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プレーヤーと視聴者の交流を目指して「THEATER CAFE&DINING“STORIA”」オープン
ゲームファンの多様な楽しみ方を集約する新スポットをレポート!
2016年10月5日 10:24
世界各地で開催されるゲーム大会、ネットを通じてのゲームプレイ動画の配信、人気プレーヤーの登場、作品やプレーヤーのファン達……2016年現在、ゲームの楽しみ方は多様化し、ゲームに触れる人達の様々な要望に溢れている。これらの要素をひとつの空間に集約し、ゲームを通じた交流の輪をさらに広げることはできないだろうか。
10月4日にオープニングセレモニーが開催された「THEATER CAFE&DINING“STORIA”」は、ゲームを愛する様々な人々の要望に応じた楽しみ方を体験できる、かつてないプレイスポットとなるという。ここでは、そのセレモニーの模様を紹介しつつ、本店舗の魅力に迫りたいと思う。
「THEATER CAFE&DINING“STORIA”」とは?
サッカーのワールドカップや野球のWBC、オリンピックが開催される際は、世界中のスポーツバーに熱狂的な観戦者が詰めかける様子を誰しも1度は見たことがあるだろう。本店のコンセプトは「食事をしながらゲームを観戦して仲間と一緒に盛り上がる」。つまり、「スポーツバーのゲーム版」という表現が最も近いかもしれない(もっとも、提供される食事は酒類だけではないが)。
「e-Sports」という単語が世に浸透した昨今、ゲーム業界にもプロスポーツと同じような共有空間が求められていた。
友人や家族、同じゲームが好きな他人と同じ空間を共有し、同じゲームをプレイし、同じゲームを観戦する。定期的に開催されるイベントに参加するもよし、観戦してイチオシの有名プレーヤーに声援を送るもよし、見知らぬ人と協力プレイを楽しむもよし、ゲーム上級者にアドバイスをもらいに行くもよし。
「STORIA」は、「これまでにあるようでなかった空間」であり、様々なゲームプレーヤーのプレイスタイルに応じた楽しみ方ができる店舗なのだ。
店内は食事ができるテーブル席のほか、至る所に設置されたモニターやゲームハードで、ゲームのプレイ、観戦、イベントのパブリックビューイングを楽しむこともできる。ゲーマーにとっては、まさに夢の交流空間だ。
業界著名人が多数来店したセレモニー
オープニングセレモニーには、同店をプロデュースするスクウェア・エニックス代表取締役社長の松田洋祐氏と、TBI JAPAN 代表取締役の中田強太氏のほか、「ドラゴンクエストX」プロデューサー齊藤陽介氏、「ファイナルファンタジーXIV」プロデューサー吉田直樹氏、「ストリートファイターV(CAPCOM)」プロデューサー杉山晃一氏、「モンスターハンター(CAPCOM)」シリーズプロデューサー辻本良三氏、「BLAZBLUE(アークシステムワークス)」シリーズプロデューサー森利道氏、「Alliance of Valiant Arms(ゲームオン)」プロデューサー井上洋一郎氏と、同店舗に作品を提供することが決定した各メーカーのプロデューサーが駆けつけ、同店舗の開店をゲーム業界全体で祝う温かなムードに包まれた。
松田氏「本店のコンセプトの通り、我々メーカーとユーザーの皆様との触れ合いだけではなく、ユーザーの皆様同士でのコミニュケーションの場を提供させていただきたいという想いで、こういった店舗をオープンする運びとなりました。強力なパートナーの皆様のご協力により、今後も多くのコンテンツを店内で扱うことが決定しております。ユーザーの皆様が随時参加できるような形で、本店の運営を行っていきたいと思います。本店舗を“新しいゲームの遊びの場”として皆様に提供していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い致します」
中田氏「TBI JAPANは、全国140店舗の居酒屋やダイニング、美容院や内装事業、不動産事業を運営しております。弊社の子会社の1社であるTBIエージェンシーが、今回の店舗運営の企画に携わることとなりました。本店舗は食事中のシェアがしやすいイタリアンを中心としたメニューをご用意し“ゲームを見ながら食事を楽しむ”コンセプトを形成しています。また、デザートにはピザ釜で焼き上げたフレンチトーストをご用意し、子供から大人まで楽しめる料理を提供させていただきます。今後も、盛り上がっているエンターテイメントの文化と飲食店をコラボし、“新たな価値の創造”を目指します」
プロデューサー陣が見た「ゲームの場」
滅多に集まる機会のない業界の雄が一堂に会したこともあり、プロデューサー陣のトークは、本店舗の印象や、それぞれの作品創りに関する意気込みにまで及んだ。
――本店舗の印象は?
齊藤氏「『ドラゴンクエストX』はオンラインゲームですが、店舗の広さを活かしてかなり大規模なオフ会を行なうことができるのではないか、というのが第一印象です」。
吉田氏「海外ではe-Sportsが定着し、お酒を飲みながらゲームの試合を観戦しようという動きが活発になっていますが、ようやく日本にもそうした環境ができたという印象です。ゲームを作る側と遊ぶ側の相互コミュニケーションが図れる時代ですので、本店舗のようなお店は大変良いと思っております」。
杉山氏「過去はゲームセンターでコミュニケーションを図る流れが一般的でしたが、食事をしながらカジュアルにゲームを楽しむ場所としてプレーヤーと観戦者がコミュニケーションを持てる場所は新鮮で、今後の展開に期待しております」。
辻本氏「ゲームを中心にしたエンターテインメントの創造は非常に重要です。食事をしながらゲームをリラックスして観戦できる環境、他人がプレイする姿を見て参考にする場所、様々なゲームに触れること、皆で盛り上がれる場所と、そうした様々な楽しみ方をユーザーの皆様に味わってもらえれば嬉しいです」。
――ご自身が監修するゲームを本店舗で観戦する際の見どころは?
齊藤氏「インターネット放送の文化が浸透して誰もがゲーム観戦を楽しめる時代になり、チャットや文字での交流は図れるようになりました。しかし“その場の雰囲気”や“プレーヤーの気持ちや表情”は伝わりづらいので、本店舗のような場所があれば、オンラインゲームでも肩を並べてプレイすることが可能です。ゲームだけでなく“空気感”を楽しむことができるのも、提供された“場”の魅力です」
吉田氏「PvPが実装された『FFXIV』において、先日ついに“観戦モード”も追加されました。本店舗でもこの機能を使って観戦や実況を行なってもいいと思いますし、トッププレーヤーに集まってもらって、その熱気が伝わるイベントを開催してもいいと思っています。PvPだけではなく、非常に難しいバトルコンテンツが揃う作品でもありますので、高レベルプレーヤーによるPvEを放送して強敵を倒すシーンを皆で観戦するのもいいかと思います。こうした場があるからこそ、いろいろな楽しみ方ができるのではないでしょうか」。
杉山氏「『ストリートファイター』シリーズは相手の体力を0にすれば勝ちというわかりやすいルールで浸透しましたが、大会や試合の主人公はリュウではなくプレーヤーです。大会の常連であるプロのプレーヤーは、スポーツアスリートのように一日平均8時間は練習し、肉体的なトレーニングも行ない、集中力を高め、フィジカルやメンタルを鍛えます。そういったプロ選手の熱気やオーラは観戦者にも伝わります。本店舗にお越しいただき、『ストリートファイター』の試合を見た際には、“選手を含めた競技である”ことを含めて楽しんでいただければと思います」。
辻本氏「モンスターハンターシリーズは対戦ではなく協力プレイが中心です。他のプレーヤーの動きを見た際に、一見、何をしているのかわからない動きがあっても、それが実は、その後の展開に大きな意味を持たせることもあります。ストイックにタイムアタックを突き詰めるプレーヤーもいれば、会場を盛り上げる“魅せプレイ”にこだわるプレーヤーもいる。そうしたそれぞれの楽しみ方が、協力プレイメインの作品の魅力ではないかと思います。また、間もなく発売するRPG『モンスタハンターストーリーズ』にはターン制の対戦モードもあり、これまでの『モンハン』とは違った心理戦も楽しめます」。
――監修しているゲームで気を配っている点は?(質問者:齊藤氏)
吉田氏「『FFXIV』はユーザーインターフェイスが非常に多い作品ですが、PvP戦では、相手の体力ゲージを見えるようにしただけでなく、相手がどんなアクションを使用したのか、味方にどんな補助を行ったのか等、アイコンを見るだけで対戦状況がわかりやすくなるように努めました。それらがわからないと、観戦しやすさ、実況のしやすさが損なわれますから」。
杉山氏「『ストリートファイターV』では、ゲージ類をコンパクトにしました。ゲージ類を画面端にまとめつつ、戦っているキャラクターを大きく見せています。また、空いたスペースには、大会参加プレーヤーのスポンサーロゴやプレーヤー情報等を配置できるように、ゲーム画面が見づらくならないように調整しつつ、大会運営において必要な情報も画面内に全て収められるような画面構成を心掛けています」。
辻本氏「『モンハン』シリーズの制作スタッフの中には、アーケードゲームを作った経験のあるメンバーも含まれていますので、アーケードゲームにおける“見て楽しい、遊んで楽しい”のコンセプトを重要視しています。プレーヤーやモンスターの動きに説得力を持たせて、遊んでいる人だけでなく見ている人にも楽しさが伝わる構成です。また、アクションゲームは、成功した際だけでなく、ミスした際にも説得力がないといけません。ミスした際にプレーヤーが“何が起こったんだろう?”と疑問に思ってしまうような構成にはしないように配慮しております」。
――同店舗で行ないたいイベントや企画は?(質問者:齊藤氏)
齊藤氏「自分はやはりオフ会です。開発陣と一緒にプレーヤーが楽しめる大規模なオフ会ができたらいいな、と考えております」。
吉田氏「すぐには思いつきませんが、このお店でしかできない、このお店だからこそのイベントを検討したいです。PvPでもPvEでも構いません」。
杉山氏「来年、『ストリートファイター』はシリーズ30周年となります。格闘ゲームは難しいものと思われがちですが、こうしたカジュアルなお店で初心者同士が集い“格闘ゲームって楽しい”と思っていただけるようなイベントを開催するのもいいかもしれません」。
辻本氏「ゲームは、開発陣よりもプレーヤーの皆様の方が圧倒的に上手いです! 上級者に解説を含めて参加していただくイベントもいいのですが、限られた時間内にいくつレアアイテムを拾えるか、というような誰でも参加できるイベントを開催するのもありだと思っています」。
「THEATER CAFE&DINING“STORIA”」での開催が決定したイベント
本店舗で開催が決定しているイベントは以下の通り。
10月15日……「ストリートファイターV 朱雀杯」
杉山氏によれば「優勝者には、希望するキャラクターの限定コスチュームが贈呈される」とのこと。世界に一着しかないマイキャラクターのコスチュームは、誰の手に!?
10月27日……「BLAZBLUE CENTRALFICTION」(イベント名未定)
「BLAZBLUEシリーズは、派手な演出、派手な技で戦う、いわばプロレス的な格闘ゲームです。参加した皆様が“見て楽しめる、遊んで楽しめる”イベントにしていきたいと思っております」とは、プロデューサーの森氏の談。
日程未定……「Alliance of Valiant Arms」(大会名未定)
毎年行なわれている本作の大会。そのパブリックビューイングを本店舗にて行なう。「大きなイベント会場では、ご飯を食べながらゆっくり観戦というわけにはいきません。こうした店舗だからこそコラボ料理を楽しみながら試合を観戦できる、そんなイベントを検討しております」と、井上氏の言葉にも熱がこもった。
タレント陣も大満足の店内環境!
続いてゲストが登壇。タレントの吉木りささん、プロボクサーの宮尾綾香さん、芸人コンビのコロコロチキチキペッパーズ(ナダルさん、西野さん)が、実際に「ストリートファイターV」をプレイし、店内各所に配置されたモニターで対戦が中継される模様を実体験。
4人とも「格闘ゲームは得意ではない」と言いながらも、要所で昇龍拳をヒットさせた西野さん、大胆なクリティカルアーツで見せ場を作ったナダルさんに、大きな声援が送られた。
勝利したナダルさんには、吉木さんからベリータルトの「あ~ん♪」をプレゼント! 一方、ナダルさんと宮尾さんに連敗した西野さんには、宮尾さんの「プロの腹パン」がプレゼントされてしまった……。(お客様への「痛いサービス」はないので、ご安心を!)
食事も充実! 味わい深いメニュー
本店はフードメニューも豊富。オニオンスライスを乗せたスモークサーモンや生ハム、バジルが効いたピザのように、酒のつまみにぴったりのピリ辛濃い味の料理もあれば、甘党の女性に優しいベリーを添えたハニートースト等も用意されている。
詳しくは、記事下部の公式サイトにも掲載されている。池袋に立ち寄った際、食事目当てに足を運ぶのも一興だ。
今後の展開は?
セレモニー終了後、松田氏へ「本店舗に、ユーザーがゲームハードやソフトを持ち込んで、自主的に大会や交流会を催すことは可能か?」と質問したところ、「将来的にそういったご要望があれば、検討します」とのお答えをいただいた。
企業公式のゲーム大会にはプロ選手が出場することが定石となりつつあるため、「しきい」が高いと感じて観戦に回るだけのプレーヤーも多いことだろう。また、インディーゲームシーンやレトロゲームシーンに目を向ければ、機材やハードを持ち寄り、イベントや交流会の自主開催を行っているコアなユーザーも少なくない。
「THEATER CAFE&DINING“STORIA”」は、大規模ゲーム大会の参加や観戦はもちろんのこと、初心者から上級者まで幅広い交流を求める多くのゲーマーが同じ場所に立ち、同時に多くのニーズを満たす場所となる可能性を秘めている。
店舗は10月5日にオープン。まだ始まったばかりの店舗に足を運ぶだけでなく、あなたが感じる「ゲーマーとしての意見」も、一緒に持ち込んでみてはいかがだろうか。