年という歳月、同作に関わり続けている。

 「形が変わったり様々なことがありましたが、声優としてすべてを込めた」と振り返り、「(発売され)皆さんと旅に出るのが楽しみであるのと同時に、発売されてホッとしている」と心情を吐露した。鈴木さんによれば「ヴェルサス XIII」の制作時に収録された音声なども使われており注目して欲しいのと同時に、「ストーリーを進めていくとなぜ『XV』なのか、必ずわかる作りになっているので、その場面はご自身の目で確かめて欲しい」と作品についても触れた。

 一方、北川さんは「早くプレイして欲しいという気持ちでいっぱい」とコメント。自身の役・ルナフレーナについては「彼女が登場するシーンは過酷なシーン……泥臭いシーンが多い。胸がキュッとなるシーンも多く、気持ちを整理して収録に挑みました」と振り返っている。

松田洋祐代表取締役社長。「『FFXV』はフラグシップタイトル。かならずやお楽しみいただける」とコメント
田畑 端ディレクター。今回の制作を振り返り「(開発中の作品を引き継ぎ『FFXV』を制作したことについて)2度としたくないけど、メチャクチャ幸せな時間でした」とコメント
ノクティス役の鈴木達央さん。「ストーリーを進めていくとなぜ『XV』なのか、必ずわかる作りになっているので、その場面はご自身の目で確かめて欲しい」と気になるコメント
ヒロインのルナフレーナ役の北川里奈さん。かなり重たいシーンが多かったようで、子持ちを持続するのが大変だったようだ

 さらにファンを代表する形でお笑いコンビ「バイきんぐ」の西村瑞樹さんと小峠英二さん、そしてアーケードゲーム「DISSIDIA FINAL FANTASY」でマーテリア役を担当している女優の真野恵里菜さんもコメントを寄せた。「FFXV」では仲間と旅をしている雰囲気を出すために、フィールド上でもキャラクター同士が掛け合いを繰り広げる。これらは膨大な音声を収録した上で、AIによって制御されている。これを控え室で聞き感じ入った西村さんは「ボイスのバリエーションがすごいらしいですね。人工知能がなんたらこうたら言ってましたね」とコメントして会場の笑いを誘っていた。

 真野さんは大のゲームファンとしても知られているが、つい最近までスマートフォン用「ファイナルファンタジーIX」をプレイしており2週間でクリアしてしまったところだとか。「FFXV」については「早くやりたいのですが、今始めてしまうとお仕事に支障が出るので、早くお仕事を納めてしっかりやりたいです。私は、しばらくお預け」と寂しそう。

 さらに話題は「好みの男性がいるかどうか」についてにおよぶと、「私、『FFIX』のジタンが大好きなんです。ちょっと強引だけど頼もしい。だから『FFXV』ではノクトよりプロンプトのほうが気になってます」と答えると、すかさずノクト役の鈴木さんが「一瞬でふられましたね」と笑いながら応じ、北川さんがすかさず「私は好きですよ」とフォロー。田畑氏も「プロンプトは別に強引じゃないですよ」と差し挟むなど総突っ込みの展開となった。

 最後には昨晩22時30分頃から並んでいたという行列の先頭のお客さんに田畑ディレクターからソフトが手渡された。この方は「やはりストーリーが気になる。それとコマンドベースからアクションに変わったバトル。それと“おにぎり”ですね」とコメント。

 おにぎりについては田畑氏が説明。「FFXV」では食事のシーンが登場するが、かなり力が入っている。これには「旅に出たらご当地の食事が楽しみだから」という理由から。この料理の中におにぎりがある。しかしおにぎりは簡単なようで誰もが知っているものだから少しでもウソがあると違和感を感じてしまう。そのため作り込んでいるうちにデータ量がふくれあがり、なんとリヴァイアサンと同等の容量になってしまったのだとか。「これは無駄なことではなく、おにぎりが皆さんの厳しい視線にさらされているから」と田畑氏。

「バイきんぐ」の西村瑞樹さん(右)と小峠英二さん(左)。西村さんが「FF」の大ファンと言うことで出演。小峠さんは「ジョブに『芸人』を出して欲しい」と田畑氏に詰め寄る場面も
真野恵里菜さん。こもりっきりでプレイしたいと言うことで、ここしばらくは「FFXV」は封印されるとか

 イベント終了後に囲み取材に応じた田畑氏に感想を聞くと「発売日を迎えてというよりファンを前にして純粋に発売されて良かったと思いました」とホッとした様子。海外での評価については「日本のゲームにシビアなメディアも高い評価を点けてくれていたりするのは確認しています。『FF』シリーズとしてというより、欧米のプレーヤーがプレイするうえで楽しめるかどうか、まっすぐに評価してもらって高い評価を受けているのはありがたい」と語り、今回のチャレンジとして設定されていた世界で戦うという点についても、一定の手応えを得たようだった。

 AIについても「開発開始当初は新世代機(PS4とXbox One)でやるとは知らなかったんです。そんな中、2012年の夏に開発の前段階をPCでやっていたときAIに注目していました。最近の棋士に勝つといったAIはディープラーニング系ですが、『FFXV』ではキャラクターらしさやモンスターらしさ、動物らしさを出すためのAIを開発したいと。スクウェア・エニックスには三宅陽一郎さんがいるので、実現できると思った」とコメントした。

 寒い中で行なわれたイベントだったが、ファンの方も熱い思いで参加していたようで、イベントは温かい雰囲気の中で進行し、ソフトを手にしたファンは早くプレイしたい気持ちを抑えきれず家路を急いでいた。鈴木氏が語ったように、これから「FFXV」で繰り広げられる旅路を存分に楽しんでいただきたい。

「FFXV」だけに“15”からカウントダウンを開始し、0と同時にスイッチが押され、発売が開始となった
1番最初に並んだお客さんにソフトを手渡しした田畑ディレクター。お客さんは「10年待っていました」とコメント